北幌高校に入学して以来3ヵ月。口数が少なく陰気な容姿の黒沼爽子は、その見た目から“貞子”というアダ名を付けられて、クラスメイトから怖がられている。爽子自身は、クラスのみんなと普通に打ち解けておしゃべりもしたいのだが、誰も近寄ってこないのだ。 そんな爽子に、ただひとり明るく爽やかに声を掛けてくれたのは、風早翔太という男子生徒。風早はきさくな性格から、クラスの人気者。風早の周りには、爽子とは正反対に、自然と人が集まっている。 入学式の時、爽子は風早に学校への道を教えて、笑顔で『ありがとう』と言われたことがあった。言われ慣れない言葉に感動した爽子は、その時から、ずっと風早に憧れていたのだ。 1学期の終業式前日にクラスで肝試し大会をすることになり、幹事をしている風早の誘いで肝試し大会への参加を決めた爽子であったが、放課後、千鶴とあやねが霊感のある自分がくれば面白いのではないかと話しているのを偶然聞いてしまう。爽子は、ふたりに自分には霊感がないとカミングアウトするのだが、「お化け役」に立候補することで、クラスメイトが喜ぶのではないかと考えた。ふたりに素直に自分の思いを伝え、自分の気持ちが伝わったことに喜ぶ爽子。全てが風早のお陰だと、爽子は思った。 やがて、肝試しの当日。爽子の活躍で、生徒たちの悲鳴がひっきりなしに上がり、イベントは大成功。お化けの正体を知った風早と話していた爽子は、千鶴とあやねから差し入れをもらい、感動の涙を流す。 そして終業式の後、クラス内で昨日の肝試しの結果発表をすることに。ビリだった風早に
登校中、爽子は雨の通学路で捨てられて鳴いている子犬を見つけ、濡れないように、差していた傘を置いてきた。ずぶ濡れになって登校した爽子に対して、同じく雨に濡れてやって来た風早は、ジャージに着替えるよう勧め、自分が使ったタオルを渡す。千鶴からジャージを借りた爽子は大感激で、休み時間に風早、千鶴、あやねにお礼として飲み物を渡すのであった。 お礼に気づいた風早は爽子に話しかける。実は、今朝爽子が子犬に傘を置いたあと風早もその子犬と雨の中で遊んでいたのだった。 下校途中、その子犬を一緒に見に行った爽子と風早。風早はその子犬を自分で飼うと言う。そんな中もっとみんなと仲良くなりたいという爽子に対し、風早は、「がんばれ!」と応援する。 翌日、ホームルームで席替えが行われることになった。爽子は、今度こそ隣の席の生徒と仲良くなれるよう願う。だが、ほとんどの生徒は、爽子と接した席になりたがらない。 爽子の席の番号は、窓際の後から2番目。これを知った生徒たちは、その隣の19番に当たらないよう祈る。だが、これを知った風早は、19番の生徒とクジを交換。そして、あやねは爽子の前の席に、千鶴は爽子の斜め前の席に陣取った。 そんな3人に、爽子は、昨日お礼として改めて手作りクッキーをプレゼントする。美味しそうに食べる3人を見て爽子は一層感激するのであった。
席替えの翌日、登校した爽子は、千鶴やあやね、そして風早と挨拶を交わす。憧れていた友達との挨拶を現実のものとし、爽子は感激しっぱなし。後ろの席の真田龍とも、お互いに自己紹介することができた。風早が隣の席に来てくれたのをきっかけに、爽子の周りはどんどん変わり始めていた。 まもなく爽子は、風早から、拾った子犬に名前をつけて欲しいと頼まれる。爽子が答えに窮した時、いつ来ていたのか副担任のピンこと荒井一市が、「ペドロ・マルチネス!」と大リーガーの名前を口にする。子犬の顔を思い浮かべた爽子は、名前は『ペドロ・マルチネス=通称マルちゃん』でぴったりだと思った。その時、休みをとっている担任の荒井善行から話を聞いたピンは、爽子にわざと近距離で目を合わせ、「呪い」は自分には通じないことを見せ付けようとした。爽子は、そんなピンの行動でさえもうれしく感じた。 休み時間、爽子は千鶴とあやねとともに3人で話をする。風早と中学校が同じである千鶴から、中学時代に『風早はみんなのもの協定』が作られた、という話で盛り上がる。そのエピソードにも、爽子は尊敬しきりなのであった。 放課後残って、出席簿作りをすることになった爽子。風早も手伝ってくれていたのだが、ピンに呼び出されてしまう。そんな中クラスメイトの平野と遠藤が現れ、手伝ってもらうことになった。そのきっかけも風早のおかげだと知り、爽子はうれしく思った。 翌日、授業中に渡されたメモで誘われた爽子は、放課後、マルを散歩させている風早に会いに行った。だんだん仲良し度がアップするのを感じた爽子は
