村上あかり(瀧本美織)は、広島県尾道に暮らす高校3年生。鉄工所を営む父・錠(遠藤憲一)と母・真知子(安田成美)、そして2人の兄に囲まれ、男勝りに育ったあかりは、ある日、堤防でトランペットを手にする女性・田中初音(富司純子)を見かける。彼女が、そのトランペットを投げ捨てると、迷わず海に飛び込み拾い上げるあかり。初音は、あかりにあきれながらも「あんたが拾ったもんや」と、トランペットを残して去る。
あかり(瀧本美織)の前に現れた女性は、田中初音(富司純子)と名のり「娘・千春(木南晴夏)がいないか」と尋ねる。“千春”という名前を聞き動揺する母・真知子(安田成美)と父・錠(遠藤憲一)。真知子から、すでに千春が亡くなっていることを知らされショックを受けた初音は、1枚の写真を取り出す。あかりが生まれる直前の日付の写真には、両親と2人の兄、そしてお腹の大きな千春がいっしょに写っていた。
真知子(安田成美)の計らいで、初音(富司純子)は、村上家に1泊することに。翌朝、あかり(瀧本美織)が目覚めると初音の姿はなく、トランペットだけが残されていた。錠(遠藤憲一)たち家族は、出生の秘密を知ったあかりを気遣って明るく振る舞うが、どうやって事情を話せばいいのかわからず、苦しんでいた。そんな中、あかりは、やり場のない気持ちを振り払うように、吹奏楽部の最後の演奏会に向けて、練習に打ち込む。
家族やクラスメートたちの前では、明るくふるまうあかり(瀧本美織)。しかし“自分がトランペット好きなのは、実母から受け継いだ性格なのでは”と、独り悩んでいた。最後の演奏会に向けての練習中、あかりは遂にトランペットが吹けなくなり、教室を飛び出してしまう。父の幼なじみで僧侶・隆円(尾美としのり)に気持ちをぶつけたあかりは、トランペットを初音(富司純子)に返すため、大阪へ行くことを決める。
あかり(瀧本美織)は初音(富司純子)にトランペットを返そうと大阪へ向かう。初音は、あかりを部屋に通すが、トランペットを頑として受け取らない。ねばるあかりに、初音は「それなら、このトランペットを吹いて音楽のすばらしさを教えてくれ」と言う。そこに、冬美(ともさかりえ)という女性が現れ「商店街のイベントライブで、トランペットのピンチヒッターを務めてほしい」と言われ、あかりはそのまま連れて行かれる。
あかり(瀧本美織)が演奏をためらっていると、視線の先に初音(富司純子)が現れる。すると、挑むようにトランペットを吹き始めた。あかりは尾道にいる母(安田成美)や父(遠藤憲一)を思いながら演奏し、初音は亡き娘(木南晴夏)を思い出していた。ライブが終わり、冬美(ともさかりえ)たちとお好み焼き屋へ行ったあかりは、岩崎(柏原収史)から「トランペットとの相性がよい」と言われ、再び初音の家を訪ねる。
実母の形見のトランペットを大阪に住む祖母・初音(富司純子)に返して来たあかり(瀧本美織)だが「育ててくれた家族に恩返しせなな」という初音の言葉が引っ掛かっていた。次兄・鉄平(森田直幸)がトランペットを尾道に持ち帰ってきたことから、あかりは家族の前で「高校卒業後は尾道で就職する」と宣言。父・錠(遠藤憲一)は喜びを隠せずにいるが、母・真知子(安田成美)は“あかりに大阪で何か起きたのでは”と察知する。
あかり(瀧本美織)は、親友・加奈(朝倉あき)に「定期演奏会を最後にトランペットをやめ、就職活動に専念する」と言う。錠(遠藤憲一)は「親もとを離れたくない」と言う娘の言葉を信じ込もうとしていたが、真知子(安田成美)はあかりの決意の裏に、初音(富司純子)の影を感じていた。そんな時、あかりは長兄・欽也(遠藤要)から「養子になった経緯を知りたければ自分に聞け」と促され、おそるおそる何があったのか切り出す。
