東和銀行津田沼北支店の女性行員・原口元子は、ベテランとして業務をこなす一方、夜は銀座のクラブ「燭台」で新人ホステス「春江」として働いていた。元子は、ホステスをステップに生き方を変える夢を抱いていた。支店長から役職昇進を打診される一方、500万円を預けに来た看護師・中岡市子の架空名義口座での処理を元子は任せられる。次に浜中が架空名義口座での預金を求め、元子が対応するが、浜中から交際を迫られる事態に直面する。
元子は、銀行の閉店後に2000万円を巧みに引き出し、銀座で店を開くために1500万円を不動産業者に支払う。元子は、ホステスのスカウトマンから経験の浅いホステスを揃えることを助言される。燭台で働く元子は、楢林という院長と出会い、男女の関係を迫られるが頑なに断る。浜中から旅行に誘われ、預金を引き上げると脅されるが、元子は村井次長に重大な事実を告げる。
元子は、裏口座の預金横領を告白し、村井次長が保管していた架空口座リストを書き写した手帖を支店長に提出して辞表を出す。その後、銀行を出て帰宅し、親にバーを開く計画を打ち明けるが、資金繰りについては述べられない。元子は、ホステス探しに奮闘し、燭台のママから新規店舗の開設は難しいと言われるも、自らの意志を貫こうとする。一方、横領の問題を抱えた支店長と次長は本店で元子を懲戒免職するように指示を受けるが、支店長は村井に全ての責任を押し付ける。村井は元子を呼び出して金と手帖の返還を求めるが、元子は村井の弱みを利用して対抗する。
元子は、親元を離れ新しい生活を始めるにあたり、自分が銀座でバーを始めることを両親に口止めする。高級家具を買い、心機一転マンション暮らしを始める元子だが、銀行が手配した調査員により企みが知られてしまう。燭台で働く元子のもとに楢林が声をかけ、新規開店のために力を借そうとする。元子は断るが、巨額の隠し口座を持つ楢林を手に入れたいと考えてもいた。元子は帰りに立ち寄ったディスコで泥酔する波子を見つけ、世話をする。その夜、波子が燭台に現れる。
波子は燭台で働き始め、客からの評判も良く、ママからも高く評価されていた。しかし、ママは波子に他の店で働くことを勧める。波子の本当の狙いは元子が新しく開く店で働くことであり、元子は喜んで波子を自分のマンションに同居させ始めた。元子は新しい店の名前を「カルネ」(フランス語で「手帖」)と名付け、開店準備を進めていた。一方、村井次長は、元子を厳罰に処するよう銀行から命じられていた。また、燭台のママは元子が波子をカルネへ引き抜こうとしていることを見抜いており、元子はそのことを詫びるが、ママからは波子の狙いは別にある、と言われる…。
村井から詳細を聞かされた父親が元子のマンションに現れ、金を銀行に返して家に戻るよう説得するが、元子は拒否。楢林は波子に手を出し、元子は「カルネ」の開店準備を進めるが、大家が賃貸契約をキャンセルしたいと言い出す。銀行の差し金だと察した元子は、銀行本店に乗り込み、裏口座リストを持ち出し、キャンセル撤回を要求。タイムリミットを設定し、警察への自首を宣言した。その夜、元子は村井に呼び出されるのだった。
「燭台」での最後の日にママたちに別れの挨拶をした元子だが、同じく燭台からカルネに移る波子は顔を出さず、楢林と会っていた。元子は楢林を店の太い顧客として期待していたが、愛人になるのは避けたかった。一方、波子は楢林を自分のパトロンにしようと積極的だった。そんな中、元子は銀行に呼び出され、条件として「黒革の手帖」を渡すことで返金の要求は一切しないと言われる。元子は上層部の署名による念書を取ることに成功し、「カルネ」の開店準備を進める。しかし、実家では思わぬ問題が起こっていた…。
