一平爺さんのお使いで、夜泣き谷と呼ばれる渓谷を訪れた三平は、そこでタヌキに群れで襲い掛かるイワナたちの異様な光景を目の当たりにし、びっくり仰天。「夜鳴き谷では普通のこと」そういって連れられたイワナの穴場、鳴神淵で三平は、「夜泣き谷の怪物」と呼ばれる、片目の巨大イワナと対面するが…。
丹下左膳になぞらえ、怪物を「左膳岩魚」と名づけた三平。しかし作膳岩魚は用心深く、棲み処の大岩から容易に出てこないため、並の竿ではポイントまで届かない。さらに夜泣き谷にはダム開発の手も迫り、対決のために残された時間はあまりにも少ない…。すべてを解決する三平の奇策とは? そして勝負の行方は…!?
火山の爆発でできた小型カルデラ湖、貝沼。そこには正体不明の青いウロコの鮒が潜むという…。いまだ誰も釣り上げたことがないという謎の青鮒をめぐり、いけ好かないボンボンの妨害、そして謎の男の不可解な行動…それぞれの思惑が交差する中、一平爺さんの竿が何かを捉えるが…!
姿を見せないまま、惜しくも取り逃がしてしまった大物。しかし、一平爺さんの針には謎の青いウロコが残されていた。青鮒の存在に色めき立つ三平たちだが、そのウロコを見せられたボート屋は態度が急変。なんとボートの貸し出しを渋りだす…。ボートがなくては、青鮒のポイントまでは届かない。八方ふさがりの逆境、果たして三平の起死回生はありえるのだろうか!?
たらいを船代わりに貝沼に漕ぎ出した三平は、ついに青鮒をその竿に捉える! 三平の懸命な追撃にも負けず、悠々と沼を逃げ回る青鮒に対し、ついに三平は自らも水中に飛び込む体当たりの奇策で応戦。はたして青鮒の正体とは? そして三平たちをつけまわした謎の男の真意とは? すべての秘密が明らかになる!
その昔、増水で上流から養殖されていた鯉が流れ出し、今では野生化した野鯉の棲み処となっている三日月湖が、ユリの田舎にあるという。さっそくユリとともに湖を訪れた三平は、そこで魚紳という凄腕の釣り人と運命の出会いを果たす。彼からこの湖に住むカッパの噂を聞かされ、三日月湖に棲む大物の予感に闘志を燃やす三平。果たしてカッパの正体とは何か?
カッパの正体は超大物の野鯉? 毎日決まった通り道を巡回するという鯉の習性から、ポイントを調べるために湖に飛び込んだ三平は、そこで魚紳の姿を目撃。彼の釣りに対する執念の前に驚くと同時に、強力なライバルの出現で血が騒ぐ三平だが、肝心の巨鯉対策が浮かばない…。悩みぬく三平、そんな彼の前に新たな助っ人が現れる。
魚紳との対決当日、三平は一平爺さんの「鯉のドロボー釣り」の話をヒントに野鯉のポイントを目指す。用心深い鯉の挙動に翻弄されながらも、三平のテグスにはついに大物の手ごたえが! 巨鯉との文字通り、生身の格闘の果てに三平が見るものは? そして三平流のドロボー釣りとは?釣りの野生のセンスが炸裂する三日月湖の野鯉編、ここに完結!
雷雨に追われて雨宿りに入った一本杉で、三平は投網を試みる犬連れの男に出会う。彼の狙いは一帯の池を荒らすライギョのボス、三つ又池のギャング。周辺の池を荒らしまわり、鮒からオタマジャクシまでを喰らい尽くした凶悪なギャングと男、そして三平の知恵比べの幕が開ける。雷鳴が轟くときだけ姿を現すというギャングの秘密とは、そして三平の仕組んだ仕掛けは一体?
かげろうの飛翔する様子を模した一対の毛バリ。その美しさに魅せられた三平は、さっそく作者を訪ねることに。毛バリ作りの「神様」と呼ばれる名人、毛バリ山人の元を訪れた三平。毛バリ作りを教えて欲しいと切り出す三平だが、一平爺さんの名前を出したとたん、山人は冷たく突き放す。過去、山人と爺さんの間に何があったというのだろうか…?
毛バリを生きた羽虫に見せかけて釣る…、まさにヤマメと人間の騙しあい。三平はそんな不慣れ毛バリ釣り勝負で地元の青年相手に善戦。情熱と資質を山人から認められ、毛バリ作りの基本と、「毛バリたたき」と呼ばれるヤマメの習性の謎について学ぶことに。三平はヤマメに、そして神様相手にいかに戦うというのか? 毛バリ釣りの本質に三平が迫る!
かげろうを模した自作の毛バリで、ついに山人と直接対決に挑む三平。対決の中で次々と山人の技を見よう見まねながらも見事習得し、ついにはヤマメの「毛バリたたき」の謎を解明する三平に、山人は驚嘆しつつも奥義「石化けの術」を披露することになる…。毛バリの本質とは何か、そして一平爺さんと山人の過去の行方は一体?