爽子が千鶴とあやねの悪口を言っているとの噂 ――。2人はこの噂を「ありえない」と信じなかった。千鶴のためにテスト用の要点ノートを作ってくれた 爽子。あやねには、怪談を練習するためのビデオを借りたいと相談する。2人から爽子に対して出た言葉は、“ピュアホワイト”。要点ノートには、ジョーや田中、高橋も興味を示し群がるのであった。 その頃、風早はピンにつかまっていた。ピンに爽子のことを聞かれて真っ赤になってしまった風早は、その後教室でまともに爽子の顔が見られない。爽子は、おでこが出ている風早を見ていたかったのだが、風早が顔を背けるため見れず残念がっていた。 そんな中爽子は、小学校時代から知る詩乃に、千鶴とあやねのことを「友達じゃない」と言い、これを2人に聞かれてしまった。爽子は、実は“大好きな千鶴、あやねと早く友達になりたいが、今友達と言うのはおこがましい”と言おうとしたのだ。だが、“友達じゃない”という部分しか聞こえなかった千鶴らは、 ショックを受ける。まもなく、爽子に直接確かめた千鶴とあやねは、爽子の「好きって言うよりも…」と続けようとする言葉をさえぎって、離れて行ってしまった。 一方爽子は、自分が千鶴やあやねを操り、風早までいいように使っている裏番長だとの噂を耳にしていた。自分がそばにいるだけで周りを傷つけてしまうと思った爽子は、苦悩するばかり。悩んでいたのは、千鶴、あやねも同じだった。それまでは爽子のことを100パーセント信じていたのだが、“好き”と即答してもらえなかったことが引っ掛かっていた。
試験の当日、教室でいつもと違う出席番号順の席に着いた爽子は、誰にも挨拶をすることなく、千鶴やあやねとも目を合わせなかった。自分が近くにいるだけで、千鶴やあやねたちを傷つけてしまうので離れようと決めた爽子。みんなと過ごせて本当にうれしかった気持ちを思い返し、爽子の目からは、試験中にもかかわらず、ポタポタと涙がこぼれ落ちた。 そんな爽子を、試験の後待っていたのは風早だった。避けるワケを聞きたいという風早の言葉に、爽子の目には再び涙があふれる。そして爽子は、‘自分と一緒にいると風早や千鶴、あやねの株が落ちる’と思い、避けようと一度は思ったが、避けるのが辛く、そばにいたいと泣きながら明かした。 これに対し風早は、自分はそんな噂などに惑わされない、ときっぱり話す。落ち着いた爽子は、千鶴やあやねのことに関しても噂が原因でぎくしゃくしていたことを風早に相談した。風早は、相手の気持ち次第だから自分の気持ち伝えてみたら、と優しくアドバイスする。すっかり晴れやかな表情になった爽子は、風早の「がんばれ!」という声と笑顔に後押しされ、千鶴らにも自分の気持ちを話そうと思った。 一方、あやねと千鶴も、爽子のことを考えてモンモンとしていた。あやねは、爽子が冗談半分のアドバイスを生真面目に信じ、図書館にある怪談の本を読み漁っていると知る。また、千鶴は爽子からもらった手書きのテスト用要点ノートを見て、涙を流すのであった。その夜千鶴とあやねは二人で会い、もっとちゃんと爽子と話をしようと決めた。 翌朝登校した爽子は、同級生の女
爽子が、女子トイレ内でA組の生徒たちとケンカ をしていると聞いた風早。その女子トイレのまわりでクラスメイトたちが、爽子が噂を流した、と話をしていることに風早は強く否定した。そこへ、千鶴とあやねが現れる。爽子が噂のことで頑張っていると聞いた2人は、トイレに向かった。 トイレでは、爽子がA組のユカたちに対して千鶴とあやねへの悪口を取り消すよう訴えていた。悪口を言い始めたのが爽子だというユカに対し、爽子は、それは誤解だと反論する。爽子は、押し倒され、足で踏まれても、必死になって千鶴らを守ろうとした。 そんな中、割って入って来た千鶴とあやねは爽子を助け、さらに爽子が“無実”だと断言する。迫力でにらみをきかせる千鶴らに、結局、ユカらは悪口を取り消し、スゴスゴと引き上げていくしかなかった。 千鶴とあやねが爽子を助けた話は、すぐに風早らクラスメイトたちの耳に入った。爽子の悪い噂はたちまち消え、逆に爽子が作ったテスト用のノートの功績が評価され始めた。 一方、トイレ内では、爽子が千鶴とあやねに、涙ながらにこれまでのことを話していた。大好きな2人を失いたくない、もっと仲良く なりたいという爽子の言葉に、千鶴もあやねも感激し涙を流す。そして、もう友達だよと確認し合った爽子、千鶴、あやねの3人は、固く抱き合う。トイレから出てきた爽子を見つけた風早は、笑みを浮かべ心から祝福した。 その後、テストの成績が発表され、クラスの平均点が大幅にアップしていることが分かった。クラスメイトの自分への視線が少し変わったのを感じる爽子
