元・加賀藩剣術指南役、斑目久太郎(北村一輝)。 かつては“まだら鬼”と呼ばれ、剣豪として名を馳せていたが、一匹の白猫・玉之丞との出会いで人生が変わった。 一度は里に残していた妻子の元に戻ったが、武士としてのプライドと、家族と玉之丞の為、再び江戸へ。 以前暮らしていたほおずき長屋へ玉之丞と共に戻ってくる。 新しい大家の菊乃(森カンナ)は、戻ってきた久太郎に「猫は禁止」と早速釘を刺す。 なんとか菊乃にはバレずに済んだものの、今後の生活が思いやられていると、やけに庭が騒がしい。 庭の障子を開けてみると、なんとそこには、20匹近くの大量の野良猫が居付いていた!
江戸に戻った久太郎だったが、相変わらず仕官の口が決まらない。 貧乏暮らしも板につき、玉之丞と一匹のメザシを取り合う日々。 こんな暮らしから脱却して、江戸に妻子を呼びたい久太郎は、仕事探しに精を出す。 猫見屋のお七(高橋かおり)に口入れ屋の「ぴんはね」を紹介してもらうと、そこには、胡散臭い主人・天引(モト冬樹)が。 このご時世、仕官の口など簡単に見つかりはしない。 だがそこで、一人の戸田藩士の男と出会う。
口入れ屋の「ぴんはね」に玉之丞と一緒に赴く久太郎。主人の天引も大の猫好きで、自分の飼い猫“ねずみ”を自慢げに紹介する。 そんな久太郎にぴったりの仕事があるとの事。条件は、「丈夫で勇敢な武士」。 喜んだのも束の間、その仕事は、「猫を探す」というものだった。 猫の仕事なんぞ毛頭受ける気もない久太郎だが、賃金が1両と破格の為、渋々受ける事に。 依頼主の武家のご隠居・田沼(清水綋治)に話を聞くと、探して欲しいのは、ひと月前に行方を眩ませた愛猫・紋次郎の行方だった。
家庭菜園に精を出す久太郎。大根の芽が出てきて喜んでしまうほど、貧乏暮らしが板についてしまっている。 そのくせ、ほおずき長屋に引っ越してきた小助(佐野泰臣)からの振る舞いの餅は、プライドが邪魔をして受け取らない。 なにはともあれ、生活の為、口入れ屋の「ぴんはね」に足を運ぶ久太郎。 だが、店主の天引きから仕事の代わりに頼のまれたのは、迷い込んでしまった仔猫の世話。 困った久太郎は、猫見屋のお七を訪ねると、「猫飼指南―仔猫編―」を手渡され、挙句店番を任せられるのであった。
いつものように口入れ屋の「ぴんはね」に立ち寄る久太郎。 そこで聞いたのは、江戸中の美猫を集めて、その中の一番を決める『大江戸猫選び』。 蕎麦屋の小助に、玉之丞がこのコンテストに出場すれば、間違いなく一番だと太鼓判を押される。 しかも、優勝賞金は10両。 破格の金額に心が揺らぐ久太郎の目の前に、“永遠のライバル”と本人は豪語する蜂谷孫三郎(本宮泰風)が現れる。 孫三郎は、久太郎に自分の猫“チャトラ”を見せつけ、コンテストでの勝負を挑んでくるのであった。
『大江戸猫選び』に出場させるつもりで、無理に芸を教え込んだために、家出してしまった玉之丞。 そのうち帰って来るとタカを括っていた久太郎だが、一向に戻って来ない。 いたたまれず久太郎は、江戸中を探し回る。口入れ屋の「ぴんはね」の店主から有力情報を聞く。 それは、隣町にある“化け猫屋敷”の噂。長いこと使われていない屋敷に野良猫が住み着いていて、そこを訪れた者達が幽霊や化け猫を見たという。
空腹で腹の虫が鳴りやまない久太郎。玉之丞も恨めしそうにみゃあみゃあ鳴いている。 出くわしたのが、随分と身なりの良い孫三郎。金になる仕事を見つけたと、袂から大量の小判を見せつける。 と、玉之丞の様子がおかしい事に気づき、お七の元へ急行。 玉之丞のお腹の中に虫がいるかも知れないというお七の見たて。薬を飲ませないと、命が危ないという。 しかし必要なのは、3両もする相当高価な薬。 背に腹は代えられぬと孫三郎に金のなる仕事を紹介してもらう事にした。
庭の大根も大豊作で、自分の才能に酔いしれる久太郎。 しかし、収穫の半分を家賃代わりの年貢として、大家の菊野に奪われてしまう。 気を取り直して、玉之丞と大根汁を食べようと嬉々として作り始める。庭に生えていたキノコも入れて、実に美味しそうな汁を完食。 腹も満たされ、うたた寝をする久太郎と玉之丞。 が、目が覚めると様子がおかしい。 なんと、久太郎と玉之丞の心と身体が入れ違ってしまった?!
隣人の小助のサポートの甲斐あって、長屋での玉之丞との暮らしを謳歌出来ていた久太郎だったが、ついに大家の菊野にバレてしまった。 菊野は頑なに態度を変えず、久太郎と玉之丞は、ほおずき長屋から追い出されてしまった。しかたなく、町の外れにある廃屋で夜露を凌ぐ。 職を求め「ぴんはね」に向かった久太郎を待ち受けていたのは、念願の剣術指南役。早速、新垣藩の面談に向かうと、一つ条件が出される。 それは、玉之丞によく似た白い猫を探して欲しいとの事だった。
泣く子も黙るまだらの鬼にも、天敵はいる。 それは姑のタエ。いつまでも妻子を里に残し、のびのびと一人暮らしをする久太郎に痺れ切らし上京。相当勝気なタエは、江戸に着いて早々スリを成敗。勢い余って岡っ引きまで投げ飛ばして、番所に厄介になるような人物。 タエから猫との気ままな暮らしを叱責され、改善がないようなら「離縁」を突きつけられる久太郎。タエが用意したのは、薩摩藩の参勤交代要員の話。しかし、玉之丞とは離れ離れの暮らしをしなければならない。悩む久太郎だが、家族の為止む無しと承諾した。 一方、白猫を探していた新垣藩藩士たちは、玉之丞の身柄を狙っていた。
参勤交代要員として薩摩藩を訪ねる久太郎。屋敷内では、大勢の男たちが忙しなく準備している。心残りなのは、タエに預けている玉之丞だった。 その頃、新垣藩藩士が久太郎の長屋に現れ、抗うタエから無理矢理玉之丞を奪っていく。隣に住む小助は、事情を教えるため、さかやき中の久太郎の元へ。 玉之丞の奪還の為、久太郎はひた走るのであった―。