「アユを釣るところを見せてほしいの」、悲しそうな瞳で川面を見つめる少女に三平は声をかけられる。アユ釣りを通じてその悲しい身の上を知った三平たちの前に、ゴロ引きと呼ばれる漁法で川を荒らすゴンベという男が現れる。「本当はあんな乱暴な漁じゃないんだ」三平は少女の思い出を守るために奔走、そしてゴンベと少女の意外な関係を知ることになる。
今度の三平の目的は、いまだ誰も釣り上げたことがないという幻のイワナ、O池の滝太郎。三平はそこで、同じく滝太郎を狙ってやってきた、ルアーキャスティング日本チャンピオンの女性フィッシャーと出会い、その凄さを目の当たりにする。なんとかルアー釣りに挑戦しようと気がはやる三平の前に、再び魚紳が現れ、ルアー釣りのテクニックを伝授する。
ルアー釣り、初のヒットに沸く三平。しかしひょうたんから駒、釣ったイワナに謎の大物が食いついた! 惜しくも取り逃がした三平だが、O池の水底に広がる不気味な裂け目に消えていった巨大な魚影を見逃すことはなかった。あの大物の正体は? そこに日本でただ一人滝太郎の姿を知るという男が現れ、三平にかつて先祖が釣り上げたという、滝太郎のアルコール漬けの標本を見せるのだが。
水底から温泉が噴出すため、船の出せないO池。三平は丸太をくりぬいた丸木舟を使うアイデアを思いつく。滝太郎の棲むポイント、裂け目の水底温泉を目指し、三平たちの丸木舟とチャンピオンのルアーが迫る。果たして勝負の行方は? そしていよいよ滝太郎に迫った三平たちを襲う数々の天変地異は一体? 大山鳴動のクライマックス!
「イシダイは男の釣りだ、そして磯は男の舞台だ」魚紳に導かれ、磯釣りへとやってきた三平。はじめて見る海、はじめて見る魚、そしてはじめて持つ磯釣り竿に大興奮。はじめて尽くしの三平だが、早速磯釣り竿でのキャスティングに非凡なセンスを発揮して度肝を抜く。海から昇る朝日とともに、三平の磯釣りデビュー戦、海の王者イシダイとの戦いが始まる!
突如現れた若者たち。彼らは岩場で養殖されたサザエを狙った貝泥棒だった。その横暴な振る舞いに、普段はクールに徹する魚紳の怒りは爆発。貝泥棒とのケンカ騒ぎで弾き飛ばされたサングラスに隠された素顔、そしてこれまで辿った壮絶な生き様、さらに両親との再会……三平が知ることのなかった魚紳の生き様が明かされる、ファン必見のエピソード!
魚紳と両親の再会は、同時に三平の行方不明の父親、死んでしまった母親への想いも引き出してしまうが…。翌朝、三平たちは魚紳の両親のためにイシダイを再び狙う。しかし、三平の竿にかかったイシダイは岩礁の奥深くへ逃げ込んでしまい、絶体絶命。三平のとった起死回生の策とは?
海のアユ、シロギスを釣り上げてご機嫌な三平の前に、生意気な少年が現れる。彼はキャスティングの名人、通称「シャークのジン」、無名島で行われる競技会のチャンピオン。彼とのキャスティング対決を前に、なぜか魚紳は三平のコーチを断り、突き放してしまう。彼の真意は何か、三平はこの逆境をはたしてどう乗り越えるのか?
三平が浜で出会った凄腕キャスターは、なんと元プロ野球の四番打者。彼と独特のキャスティングフォームを早速吸収するなど、天賦の才能を発揮する三平。さらに剣道の達人のアドバイスや、シャークのジンからの宣戦布告…すべてが三平の力となってゆく! 並み居るライバルの中で、三平はいかにして戦ってゆくのか。無名島でのキャスティング競技会がいよいよスタート!
三平の第一投は、フェアグラウンドに着地させながらもオモリがバウンドし、惜しくもファール。しかし、その飛距離はジンを大いに焦らせる。さらに三平は自身が編み出した新投法、フルターンキャスティングを成功させれば、ジンもそれに応えるように秘密兵器、シャークキャスティングで勝負に出る! ついに激突する二人、勝負の行方は?
カツオ一本釣りのフォームを利用した、ジンのシャークキャスティングの記録の前に、その優勝を誰も疑うものはいなかった…。そんな中、「魚が見えない」とフルターンキャスティングの弱点に行き詰る三平は、剣道の達人、十五段先生に一つのサザエを渡される。このヒントに何を思うのか…? 無名島のキャスティング対決、ここに決着!
北海道東部に横たわる広大な原野、三平たちはその中でも最大の原野といわれる釧路湿原にやってきた。目的は北海道にしかいないという幻の魚、イトウ。初めてのチャレンジで三平のルアーにかかった巨大な鱗は、推定2メートル級の大物…? この鱗が、イトウ釣り名人の風来坊、谷地坊主と三平を引き合わせる!
巨大イトウのポイントで眠りこけた三平は、水辺で野ねずみを襲うイトウの姿と、野ねずみを模した特大ルアーの夢を見る。その話を聞いた谷地坊主は、とある老人のに三平を引きあわせる。老人はイトウに造詣の深い湿原の主。そこには、果たして野ねずみルアーはあったのだが、残念なことにルアーとして欠けている重要なポイントがあった。
なんと失踪した三平の父親も釧路湿地を訪れていたことがあった。そして、その父親の釣り仲間とは他でもない谷地坊主!? 運命のいたずらを予感させる中、ついに三平の改良野ねずみルアーに巨大イトウがヒット! しかし頼りの谷地坊主ですら尻込みする、その巨体。一体どうすれば、無事に取り込むことができるのだろうか。
なぜか片目(メッコ)のイワナだけがつれる不思議な渓谷。この地には、片目の侍の哀れにして悲しい伝説があった。上流に向かえば向かうほど増えるメッコイワナ、そして一平爺さんと三平を襲う謎の落石、さらに不気味な老婆まで姿を現して…。次々に起こる怪異は果たして伝説のタタリか、それとも? 不気味なメッコイワナの秘密に三平たちが迫ってゆく!