土曜日の夕食直前、千鶴とあやねから爽子に、ラーメンを食べに行こう、との誘いの電話が入った。親の許可を得た爽子は、大急ぎで2人の元に向かう。実は、少し前、2人から誘われた爽子の“放課後ラーメンデビュー”は、なじみの店が定休日だったため不発に終わっていたのだ。 店に着いた3人は、さっそく千鶴お勧めのラーメンを注文した。爽子は、水を出してくれた龍の姿を見て、そこが龍の実家だと知りビックリ。食べ終わると、千鶴は爽子とあやねを連れて、慣れた様子で2階の龍の部屋へと向かった。爽子は、そんな千鶴と龍の間柄を恋人同士かと思っていたのだが、2人は男兄弟のような関係だとか・・・。爽子ら3人は、龍を交えて仲良くおしゃべりを始めた。 まもなく、あやねの提案で、この場に風早を呼ぶことになった。連絡役を命じられた爽子は、龍の携帯を使い勇気をふりしぼって風早を誘った。龍の携帯から聞こえる爽子の声に、風早はビックリしながらも事情を知り、大急ぎで自転車を飛ばし龍の家へ。 爽子らは、龍の中学の卒業アルバムを見ながら、中学時代の話を聞いた。千鶴、風早、龍の3人は、同じ中学の出身。中学時代の風早のことを知った爽子は、体育祭、学校祭、修学旅行など、これからの学校生活への期待をふくらませたのであった。 風早がやってきて、龍の部屋はさらに賑やかになった。爽子の横に座り、目が合って赤くなる風早。意識し合う2人の様子を見たあやねは、爽子を自分のそばに呼び、見せ付けるようにじゃれ合う。千鶴も呼びよせたあやねは、3人でじゃれ合う光景を風早に見せ
爽子が笑うと福が来るとの噂が流れ、爽子の周りに集まるようになるクラスメイトたち。爽子は、平野や遠藤ともいつの間にか自然と友達になれていたと気づき、嬉しさを隠せない。千鶴から、お互いをニックネームで呼び合おうと言われた爽子は、戸惑いながらも千鶴たちをニックネームで呼ぼうとするのだが、感動と緊張のあまりなかなか上手くいかなかった。 やがて、体育祭が近づき、風早がクラスの体育祭実行委員に指名される。何としても優勝したいピンは、生徒たちにハッパをかける。これに応えるように、スポーツ好きの千鶴は、燃えに燃える。 サッカーをすることになった爽子は、全く経験がないだけに、途方にくれる。ピンから、体育祭当日休んでもいいと言われながらも、昼休み、風早や千鶴に誘われ、練習に参加する爽子。結果は、みんなの想像通り空振りキックの連続。練習でさえみんなのジャマをしていると悟った爽子は、せめて足手まといにならないように自主練をしようと決意する。 そんな中、練習中の風早から、「おさげ!」と呼ばれた爽子は、自分の胸の高鳴りを感じながら、思わずボーっと風早の後ろ姿を見つめてしまう。千鶴に耳を引っぱられ我に帰った爽子の顔は、真っ赤。遠くにいる風早の姿を追いながら、爽子の胸のときめきは収まりそうにない。 放課後、爽子は自主練をしようと決め、千鶴らのラーメンの誘いを断わる。いざ始めようと、体育教師にサッカーボールを借りに行ったものの、規則で貸してもらえない。花壇の花に水をやりながら、爽子は、貯金を崩してボールを買おうと思う。 一方風早は
体育祭が近づく中、昼休みにサッカーの練習をする千鶴らは、爽子が上手くなっていることに驚いた。実は数日前、爽子は風早にサッカーの個人指導をしてもらい、蹴るコツを掴んだのだ。自分たちのクラスが優勝出来るかもしれない、と千鶴の顔からは、思わず笑みがこぼれる。 そんな爽子は、教室に風早を探しに来た別のクラスのくるみに心ひかれる。気さくに声を掛けてきたくるみは、顔かたち、しゃべり方まで、まるで可愛いお人形みたい。そのくるみから、逆に「お人形みたい!」と言われた爽子は大喜び。爽子からその話を聞いた千鶴とあやねは、日本人形の意味で言われたと察して、顔をしかめる。 まもなく爽子は、風早とくるみが、お似合いのカップルのように話しているのを見つけて、思わず見とれてしまう。くるみのような可愛いヘアスタイルをマネようとも考え、千鶴とあやねに相談するのだが、2人は髪型が変わった爽子を想像して、今の髪型が一番似合うというアドバイスを送ったのだった。 放課後、ピンからサッカーボールを借りることができ、千鶴やあやねとともに自主練をすることに。 そんな中爽子は、風早がくるみのことを“くるみ”と呼んでいるところを聞いてしまう。風早が女子のことを名前で呼ぶのを初めて聞いた爽子は、2人の仲の良さに少し胸を痛めた。風早があやねから爽子のことを「さわこ」と呼ぶよう迫られた時、真っ赤になりながら拒否したことを、爽子は思い出したのであった。 風早の顔を見ただけで、少し胸が痛くなってしまう爽子。その風早が、爽子を見つけて声を掛けてくる。爽子