あかり(瀧本美織)が音楽の夢を捨て、就職すると言いだしたことに違和感を覚えた真知子(安田成美)は、産みの母・千春(木南晴夏)との出会いを話そうとするが、あかりは「聞きたくない」と怒りだす。秋になり、あかりの就職活動が始まった。担任の島田(おかやまはじめ)は「大阪によい就職口がある」と説得するが、尾道にこだわるあかりの就職先はなかなか決まらない。そして、あかりは高校最後の演奏会の日を迎えるが…。
あかり(瀧本美織)の高校最後の演奏会に、錠(遠藤憲一)と真知子(安田成美)が駆けつけたが、娘のいない舞台に戸惑う。就職活動を終えて、演奏会場に駆けつけたあかりに、親友の加奈(朝倉あき)は「なぜ就職にこだわるのか」と問いかける。自分が村上家の養子だったことを打ち明け「だからこそ尾道で家族に恩返しをしたい」と答えるあかり。一方、本音を語らないあかりに、業を煮やした真知子は、翌朝、尾道から姿を消す。
「妻が家出をした」と騒ぐ錠(遠藤憲一)をよそに、真知子(安田成美)は大阪の初音(富司純子)を訪ね、あかり(瀧本美織)の変調の理由を問いただしていた。「二度と村上家とかかわるつもりはない」とかわす初音。そこに「母が来ていないか」とあかりが電話をかけてくる。「家族に恩返しせな、あかんで」と念を押す初音に、真知子は怒りを抑えながら「18年前の今日、あかりが産まれた」と、2つのケーキを置いて行く。
“初音(富司純子)を見返したい”と、あかり(瀧本美織)は錠(遠藤憲一)の反対を押し切り、大阪の会社に就職を決めた。春、あかりが大阪へ出発する日。錠は「久太(柳沢慎吾)に部品を納入した船の進水式がある」と、見送りに現れない。真知子(安田成美)に背を押され、渡り船に乗るあかり。そこに進水式に出席していた欽也(遠藤要)から電話がかかってくる。受話器の向こうから響くのは、錠が娘に向けて絶叫する祝辞だった。
就職のため、大阪に出て来たあかり(瀧本美織)は、意気揚々と祖母・初音(富司純子)を訪ね「自立した自分を見てくれ」とタンカを切る。冷たくあしらいながらも、孫が大阪に来たことに動揺する初音。一方、あかりは、ひょんなことから職を失い、さらにその事実を父・錠(遠藤憲一)や母・真知子(安田成美)に言いそびれてしまう。大阪に残ることを決意したあかりは、仕事を探し回るが、その惨めな姿を初音に目撃されて…。
あかり(瀧本美織)は旧知のかつお節会社を訪ね、社長の浜野(趙タミ和)に、自分を雇ってくれと頼む。事務員の小夜子(川中美幸)から猛反対されたものの、何とか職を得たあかり。職人・神田(赤井英和)に案内された下宿は、初音(富司純子)の家だった。“背に腹は代えられない”と頭を下げるあかり。だが、初音は「空き部屋がない」と冷たい。それでも居座ろうとするあかりに「なぜ尾道に帰らないのか」と初音が問いかける。
あかり(瀧本美織)は、冬美(ともさかりえ)から、下宿の中に「開かずの間」があることを聞かされる。神田(赤井英和)や長谷川(竜雷太)に、そこが何だったのかを尋ねて回るあかりだが、2人とも口を濁すばかり。一方、あかりが初音(富司純子)といっしょに暮らしていると知った真知子(安田成美)は、錠(遠藤憲一)にどう伝えるか悩んでいた。夜、あかりは偶然「開かずの間」を覗いてしまうが、そこに初音が現れ…。
初音(富司純子)に、たたかれたあかり(瀧本美織)は、開かずの間に入ったことをわび、実母・千春(木南晴夏)のことを知りたいと頼むが、初音は「これ以上かき回すな」と拒絶する。実母への思いを働くことで振り切ろうとするあかり。そんな矢先、神田(赤井英和)から、初音が交通事故にあったと聞かされたあかりは病院に走る。一方尾道では、真知子(安田成美)が、娘と初音が同居している事実を誰にも言えずに悩んでいた。
初音(富司純子)が事故にあったと聞き、あかり(瀧本美織)は慌てて病院に駆けつける。受付で叫ぶように話すあかりに初音が声をかける。「かすり傷だ」と言う初音に、あかりは自分のせいで初音が傷ついたのではないかと泣きながら言う。かつお節会社に戻ったあかりは、社長の浜野(趙タミ和)から「気分転換に」とバンド練習に誘われる。そのころ尾道では、錠(遠藤憲一)が初音の所にあかりがいると知り、大騒動になっていた。