空き缶、テグスのポイ捨て…マナーの悪い釣り人が増え、荒らされてしまった釣り場の惨状に憤る三平たち。そんな中、一行の前に一匹の子ギツネが姿を現した。母ギツネを伴わず、単独行動をする子ギツネ、さらにはぐれた様子でもない…。なにか、異変を感じた一平爺さんと三平は子ギツネの後を追い、様子を見に行くことに。
わずかな明かりを頼りに、水底に眠るカジカをヤスで突く夜突き漁。一平爺さんとの競争に興じる三平だが、さすが一平の熟練の技の前にはかなわない。すっかり腐った三平の足元に、見覚えのないカジカのような魚……アユカケが、そしてその姿を執念深く狙う謎の少女が現れる。しかし天然記念物のアユカケの漁はご法度。なにやら訳ありの様子に三平は気になって…。
水田に水を引くため、川の中に人工的作られたよどみ、三角瀞にやってきた三平は、水辺に浮かんだアヒルの子が突然消える現場を目撃する。地元の親子からは、「誰も見たことのない黒い化け物」、「瀞の主」と呼ばれる未知の大物に対し、三平の血が騒ぐ! 果たしてアヒルの仇討ちは成るか? そして主の正体とは!?
夕方に夜にかけて産卵するアユを引っ掛けて釣る、落ちアユ漁。十五夜の夜半、ススキ川原にやってきた三平は様子のおかしな男達に出会う。見かけこそ釣り人のそれだが、まったく不慣れな様子の男。そして、「ススキ川原の主」と自称する大柄な男。しかしその手元はなにやら心もとない様子。果たして二人の関係は?
村一番の短気者、船頭のモクさんがなんと、それまで見向きもしなかった釣りを始めだした。というのも、渡し舟の下に2メートルほどの魚影を見たからなのだという。釣れないうちは船頭どころじゃないと、はやるモクさんと三平が手を組んだ。草を好んで餌にする外来種、草魚を相手に三平はいかなる手段を講じるのか?
カナダからジャックという男が、三平の村に大物を求めてやってきた。しかし彼の望む大魚はそうそういない。そこで一平は一計を案じ、三平にタナゴ釣りを提案させる。「大きな魚を太い竿で釣るのがビッグゲームなら、小さな魚を細い竿で釣るのもビッグゲーム」とジャックに説いた三平は、ジャックを村のタナゴ釣り大会へと招待する。
一平爺さんが預かった一振りのヤマメ竿は、名人芸の冴える逸品ながら、手にした者の心を虜にし、時には命を奪うといういわくつきの怨み竿。一平は、竿を寺で手厚く供養し、それまで決して手を触れないよう言いつけるのだが、魔性に憑かれたように三平は無断で竿を持ち出し、ヤマメ釣りへと出かけてしまう。
突然の雨に降られ、偶然たどり着いた人里はなれた小さな沼で、三平は金魚によく似た、尾びれの長い鮒を釣り上げる。山守はこれを「羽衣鮒」と呼び、この沼に伝わる羽衣伝説を由来とする魚なのだと説明する。三平はその伝説をもとに、ある大胆な仮説を立てるのだが、それが山守の怒りに触れてしまい…。
ヘラブナ釣りに訪れていた釣り人が、頭はワニで胴体は魚、大きさは1メートルをゆうに越すという怪物に、獲物を食いちぎられたと言い出した。他の釣り人はてんで信じていないが、未知の怪魚と聞いては三平も黙っていられない。コイをひと噛みで食いちぎる、鋭く大きな歯を持つ獰猛な怪物と三平の根比べ。果たして結末やいかに。
ヘラブナのメッカ、おっぽり沼に押しかけ弟子の正治とともに訪れた三平は、沼の埋め立て計画のために訪れた測量隊と出会う。一平爺さんが地主に掛け合うも、まともに取り合ってはもらえない。そんな中、三平は真っ赤な体色の鮒、金魚のルーツと言われる緋鮒を釣り上げる。学術的にも貴重なこの魚の保護を名目にすれば、沼を埋め立てから守れるのではないかと三平たちは狂喜する。
坊主沢の滝つぼに棲む妖怪、沢坊主の噂を聞きつけた三平は魚紳を連れ立ち、沢へと向かう。この沢坊主、雷の轟く時に現れて、沢に近づく者を水中に引きずりこむのだという。そんな村人の懸命の制止も聞かず、好奇心旺盛な二人は妖怪探しへと向かってしまう。人の手の入らない、手付かずの穴場に大興奮の三平たちの前に突如姿を現した妖怪の正体、それは天然記念物の大山椒魚であった。
「宇宙ブナを釣りに来ないか」一平爺さんが受け取った手紙に誘われ、三平たちは焼沼を訪れる。寺に伝わる古文書によれば、この鮒ははるか昔に空飛ぶ円盤に乗って飛来したものなのだという。あまりに荒唐無稽なその話、はじめは訝っていた三平だが、透明なうろこと透き通る身体を持つ宇宙ブナを目の当たりにしては、この伝承を信じないわけにはいかなかった。
有明海のムツゴロウ漁に使われる、独特の引っ掛け釣り、ムツカケ挑戦にやってきた三平たち。生まれてはじめて見る名人のムツカケを真似て、竿を手に取る三平に、「ムツカケにまぐれはない」と言う名人だが、三平の天賦の才を見逃しはしなかった。「本物のムツを見せてやる」、小次郎は三平を連れ立ち、穴場の干潟で繊細にして敏感なムツの生態を見せる。
マスとボールを使った小次郎とのムツカケ特訓中、かつて小次郎に名人の座を追われた六浦という男の息子、五郎が現れる。その五郎の言から、小次郎は投げた針に吸い寄せられるようにムツが浮く…秘技ツバメ返しの使い手であることを知る三平。それは一体いかなる技なのか? 見当もつかない三平への「分からないことはマスに聞け」という小次郎の真意とは?