体育祭に向けて、千鶴らとサッカーの練習に余念のない爽子。くるみは、そんな爽子に、ことあるごとに可愛い笑顔で声を掛け始める。千鶴とあやねは顔をしかめるが、くるみの下心に全く気づかない爽子は嬉しさを隠し切れない。 ここのところ、爽子は風早とは上手く話せないことを、もどかしく感じていた。くるみが風早とギクシャクせず、フレンドリーに話すところを見た爽子は、憧れるとともにうらやましいと思った。爽子は、思い切って“友達”のくるみに、風早と上手く話せない、と相談してみる。風早に密かに恋心を抱くくるみは、爽子の関心を 他の男子に向けさせようとする。だが、素直な爽子はくるみの思惑とは裏腹に、風早と自然に話せるように頑張ると誓った。 千鶴には、くるみへの苦い思い出があった。実は千鶴は中学の時、くるみにいいように利用され、結果的に風早のことが好きな女子たちの思いをことごとく打ち砕いてしまったのだ。千鶴の話を聞いたあやねは、今回のくるみの作戦を見抜き、その思惑どおりに進むか、含み笑いをするのであった。 放課後、風早と校庭で言葉を交わした爽子は、風早の顔が真っ赤になったのを見て、風早も自分と同じように緊張していると気づく。そして久しぶりにお互いの笑顔を見て嬉しく思うのだった。風早は爽子に大きくなったマルを見に来るよう誘う。嬉しさいっぱいの爽子は、控えめにうなづいた。 そんな中、2人の前にくるみが姿を見せる。風早の話から、くるみの本名が胡桃沢梅だと知った爽子は、“くるみ”が名前ではなかったと知り、ホッとした気持ちにな
大好きな風早と付き合うために手伝って欲しい、と爽子に頼むくるみ。だが、立ち去ろうとするくるみの手を掴んだ爽子は、風早が特別な存在だから手伝うことはできない、と自分の思いを伝えたのだった。身を引くと思った爽子の予想外の言葉に、くるみは豹変し怒りで肩を振るわせた。 体育祭当日、風早からグータッチをされた爽子は、クラスメイトたちと次々にタッチを交わす。その効果もあってか、クラスメイトたちの士気は上がり、一方爽子もクラスの一員となれた気がして喜んだ。そして、始まったサッカーの試合は、勝利を決定づける追加点を、爽子がアシストし千鶴が蹴り込んで4対2の快勝。自主練の成果だという風早に笑顔のハイタッチをしてもらった爽子は、ドキッとしながらも笑顔で返した。 次は、風早の出場するソフトボールの試合だ。爽子以上に爽子の心の内を知るあやねは、風早の試合を応援するよう爽子をけしかける。その時に、あやねが「負けんなよ」と言ってくれた意味が、爽子にはピンとこなかった。 爽子はくるみを誘い、一緒にソフトボール会場の応援にやって来た。「くるみちゃん」と呼ぶと冷たい表情を見せ、「梅ちゃん」と口にするとさらに怒るくるみ。最初の印象とはだいぶ変わったけれど、気持ちをそのまま伝えるくるみに、爽子は嬉しいような不思議な感情を抱いた。 グラウンドでは、くるみの隣に座る爽子を見つけた男子たちが、サッカーの試合での活躍を話題にしていた。練習中に爽子に飛んできたジョーの魔球から守るように龍がキャッチするのを見た風早は、心穏かではない。 一方
ソフトボールの試合が始まる中、くるみは試合も見ずに、自分が中学時代からいかに風早に思いを寄せていたかを語り始める。爽子は、くるみの努力に感心してほろりと涙をこぼし、目が風早を追ってしまうところに共感する。そして、風早のことや自分の気持ちを確かめるため、龍と会ってちゃんと話してみるとくるみに告げた。 風早は試合に快勝した後、爽子のことをどう思っているのかを、龍に直接確かめていた。風早の思いに気づいていた龍は、あっさり否定する。一方くるみは、爽子と風早の関係を遠ざけようと作戦を練っていた・・・。 試合が終わり休憩に向かう龍は、爽子の名前が書かれたメモで、体育用具室に呼び出された。爽子はグラウンドで助けてもらったお礼と確かめたいことがあると千鶴とあやねに告げて、龍の場所へ向かった。爽子は途中でくるみに会い、龍は体育用具室にいると教えてもらう。 体育用具室前で待っていた龍は、メモを見た爽子の反応を見て、誰かの仕業だと気づく。そんなことは疑わない爽子は、「恋愛感情」がどんなものか龍にたずねた。千鶴ひとすじだと答える龍は、気づいたら千鶴が他とは比べられない特別な存在になっていたと話す。爽子は、龍の言葉に胸をドキドキさせながら聞いた。 そんな中、爽子と龍が体育用具室前にいることを確認したくるみは、そこに風早を連れて行き――。