元子が経営するカルネは、オープン直後は順調だったが、半年後には営業成績が伸び悩む状況になっていた。そんな中、波子の積極的なアピールにより、常連客となった楢林は、波子を愛人にするのだった。しかし、元子は店の売上が厳しい中、ホステスの里子の妹を雇う提案を断る。さらに、スカウトマンの宮田から波子が自分の店を出そうとしているという情報を得る。元子は波子に話をしたいと呼び止めるが、波子が帰ってこないまま朝を迎える。
波子と元子の間での確執が深まっていた。波子は元子との約束をすっぽかし、早朝に帰宅した。元子は波子が無断で独立し店を開こうとしていることに怒り、仁義を欠いていると叱責する。波子は自分の存在がカルネを存続させていると主張し、いずれはカルネ以上の店を持つと豪語し部屋を出ていく。その後、波子はカルネに姿を見せず、楢林が泊まるホテルに身を寄せる。一方、元子は波子がカルネの上の階に店を開こうとしていることを知り、それを阻止するために新たな“黒革の手帖”を作成する。
元子は、楢林の実態を探るために、カルネのホステス・里子の妹である和江を見習い看護師として病院に潜入させる作戦を立てた。一方、波子は楢林の後ろ盾を利用して開店準備を進めており、贅沢な店の備品を揃えようとしていた。元子は、知己のあるインテリアコーディネーターの磯村を紹介するよう波子に要望されたが、断った。怒り心頭の波子に泣きつかれた楢林は、看護師長・中岡市子に現金2000万円を引き出させた。この金の用途を不審に思った市子は楢林の妻に相談した。一方、波子は磯村と直接接触を試みていた。
波子が去った後のカルネは、客が減り経営状態が厳しくなっていた。加えて、波子が開く店の噂が広まり、元子は不機嫌な日々を送っていた。一方、市子は楢林の妻から一通の手紙を渡され、波子の彼氏という男と会うことになる。その男は元子の策略であった。そこで市子は、波子が楢林からの資金援助を受けていることを知る。波子と縁を切るように迫る市子に、楢林は烈火のごとく怒りを見せる。また、市子と楢林のやり取りを和枝から聞いた元子は、楢林の攻略に手応えを感じる。一方、波子はスカウトの宮田を使い、カルネのホステスを自分の店に引き抜こうとしていた。
元子は波子のマンションを訪れ、カルネからホステスを引き抜くのを止めるよう忠告する。そして市子と直接会い、波子が楢林と関係を持ったことを詫びる一方、楢林にも責任があると指摘する。市子は元子の言葉に共感するが、楢林が波子のために全財産を投げ出す可能性に動揺する。元子は市子の寝返りに自信を抱き、同情の言葉をかけ、楢林の周辺の情報をさらに聞き出そうと、スパイの和江にある依頼をする。やがて病院を辞めることを決意した市子は、元子にその旨を伝える。しかし、そのやり取りを陰で盗み見る男がいた。
元子の前に、銀行の上司で次長だった村井が現れた。元子は村井から、支店長だった藤岡が自殺したと知らされる。さらに、元子が楢林の裏口座を狙っていることを知っていた村井は、元子に協力を持ちかける。一方、市子は楢林の妻に呼び戻され、病院を辞めないよう説得される。楢林の妻に借りがある市子は、病院を辞める決意が揺らぐ。波子は元子を疑う。波子は、元子が自分と楢林の関係を乱そうとしていると疑いを抱いていた。
村井の脅迫めいた言葉や行動に思い悩んだ元子は、妙な悪夢まで見るようになっていた。スカウトの宮田に村井の対処を依頼していた折、カルネに楢林が現れ、自分と波子との関係を市子に告げ口したのか元子を問いただすが、元子は白を切るのだった。一方、交通事故による怪我で入院中の村井は、見舞いに来た元子の言動に、交通事故が警告として意図的に起こされたことを察知し、戦慄する。そして元子から楢林の考えを聞かされた市子は、ある行動に出る。
楢林は市子が病院を辞めたことで苛立っていたが、元子からの誘いに上機嫌で出かけることになる。元子は週末に1泊旅行に行きたいと楢林を誘い、楢林は波子との約束をキャンセルして快諾する。しかし、旅行中に波子は楢林が自分にウソをついたことを知る。元子は楢林にカルネの改装資金を貸して欲しいと切り出す。楢林は条件をつけて金を貸そうとするが、その時、一本の電話がかかってくる。