あかり(瀧本美織)の前に、突然、父・錠(遠藤憲一)と母・真知子(安田成美)が現れる。錠はあかりを連れ戻そうとやって来たのだ。初音(富司純子)は“関係ない”とばかりに、話をしない。錠は「かつお節会社で働くために大阪に来たのか?」と、あかりに言う。錠たちに連れられていくあかりを見送りもしない初音であったが、ふいに18年前、娘・千春(木南晴夏)が家を出て行った日の光景を思い出し、あかりを追って走り出す。
あかり(瀧本美織)が大阪に住み始めて1か月。陸上部の合宿所を飛び出した滝沢(長田成哉)を、コーチの根本(松田悟志)が呼び戻しに来た。「ほかの選手といっしょでは練習にならない」と断る滝沢を、冬美(ともさかりえ)が、たしなめたことから2人はケンカに。冬美をかばおうとするあかりに、初音(富司純子)は「他人の事情に踏み込むな」と忠告。ひとつ屋根の下で暮らすのにバラバラな下宿人たちを、あかりは変だと感じ…。
あかり(瀧本美織)は、自称モデルの冬美(ともさかりえ)がうどん屋でアルバイトをしていると知る。明るく振る舞う冬美だが傷ついているのは明らかで、あかりは「他人にかかわるな」と言う初音(富司純子)の真意を理解する。そんな時、民男(前田航基)がイジメを受けた様子で小学校から帰って来た。心配するあかりに、民男は「ほっといて」と言う。本当にほっといてよいか、あかりは初音の忠告と自分の思いの間で揺れる。
あかり(瀧本美織)は、民男(前田航基)の誕生日が近いことを知り「せめて、その日くらいは下宿のみんなで夕食を囲もう」と提案する。冬美(ともさかりえ)と笹井(神戸浩)は賛同するが、初音(富司純子)は「母親にでもなる気か」と冷たい。初音は食い下がるあかりに「下宿人が全員そろうなら」と条件をつける。勇んだあかりは滝沢(長田成哉)に「食事をいっしょに食べよう」と持ちかけるが、自分のペースがあると拒絶され…。
夕食を下宿のみんなで食べることを賭け、あかり(瀧本美織)は滝沢(長田成哉)の陸上練習に必死についていった。しかし、冬美(ともさかりえ)の声援もむなしく、ついにあかりの足は動かなくなり…。「なぜ他人のためにそこまでするのか」。初音(富司純子)は、遠くから孫の背中を見つめていた。民男(前田航基)の誕生日、あかりたち有志が民男を囲んで夕食を食べようとしたその時、初音が滝沢の部屋を訪れ、ある提案をする。
あかり(瀧本美織)が仕事から帰ってくると、初音(富司純子)が加奈(朝倉あき)に肩もみをさせている。あかりは、仲むつまじい姿にヤキモチを焼く。加奈は「お見合いを勧める父(柳沢慎吾)とケンカをして来た」と言う。そしてバッグから、あかりの産みの母・千春(木南晴夏)が残したトランペットを取り出した。「仕事をしながらでも、音楽は続けられる」と言う加奈に、あかりは「そのトランペットは実母の形見だ」と告げる。
あかり(瀧本美織)から千春(木南晴夏)のことを聞かれ、初音(富司純子)は「トランペットを買ったせいで、自分には理解できない音楽に娘を奪われた」と、複雑な心境を明かす。“祖母と産みの母の確執は、もはや解けない”と思い悩むあかり。そうとは知らず冬美(ともさかりえ)は「行動するのがあかりだ」と励ます。そんな時、あかりは長谷川(竜雷太)から「初音は娘のトランペット練習をのぞきに行っていたはず」と聞き…。
浜勝で社会科見学が行われ、あかり(瀧本美織)は、小学生に商品知識のなさを見抜かれる。社長・浜野(趙タミ和)から、名誉ばん回のため、次回の見学を担当するよう命じられる。冬美(ともさかりえ)から「だしを使った料理を食べてもらえば」とアドバイスされ、あかりは初音(富司純子)から、だし巻き玉子の作り方を盗もうと、台所に陣取る。しかし邪魔者扱いされ尾道の真知子(安田成美)に電話で作り方を教えてもらうが…。