体育用具室の前で、爽子が龍と話しているのを見た風早は、思わぬ行動に出た。風早は、その場に龍とくるみがいるにもかかわらず、爽子の腕を掴んでその場から走り出したのだ。2人が走り去るのを見て、呆然と立ち尽くすくるみ。龍が頭をかきながらいなくなったため、くるみはひとりで体育用具室前に残され、目の前で起こったことを信じられないでいた。 風早が爽子を連れて行った先は、体育館裏だった。龍のことが好きかと聞かれた爽子は、龍への思いは恋愛感情ではないと告げる。そんな爽子は、風早への思いが恋だとようやく気づきながらも、付き合うということはまだ想像できなかった。 一方、例の悪い噂の出所について話し合っていたあやねと千鶴。あやねは、噂の出所はくるみなんじゃないかと推測していた。そこへ龍が現れ見せた、爽子の名前が書いてある呼び出しメモを見て、くるみが犯人だとあやねは確信するのであった。メモは靴箱に入っていたと言う龍。あやねは、くるみが靴箱に何か入れるのを目撃していたのだ。 その頃、体育用具室で風早が戻るのを待っていくるみが、カギを閉めるためにやって来たピンと顔を合わせたことから、妙なことになった。一向に帰る気配がなく自分の行く先々にいるくるみに対しピンは自分に気があるとカン違いして、あきらめるよう諭す。その様子を、戻った風早が目撃してしまったのだ。風早はくるみがピンのことを好きだと誤解したまま、ピンに連れられその場から立ち去ってしまうのだった。 ついにくるみを捕まえたあやねと千鶴。クラスの女子から話を聞き、さらに例のメモの筆跡を調
あやねと千鶴の追及に開き直ったくるみは、噂を流したのが自分だとあっさり認め、ジャマな爽子が嫌いで、『友達』ということも全てウソだったと言い放った。怒り心頭の千鶴らは、爽子に言い返すよう促すが、ショックを受けた爽子の目からは涙がこぼれるばかり。見かねた千鶴はくるみに対し、今後自分の友達を傷つけるようなことはしないよう忠告し、あやねは噂の出所がくるみであったことを風早に言いつけるとおいうちをかけた。 だが、くるみと別れた後、爽子はあやねに対し風早には噂のことは言わないで欲しい、と頼んだ。爽子は、風早に言ってもいいと言ったくるみの言葉が、本音ではないと気づいていた…。 千鶴らクラスメイトの女子たちがバレーボールで負けてしまって移動している時に、爽子は、くるみが試合に参加していないらしいと知った。くるみに、まだ自分の胸の内を伝えていないと気付いた爽子は、千鶴らに話をして、校内を捜し回る。 そんな中、集まっていた女子たちの前に風早とピンが現れる。風早が制止しようとするが止まらず、ピンはくるみが自分に片思いしていると女子たちに自慢げに明かした。女子たちは、ピンを好きになったくるみの神経を疑う。そばで話を聞いていた千鶴とあやねは、予期しないくるみへの誤解に、同情すらしてしまった。 一方、くるみを見つけた爽子は、面と向かって、自分は恋愛感情として風早が好きだと伝えた。これに対しくるみは、自分の方が風早とお似合いで爽子が相手なら勝てると思った、と言い返す。そして、風早が自分のことを好きじゃないことも知っていると言い、
木陰で泣いているくるみ。それを見て、爽子はもらい泣きをしてしまう。互いに相手の涙を拭くうち、くるみは爽子に風早に「好き」と言ったのか言われたのか?と質問する。質問に対し爽子は‘そんなこと言われるはずがない’と答える。そんな爽子に、くるみは風早の素敵なところを次々と語り始め、気が付くと爽子も一緒になって話していた。 風早の話をしていく中でくるみは、自分はピンが好きだと、風早に誤解されている、と爽子に打ち明けた。爽子は、自分の経験から、誤解されっぱなしは良くないと告げ、“本当のこと”をちゃんと風早に伝えたほうがいいと言う。くるみは、口では爽子の話を否定するが、その素直な思いは、くるみの胸の奥に残った。 放課後、風早に会ったくるみは、黒い噂の出所は自分だとあやねが風早にバラしていなかったと知り、複雑な心境になった。風早に爽子のことをどう思っているか聞くくるみ。そして、爽子の言葉に背中を押されるように、自分がピンを好きというのは誤解で、自分が好きなのは風早だと意を決して伝える。風早の答えは、‘ごめん、好きな子がいる’だったが、長年の想いを告げることができたくるみは、スッキリした表情でその場を立ち去った。 翌日、泣きはらした顔をサングラスで隠し登校したくるみ。体育祭中に顔を合わせた爽子に対して、万が一、風早とうまくいっても「よかったね」とは言わないと伝える。そして自分たちの関係はライバルだと告げて去っていった。自分の感情を表に出して、みんなと話しをするようになったくるみ。今まで見たこともない自然体のくるみに、千鶴と
