鮒釣りに出かけた川原で、三平は桜の木下で竿を垂らす、飄々とした老人に出会う。彼こそが鯉釣りの名人、佐吉。彼の出品する鯉は、漆黒な体色を落とさず保った「カラス鯉」。他に誰も真似のできないこの鯉は品評会で好評を博しており、今回もまた出品を予定していたのだが、佐吉はその品評会を待たずして他界してしまい…。