高校2年生の渡直人は、妹の鈴白と叔母の多摩代の家で暮らしていた。早くに両親をなくした彼にとって、つねに妹(すず)が生活の中心だ。そんな直人の前にある日、幼なじみの館花紗月が現れる。彼女は6年前、一緒に育てていたはずの家の畑をめちゃくちゃにした〝畑荒らし〟だ。それ以来、行方がわからなくなっていた紗月だが、最近になって直人の高校に転校してきたのだ。直人はずっと不気味に追いかけてくる紗月と向き合うが……
庭で紗月に押し倒されてキスされた直人は、その現場を目撃した叔母の多摩代に退去を言い渡される。なおもついてくる紗月に直人は、両親をなくしてから、多摩代に引き取られるまで親戚じゅうたらい回しにされた経緯を話す。紗月に、叔母さんは直人と鈴を本気で嫌ってはいないはずと励まされ、直人は多摩代にまだ家に置いてほしいと頼み込む。直人は、妹の鈴に構いすぎるあまり、逆に自分が依存しているのではないかと悩みはじめ……
風邪を引いた直人のもとへ、同じクラスの石原紫がお見舞いに来る。直人は一足先に見舞いに来ていた紗月をとっさに自分の寝ている布団の中に隠してしまう。熱で朦朧とする中、紗月のことがバレないよう必死に隠し通す直人。 紫は学校じゅうの男子が憧れる美少女。直人も密かに憧れていた。風邪が治って、図書館で一緒にテスト勉強しようと紫に誘われる直人。紫は、実は直人が転校してくる前に会ったことがあると明かすが……
友人の徳井の提案で、紫たちクラスの面々と2日間、海に遊びに出かけることになった直人。鈴もたまたま同じ日程で臨海学校ということで、直人は水着を選んでほしいと頼まれて一緒にデパートへ。そこに紗月も合流し、彼女たちの水着選びファッションショーに目が泳ぐ直人。一方、直人のことが気になって遠巻きに見つめていた紫も、思い切って派手な水着に挑戦。ハプニングでうっかり着替え途中の紗月を覗いてしまう直人だが……
海遊びを楽しむ直人たちだが、紫とつき合っていたという先輩の藤岡が現れ、空気が一変する。今に至るまで男性が苦手になった、中学生の頃のトラウマを思い出す紫。いちど告白を断ったにもかかわらず、藤岡は周囲に紫とつき合うことになったと話し、既成事実にされてしまったのだった。今度こそはっきり断ろうとする紫だが、全く話を聞かない藤岡に強く出られない。その場からいなくなった紫を捜しに行く直人だが……
紗月にまたキスされたことで、直人は幼い頃の紗月との記憶を思い出していた。まだ両親と信州で暮らしていた頃、直人と紗月はとても仲が良く、その日は二人きりで遠くまで探検に行った。一緒に観たドラマの真似をして、このままどこか遠くの誰も知らない場所へ……と手を引く直人に紗月もついてきた。幼いながら両想いだったはずの紗月が、なぜ家の畑を荒らし、いなくなったのか。直人は紗月の真意を確かめようとするが……
紫の告白を断る直人だが、紫は夏休みの間、〝お試し〟でもいいからつき合ってほしいと懇願する。けっきょく、仮でつき合うことになる二人。高校を卒業した後の鈴との生活も考え、ファミレスでアルバイトを始めることにする直人だが、面接前に出会った同じくバイト志望の女子高生に襲われたと勘違いされてしまう。 紫の提案で出かける直人。先に約束していた鈴も一緒の動物園デートになるが、後ろから紗月と徳井が尾行していた……
バイトの面接で直人が出会ったのは、中学の後輩で陸上部のエース・梅澤真輝奈だった。直人がスマホを持っていないと知って、強引に買いに連れていく真輝奈だが、スマホを手にした直人が真っ先に電話したのは紫だった。東京で名門女子高の陸上部に進学した真輝奈は、実はスランプに陥り部活をサボりがちになっていた。真輝奈は、そんな自分と違って幸せそうな直人を見て、彼女と別れさせて暇つぶしのおもちゃになってもらおうと企む……
花火大会には彼氏と行くと部活仲間に見栄を張った真輝奈に〝彼氏役〟を頼まれた直人は、その役に徳井を推し、地元の友人達と行くという紫と途中で会う約束をする。 当日、花火大会を途中で抜け出した直人と紫は、雨が降り出したので帰路につく。やがて豪雨になり、直人の家に雨宿りに行く二人だが、そこには家庭菜園を心配して養生しに来た紗月がいた。みんなびしょ濡れという状況でひと晩、家に三人で泊まることになるが……
紫が積極的に誘惑してきたのをなんとか断った直人だったが、次の朝、紫は先に帰ってしまい気まずいままに。紗月には流されなかったことを評価されるも言葉が足りないと釘をさされる。電話で話そうと紫にメッセージを送る直人。一方、徳井に相談していた紫は、直人に嫌われてしまって別れ話をされるのではないかと怯えていた。直人に何度も電話する紫だが、その頃、直人は鈴や真輝奈たちと映画を観ていて出られずにすれ違い……