千鶴とあやねが、初めて爽子の家に遊びにやって来た。両親に挨拶した2人は、爽子の手作りケーキをご馳走になったり、爽子が借りてきたホラービデオを見て、大盛り上がり。爽子の父親は、千鶴らの外見が派手なことに心配していたのだが、内面は良い子だと気づき、ホッと胸をなで下ろしていた。 そんな折、風早から千鶴に連絡があった。ピンから‘爽子を自分のアパートに連れてきて欲しい’と頼まれ、電話してきたのであった。実は、昨夜、レンタルビデオ店で偶然ピンと出会った爽子は、ピンが風邪のひき始めだと気づき、手洗いうがいをするようアドバイスする。風早の電話からピンが風邪をひいたと勘付いた爽子は、看病が必要だと考えすぐにピンのアパートへ行く準備を始めた。 爽子は千鶴とあやねと共に、途中、風早、龍と待ち合わせてピンの部屋にやって来た。そして、やはりピンが風邪で熱を出していると知った爽子は、持ってきた風邪薬や、栄養ドリンクなどを使って看病しようとするのだが、これを見た風早は、爽子の代わりにピンに薬を飲ませるなどあわてて爽子を手伝い始めた。ピンが眠りについた後、爽子たちはピンの散らかった部屋を片付けるのであった。その時、幼い頃の風早の写真が出てきて、爽子はぽーっとする。照れる風早。そんな2人を見て、早く付き合えばいいのに、と千鶴とあやねは歯がゆく見ていたのだった。 部屋の掃除も終わった夕方、薬が効き起き上がることが出来たピンは、邪魔だとばかりに生徒たちに帰るよう促した。ピンの部屋から出ようとする爽子を呼び止めたピンは、爽子だけにこっそりと
二学期終了まで1ヶ月を切ったある日、爽子とあやねは、千鶴に買い物に付き合って欲しい、と頼まれる。あやねが大学生の彼氏と会うということで、買い物は、千鶴と爽子の2人で行くことに。千鶴は、龍の誕生日のプレゼントを買うというのだ。それを聞いた爽子は、千鶴の心遣いに感激するのであった。 千鶴が店で選んだプレゼントは、野球好きな龍にぴったりの言葉が書かれたグローブ袋。会心の買い物をしたと笑顔を見せる千鶴を見た爽子は、つられて一緒に微笑む。ルンルン気分で歩いていると、千鶴がショーウィンドウに飾られたミニスカートを見て立ち止まった。ミニスカートをはきたそうにする千鶴を見て、爽子は、思い切って好きな人が誰かを聞いてみた。千鶴の口から「幼なじみ」という言葉がでた瞬間、爽子の中で、祝福の鐘の音がなるのだが・・・。 千鶴の口から出た好きな人の名前は、札幌に住んでいるらしい「龍の兄ちゃん」。このことは龍本人も知っている、と告げられた爽子は、龍の気持ちを思い何だかさみしく思う。 翌日教室では、千鶴が正月に札幌から戻ってくる龍の兄ちゃん・徹にミニスカート姿を見せたいとファッション雑誌を見ながら話していた。そこに姿を見せたあやねは、大学生の彼氏を別れたと報告。ジョーがフラれ話を明かしたこともあり、教室は、恋愛話で大盛り上がり。 そんな中、龍は徹から聞いた、“あの話”を千鶴に告げるべきかどうかを、風早に相談していた。徹に会えるとウキウキの千鶴に、事前に明かしておきたいこと――。 その夜、龍は、千鶴の家を訪ね、“あの話”を告げようとし
今日は、爽子とあやねが千鶴の家で一晩過ごす、初めてのお泊りの日。準備を整えて学校に行った爽子は、笑顔で千鶴に駆け寄る。その千鶴に、龍がいきなり、明日とあさって絶対家に来ないよう告げた。爽子とあやねを連れて家に帰った千鶴は、ワケが分からず怒りまくる。あさって誕生日を迎える龍のために千鶴は、プレゼントを買っていたため余計に腹が立ったのだった。あやねのアドバイスで、誕生日プレゼントを今日渡そう、と龍の家へ向かった。 龍の部屋には、風早やジョーらも来ており、千鶴らも加わって大にぎわい。龍と2人になった千鶴は、家に来ないようにと言った理由を明かすよう、つめ寄った。 その時、千鶴が待ち焦がれていた徹が、札幌から戻って来た。徹は、予定を1日早く繰り上げて帰宅したのだ。大好きな徹と会えたことで舞い上がる千鶴。寝巻きにジーパン姿だった千鶴は、徹にミニスカート姿を見せられず、教えてくれなかった龍を責める。しかし、そこに徹の婚約者だという、片山はるかが入ってきたことから、千鶴の気持ちは一変した。 千鶴は呆然としながらも、徹に促されてはるかに自己紹介をした。龍はもちろん、千鶴の想いを知る爽子、あやね、風早も、凍りつく。風早は、押し黙る龍を見ておひらきを宣言。何も知らない徹は、帰って行く千鶴らを笑顔で見送った。 風早は、途中まで送ってくれた龍の胸の内を察し、落ち込まないよう慰める。一方、千鶴の部屋に戻った爽子とあやねは、掛ける言葉が見つからず、ひたすらトランプの相手をする。恋愛経験の豊富なあやねも、もっといい人が他にいる、と