波子は、楢林が元子と一緒にいるのではと直感し、伊豆の旅館の近くまで来ていた。楢林は、自分と波子の関係に妻が気がついていると波子を言いくるめ、その場をしのいだ。そんな中、元子は楢林に無担保無利子無期限で1億円を貸すよう要求する。金額と条件を強く拒絶する楢林だったが、楢林の架空名義預金や隠し財産のリストを元子に読み上げられ、渋々要求を呑むのだった。翌日、波子は楢林から店を処分するよう言われる。
楢林は複数の架空預金を解約し1億円を元子に渡した。元子が札束が入ったバッグを楢林に持たせタクシーを拾おうとしていると、偶然にも楢林の知人である医学進学ゼミナールの理事長・橋田と鉢合わせする。元子が勝利に酔いしれる一方で、楢林は市子に元子への協力を問い詰め、市子は必死で詫びる。楢林の妻は1億円程度で済んでよかったと話す。金を受け取らず、楢林の病院に戻ることを決意する市子に、元子は怒りを向け、なじるのだった。その夜、カルネに橋田が訪れる。
楢林から奪い取った1億円を使い、元子はカルネを改装し新たなホステスを獲得するため燭台の千鶴子を雇おうとする。燭台のママは、元子が千鶴子を引き抜こうとしていることに反対し、元子が大きな勘違いしていると指摘する。カルネの常連客となった橋田が大物国会議員・江口大介と交流があると知った元子は、橋田の仲介により数日後に江口と対面するも、挨拶程度の会話で終わり、肩透かしを食らったように戸惑う。
燭台のママの指摘に落ち込む元子は、カルネに出ても酒をあおる日々を送っていた。ある日、江口議員が料亭梅村で急死する。その後、しばらくカルネに現れなくなった橋田が、江口の愛人で梅村の仲居・島崎すみ江を元子に紹介する。すみ江は梅村に居づらくなったため、ホステスとしてカルネで雇ってほしいと元子に頼む。一方、橋田は江口の秘書である安島を連れてカルネに現れ、すみ江を雇うように説得する。しかし、橋田は安島が江口の妻と組んで梅村を乗っ取ろうとしていると元子に明かすのだった。
橋田は経営する予備校の校長だった江口虎雄を、利用価値がなくなったと判断し、解任した。一方、元子は梅村を手に入れようとし、仲居・すみ江に内情を探るよう依頼する。安島は橋田との付き合いをやめ、元子を歌舞伎見物に誘う。元子は梅村乗っ取りの話を尋ねるが、安島にはその気がなく、橋田の方が狙っているのではと疑う。その夜、すみ江から梅村の女将が橋田と組んで料亭を売ろうとしていることを知る。
梅村を訪れた橋田は、店を3億円で買い取りたいと女将に切り出すが、女将は4億円を下らないと話し、申し出を断る。橋田の動きに焦りを感じる元子。安島は次の選挙に出馬するつもりだったが、江口議員の妻が出馬することになり、自分の番は先送りせざるを得なくなる。元子は安島から、橋田が予備校のワンマン経営で裏口入学の斡旋料を荒稼ぎしていると聞かされる。数日後、橋田に校長を解任された江口がカルネに現れ、元子はあるリストの存在を知る。
安島との連絡が途絶え、安島が江口議員の後継争いに巻き込まれているという噂が広まっていた。元子は安島に会えないまま、橋田の梅村買収工作が進んでいることに焦りを感じていた。同時に、元子の前にすみ江が現れ、20万円を借りたいと頼むが、元子は最初断る。しかし、興信所の調査ですみ江には難病を抱えた娘がいる事情を知り、金を渡すことを決める。数日後ようやく安島との連絡が取れた元子は、江口元校長のリストについての情報を得る。
安島からの協力の申し出に安堵する元子。カルネには安島を次の選挙へ出馬させようと意気込む有志たちが集まっていた。閉店後、店外で元子は安島と今後のことを話し合うが、その場面を橋田に目撃されてしまう。翌日、橋田は元子に電話をかけ、以前交わした食事の約束を果たすように迫る。その後、すみ江を訪ね、そこに現れたすみ江の弟に元子は100万円を渡し、代わりにとある依頼をする。その夜、元子は橋田との食事の約束を渋々ながら果たすのだった。