社会科見学で、あかり(瀧本美織)は真知子(安田成美)から教わっただし巻き玉子を民男(前田航基)たち小学生にふるまうが、イマイチの評判。落ち込むあかりに、初音(富司純子)は「冷めただし巻きは、しょっぱくなる」と言う。「なぜ先に教えてくれなかったのか」と問うあかりに、「味と思い出は変えられないから」と初音は答える。そんな折、兄・欽也(遠藤要)が来る。あかりは初音との関係を下宿人に隠そうとするが…。
あかり(瀧本美織)の兄・欽也(遠藤要)の失言で、あかりと初音(富司純子)が実の孫と祖母の関係であること、そしてあかりは村上家の養子であり、父親が誰かも知らないことが冬美(ともさかりえ)たち下宿人に知られてしまう。あかりを気遣いホットプレートでお好み焼きパーティーをしようとする下宿人たちを、あかりは初音が嫌がるからと引きとめる。それを聞いた初音は、意外にも「焼いてやれ」と言うが…。
長谷川(竜雷太)の失言で、開かずの間がお好み焼き屋だったことが下宿人に知られてしまう。あかり(瀧本美織)は初音(富司純子)をなだめようとするが、意外にも初音はサバサバしており、実の父の存在を気にするあかりに、さり気ない優しさをみせる。何かが変わり始めるなか、仕事に打ち込むあかりは工場でバンド練習を始める社長の浜野(趙タミ和)を目撃。止めようとしているところに小夜子(川中美幸)が戻って来て…。
社長の浜野(趙タミ和)は、かつお節工場でのバンド練習をとがめる小夜子(川中美幸)に「あんたが社長になればいい」と言い、失そうしてしまう。社員を動揺させまいと懸命に働く小夜子をよそに、浜野は笹井(神戸浩)の部屋に潜り込んでいた。会社に戻るよう、あかり(瀧本美織)が説得するものの浜野は「社長を辞める」と言って聞かない。すると初音(富司純子)が小夜子を下宿に呼び出し「なぜ、ダメ社長をかばうのか」と尋ねる
初音(富司純子)は「小夜子(川中美幸)の送別会をする」と、あかり(瀧本美織)に下宿人たちを集めさせる。冬美(ともさかりえ)に促され、あかりがお好み焼きの準備を始めると、初音は2階に隠れている浜野(趙タミ和)を連れてくるように言う。説得するあかりに、浜野は小夜子との思い出を話し、また1階では小夜子が、浜野が昔作ったお好み焼きの思い出を話していた。初音は、あかりがやりかけた、お好み焼きの準備を始める。
お盆の季節になり、あかり(瀧本美織)は尾道に帰省するつもりだった。しかし、あかりは、くじ引きの結果、お盆休み中「浜勝」の電話番をすることになってしまう。そのことで、尾道の錠(遠藤憲一)たち家族は落胆。一方、初音(富司純子)の心境は複雑。あかりは伝(竜雷太)から「初音は喜んでいるんではないか」と言われ、初音の気持ちを思いやる。そんな折、浜野(趙タミ和)が「電話番を代わって欲しい」とあかりに言いだす。
あかり(瀧本美織)は、お盆休みを利用し尾道へ帰省する。初音(富司純子)は、少し寂しそうであるが、あかりには、そんなそぶりを見せないでいた。あかりが尾道に着くと、下宿人の滝沢(長田成哉)が突然現れる。兄・欽也(遠藤要)の勧めで、駅伝の練習にやって来たと言う。宿泊先も、あかりの家。あかりは憤慨する。夜になり、欽也が家に帰ってくると、欽也が「課長を殴ってきた」と言いだし、あかりは驚がくする。
兄・欽也(遠藤要)が、上司を殴った理由を尋ねる父・錠(遠藤憲一)。多くを語らない欽也だったが、あかり(瀧本美織)が養子であることが原因のようだった。そのことを偶然知ったあかりは、欽也になんと声をかけていいか分からないでいた。そんな折、親友の加奈(朝倉あき)から、見合い話が進められていることを聞かされる。加奈の父・久太(柳沢慎吾)が経営する造船所の経営不振が理由だと言うのだが…。