徹が婚約者・はるかを連れて帰った日の夜、誕生日プレゼントを持って龍のところに行った千鶴は、徹が来ることを隠そうとした龍の気遣いに腹を立てた。これに対し龍は、気など遣っておらず、こうなってホッとしている、これで千鶴が徹をあきらめられるから、と告げる。徹との恋が上手くいくことを心底願っていた千鶴は、龍の胸の内も知らず、叶わぬ恋だと思われバカにされたと思って怒りまくる。そして、持ってきたプレゼントを龍に投げつけ帰ってしまった。 翌朝、通学路で顔を合わせた爽子とあやねの表情は暗かった。千鶴を慰めることも励ますことも出来なかった2人は、自分たちの無力さを噛みしめる。何もできなかったと無力さを感じ爽子の目からは涙がこぼれ落ちる。話を聞いた風早は、悩んでくれる人がいるだけで、千鶴にとっては心強いはずだと2人を元気付けた。 教室で爽子とあやねが会った千鶴は、笑顔を見せるほど明るかった。だが爽子らは、その日千鶴と龍がひと言も話をしていないことが気にかかる。2人の心配は昼休みになって現実となった。パンを買って教室に戻る途中の千鶴に話しかける龍。とうとう2人はケンカを始めたのだ。 龍に対し、徹への思いが本物だったと告げ、でも昨夜は気まずく思いつつも勇気を出して龍にプレゼントを渡すために家まで行ったのに・・・、と怒る千鶴。持っていたパンを龍に投げつけた千鶴は、そのまま廊下を駆けていった。龍は、誕生日プレゼントの礼を言う間もなく、その場に立ち尽くした。 走ってきた千鶴を前に、2人のケンカを見ていた爽子の目から我慢できずまた
千鶴と龍がケンカをした次の日、千鶴はさっぱりとした顔になっていた。放課後、千鶴の誘いで爽子とあやねの3人でカラオケに行き、その後龍の家のラーメン屋へ行くことに。龍とケンカをしたことで、気づくことがあった千鶴。そしてその龍の存在に対して、あやねも心から感謝をしていたのだった。そんな話をしている千鶴の前に、なんと札幌にいるはずの徹が姿を見せた。千鶴を借りると爽子らに告げ、千鶴を呼ぶ徹。感動した爽子らは、千鶴の言いたいことが徹に言えるよう、そして次会った時には穏やかな気持ちでいてくれることを心から祈った。 千鶴は、仕事を早く終わらせ、車を飛ばして戻ってきてくれた徹に、大人になった自分をアピールしようとした。しかし徹は千鶴が子供の頃に半パン姿で走り回っていた姿を思い出すのだった。子供の頃の千鶴との思い出の場所を歩きながら優しく話をする徹に、千鶴は「好きだよ」と自分の気持ちを告白した。「俺もだよ」という徹の言葉は恋愛感情のものではなかったけれど、それでも千鶴は嬉しかった。龍よりも可愛い妹だよと言われた千鶴は、ようやく 「おめでとう」と徹の婚約を心から祝福した。 龍が徹と会ったのは、千鶴と別れた直後だった。龍の千鶴への想いを知る徹は、龍の方がお似合いだと話し帰ろうとした。その時、自分の感情を表に出さない龍が、徹に対し千鶴への想いを口にするのであった。 徹が札幌へ帰った後、龍は、千鶴が家に戻っていないと知り、埠頭に行ってみた。そこは、千鶴が徹と遊んだ最後の場所。徹が札幌に引っ越した日も、千鶴はそこにいたのだ。 岸壁
期末テストが終わり終業式を待つだけとなった12月のある日、風早がクリスマスイブに“彼氏・彼女いないヤツ”で集まって、クリスマス会をやろうと提案する。龍やジョーの男子メンバーの他にも、千鶴やあやねたちも参加をすることに。しかし、毎年、家で両親とクリスマスを過ごすことになっている爽子は、行きたい思いはあるものの風早に参加するとはっきりと約束ができないでいた。 そんな爽子はクリスマスプレゼントとして、千鶴にはエプロン、あやねにはコースター、そして、両親にはそれぞれ腹巻とスリッパを手作りしていた。風早にも何かあげたいと思った爽子は、渡せる自信はないものの帽子を編み始めた。その時、ちょうど父親が帰ってきたので、意を決してクリスマス会に参加してもいいか聞いてみようとしたが、父親はクリスマスイブの家族団らんを何より楽しみにしており、爽子はクリスマス会のことを切り出せない。爽子の不参加を知った千鶴とあやねはもちろん、風早も動揺を隠しながら、残念がった。 イブの日、黒沼家では、家族3人の食事が始まった。爽子の部屋にあった帽子が自分へのプレゼントだとカン違いした父親は、勝手に帽子をかぶり、涙ぐんで感動する。爽子は、それを風早に渡せないより、父親に使ってもらえるほうがいい、と自らを納得させざるをえなかった。 イブの食事が進む中、爽子あてにあやねたちから電話が入る。あやねが「クリスマスプレゼントあげるね」と言うと、電話口に風早が出た。だが、風早の声を聞いた爽子は、嬉し涙を流しながらも話すことが出来ない。この様子を見て状況を
イブのパーティーの翌日、二学期の終業式の前。教室では、前夜の二次会でのカラオケの出来事や、二学期で教師を辞める善のことなどで話題はつきない。さまざまな思い出を胸に終業式を終えた爽子は、風早がいる男子グループとは別に、千鶴、あやねと一緒にお好み焼き屋に行った。 初めて手にした携帯のメアドを、千鶴に設定してもらった爽子は、冬休み中も2人と会う約束ができて感動しきり。そして、いつも龍と初詣に行くという千鶴から、あやねと一緒に誘われた爽子は、その場で母親に電話をし許可をもらい大喜び。そんな爽子に、あやねが風早も誘おうと提案した。2人に勧められ携帯で風早に電話をし誘ってみると即OKの返事をもらう。