上京して3年、最近は定職にも就かず酒とバクチに明け暮れていた伊藤開司(=カイジ)のアパートに、ある日、高級外車に乗った遠藤という男が訪ねてきた。遠藤の目的は、借金の取りたて。 カイジは、以前、バイト仲間・古畑武司の30万円の借金の連帯保証人になったことがあった。その古畑が1円も返済せずに失踪したらしいのだ。 遠藤の事務所『遠藤金融』に連れて行かれたカイジは、詳しい話を明かされて、愕然となった。 『遠藤金融』は、超高金利で金を貸す、いわゆる闇金。古畑が借りた30万円は、なんと385万円にも膨らんでいた。 カイジはその金利が違法だと反論するが、遠藤は、公務員をしている姉やパート働きの母親にも手が伸びる、と脅す。借金返済の手立てがないカイジは、困り果ててしまった。 そんなカイジの様子を見た遠藤は、提案をする・・・。
軍資金を手にしたカイジたちに次に配られたのは、 “グー”“チョキ”“パー”各4枚ずつ計12枚のカードと、星型の3個のワッペン。 参加者は、他の参加者とカードでジャンケンをして、 勝ったら相手の星を奪う勝負をするという。 ホールマスターの利根川は、「ジャンケンで勝てば、相手から星を1個奪うことが出来る。 “あいこ”なら星の移動はなしで、使用したカードは直ちに回収される。 制限時間の4時間以内に、最終的に星3個を確保していれば勝ちとなる。 ただし、12枚のカードは、全て使い切らなければならず、破棄は許されない。 ゲーム終了時に星2個以下の者、星が3個以上あってもカードを使い切れなかった者、 途中で星を全てなくした者は、負けとなる」というのだ。 さらに、軍資金は自由に使ってもいいとのこと。 そして、いよいよ勝負が始まった・・・。
安藤と古畑の土壇場での裏切りで、地獄へ通じる別室から生還できなくなったカイジは、絶望感に襲われていた。悔し涙を流すカイジを見た岡林は、救われるためには金しかない、と嘲り笑う。 そんな岡林に飛び掛かったカイジは、押し倒して揉み合い、パンチで攻撃。しかし、騒ぎに気付いて何人かの黒服がカイジを袋叩きにして床に押し付けられてしまう。岡林は、散らばった自分の札束を拾い集め、黒服に促されてそのまま別室から出て行った。 同じように騙されて別室から生還出来なくなった石田は、キズだらけのカイジに心配して声を掛け、黒服への心証を良くするようアドバイスする。だが、不気味な笑みを浮かべるカイジは、じたばたすることで開ける活路があると告げ、まだ生還出来ると石田に答えた。
狭い鉄骨の上で参加者たちが鈴なりになる中、11番の男に近づいたカイジは、震えるその背を押さないと決めた。だが、後から迫ってきた中山は、11番を落とさないカイジを落とそうと手を伸ばす。その中山の手を掴んだカイジがバランスを崩し、もう一方の手が11番に当たったことから、ぐらついた11番は鉄骨にしがみつく。足を踏み外したカイジと中山も鉄骨に食らい付いたため、先頭の11番、カイジ、中山の3人は、ゴール寸前で失格となった。 結局、このレースで1、2着になったのは、中山の後に続いていた佐原と、前後が落下したため漁夫の利を得た石田だった。5レースが全て終了した時、60人の参加者の内、約3分の2の39人が落下していた。 ところが、レース終了後…。
超高層ホテルの地上74メートルに架けられた全長25メートルの鉄骨渡り。2本の鉄骨の橋に、それぞれ高圧電流が流れていると聞いた参加者たちは、次々と権利を放棄。しかし、利根川が3着以下の人間にも参加を認めたことから、カイジ、佐原、石田を含めた10人が鉄骨渡りに挑戦することになった。 やがて、アミダで、鉄骨を渡る順番が決まった。右の橋は、太田、佐原、西田、藤野、秋川の順。左は、中村、中山、カイジ、石田、小泉の順だ。カイジは、ビビる参加者たちの靴に照準となる線を引き、それを鉄骨に合わせるように言う。おまじないのようなものではあったが、少しは参加者たちの恐怖をまぎらわせた。今回は、競争ではないため、後から押される心配はないのだ。 別室でVIPが優雅にこのショーを見物する中、参加者たちは、太田と中村を先頭に、掛け声を掛けながら、鉄骨の橋に足を踏み出した・・・。