花火を見に行ったあかり(瀧本美織)は、加奈(朝倉あき)から「家族のためにお見合いをする」と告げられる。それを聞いた錠(遠藤憲一)は、久太(柳沢慎吾)に「娘を身売りする気か」と詰め寄るが、久太は「娘に苦労をかけたくないと思うのは間違いか」と問い返す。一方、思い詰めた加奈は、思いを寄せていたあかりの兄・鉄平(森田直幸)に告白することを決意。あかりが取り持ち、加奈に向かい合う鉄平。その返事は…。
台風の接近と合わせたように、あかり(瀧本美織)が大阪へ帰って来た。孫の帰りを待つ初音(富司純子)は落ち着かないが、それを冬美(ともさかりえ)にからかわれると、強がって平然を装う。一方、あかりの帰宅を喜ぶ伝(竜雷太)は初音の寂しげな後ろ姿に、つい「家族にならないか」と言ってしまう。その告白を聞き、あかりは激しく動揺する。夜、風雨はどんどん強まり、ついに「開かずの間」の戸が吹き飛ばされてしまう。
台風は勢いを増し、お好み焼き屋だった空き店舗の戸を吹き飛ばす。あかり(瀧本美織)は、なすすべもなく立ち尽くすが、駆けつけた初音(富司純子)が必死に店を守ろうとする姿に、われに返った。そして、滝沢(長田成哉)たち下宿人といっしょに、風雨にさらされる店舗に板を打ちつけ、被害を食い止める。初音が下宿に戻って来ないため、尾道土産で鍋を作る下宿人たちが、初音のことを語るのを聞き、あかりは温かい涙を流す。
アルバイトで、こつこつ貯金をしてきた冬美(ともさかりえ)が、ついにショットバーを開く決意をし、あかり(瀧本美織)が勤める「浜勝」に、出店のアドバイザーを依頼する。あかりが冬美の手伝いを申し出たころ、兄・鉄平(森田直幸)が田中荘に転がり込んで来る。どうやら、ささいなことで父・錠(遠藤憲一)とケンカし、家出してきたようだ。一方、冬美の元には姉・夏代(久保田磨希)から、実家の援助を求める手紙が届くが…。
冬美(ともさかりえ)を訪ねて来た姉の夏代(久保田磨希)が「実家の料理屋の経営が思わしくない」と資金援助を申し込む。「自分の店を開くので協力できない」と断る冬美だが、あかり(瀧本美織)は冬美が揺れているように感じた。店舗も見つかり開店準備が整うなか、時々うわの空になる冬美をあかりは心配するが初音(富司純子)から「他人の人生に余計な口出しをするな」とクギをさされる。そして、店の本契約の日が来た。
契約目前に迫った冬美(ともさかりえ)の店は、経営難の実家に開店資金の一部を送金したため取りやめとなってしまう。冬美を励まそうと、あかり(瀧本美織)は残念会を開くが、小夜子(川中美幸)から「残った資金でも店なら開ける」と言われ、冬美は尾道風お好み焼き屋を開くことを思いつく。酔いに任せて初音(富司純子)に「“開かずの間”を貸してほしい」と言う冬美に、あかりは「ここは大事な場所」と、たしなめるが…。
あかり(瀧本美織)と冬美(ともさかりえ)は、初音(富司純子)に「晴れたら店を貸す」と言われたが、予想外の雨が降り“開かずの間”を借りられなくなった。あかりは“少しでも冬美の役に立ちたい”と別の場所を探し回るが、初歩的なミスを小夜子(川中美幸)に指摘されるなど経験不足は否めない。「なぜ他人のために頑張るのか」と冬美から問われ、あかりは、音楽を諦めてから夢を見失った心境を語り始める。
家に帰らない鉄平(森田直幸)の気持ちを確かめようと、尾道から真知子(安田成美)が来た。あかり(瀧本美織)は、鉄平の家出の原因が「兄・欽也(遠藤要)に、鉄工所の後継ぎを譲るためでは?」と聞かされ、何とか鉄平を真知子に向き合わせたいと考える。一方、母心が痛いほどわかる初音(富司純子)は、真知子といっしょに食事の準備をし、そこで、亡き娘・千春(木南晴夏)が村上家で料理をしていたという意外な話を聞く。
初音(富司純子)の心変わりで、ついに“開かずの間”が開くことになった。あかり(瀧本美織)が冬美(ともさかりえ)と喜びをかみしめていると、夏代(久保田磨希)が現れる。父から託された商売繁盛のダルマを冬美に渡し「両親が冬美の夢を応援している」と、仕送りの金も返される。強がって開店準備に集中する冬美に、あかりは、かける言葉もない。一方初音は、夏代から、実家の郷土料理の作り方を聞き出していた。