ツバメ返しの秘密を解き明かし、ついに秘技を自分のものにした三平の前に、時を同じくして打倒ツバメ返しの必殺技、王将抜き・浮き船を習得した五郎が立ちはだかり、勝負することになる。そんな中、ツバメ返しに秘められた謎が明るみに出る。なんと小次郎に秘技ツバメ返しを伝えたのが、他でもない三平の父なのだというのだ。
釣り上げたキングサーモンのウェートを競う、サーモンダービーの招待選手としてカナダへ招かれた三平たちは、カナダの天才釣りキチ少年サムと出会う。よき好敵手としてお互いを意識しはじめる二人の前に、アラスカからやってきた釣り師、グリズリーも姿を現す。三平の初挑戦は早くも波乱の予感!
いよいよサーモンダービーが開幕。初日はいきなり魚紳に訪れたビッグヒットで釣り上げたキングサーモンは、なんと大会記録に迫るへヴィ級。続いて最終日にはサムが魚紳の記録を塗り替える大物を釣り上げるが、喜びもつかの間、沈黙を破ってグリズリーが大会レコードを大きく塗り替える超大物を携え登場! 迫る制限時間のなかで三平に打つ手立てはあるというのだろうか。
サーモンダービーもいよいよ終盤、圧倒的なグリズリーの記録、そして制限時間までわずかというピンチに加え、なんとポイントには、海の猛獣オルカ(シャチ)までもが現れる絶体絶命の状況だが、三平の闘志は揺るがない。その執念が幻といわれる50ポンドサーモンのヒットを呼ぶが、残された時間はあまりにも少ない。はたして奇跡は起こるのか!?
自然の中で野生化したニジマスは、激しいファイトを見せるという。虹色の舞姫と呼ばれるそのニジマスが、今回の三平の狙い。ユリが思わぬ大物を釣り上げる中、三平のルアーには形こそニジマスだが、それとは大きく異なる体色の怪魚がヒットする。これこそが山上湖に潜むコバルトマス。さらにこの湖には、主と呼ばれる体長1メートル以上のコバルトマス・デカバルトが存在するというのだが。
人の気配に過敏のため、竿釣りが効かない難攻不落のデカバルト。その超能力ともいうべき察知能力に対抗するため、アメリカからやってきた凄腕釣り師のロバートは、ラジコンボートによるトローリングに挑戦。突然のライバルの登場と、思いもよらない作戦に焦る三平だが、あるきっかけから奇想天外なトローリング漁法を思いつく。
ロバートのラジコンに対抗する三平の秘策は、アヒルをつかったトローリング。しかし、どちらも決定打にかけるまま日没がせまってしまう。夜目の効かないアヒルでは、この手は危うい…ロバートとの勝負もこれまでか、というときにデカバルトが三平のアヒルに仕掛けたニジマスにヒットする! しかし、湖を所狭しと激しく逃げ回るデカバルトにラインを乱され、三平は苦戦する!
レジャーブームでたくさんの人々が訪れるようになった湖。そんな折、三平はRC(ラジコン)ボートで遊ぶメカ政という若者たちと釣り人のケンカを目撃する。RCボートと釣りの共存はできないものか、三平とメカ政は互いの持てる技術を出し合い、RCトローリングを完成させた二人は、入り口の狭さに竿では決して狙えない、難攻不落のポイント、オニババのクチに挑む!
鮒釣りに出かけた川原で、三平は桜の木下で竿を垂らす、飄々とした老人に出会う。彼こそが鯉釣りの名人、佐吉。彼の出品する鯉は、漆黒な体色を落とさず保った「カラス鯉」。他に誰も真似のできないこの鯉は品評会で好評を博しており、今回もまた出品を予定していたのだが、佐吉はその品評会を待たずして他界してしまい…。
大物ライギョを狙う三平の前に、野鳥撮影でミサゴの姿を追うカメラマンの十平が現れる。はじめこそ、お互い反目しあっていた二人だが、やがてお互いの懸命さを認め合うようになる。そんな中、やがて二人の前で沼の王者ライギョと、それをも食らう空の王者ミサゴが激突、息を呑む死闘を繰り広げることになる!
鯉釣りに興じる三平の前に、眼光鋭い男が現れる。彼は「昭和の運慶」と呼ばれる仏師の嵐慶。彼は自らの作品のため、黄金の鯉を探して日本全国を行脚しているという。しかし、彼の望む姿の鯉は見当たらない。そんな中、三平は額に黄金のうろこを持つ、「金かぶれ」の鯉を釣り上げ、嵐慶の希望をつなぐ。
一平爺さんが、かつてある金山師から黄金の鯉の話を聞いていた。その話をにわかに信じることはできない三平だが、嵐慶とともにその人物を尋ねることになった。金山師の案内で向かった溜池は鯉の宝庫であったが、黄金の鯉はその姿を現さない。さらに嵐慶まで苦悶の表情で倒れてしまい…。はたして彼の執念の源とは一体なんなのか。
ハワイ諸島最大の島、ハワイ島で行われるカジキ釣り大会に参加するため、魚紳とともにやってきた三平。初めて味わうブルーマーリンの感触に戸惑う三平だが、次第に冷静さを取り戻し、念願のブルーマーリンを釣り上げるのだが、浜で出会ったキャプテン・エイハブという不気味な男は「アイツと比べればメダカ」と含みのある言葉を残して去ってゆく。
キャプテン・エイハブが追い求めているのは、自身の左目と右腕、そして親友たちをも奪ったデビルソードと呼ばれる巨大なブルーマーリンのことだった。その深い因縁と彼の気迫に圧倒される三平。
ついにデビルソードを目指し出航したキャプテン・エイハブの船。同じ頃、三平はカツオの大群の中にデビルソードの姿を目撃する。トーナメントの優勝を狙える獲物ではあったが、三平はキャプテン・エイハブに義理立てし無線で知らせることに。しかし、デビルソードの様子がおかしい。
キャプテン・エイハブの執念と、三平の釣りキチ根性がデビルソードをついに捕らえた。しかしあらゆる手を尽くして逃げ回るデビルソードの狡猾さに、三平は苦戦する。キャプテン・エイハブの文字通りの捨て身の行動が、三平に勝機を生むが…! デビルソードと三平、そしてエイハブの勝負の行方はいかに?