元子は、すみ江の難病を抱えた娘の治療費を援助することと引き換えに、自分の身代わりになって橋田と男女の関係を結ぶよう、すみ江に頼み込む。すみ江は最初は断ろうとするが、渋々元子の説得を受け入れる。橋田は、ホテルに来たのが元子ではなくすみ江であることに最初は怒りながらも、すみ江と一夜を過ごす。一方、安島は梅村が1億円で抵当に入れられていること、支払期限がほんの数日後に迫っていることを知る。元子は、すみ江が橋田を生理的に嫌っていると知りながら、今後も橋田との肉体関係を続けるよう迫り、橋田は逆にすみ江を通して元子に揺さぶりをかけるのだった。
元子は、梅村の女将が橋田に店を売ろうとしていることを安島から聞き、自分が買い取りたいと話す。安島の仲介で女将と話し合った元子は、2億円を出資して店を共同所有することを提案した。しかし、その話をすみ江が聞いていた。一方で、橋田は安島と元子が男女の関係にあると疑念を抱き、安島の妻・亜矢子を巻き込む。まもなく梅村の抵当権を現金で買い取った橋田は、女将に梅村の売却を迫る行動に出る。元子はその情報を知らず、梅村に橋田だけがいることに驚く。
元子は、強奪された梅村を取り戻すために橋田に直接会い、3億円の出どころを問い詰めるが、橋田はしらを切る。橋田への復讐心に燃える元子は、安島から江口元校長の住所を聞き出し、江口に会いに行き、例のリストを見せて欲しいと頼むが、申し出を断られる。一方、すみ江は橋田からの協力金で娘の病気治療が成功し、胸を撫でおろしていた。江口は、支払われるべき退職金を巡る橋田の冷酷な仕打ちに怒り、元子にリストを手渡す。
元子は、江口から受け取った、橋田の裏口入学斡旋で得たカネの動きが明確に記載されているノートを徹底的に読み込み、橋田の不正な行為を確信する。元子はそれを写し取り、橋田との対決に備える。江口からは、橋田には気をつけるよう忠告を受ける。一方、安島は選挙への出馬を巡り、亜矢子との対立が激化する。元子は出張先から戻った橋田に会い、リストを使って揺さぶりをかけるが、橋田は江口がリストの出どころだと確信し、反撃に出る。元子は橋田から念書を取り付け、梅村を手中に収めたが、予期せぬ展開が待ち受けていた…。
橋田によって梅村の名義がすみ江に書き換えられたことを知った元子は動揺し、すみ江を問い詰めるが、すみ江は元子の自業自得だと反論する。さらにすみ江に水商売の経験が元子よりも上だと誇示され、元子は屈辱と落胆で、安島の前で弱気な態度を見せる。一方、橋田は暴力団とつながりのある権堂に息子の裏口入学を世話する代わりにとある依頼をする。元子は弁護士の川原に橋田との念書の鑑定を依頼するが、梅村を手に入れるにはすみ江から直接買うしかないと言われる。翌朝、江口が自宅の不審火で焼死したとのニュースが飛び込んできた。
江口老人の死に橋田が関与したのではないかと疑念を抱く元子は、自分のせいで江口が亡くなったという罪悪感に苛まれた。元子は橋田に直接会おうとするが、安島に止められる。その後、安島とホテルで一夜を共にした元子は、安島に銀行で働いていた頃の過去を告白する。翌日、元子が自宅に戻ると、部屋が何者かに荒らされていたが、隠していた手帖は残っていた。一方、安島は亜矢子に選挙への出馬を諦めたことを伝え、別居を願い出る。元子は橋田の行方を追い、楢林が脱税容疑で逮捕されたことを知る。そんな中、カルネに中岡市子が現れた。
逮捕された楢林の保釈金を出すようメスを突きつけ迫る市子から、間一髪逃れる元子。橋田と出くわし、元子への恨み言を口にする市子に橋田は保釈金5000万円を手渡す。一方、安島は、江口宅の火事を仕組んだのは橋田だと確信し、橋田を激しく詰問する。橋田は名誉棄損を主張しつつも、動揺していた。その夜、橋田に呼び出された元子の目の前に楢林と市子が現れる。二人は1億円を返すよう要求するが、元子は拒否。やがて、元子あてに銀座のテーラーから覚えのない請求が来る。その発注者は村井だった。