あかり(瀧本美織)は冬美(ともさかりえ)の留守を守り、お好み焼き屋の開店準備に大忙し。初音(富司純子)は、憎まれ口をたたきながらも、予算表に目を通すなど店の行く末を気にしている。一方、鉄平(森田直幸)が、さびた鉄板を磨き始めると、錠(遠藤憲一)は“鉄板をダメにするのでは”と心配で、しかたがない。そんな折、滝沢(長田成哉)たちは“店が出来ることで、静かな生活が乱されるのでは”と危ぐし始める。
あかり(瀧本美織)は中岡(松尾諭)たちから、お好み焼き屋の開店を反対され、ショックを受ける。初音(富司純子)は「下宿人の気持ちを確かめなかった方が悪い」と取りつく島もない。尾道では鉄平(森田直幸)が心配な錠(遠藤憲一)を、何とか大阪へ行かせようと、真知子(安田成美)たちが、あれこれ画策していた。そんな折、ついに鉄板が磨き上がる。試し焼きをするため、あかりは鉄板に21年ぶりの火を入れる。
鉄平(森田直幸)が磨いた鉄板を心配して錠(遠藤憲一)が大阪へ来るが「いいかげんな仕事だ」と言い、親子ゲンカに。あかり(瀧本美織)が仲裁をしていると、冬美(ともさかりえ)が新潟から帰って来る。「父親の体調がすぐれず、店を諦めて実家に帰る」と頭を下げる冬美。慰めようと、あかりがお好み焼きを焼くと長谷川(竜雷太)が「また“開かずの間”に逆戻りか」と寂しそうにつぶやく。あかりは、それを聞き…。
あかり(瀧本美織)が「冬美(ともさかりえ)の夢を継ぎ、お好み焼き屋をやりたい」と言い、初音(富司純子)の心中は穏やかでない。初音は錠(遠藤憲一)に「あかりに、あきらめるよう説得してほしい」と頼むが、錠は“娘の思いをくんでやりたい”と思いつつ、初音が許さないと決めつけていた。浜勝へ行った錠は、神田(赤井英和)から「初音が店の準備を心配していた」と聞かされる。錠が船の修理をしていると、あかりが来て…。
冬美(ともさかりえ)が準備途中で開店をあきらめた、お好み焼き屋の問題を決着させようと、初音(富司純子)はあかり(瀧本美織)と冬美、小夜子(川中美幸)を部屋に呼び、それぞれの考えを問いただす。冬美は「あかりになら後を託したい」と言い、小夜子は「会社として協力は惜しまない」と答える。あかりから「大阪と尾道をつなげる場所にしたい」と熱い思いを聞いた初音は、200万円を出しあかりに借金するよう迫る。
あかり(瀧本美織)のお好み焼き店「おのみっちゃん」が開店した。あかりと冬美(ともさかりえ)は、緊張して客を待つ。台所には、あかり以上に緊張する初音(富司純子)がいた。だが次々と来る客は、伝(竜雷太)や浜勝の面々。“知り合いが最初の客では具合が悪い”と気を利かす伝たちだったが、ついに新規の2人連れが…。店の船出を見届けた冬美は、あかりに「いつでも星は見えるよ」と、謎のことばを残して新潟へ帰って行く。
あかりは、午後までは、かつお節会社で働き、夕方からは、お好み焼き屋を開く多忙な生活を始めた。しかし、客足は次第に遠のき、長谷川たち、なじみの客ばかりになってしまう。心配した小夜子から「大阪のお好み焼きを出せば、客が増えるはず」と言われるが、あかりは尾道の味にこだわった。ある日、民男に「離れて暮らす母も、いっしょに暮らす父も、どっちも好きだ」と言われ…。
あかり(瀧本美織)は、大阪のお好み焼きに取り組むが納得のゆく味が作りだせない。試作品を長谷川伝(竜雷太)に試食してもらうが「もう一回この店に来ようとは思わん」と言われる始末。それでもあきらめないあかりに、鉄平(森田直幸)は「なぜ尾道のお好み焼きで勝負しないのか」と反発し店を飛び出す。あかりは「初音(富司純子)が作っていたお好み焼きは、ほっとする味だった」と長谷川から聞きある決意をする。