体長は1メートルあまり、山吹色の体色を持ち、釣り人の指を食いちぎるという正体不明の怪魚が手形沼にいると一平爺さんに聞いた三平は、早速沼へ向かう。獰猛な肉食性であることと、その繁殖具合から三平は指切り魚の正体をライギョではないかと推定するが、子供のスケッチに描かれたその姿は、ライギョのものではなかった。そこで三平は一計を案じ、身体を張った奥の手によって、怪魚を捕らえることにする。
その昔、日照りに苦しんだ村を救った竜の伝説が残る竜神滝に竜の化身といわれる、頭に二本のツノを持った竜魚が棲んでいるという。早速、竜神滝に向かった三平は、そこでイワナ釣りの名人、丈助に出会う。一月以上も竜魚を狙っているというこの男の執念をもってしても、釣り上げることのできなかった竜魚、はたして本当に実在する魚なのだろうか。
三平たちは、水魚を狙う言い伝えどおりの姿をした竜魚の姿を水面に見る。早速これに挑む三平と丈助だが、イワナばかりで肝心の竜魚はまったく上がる気配がない。そんな折り、偶然竜魚の食性に気づいた三平は、出来合いのルアーにカワセミの羽根をあしらった、急ごしらえの水鳥型ルアーで改めて挑戦することに。
釣り仲間たちに誘われ、姫マスのトローリングに初挑戦する三平。好調な滑り出しを見せる三平たちだが、同行の釣りキチ、服部の竿に大物ブラウン・トラウトがかかり、彼は強力な引きで水面に投げ出されてしまう。「あいつは記録破りの大物だ」、服部は自ら考案した蝉型ルアーを用いた蝉しぐれ釣りを披露。三平もこれに挑戦する。
アユの友釣り大会で優勝を狙う三平だが、あいにくの土用がくれで友釣りには不向きな日。そんな誰一人として当たりのない大会参加メンバーで、ひとり気を吐くのが哲也。三平との勝負にこだわり続けるあまり、突然、降り出した雷雨にも関わらず、ひとり釣りを続けてしまう。一平爺さんはロッドへの落雷の危険性を説くが…。
川釣りに出かけた三平は、犬を連れた釣り少年、育夫に出会う。犬の吼えるタイミングにあわせた釣り方に、三平は不思議に惹きつけられるが、それは盲目というハンデをものともしない育夫と、その飼い犬ハチが長年築いた信頼関係の賜物だった。彼に挑まれた勝負を引き受ける三平だが、やはり心のどこかで育夫に遠慮している自分に気づく。
郁夫との対決を引き受けた三平だが、憐れみの情から勝ちを譲ってしまう。しかしそれは、郁夫の激怒を誘う。自らの心無い行為を責める三平だが、あくる日郁夫とハチは「ルアー釣りを教えて欲しい」と三平の元を訪ね、お互いの非礼をわびる。仲直りした二人は早速渓流でのニジマス釣りへと向かうが、そこでまた事件が起こる。
時雨のそぼ降るような音が一帯に響くしぐれ谷。しかし、この音の出所を知るものはいないという。そんな谷川に棲む化け物イワナを狙いにやってきた三平たちは、地元で50年のキャリアを持つ、化け物イワナ釣りの名人にカジカの生態を利用した夜釣りを学ぶ。そんな中、なぜか上流に逃げる獲物をかけた三平は、追いかけた先で時雨の音の秘密に気づく、
一平爺さんのお使いで簗川を訪れた三平は、この川で行われる簗漁と呼ばれるアユの伝統漁に参加することになる。頭領、簗師杢兵衛の家に伝わる秘伝にのっとった簗漁の成果に感嘆する三平。順調に進むかと思われた杢兵衛たちの簗漁だが、この川を豪雨が襲い掛かる。不穏な空気を感じ取った三平は杢兵衛のもとへと走るのだが…。
ひょうたん池に夜釣りに出た三平は、大きな竹筒を使って夜行性の魚を狙うドウ漁に出会い、手軽ながらも奥深い、ドウ漁の魅力に触れて以来、これにすっかり凝ってしまう。そんな折り、三平はこの池に潜む1メートル以上という大ナマズの噂を聞き、これをドウで仕留めようと考える。廃物利用で組み上げた三平オリジナルのドウに、お化けナマズはかかるのか?
正治がお里ヶ淵で目玉の白濁した奇妙な鮒を釣り上げてきた。実はこの鮒には由来となる悲しい伝説があるという。このお里鮒は、かつての戦乱で両目を失い、許婚との縁談も破談…そんな絶望の中で淵に入水して命を散らした村娘、お里の生まれ変わりがこの目の白いお里鮒なのだというのだ。鮒の目を治したいという三平の願いは、やがてこの淵の水質の秘密に迫ってゆく。
正治の祖父が、悪くした足を省みない投網で倒れてしまう。それを介抱したのはシンガーソングライターを目指す新司という若者。実は彼は徳川時代から300年続く、茜屋流アユ師の跡取り息子だったが、曲作りに行き詰まり各地を放浪しているのだという。正春の祖父に請われて新司が投げた投網の美しさに惹かれた三平は、早速投網に挑戦するが、なかなかうまく決まらない。
三平は茜屋流の投網を教わるため、新司とともに故郷、紀の川に向かった。三平たちは、そこで新司の祖父が投げる小鷹網の美しさに目を奪われる。「無心で投げなければ網は開かない」、祖父の言葉になにかを感じ取った新司は投網の勘を取り戻し、また行き詰っていた歌を完成させる。自分にとっての歌とはなにか、そして本当の居場所はこの故郷の自然の中だということを自覚した新司は、ある決心をする。
父を越えるため、投網勝負に挑む新司。調子を取り戻せない新司だが、祖父の言葉から自分の相手は父ではなく、紀の川のアユだと悟った新司は勘を取り戻す。採ったアユの数で父を上回り、満足する新司だが、祖父は彼の負けを告げる。茜屋流小鷹網の技にこめられた極意と心とは。そしてその真髄と父の想いに触れた新司がとった行動とは?