元子はテーラーから出てきた後、車に襲撃され負傷する。彼女は偶然の事故ではなく自分を狙った犯行と確信し、裏で橋田か市子の仕業を疑う。翌日の夜、カルネに権堂が現れ、村井と口論になる。権堂は村井を店の外に連れ出し、“足代”1万円と名刺を手渡す。一方、父に送ったプレゼントを突き返され実家に帰った元子が見たのは、病で記憶もおぼつかない母と、娘は死んだと突き放す父の姿だった。東京へ戻る途中、元子は偶然、波子と村井に出会うのだった。
予想外の出来事が続き、安島にすがろうと元子が事務所を訪れると、安島は亜矢子に事務所の契約を解約され、途方に暮れていた。気を取り直した安島は授業を受け持つ信州の大学へ教鞭を執りに向かうが、そこにも亜矢子の手は回っており、安島は音信不通に。安島の安否を不安に思う元子だが、安島が風邪をこじらせ寝込んでいることがわかり、元子は安島を自宅で看病する。同居生活に充実と幸せを感じる元子は、安島に自分の部屋にいてくれるよう懇願する。
亜矢子は安島を政治の世界に引き戻そうとするが、安島は拒否し、逆に亜矢子に離婚を迫る。亜矢子は高額な慰謝料を理由に拒否するが、安島は構わないと覚悟を見せる。夫を略奪した元子への復讐に燃える亜矢子は、橋田にすり寄る。その夜、カルネに黒服で強面の男たちが押し寄せる。さらに、店を辞めるホステスが後を絶たず、不穏な空気が支配する。そんな中、元子と安島は偶然かつての元子の同僚と遭遇し、元子が辞めた後の銀行内の話を聞く。
元子の留守中に村井がやって来て、元子と居ては危険だと吹き込まれた安島は、元子の過去を調べ始め、再び現れた村井から黒革の手帖を渡される。手帖には元子の勤務状況や架空名義預金横領の経過が詳細に記載されていた。翌日、村井は権藤の事務所に現れ、権藤は村井の持つ元子の情報に大金を払い、元子を追い落す結託を結ぶ。一方、元子の過去を把握した安島は、元子の銀行に対する行為を叱責するが、元子は復讐だったと主張する。
安島が元子の部屋から居なくなり1カ月が経過し、傷心も薄れ再び気持ちを奮い立たせる元子に、橋田から電話がかかる。顧問として雇った弁護士・川原の名を出すと、橋田は川原を恐れるような反応を示した。元子は店の改装のために川原に紹介されたデザイナー・井上から、六本木の「ルダン」という店への買い替えを提案される。物件を内見し気に入った元子は、とんとん拍子で契約を進めようとしていた。一方、権堂は金で村井から引き出した情報で東和銀行本店に乗り込み、揺さぶりをかけるが、銀行側の対応は意外なものだった。
元子は長谷川に呼び出され、ルダンの契約を白紙に戻すよう言われる。元子が理由を問うと、長谷川は自分の都合だとしか言わない。橋田による妨害を疑う元子は、弁護士・川原に相談する。川原の力で元子は晴れてルダンを買うことになり、川原が全額をいったん立て替えることになった。元子は、翌日、川原の立ち会いで長谷川とルダンの契約を交わし、登記手続きのために権利書を川原に渡す。帰宅途中、謎の吐き気と共に元子を衝撃の展開が待ち受けていた。
元子は、川原が実は東和銀行の顧問弁護士で、最大の敵だったことに愕然とする。カルネに行き着いた元子は、権堂に店を与えられた波子と乱闘となり、腹部を強打する。救急車で運ばれた先は、楢林病院だった。元子が意識を取り戻すと、そこには不敵に笑う楢林と市子の姿があった。権堂と村井から元子を襲った衝撃の出来事を知らされた安島は、退院した元子にすべてを悪夢だと割り切り忘れるようにと慰める。元子を連れて故郷・天草に帰る準備をするさなか、安島が急死する。すべてを失い、自分をどん底に尽き落とした者たちへの復讐に燃える元子は、カルネの跡に開店した波子の店に喪服姿で乗り込み、最後の賭けに出る。