聴力を賭けたEカードの5戦目。カイジは、利根川の恐怖心を探りながら、2枚目に“奴隷”を出すが、“市民”を出されて敗北。3連敗となったカイジは、金を得られないまま、14ミリまで進むドリル針の音を聞くことになった。 勝負を見つめる兵藤の目がいやらしい程細くなる中、第6戦にカイジは、周囲の予想を裏切って何と10ミリを賭けた。これで負ければ24ミリで、残り6試合で1ミリずつ張っても全敗すれば30ミリ。ドリル針はカイジの鼓膜を破壊するのだ。 ギャラリーの負傷者たちは、勝つ見込みの少ない奴隷側で10ミリも賭けるカイジの胸の内にそれぞれ思い巡らせる。まとまった金を得たいカイジは、ラスト3戦の奴隷側の時、厚く張る距離が残っていない可能性もある。つまり、この6戦目がラストチャンスになるといってもいいのだ。 緊張の6戦目で、1枚目は互いに“市民”で引き分け。そして、2枚目、カイジはさんざん考え抜いて、1枚のカードを置くが・・・。
皇帝側としての最後の勝負に1ミリを賭けた9戦目。1枚目は、カイジも利根川も互いに“市民”でドロー。そして、2枚目、“皇帝”を出そうとして躊躇し悩んだ末に“市民”を出したカイジは、後悔して内心激しく動揺した。ところが、余裕の表情を見せていた利根川が、なんと“奴隷”を出したことから、カイジの連敗はついにストップした。 カイジが無事に帰れると知ったギャラリーたちは、そろって歓声を上げた。これに対し、カイジの勝ちを目の当たりにした兵藤は、利根川を罵倒し、持っていた杖で撲り付けるほど興奮する。異常なほどの怒りを見せる兵藤を見たカイジは、勝って当たり前という“何か”があると察知。この勝負がイカサマで、どこかにその仕掛けが隠されているに違いないとにらんだ・・・。
もう一勝負、となおも食い下がるカイジの迫力に押し切られた兵藤は、仕方ないように同意。Eカードでの勝負を巧みに回避したカイジは、仕込みを終えたティッシュペーパーの箱を使ったクジに持っていくように、タイミング、間合い、表情、そして、さまざまな状況を考えてコトを進めた。 兵藤の目の前で外れクジと当たりクジを作り、それをティッシュペーパーの箱に入れると決めた。開封されていない未使用のものがいい、というカイジに対し、兵藤は、黒服に新品のティッシュペーパーを持ってこさせる。カイジは、それを兵藤が見ている所で開封し、黒服が中のペーパーを抜く。テーブルの上には、外れクジの山、当たりクジ、ティッシュの空き箱が置かれた。 これを見た兵藤は・・・。
ティッシュペーパーの箱で作った即席のクジに、カイジは2000万円と指4本を、兵藤は1億円を賭ける。兵藤は、カイジの左手に指切断器をセットするよう命令。そして、これが最後のギャンブルだと言い切る。積み上げられた1億2000万円の札束を見ながら、勝ったらギャラリーたちにも配分すると高らかに宣言した。 カイジと兵藤は、クジに触る前に2人で互いの指をチェックし、当たりクジは2人で箱に入れることに。当たりクジが箱に入れられると、カイジから少し遅れて兵藤が手を引き出す。そして、箱には外れのクジが加えられ、黒服によってシャッフルされた。これを見て、仕込んだ当たりクジが落ちないように、と念じるカイジ。そんなカイジを、兵藤はじっと観察していた・・・。