ある冬の川辺で三平は奇妙な光景を目にする。それは、ハンマーで石を叩き、その音で眠った魚を気絶させて採るガッチン漁というもの。三平はその使い手、ガン鉄と知り合うが、彼は不慮の事故で右手を失ってしまう。「俺にはまだ左手がある」と気丈に振舞うガン鉄は、三平とともにゼロからの再スタートを経、見事ガッチン漁を再開させる。
他の魚を食べつくすため、「湖の殺し屋」と呼ばれ、食害魚とされるブラックバス。しかし、ブラックバスは本当に食害魚といえるのかどうか。それを確かめる実験が、大きさも環境もほぼ同じ二つの池、双子池で行われていた。しかし事情を知らない釣り人がどちらの池にもブラックバスを放流してしまうという事故が起きてしまい、実験は大きなピンチを迎えることになる。
一平爺さんが釣りの最中、事故で大怪我をしてしまった。運び込まれた病院のベッドで、うわ言でつぶやいた三平の父、平の名に三平は衝撃を受ける。かつて北海道で漁をしていた三平の父は事故に巻き込まれ、記憶喪失になってしまったのだという。以来、記憶を取り戻すために全国を釣りをしながら巡る平。運命のいたずらか、彼はすれ違いのように、三平たちのほど近く、紅葉堤で「のこりマス」と呼ばれる大ニジマスに挑戦していたのだ。
沼で行方不明になった少年を探し、半狂乱になった母親が「太郎、太郎!」と息子の名前を叫びながら沼の中に沈んでしまったという、悲しい伝説をもつ太郎沼。今でも「太郎」の名を呼ぶと、水面にブクブクと泡が浮き上がるという。三平はこの泡の正体こそ、大きな鯉の仕業ではないかと考え、竿を携えて太郎沼へと赴くことにする。
ユリ、正治とともにこけし湖に釣りに出かけた三平は、湖畔に停まるキャンピングカーを見かける。キッチンから特別設計のボートまでを備えたフィッシングボートの持ち主、女性釣りキチのよし子に出会う。女性ならではの視点と、自分顔負けのテクニックに驚かされた三平たちは、「釣りは男だけの楽しみ」という思い込みを改める。
アユ釣りに出かけた三平たちは、マニュアル片手にアユの友釣りに悪戦苦闘する周一という若者に出会う。なにか訳ありの様子を察した三平は、彼が恋人との結婚に猛反対している釣りキチの父親と、結婚の許しをかけたアユの友釣り勝負に挑むことを知る。勝負の日まで残されたのはたったの一週間、三平の必死のコーチは実るのだろうか?
三平の家に、再びジャックが訪ねてきた。今回の来日の目的は黄金谷に棲むキンイワナだという。ジャックが使用するのは、フライロッド。はじめて見るフライフィッシングに興味をひかれた三平は、これで幻のキンイワナに挑戦しようと考える。しかし、釣りはじめた三平たちの頭上から突如石が落ちてくる。ジャックは崖の上に人影を見たというが…。
大小さまざまの滝が無数にある黒山百滝のひとつ、イワナの宝庫といわれるイワナ止めの滝。ここには全長1メートル以上で真っ赤な背中を持つ、アカブチと呼ばれる巨大イワナがいるというのだ。もちろん狙いはそのアカブチのみ。しかし、そんな三平の前に代々竿作りの家系である、百竿家のトキという少女が代々伝わる幻の竿を手に現れる。
注文の竿を届けに源ジイの営む街の釣り堀にやってきた三平たちは、そこで釣り好きの少年、健太に出会う。しかし彼の父親は、この地区にレジャービルを建設するため、強引な立ち退きを迫る土地の所有者だった。さらに源ジイの釣り堀にまで立ち退きを迫られてしまう。三平は釣り大会のある一日だけでも待って欲しいと直談判する。
イワナのいない不動滝の上流にイワナを放流する計画が立てられた。早速、三平をはじめとする地元の釣りキチたちが協力し、近くの沢から釣り集めたイワナを放流しようとするのだが、いざ上流に運ぼうとした途端、不自然に事故が重なってしまう。さらに夜半には大雨が起こり、増水によって荒れた川にイワナが流されてしまう。自然に逆らった報いと尻込みする大人たちをよそに、三平の頭にはあるアイデアが浮かぶのだった。
氷の張った湖面に穴を開けて釣り糸をたらす、ワカサギの氷穴釣り。釣れないからといって湖のあちこちにポイントを移し、湖面に穴を開けて回る若者たちに、三平は他の釣り人が穴に足をとられては危ないと忠告するのだが、聞く耳を持とうとしない。しかし、そのうちに彼らのほうが自分の開けた穴に足をとられて落ちてしまう。
