全国大会<インターハイ>において、激闘の末に見事総合優勝を勝ち取った総北高校自転車競技部の小野田坂道。夏も終わりに近づく中、卒業を控える3年生の金城、巻島、田所から、「全員で支え合い走りぬく」というチーム総北の魂を受け継いでいくために、日々の練習に取り組んでいた。そんなある日、チーム総北に、例年インターハイの成績優秀チームが出場する「熊本火の国やまなみレース」からの出場招待が届く。打倒総北に燃える箱根学園、京都伏見、広島呉南といったライバルチーム、そしてそして“炎のクライマー”吉本を擁する地元熊本台一など、全国の強豪チームが参戦するこのレースに向けて、坂道ら総北メンバーは士気を高めていく。ただ、一人を除いて――。現行のチーム総北にとって“最後のレース”が、熊本、阿蘇の山を舞台に繰り広げられる。「魂を受け継ぎ、超えていく。」熱き決意を胸に、男たちは再びスタートラインに立つ──!
夏、灼熱のインターハイ。その戦いの地・栃木に、3人の男が向かっていた。昨年、総北高校自転車競技部のメンバーとしてインターハイを制覇した、金城真護、巻島裕介、田所迅だ。彼らは新生チーム総北の応援のために集結したのである。高校からロードレースを始めた初心者ながら今やチームのエースクライマーとなった小野田坂道、新キャプテン手嶋純太をはじめとする総北高校自転車競技部。インターハイの戦いに臨む彼らのこれまでの道のりは、決して平坦ではなかった。信頼し支えてくれていた先輩との別れ。「全員で支え合い繋ぐ」というチームの魂の継承。他校だけでなくチーム内の仲間とも激しくぶつかったインターハイ出場を賭けた戦い…。それらを乗り越え、全国の強豪が集まるインターハイの頂点を目指して、灼熱の地を駆ける!(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル03製作委員会
先頭で御堂筋と鳴子の激しいデッドヒートが続く!後方では黒田が決死の引きを見せ猛追するが、前を行く2人を視界に捉えることができない。するとこれまで引いてもらっていた葦木場が「箱根学園に失うものはない」と、黒田とポジションを交代し、メトロノームダンシングで激走。ぐんぐん前との差を詰めていく。今泉も鳴子の走りを後押しすべく懸命にペダルを踏む。御堂筋、鳴子、黒田、葦木場、今泉―。覚悟を決めた5人の決着の時が迫る!
自らの力を全解放して"変態"した御堂筋と、この日のために磨いてきた純粋な全力スプリントを見せる鳴子がゴールに近づく。そこに、黒田のギリギリのコーナリングと決死のアシストから飛び出した葦木場が追いついた!「オレは強いよ!」黒田に背中を押された葦木場、御堂筋と鳴子の三つ巴のゴールスプリント!3人がゴールラインに向かってバイクを投げ出して、ほぼ同着でゴール―。果たして、インターハイ1日目を制したのは...!?
インターハイ1日目、三つ巴の争いを制したのは箱根学園のエース葦木場拓斗だった!僅差で同着2位は鳴子と御堂筋。初日の全てのゼッケンを獲得した箱根学園は、王者復権を見せつける。鳴子は表彰式では明るく振る舞うも、その心は悔しさに震えていた。総北は全ステージで2位という悔しい結果に加え、鏑木が疲労で倒れ不穏な空気に包まれる。そんな中、不安な表情を見せる坂道の前に、総北の前主将・金城が姿を見せ...。
金城と出会い、もっと強くなれと言葉をもらった坂道。さらに巻島と田所も応援に来てくれていると知り、1日目の敗北で揺らぐ手嶋たちにその事を伝え、チーム総北は2日目以降のレースを新たな気持ちで挑む決意をした。一方、同じく1日目に敗れた京都伏見の御堂筋も、2日目のレースに向けて新たな戦略を立てていた...。そして迎えたレース2日目の朝。坂道に箱根学園の新開悠人が話しかける。「勝負しましょう、オレと、今日どこかで。」
インターハイ2日目がスタートし、選手が1日目の着順スタートで次々と走り出す。少しでも早く先頭の今泉と鳴子に追いつこうと坂道と手嶋がペダルを回すが、鏑木は自身の様子がおかしいことに気付く。一方、なかなかペースを上げない箱根学園だったが、それは司令塔の黒田を合流させるためだった。そんな中、不調の鏑木がチームからちぎれてしまう。鏑木を助けに行こうとする坂道を、箱根学園を警戒して止める手嶋。そこに青八木が口を開き...。
手嶋の制止を振り切り、後方に沈んだ鏑木の救出に向かった青八木。一方、鏑木は古賀の激励もあり少しずつ調子を取り戻すものの、まだ全力を出す事ができない。そこに現れたのは...青八木!ところが鏑木は青八木がバテて落ちてきたと勘違いし、逆に自分が前になって激走!先行する集団に追いつく。青八木はその集団からさらに飛び出すため、ペースを上げる秘策として神様からのメモを鏑木に渡す。そこに書かれていたのは、ある歌の歌詞だった...!
