村上あかり(瀧本美織)は、広島県尾道に暮らす高校3年生。鉄工所を営む父・錠(遠藤憲一)と母・真知子(安田成美)、そして2人の兄に囲まれ、男勝りに育ったあかりは、ある日、堤防でトランペットを手にする女性・田中初音(富司純子)を見かける。彼女が、そのトランペットを投げ捨てると、迷わず海に飛び込み拾い上げるあかり。初音は、あかりにあきれながらも「あんたが拾ったもんや」と、トランペットを残して去る。
あかり(瀧本美織)の前に現れた女性は、田中初音(富司純子)と名のり「娘・千春(木南晴夏)がいないか」と尋ねる。“千春”という名前を聞き動揺する母・真知子(安田成美)と父・錠(遠藤憲一)。真知子から、すでに千春が亡くなっていることを知らされショックを受けた初音は、1枚の写真を取り出す。あかりが生まれる直前の日付の写真には、両親と2人の兄、そしてお腹の大きな千春がいっしょに写っていた。
真知子(安田成美)の計らいで、初音(富司純子)は、村上家に1泊することに。翌朝、あかり(瀧本美織)が目覚めると初音の姿はなく、トランペットだけが残されていた。錠(遠藤憲一)たち家族は、出生の秘密を知ったあかりを気遣って明るく振る舞うが、どうやって事情を話せばいいのかわからず、苦しんでいた。そんな中、あかりは、やり場のない気持ちを振り払うように、吹奏楽部の最後の演奏会に向けて、練習に打ち込む。
家族やクラスメートたちの前では、明るくふるまうあかり(瀧本美織)。しかし“自分がトランペット好きなのは、実母から受け継いだ性格なのでは”と、独り悩んでいた。最後の演奏会に向けての練習中、あかりは遂にトランペットが吹けなくなり、教室を飛び出してしまう。父の幼なじみで僧侶・隆円(尾美としのり)に気持ちをぶつけたあかりは、トランペットを初音(富司純子)に返すため、大阪へ行くことを決める。
あかり(瀧本美織)は初音(富司純子)にトランペットを返そうと大阪へ向かう。初音は、あかりを部屋に通すが、トランペットを頑として受け取らない。ねばるあかりに、初音は「それなら、このトランペットを吹いて音楽のすばらしさを教えてくれ」と言う。そこに、冬美(ともさかりえ)という女性が現れ「商店街のイベントライブで、トランペットのピンチヒッターを務めてほしい」と言われ、あかりはそのまま連れて行かれる。
あかり(瀧本美織)が演奏をためらっていると、視線の先に初音(富司純子)が現れる。すると、挑むようにトランペットを吹き始めた。あかりは尾道にいる母(安田成美)や父(遠藤憲一)を思いながら演奏し、初音は亡き娘(木南晴夏)を思い出していた。ライブが終わり、冬美(ともさかりえ)たちとお好み焼き屋へ行ったあかりは、岩崎(柏原収史)から「トランペットとの相性がよい」と言われ、再び初音の家を訪ねる。
実母の形見のトランペットを大阪に住む祖母・初音(富司純子)に返して来たあかり(瀧本美織)だが「育ててくれた家族に恩返しせなな」という初音の言葉が引っ掛かっていた。次兄・鉄平(森田直幸)がトランペットを尾道に持ち帰ってきたことから、あかりは家族の前で「高校卒業後は尾道で就職する」と宣言。父・錠(遠藤憲一)は喜びを隠せずにいるが、母・真知子(安田成美)は“あかりに大阪で何か起きたのでは”と察知する。
あかり(瀧本美織)は、親友・加奈(朝倉あき)に「定期演奏会を最後にトランペットをやめ、就職活動に専念する」と言う。錠(遠藤憲一)は「親もとを離れたくない」と言う娘の言葉を信じ込もうとしていたが、真知子(安田成美)はあかりの決意の裏に、初音(富司純子)の影を感じていた。そんな時、あかりは長兄・欽也(遠藤要)から「養子になった経緯を知りたければ自分に聞け」と促され、おそるおそる何があったのか切り出す。
あかり(瀧本美織)が音楽の夢を捨て、就職すると言いだしたことに違和感を覚えた真知子(安田成美)は、産みの母・千春(木南晴夏)との出会いを話そうとするが、あかりは「聞きたくない」と怒りだす。秋になり、あかりの就職活動が始まった。担任の島田(おかやまはじめ)は「大阪によい就職口がある」と説得するが、尾道にこだわるあかりの就職先はなかなか決まらない。そして、あかりは高校最後の演奏会の日を迎えるが…。
あかり(瀧本美織)の高校最後の演奏会に、錠(遠藤憲一)と真知子(安田成美)が駆けつけたが、娘のいない舞台に戸惑う。就職活動を終えて、演奏会場に駆けつけたあかりに、親友の加奈(朝倉あき)は「なぜ就職にこだわるのか」と問いかける。自分が村上家の養子だったことを打ち明け「だからこそ尾道で家族に恩返しをしたい」と答えるあかり。一方、本音を語らないあかりに、業を煮やした真知子は、翌朝、尾道から姿を消す。