秋の虫、アカネトンボを使ったアカネ釣りに川にやってきた三平たちは、アカネ取りの最中に物静かに佇む中年男性に出会う。彼をアカネ釣りに誘った三平たちは、時間の経つのも忘れて楽しむが、その表情はどこか物憂げ。実はこの男性、事業に失敗し家まで失ってしまい、一人娘に迷惑をかけないよう、どこかへ姿を隠すつもりだったのだ。
三角川原に釣りにやってきた三平は、先客の見慣れぬ少年、はじめの竿さばきに目を奪われる。彼の得意とするのは、毛バリを川面に打ち込んで釣るペンペン釣り。早速、はじめの真似をしてペンペン釣りに挑戦する三平だが、なかなかコツがつかめない。そのうち、はじめと意気投合した三平は、今度は自分の得意なカエルを使ったポカン釣りを教えると約束する。
一年の計は元旦にあり。もちろん、三平の抱負は「釣って釣って釣りまくり!」のみ。雪国での初釣りを楽しもうと、年越しで村にやってきていた大学生を連れ立ち、三平たちはクキのドン突きと呼ばれる、雪国に伝わる独特の漁を楽しむことにする。三平たちが準備したのはスコップと杭、これでどうやって魚を採るのやら、大学生には想像もつかないのだが。
中国原産の大型魚、コクレンが偶然にも、渡し舟の船頭の竿にかかったという。噂を聞いた三平たちは早速コクレン釣りに向かい、そこで同じくコクレンを狙って毎日のようにこの川に通いつめているという、金森の船に同乗する。しかし、この男はコクレンへの執着が過ぎるあまり、釣り人にあるまじき行為に手をつけてしまう。
恐竜イワナと呼ばれるイワナを狙い、人里はなれた渓谷、火石谷に一平爺さんとともにやってきた三平は、真新しい足跡を見つけガッカリ。ポイントの限られた狭い渓谷では先行者の有無が釣果に影響するからだ。奥へ奥へとポイントを求めて進む三平たちは、ついに先行者たちと出会う。しかし、彼らは同じ目的の釣り人だったのではなく、火石谷という地名の由来に挑む大学生の研究チームだった。
淡水湖にも関わらず、ヒラメなどの海水魚が釣れる念珠湖を調べに来た三平たちは、地元の少女から、この湖にはネッシーと呼ばれる恐竜の生き残りが棲んでいるという噂を聞かされる。話半分だった一行だが、とても魚にはありえない挙動の大型の水棲生物の気配を感じた三平は、ネッシーを釣り上げようと、豚肉を餌にした釣りを試みる。
背中に赤い星のついたイワナ、通称アカボシを狙って人里はなれた渓流にやってきた三平は、用心深いイワナを驚かさずに釣るため、石に化けて気配を絶つという秘技、石化け修行中の辰彦と、その父でイワナ釣りの名人といわれる辰三に出会い、案内されたアカボシのポイントで自らも石化けに挑戦する。かつて毛バリ山人に見せられた釣りの奥義、三平は体得できるのか?
記録的な巨鯉が現れることで有名な三日月湖。ここには百年生きたといわれる1メートル超えの大物が棲んでいるといわれ、全国の釣り師たちがこれを求めて集まってくる人気スポットだ。ライバル釣り師たちが、それぞれ工夫を凝らした得意技で挑戦していく中、三平もまた独自の作戦でこの巨鯉を誘い出すべく奮闘する。
一平爺さんが作った竿が折れてしまったと、金山という男がクレームをつけてきた。乱暴な扱いをしなければ折れないはずの一平竿だが、あくまで自分に非はないというのだ。そんな中、三平たちはススキで作った竿でヘラブナを釣るキン太と出会う。折れやすいススキ竿だからこそ、慎重に取り込むスリルがあるという。この話を聞いた一平爺さんは、何かを閃いたようなのだが。
アメリカの湖に棲む黄金のマス、ゴールデントラウト。この幻の魚が、かつて日本にも、源三郎という男性が放流のために持ち込んだことがあるということを、魚紳から聞かされた三平は大興奮。魚紳のコーチで、フライフィッシングを習得した三平が、いよいよ源三郎を訪ねようというところで不運が起きる。なんと直前に源三郎は不慮の事故で亡くなってしまったのだった。
源三郎が放流したゴールデントラウトは生きている。源三郎の遺品からそれを確信した三平たちは、彼の遺志を継ぐべく、ゴールデントラウトを追うが、なかなか姿を現そうとしない。しかし、皆既日食によって生まれた闇に反応し、異常羽化をはじめたカゲロウを狙い、ゴールデントラウトがついにその姿を見せる。この食性をヒントに、二人は羽化した虫をニンフに見立てる作戦でゴールデントラウトを狙う!