京都伏見が先行していることに気付いた青八木は、集団から抜け出そうと鏑木に神様のメモを渡す。そこに書いてあったのは、先輩・田所がインハイで救われたというアニソン「恋のヒメヒメぺったんこ」の歌詞だった!2人は一緒に歌いながら一気に加速する。そして前方では箱根学園が手嶋と坂道に追いつき、1年生クライマー新開悠人が牙を剥く!手嶋を抜き去った悠人は坂道に宣戦布告。対する坂道も、先頭の今泉と鳴子を守るために闘志を燃やす!
坂道と悠人の戦いが始まった。"山王"とまで呼ばれるほどになった坂道と戦うことに悠人は興奮し、先頭を行くそれぞれのチームメイトとの合流をゴールとする勝負を持ちかける。「ただチームのために」走る坂道の姿勢に違和感を覚えながら一気に勝負に出る悠人。しかし今泉と鳴子が坂道が来ることを察知し、勝負は引き分けとなった。しかし、そこに黒田ら箱根学園が追いつくと、勢いは一気に箱根学園へ。追うか、手嶋を待つか...。今泉は判断を迫られ...。
全員が揃った箱根学園が加速し、鳴子は今泉の命令を振り切り一人で箱根学園を追いかける!その後、手嶋が今泉と坂道に合流するがなかなかペースが上がらない。するとそこに岸神小鞠が引く京都伏見が現れ、抜き去っていく!自身の判断ミスと苛立ちから手嶋に厳しい声を浴びせる今泉の心で、何かが折れた音が―。そして対峙する箱根学園と京都伏見はスプリント勝負へ。泉田と御堂筋が対決...と思いきや、意外な男が忍び寄り...!
スプリントリザルトを懸けた闘いが始まった。箱根学園キャプテンのスプリンター泉田に対し、京都伏見は泉田の「最上級筋肉(よきにく)」に執着する岸神小鞠が飛び出す!泉田は、前年のインターハイでの敗北、自分がキャプテンにふさわしいのか葛藤していたこと、そんな自分の背中を押してくれた葦木場や黒田の言葉を思い出していた。すべての罪と覚悟を背負った泉田が疾走する!しかし岸神も「最上級筋肉(よきにく)」への異常な執着で追いすがる!
白熱するスプリント争い!岸神は己の"欲"を全て解放させて走る。彼は幼い頃から筋肉(にく)に興味を抱いていたが、由緒ある家の教えからその欲求を包み隠していた。しかし、中学生の時に御堂筋と出会い、「真実が欲しいなら己の全てを差し出すべき」という言葉を受け、欲望を覚醒させたのだ。リザルトラインが迫り、泉田と岸神の戦いはさらに激化。箱根学園の主将として走る泉田。「もう包み隠さない!」と解き放たれた岸神。勝負の行方は―!?
泉田と岸神の全力スプリント勝負も大詰め。そんな中、コースに観客のペットボトルが転がり落ちてきた。スピードを緩めて障害物を避けるべき、とシグナルを出すアンディとフランク。しかし泉田は、昨年のインターハイの田所と鳴子とのレースを思い出し、構わずに直進する!そして勝ったのは...泉田!箱根学園の主将として、エーススプリンターとしての重責を果たした。岸神は筋肉(にく)への欲を満たせなかったものの、その敗北を受け入れる美学を見せたのだった。
泉田のスプリントリザルト獲得に沸く箱根学園は先頭を突き進む。一方、総北はチームが散り散りとなり、最悪の状況が続いていた。先頭集団に張り付く鳴子もチームが追いつくのを待ち続けながら体力を擦り減らしていた。手嶋・坂道・今泉は熊本台一にも抜かれ、より絶望的な状況に。しかし、坂道は明るく「青八木さんと鏑木くんが追いついてきます!」と2人を信じてペダルを回していた。そして、後方を見る手嶋の目に、黄色いジャージが飛び込んできた―!
後方に落ちていた鏑木と青八木が追いつき、遂に合流を果たした総北。5人が揃い、チームにも希望が見え始めた。その中で、坂道は真波ともう一度戦うという約束を胸に走る。一方、先頭集団はすでに平坦から山岳・榛名山へと突入!山岳リザルト、そしてその先のゴールに向けて熱を帯びる。箱根学園の真波も坂道を気にしていたが、黒田は京都伏見の動きを警戒。そして、御堂筋たちがアタックを仕掛け、一進一退の攻防が繰り広げられる!
坂道は真波とのインハイで戦う約束を果たそうとペダルを回し、チームと共に箱根学園に追いつく。しかしそこは先頭ではなかった。葦木場や御堂筋たちが先行していたのだ。レース状況の変化から真波は坂道に「戦うことはできない」と告げる。手嶋は坂道に「先頭を追え」とオーダー。意を決した坂道は、今泉と共にスピードを上げる。一方、先頭では、葦木場たち箱根学園、御堂筋の京都伏見、熊本台一に対し、鳴子が仲間が追いつくことを信じひとり戦いを挑んでいた!