「妻が家出をした」と騒ぐ錠(遠藤憲一)をよそに、真知子(安田成美)は大阪の初音(富司純子)を訪ね、あかり(瀧本美織)の変調の理由を問いただしていた。「二度と村上家とかかわるつもりはない」とかわす初音。そこに「母が来ていないか」とあかりが電話をかけてくる。「家族に恩返しせな、あかんで」と念を押す初音に、真知子は怒りを抑えながら「18年前の今日、あかりが産まれた」と、2つのケーキを置いて行く。
“初音(富司純子)を見返したい”と、あかり(瀧本美織)は錠(遠藤憲一)の反対を押し切り、大阪の会社に就職を決めた。春、あかりが大阪へ出発する日。錠は「久太(柳沢慎吾)に部品を納入した船の進水式がある」と、見送りに現れない。真知子(安田成美)に背を押され、渡り船に乗るあかり。そこに進水式に出席していた欽也(遠藤要)から電話がかかってくる。受話器の向こうから響くのは、錠が娘に向けて絶叫する祝辞だった。
就職のため、大阪に出て来たあかり(瀧本美織)は、意気揚々と祖母・初音(富司純子)を訪ね「自立した自分を見てくれ」とタンカを切る。冷たくあしらいながらも、孫が大阪に来たことに動揺する初音。一方、あかりは、ひょんなことから職を失い、さらにその事実を父・錠(遠藤憲一)や母・真知子(安田成美)に言いそびれてしまう。大阪に残ることを決意したあかりは、仕事を探し回るが、その惨めな姿を初音に目撃されて…。
あかり(瀧本美織)は旧知のかつお節会社を訪ね、社長の浜野(趙タミ和)に、自分を雇ってくれと頼む。事務員の小夜子(川中美幸)から猛反対されたものの、何とか職を得たあかり。職人・神田(赤井英和)に案内された下宿は、初音(富司純子)の家だった。“背に腹は代えられない”と頭を下げるあかり。だが、初音は「空き部屋がない」と冷たい。それでも居座ろうとするあかりに「なぜ尾道に帰らないのか」と初音が問いかける。
あかり(瀧本美織)は、冬美(ともさかりえ)から、下宿の中に「開かずの間」があることを聞かされる。神田(赤井英和)や長谷川(竜雷太)に、そこが何だったのかを尋ねて回るあかりだが、2人とも口を濁すばかり。一方、あかりが初音(富司純子)といっしょに暮らしていると知った真知子(安田成美)は、錠(遠藤憲一)にどう伝えるか悩んでいた。夜、あかりは偶然「開かずの間」を覗いてしまうが、そこに初音が現れ…。
初音(富司純子)に、たたかれたあかり(瀧本美織)は、開かずの間に入ったことをわび、実母・千春(木南晴夏)のことを知りたいと頼むが、初音は「これ以上かき回すな」と拒絶する。実母への思いを働くことで振り切ろうとするあかり。そんな矢先、神田(赤井英和)から、初音が交通事故にあったと聞かされたあかりは病院に走る。一方尾道では、真知子(安田成美)が、娘と初音が同居している事実を誰にも言えずに悩んでいた。
初音(富司純子)が事故にあったと聞き、あかり(瀧本美織)は慌てて病院に駆けつける。受付で叫ぶように話すあかりに初音が声をかける。「かすり傷だ」と言う初音に、あかりは自分のせいで初音が傷ついたのではないかと泣きながら言う。かつお節会社に戻ったあかりは、社長の浜野(趙タミ和)から「気分転換に」とバンド練習に誘われる。そのころ尾道では、錠(遠藤憲一)が初音の所にあかりがいると知り、大騒動になっていた。
あかり(瀧本美織)の前に、突然、父・錠(遠藤憲一)と母・真知子(安田成美)が現れる。錠はあかりを連れ戻そうとやって来たのだ。初音(富司純子)は“関係ない”とばかりに、話をしない。錠は「かつお節会社で働くために大阪に来たのか?」と、あかりに言う。錠たちに連れられていくあかりを見送りもしない初音であったが、ふいに18年前、娘・千春(木南晴夏)が家を出て行った日の光景を思い出し、あかりを追って走り出す。
あかり(瀧本美織)が大阪に住み始めて1か月。陸上部の合宿所を飛び出した滝沢(長田成哉)を、コーチの根本(松田悟志)が呼び戻しに来た。「ほかの選手といっしょでは練習にならない」と断る滝沢を、冬美(ともさかりえ)が、たしなめたことから2人はケンカに。冬美をかばおうとするあかりに、初音(富司純子)は「他人の事情に踏み込むな」と忠告。ひとつ屋根の下で暮らすのにバラバラな下宿人たちを、あかりは変だと感じ…。
あかり(瀧本美織)は、自称モデルの冬美(ともさかりえ)がうどん屋でアルバイトをしていると知る。明るく振る舞う冬美だが傷ついているのは明らかで、あかりは「他人にかかわるな」と言う初音(富司純子)の真意を理解する。そんな時、民男(前田航基)がイジメを受けた様子で小学校から帰って来た。心配するあかりに、民男は「ほっといて」と言う。本当にほっといてよいか、あかりは初音の忠告と自分の思いの間で揺れる。