蛍火が非業な最後を迎え、甲賀、伊賀ともに残りは5人ずつとなった。天膳はいまだに闘う意志を見せない朧の決意を固めさせるべく、説得をするためにと朧を胴の間へ呼び出し、朱絹、陣五郎を遠ざけ、小四郎のみを見張りに、二人きりになる。そして身も心も我がものにするべく無理やりに手篭めにしようとする。朧の悲鳴に引き裂かれる思いで苦悩する小四郎。だが突然、天膳は何者かに背後から首を締め上げられ、絶命する。それは弦之介一行から離れ、一人別行動に出ていた刑部だった。異変に気づいた陣五郎、朱絹も駆けつけたが、そこには天膳の死体と、呆然とする朧と小四郎の姿のみ。刑部の仕業だと確信しながらも、海に対する恐怖とともに興奮した陣五郎は冷静さを失い、隙をつかれて刑部に捕らえられ、海に投げ込まれる。それを助けに朱絹は海に飛び込もうとするが、その背後にも刑部が迫り・・・
左衛門と陽炎の手により討たれた小四郎の遺体を見つけ、嘆き悲しむ朧、朱絹。天膳の行方もわからず、途方にくれていたところへ、偶然にも、争忍の決着を焦り抜け参りしてきた阿福一行と出会う。朧、朱絹が竹千代方の命運をかけて選び出された伊賀忍者と知り、なんとしても死なせてなるものかと思った阿福は、自分たちと同行せよと命じる。迷いながらも、それぞれに考えることあり合流することに決めた朧と朱絹。その様子をひそかにうかがい知った左衛門と陽炎は示しを合わせ、まず左衛門が天膳に化けてその一行に合流し、朱絹をおびき出して討ち取り、また朧のもとへ戻り、天膳に手篭めにされ寝返ったという陽炎が後からそこへやって来て朧を討つ、という筋書きで潜入を図ることにした。そしてその筋書きどおりに、朱絹をおびき出すことに成功した左衛門だが・・・