鳴子は坂道と今泉が追いつくことを信じて、先頭集団で御堂筋の変則的な攻撃に耐えながら、さらに葦木場と悠人と戦いながら、孤軍奮闘していた。そして遂に鳴子が落ちた、と思ったその時、後ろから坂道と今泉が現れた!鳴子の頑張りを受けた2人は、山岳賞、そしてゴール争いに突入していく!一転して形勢が不利になった御堂筋は、水田に山岳賞をちらつかせて自分を引かせる。そんな中、坂道が凄まじい走りで他を圧倒。その"山王"の本領発揮に悠人も驚愕の表情を見せて...。
圧倒的不利な状況だった御堂筋は、水田に山岳賞を狙わせ、"王者・箱根学園"の誇りを持つ葦木場を刺激する。結果、山岳賞は葦木場が獲得するが体力を消耗。ここぞとばかりに御堂筋は加速。そして、総北も坂道に想いを託された今泉がゴールを狙う。エースとしてゴールを狙うはずだった葦木場の行動を悠人は理解できない。しかし、葦木場は「まだゴールを諦めていない」と告げる。過去を思い出す悠人。彼は自転車競技部入部当初、兄・隼人の弟としか見ない先輩と衝突していた―。
悠人は入部当初、兄・隼人の存在から部の中で孤立していた。先輩と衝突する悠人に、ある日葦木場が勝負を持ちかける。勝負は葦木場の圧勝に終わり、悠人は葦木場の強さから彼を慕うようになった。そしてインターハイ2日目のゴール争い、葦木場は悠人にエースを託す。自分はクライマーのはず、そんな気持ちを覆すかのように悠人は凄まじいスプリントで今泉と御堂筋に追いついていく!御堂筋と悠人が激しく競り合う中、今泉も坂道たちの想いを胸に、自らの"リミッター"を外す!
インターハイ2日目のゴールまで残りわずか。今泉、悠人、御堂筋の3人のゴールスプリントが激しさを増す!リミッターを外し先頭を走る今泉。一方御堂筋は、かつて入院する母の病院へと通っていた頃の記憶を辿り、勝利を掴むイメージを鮮明化させる。そして、悠人も兄・隼人と純粋に自転車を楽しんでいた頃の自分を思い出す。「箱根の直線に出る鬼に、弟がいたってウワサ知ってるかい?」兄と同じくスプリントの鬼と化した悠人!ゴール前、攻防戦を制するのは果たして―――。
インターハイ2日目のゴールが迫る!今泉、悠人、御堂筋、三つ巴のゴールスプリントは、残り20mを切った!今泉は、信じて背中を押してくれた仲間の想いのために。悠人は偉大な兄を持ったことから生まれたコンプレックスを振り払り、"王者"箱根学園勝利のために。御堂筋はただ、己の勝利を掴むために。三者三様の想いをペダルに乗せ、突入するゴールライン!トップでゴールしたのは...!?そしてその夜、3日目への不安を振り払うように山を登る坂道の前に、1人の男が現れ...!
インターハイ2日目の夜。坂道は山道で箱根学園の卒業生・東堂尽八と遭遇する。東堂はある男からの連絡を受けて走っているという。その男とは...巻島裕介だった!驚きと嬉しさが入り混じる坂道の目の前で、巻島と東堂の本気の勝負が始まった!同着が続き、2人は2回戦、3回戦...と勝負を続け、坂道はその姿に気持ちを昂ぶらせる。勝負が終わった後、巻島からの「自分を貫け」という言葉を受け、決意を新たにする。一方、真波も東堂からの言葉で闘志をみなぎらせるのだった。
インターハイ最終日の朝が来た。想いを繋いで全員でここまでたどり着いた総北。"王座奪還"そのためだけに走ってきた箱根学園。無駄なものをすべて削ぎ落とし"勝利"だけを見据える京都伏見。その他各校が、頂を目指して、それぞれのスタートラインに立つ!
誰もが胸を熱くする大ヒット自転車ロードレースコミックスピンオフシリーズが初のアニメ映像化!『弱虫ペダル』本編の連載開始時に3年生だったキャラクターたちの知られざる過去のドラマを描く、渡辺航自らが手掛ける大人気シリーズだ。チームを引っ張る、頼れる存在の3年生たち。しかし彼らにも、そのポジションに上り詰めるまでの軌跡があった。この度、多くのファンの声に応える形で、初めてアニメーションとして走り出す! 今回映像化されるのは、総北高校の巻島裕介編と箱根学園の東堂尽八編の2編。作中屈指の2大クライマーである彼らの過去とは…!? 出演:森久保祥太郎、諏訪部順一、安元洋貴、伊藤健太郎、山下大輝、鳥海浩輔、福島潤、他 原作:渡辺航/制作:2016年