その昔、地球はお盆のように平らで、水平線の彼方では、恐竜や海獣の群がる恐怖の海が広がり、海の行き着く果ては、滝のように落ちていると恐れられていました。こうした常識を大きく覆したのが「コロンブス」でした。「地球は丸い」と信じたコロンブスが、偶然にもアメリカ大陸を発見したのは、今からおよそ500年前のことです。その新大陸にあると言われた黄金を求める夢と冒険の時代がはじまったのはそれからです。
育ての親、ロドリゲス神父が死の間際に残した言葉、それは、エステバンの父親が新大陸に生きているかもしれないということでした。エステバンは新大陸に渡ることを決心し、エスペランサ号に乗り込みます。そして、出航の日の朝、謎の少女「シア」と出会うのでした。
新大陸へ向かう船の中で出会ったシアは、インカの少女でした。エステバンとシアは、なぜか同じ紋章のついた「黄金のペンダント」を身につけていました。二人を乗せたエスペランサ号は、いよいよマゼラン海峡へ差しかかります。そこには、荒れ狂う突風と大波が待ち受けていたのです。
想像を絶する突風と三角波に翻弄されるエスペランサ号は、メンドーサの不眠不休の活躍で、ようやくマゼラン海峡を越えることができました。ほっとしたのも束の間、エスペランサ号の行く手には、巨大な竜巻が待ち受けていたのです。
マゼラン海峡を越えたのも束の間、巨大な竜巻にエスペランサ号は大破してしまいました。筏の上のエステバンたちを襲うサメの群れに食糧などを奪われてしまったのです。そんなエステバンたちを勇気づけたのは、一羽のカモメでした。――カモメが飛ぶのは陸地が近い。エステバンたちは、ある島にたどり着いたのです。
長く苦しい航海の末、エステバンたちは不思議な島にたどり着きました。その夜。エステバンたちに忍び寄る黒い影。悪魔のような黒い影に、貴重な地図やピストルを奪われ、ついにシアまで連れ去られてしまいました。懸命に助け出そうとするエステバンは、シアが捕らわれている奇妙な小屋を探し当てるのです。そこに姿を現した黒い影の正体は、エステバンと変わらぬ「少年」だったのです。
太平洋上に偉大な文化を築いたタオの祖先「ラ・ムー」の人々は、黄金都市へ行くための、夢のような謎を隠していました。あるとき、洞窟が突然崩れだし、小さな無人島からは想像もできない巨大な船が姿を現したのです。それは、長く苦しい航海で船を失い、新大陸へ行く手がかりをまったく失ってしまったエステバンたちにとって、明るい希望でした。
ラ・ムーの巨船で新大陸へ向かうエステバンたちに、突如、砲撃を加えてきたスペイン船。しかし、ラ・ムーの巨船には、太陽の光を利用した驚くべき仕掛けが隠されていました。巨船の威力のおかげで危うく難を逃れたエステバンたちは、ようやく新大陸へ到着したのです。
長く辛い航海の末、エステバンたち一行は、ようやく新大陸へ着きました。しかし、そこはすでに、黄金にとりつかれたピサロによって占領されていました。そして、黄金都市の手がかりを知るシアも捕らわれてしまったのですが、エステバンとタオの大活躍で、危機一髪、救い出すことができたのです。
ピサロの悪の手を逃れたエステバンたちは、ゴメスやガスパルたちにラ・ムー号を乗っ取られてしまいました。そしてゴメスは、ラ・ムー号を返す代わりにシアを引き渡せと言ってきました。タオは、シアとインカの村人を救うため、ゴメスたちの乗るスペイン船を巻き添えに、ラ・ムー号を爆発させてしまったのです。
シアの村へ向かう途中、スペイン兵に見つかったエステバンたちは、地下神殿に逃げ込みました。そこで、黄金都市の秘密を知っている神官パチャに出会いました。しかし、突然差し込んだ太陽光線のため、神殿を支えていた氷の柱が崩れだし、神官パチャも埋もれてしまったのです。
ゴメスに脅かされたエステバンたちは、ついに黄金のキープの秘密を白状してしまいました。――プーナの北、老いたる峰をたずねよ。そう記されていたのです。しかしその晩。エステバンたちはインカの勇敢な兵士に助けられ、神殿に隠された地下道を伝わって、老いたる峰を目指したのです。
シアの村を離れ、黒ワシ砦に逃げ込んだエステバンたちを追って、スペイン軍は再び攻撃を仕掛けてきました。夜、闇の中で襲うことを得意としたスペイン軍に、砦は一時危機にさらされました。しかし、タオが考え出した照明弾のおかげで、エステバンたちは危機一髪助かったのです。スペイン軍をようやく撃退したエステバンたちは、いよいよ老いたる峰に向かいました。そして、この長老クラカに、ペンダントが黄金都市を開く鍵であることを教えられたのです。
老いたる峰の町にようやくたどり着いたエステバンは、両親のことを知っているという老人マユカを探し当てました。しかし、老人の話からわかったことは、わずかに、父親がかつて黄金都市を見つけていたということだけだったのです。
スペイン軍から大砲を奪ったメンドーサたちは、黒ワシ砦に逃げ込んできました。しかし、隊長ユパンキに危うく殺されそうになります。エステバンは、太陽のペンダントを返してくれるならと、メンドーサの命を救ったのです。太陽のペンダントは、実に10年ぶりに、エステバンの手に戻ったのです。
メンドーサが奪った大砲を取り戻すため、ゴメスたちが執拗に黒ワシ砦を攻めてきました。メンドーサは、スペイン軍を追い払おうと大砲で反撃するのですが、使い慣れないためにうまくゆかず、弾を使い果たしてしまいました。勢いに乗ったスペイン軍は砦に突入、インカ兵を追い散らしてしまったのです。危うく砦を脱出したエステバンたちは、インカの秘密の水路を伝わって、老いたる峰へ逃げたのです。