風早に「楽しみにしている」と言われ爽子は嬉しさを隠し切れない。 大晦日の夜、爽子の家にやって来た千鶴とあやねは、なぜかそのまま爽子の部屋に上がり込んだ。けげんな表情の爽子の前に2人が出したのは、メイク用品一式。2人は、呆然とする爽子の髪を整え、メイクをし始めた。そして、可愛らしく変身した爽子を見て、千鶴とあやねは、誕生日おめでとう、と告げた。 思わぬ誕生プレゼントに、泣き出しそうになる爽子。メイクが崩れることを心配する2人は、そんな爽子に絶対泣かないよう命じ、家を出発した。 やがて、待ち合わせ場所が近くなった時、千鶴とあやねは、思わぬ行動に出た。なんと2人は、風早とふたりで楽しむよう告げ、爽子を残してその場から去っていったのだった。爽子は、千鶴らの思いを台無しにしまいと風早との待ち合わせ場所に向かう。その変身ぶりに
大晦日の夜、千鶴とあやねが来ないと知った風早は、爽子と2人だけで初詣でにぎわう神社の方へ向かった。いつもと違い、化粧をして可愛くなった爽子を見て緊張し口数が少ない風早に対し、爽子も緊張してうつむきかげん。 そんな2人の様子を、千鶴、あやね、龍の3人は、茂みの中からのぞいていた。千鶴は、まどろっこしい2人を見て、風早の携帯に“激励”の連絡を入れる。その後、爽子と風早が、仲良さそうに並んで境内に入るのを見届けた千鶴とあやねは、ホッと笑みをもらした。 甘酒の場所に行こうとする風早らの前に、ジョーがいることに気づき焦る千鶴とあやね。ふたりの初デートを妨害されたくない千鶴とあやねは、他のクラスメイトが来ていないのを確認し、ジョーの両腕を抱え爽子と風早への視線を外す作戦を行う。あやねに腕を組んでもらったジョーは、夢見心地でトロトロ。その間、爽子と風早は、ジョーの背後を通り過ぎていった。 爽子と風早は甘酒の配布場所に行き、甘酒をもらう際におばちゃんに「カップルさん」と呼ばれ、爽子はドキドキと意識してしまう。誰かと初詣するのが生まれて初めてだという風早に、爽子は風早の「初めて」が見れて嬉しく感じていた。そんな爽子に、クリスマスプレゼントでくれた腹巻をしていると明かす風早。爽子は、お父さんに渡すために作った腹巻ではなく風早のために作ったものや選んだものをちゃんと渡したかったと思うのだった。そして、携帯を持ち始めた爽子から初めてのメールをもらった風早は、メールアドレスを見て爽子の誕生日が今日の大晦日だと知り、ギリギリセー
大晦日の夜、風早と一緒に神社の神殿に向かう途中、爽子は、初めて出会った時のことなどを思い浮かべた。爽子の印象は入学式の前から良かったという風早は、それがどんどん良い方向に変わっていると話す。 爽子はその言葉に感動し涙をこらえつつ、風早と一緒に参拝の列に並んだ。一方、ジョーを引き止めていた千鶴、あやね、そしてそれに付き合わされていた龍。この状況にうんざりした龍は、甘酒を飲んで帰ろうとする。千鶴は、ジョーをあやねに任せ、龍のフォローへと走り、帰ろうとする龍を強引にお参りへとつき合わさせ、一緒に参拝へと向かった。 やがて、参拝客のカウントダウンの掛け声と共に、新年がやって来た。爽子は、それと同時に届いた千鶴とあやねからの新年メールを見て大感激。さっそく、2人への返信メールを打つ爽子は、みんなと出会えた幸せを噛みしめた。 参拝を終えた爽子と風早が、向かったのはおみくじ売り場。運試しに引いたおみくじは、風早が『大吉』で、爽子は『凶』。ショックで固まる爽子に、凶は珍しいから逆に運がいいと話す風早。おみくじを木に結びつけた爽子は、風早から、『大吉』のおみくじをプレゼントされ、素直に受け取った。 その頃、ジョーとようやく腕を離すことが出来たあやねは、楽しそうな爽子と風早を遠目に見ながら、ひとりでお参りをしていた。偶然、ピンと出会ったあやねは、いつものようににらみ合いながら帰っていった ――。 初詣から帰る途中、風早と初めて出会った坂にやって来た爽子は、ふと今年がどんな1年になるのか、と思った。そして、今の気持ちがい
沖縄での修学旅行が終わり爽子の家に集まったあやねと千鶴。修学旅行中に千鶴は龍との関係に思いもよらないところでひと悶着があったりと、写真を見ながら思い出話をする3人。そんな千鶴が気になる一方、爽子自身も風早との距離感にどこか気持ちが落ち着かない様子。あやねは修学旅行をきっかけにケントとの関係を意識し始めていた。そんな中、爽子と風早のギクシャクした雰囲気を感じ取っていたケントは、爽子にちょっとしたアドバイスを伝えるのだった。一方、龍との関係に思い悩む千鶴。考えても整理がつかず、千鶴はこれまで重ねてきた龍との思い出と、胸の内を爽子とあやねに語る。そして、季節は冬へ。恋人同士になった爽子と風早の、はじめてのクリスマスが訪れる。