突然流れ出した猛毒で魚が死滅して以降、死の谷と呼ばれている地獄谷で、正治がカラクサ模様のウロコを持つ魚を釣り落とした。いつものホラだと笑う三平に、一平爺さんは50年前に見かけたある青年の話をする。魚が死滅した原因の毒が人為的なものならば、魚が戻っているかも知れないと考えた三平は、地獄谷へと向かい、そこで川面を見つめながら歩き回る奇妙な老人に出会う。
水のプリンセスとも呼ばれる美しい魚、アユを釣っていた正治が、アユ釣りで賭け勝負していた三人組とトラブルを起こす。「謝って欲しければ三平と勝負をさせろ」と迫る横暴な三人組に三平たちは、5時のサイレンが鳴るまでの2時間で、一匹のオトリでどれだけ多くのアユを採るかの勝負を申し出る。しかし必死になる三人組や、はやる正治をよそに三平は悠然と昼寝を始め、なかなか釣りはじめようとしない。
以前、ヤマメ釣りで訪れた渓流で出会った、カメラマンの文子と釣り人の敬一。二人が結婚することになったという知らせが、突然三平たちのもとに届いた。三平たちは、渓流でヤマメを狩るカワセミの生態写真を撮るために悪戦苦闘した1年前の出来事と二人の馴れ初めを思い返し、あれが縁を結ぶことになったのかと思いにふけるのであった。
魚紳から朗報が届く。なんと、世界規模の釣りコンテストのジュニア部門に三平が日本代表としてエントリーされたというのだ。1年間にわたり、世界30ヶ国で行われるコンテストに参加する自分を思い浮かべ、喜び勇む三平ではあったが、年老いた一平をひとり残さなくてはならないという不安が、三平の心に次第に重くのしかかってくる。
摩周湖の近くに広がる湿原に流れる西別川、幻の魚と呼ばれるイトウを釣りにこの地にやってきた三平は、イトウ釣りの名人、十巻という若者と出会う。彼は以前見かけたという、2メートル以上もあるイトウを求めているという。彼は入院中の恋人を元気付けるため、かつて二人で見つけた超大物の姿を追い求めているというのだが。
秋の終わりの産卵期を迎えると、禁漁の時期に入るイワナ。その一方で、無防備となったイワナを剥製にして売る目的で狙う密猟者の存在が問題になっていた。そんな折、密猟者の一人が野生のクマに襲われるという事件が起こる。しかしクマ狩りに出かけた大人たちも、クマの正体が、本来は北海道にしかいない人食い熊だと知り、尻込みしてしまい頼りにならない。そこで一平爺さんは強力な助っ人を村に呼ぶことにする。
一平爺さんに請われて村にやってきたマタギの三四郎は、一発しか玉の入らない村田銃を使うクマ撃ちの名手。彼に興味を持った三平はこっそり後をつけるのだが、月の輪熊に遭遇してしまい、三四郎に助けられてしまう。厳しい口調で三平に山を降りろと一喝する三四郎だが、人食い熊はあまりにも近くに潜んでいたのだった。
竿作りの名人、一平爺さんの取材のために雑誌社のカメラマン熊田と記者の夏子がやってきた。実際に竿を使った釣りも撮影したいというのだが、あいにく一平が今作成しているのはアユ釣り用のもので、シーズンではない。そこで三平はアシで作った釣竿とソーセージを使ったハヤ釣りを披露する。いつ折れるかわからないアシ竿でのスリリングな釣りに興味を持った熊田も一緒になって釣りはじめるのだが、なかなかうまくいかず…。
三平にドン突き合戦の果たし状が届く。差出人は近辺の村の子供たちとの釣り場争いに勝ち抜いてきた玉三郎、金之助、酉夫の三人組の通称たまきんトリオ。せき止めた池を雪で埋め、水圧の上がった水底に届くよう、杭で穴を開けて中の魚を水ごと吹き上げさせるドン突き漁、さすがに村々を渡り歩いてきただけはあって、たまきんトリオのチームワークは見事なものだった。
たまきんトリオの仕留めたハヤは全部でバケツ三杯半、123匹という大記録。早くも勝利の雄たけびをあげるたまきんトリオをよそに、まったく新しいドン突きの作戦準備を進める。埋め立てた雪を踏み固め、いよいよ杭打ちという時に、三平は水道用のパイプを持ち出す。はたしてこれに、どんなカラクリがあるというのだろうか。
村の子供たちから嘘つきと言われている金吾が、メスのギンブナとドジョウを一緒の水槽に入れておいたら、稚魚が孵ったと言い出した。半信半疑の三平ではあったが、実際に試してみたところ、確かに稚魚は孵ってしまう。しかし、この三平の実験結果をもってしても、金吾への疑いを晴らすことができず、今度は三平まで嘘つき呼ばわりされてしまう。
夕方に夜にかけて産卵するアユを、釣り針を沢山つけたハリスを転がすようにして引っ掛けて釣る、落ちアユのコロガシ釣り。夜半、一平爺さんが来るのを待ちながら一人でコロガシ釣りに興じる三平は、アユのかけすぎで竿さばきに苦戦。そこに現れた和行という男に手助けしてもらうが、実はこの男は逃亡中の脱獄囚だった。
岩場でイワナを狙う三平と正治は、ポイントを求めて入った山奥で、石を積み上げながら念仏を唱える老婆に出会う。なんでもこの谷は呪い谷と呼ばれ、ここで釣りをする者には、赤いまだらの怪奇魚のタタリがあるのだというが、三平たちは気にせず釣りをはじめてしまう。しかし、正治が老婆の話にあった奇妙な魚を釣り落としてから、三平たちの身に不吉なことが起きはじめる。
一平竿の愛用者、博正が夏休みに息子の隆正を連れてやってきた。都会っ子の隆正にも、少年時代に楽しんだ蛍の明かりの中でのカジカの夜突きを経験して欲しいと考えてのことなのだが、かつて蛍の里と呼ばれた博正の村からは蛍も、肝心のカジカの姿も消えてしまっていた。失意の博正親子のため、三平は一肌脱ぐことにする。
野鯉を釣りに出かけたユリの父親、安蔵が原因不明の高熱に倒れてしまった。釣り逃がした巨鯉のタタリではないかとみんなは心配するが、三平はタタリではなく。何か他に原因があるのではないかと考え、釣り場に向かい、そこでケダニ先生と呼ばれる風土病の研究家、医師の順平からツツガムシ病のことを聞かされる。
三平は村の鷹匠、林造の鷹狩りの現場に偶然立ち会う。しかし、不運なことに釣り人が始末しなかったテグスに鷹のイカヅチ号が絡まってしまうという事故がおきる。マナーの悪い釣り人のせいとはいえ、この出来事に心を痛めた三平は、イカヅチ号の看病に林造の家へ通いつめるのだが、林造の釣り人への怒りはあまりにも頑なだった。