昭和9年3月、福岡。家までの道のりを、マラソンさながらに走る磯野マリ子(熊谷真実)。友人のトミ子(村田みゆき)とともに、家の中へ絵具を取りに行ったかと思えば、慌ててどこかへ走り出す。しかし、絵具を取り戻そうと飛び出してきた妹のマチ子(田中裕子)と取っ組み合いのケンカに。お手伝いの千代(二木てるみ)に仲裁され、準備中の展覧会場に何とか滑り込むマリ子だが、すでに提出した絵に一筆を入れたいと懇願し…。
マリ子(熊谷真実)が展覧会場から帰ると、はる(藤田弓子)や千代(二木てるみ)が豪勢な料理を準備して待っていた。マリ子が最後まで思った通りに絵を描けたお祝いだと言う。そこへ隣に住む老人・一平(益田喜頓)や、その息子夫婦までやってきて、今展覧会場は大変な騒ぎになっていると言い出す。一方その頃、当の展覧会場では、マリ子の学校の校長(高松英郎)が呼び出され、マリ子の絵の前でとある決断を迫られていて…。
磯野三姉妹の父が亡くなり早一年。はる(藤田弓子)はマリ子(熊谷真実)の絵が評価されたことで、夫の肖像画を前にある決断をしようとしていた。そこへ、お隣の一平(益田喜頓)たちが、マリ子にお祝いの品を持ってやってくる。一方、校長(高松英郎)に呼び出されたマリ子は、自分の描いた裸婦像の絵に白いハチマキがつけられていることを知る。騒ぎは収束したかのように見えたが、今度はある人物が乗り込んできて…。
裸婦像を描いたマリ子(熊谷真実)を探しに、磯野家に乗り込んできた大五郎(村田正雄)。酔っぱらった大五郎は、裸婦像の顔と、そのホクロの位置から、自分の娘である節子(川野薫)を描いたものだと思い込み、激怒していたのだ。しかし、勘違いだとわかり、あっさり騒動は収まる。一週間後、クリスチャンである磯野家は、父の一周忌にあたる記念式を教会で執り行っていた。だがそこへ、またもや風変わりな人物がやってきて…。
はる(藤田弓子)が東京行きを宣言した法事の後、鯨捕りの男・朝男(前田吟)は三姉妹に東京の魅力を語る。本格的に絵の勉強ができると喜ぶマリ子(熊谷真実)に対し、千代(二木てるみ)は、相談なしに東京行きが決まってしまったことに不貞腐れ、朝男に当たってしまう。岩村(小泉博)たちが帰った後、はるは三姉妹を集めて、東京行きを決断した理由を語りだす。その頃、お隣の一平(益田喜頓)はすっかり元気をなくし…。
父が遺した会社の整理も進み、少しずつ東京行きの足音が聞こえてくる。マリ子(熊谷真実)は父に買ってもらった万年筆を探しているうちに、マチ子(田中裕子)の机からのらくろの絵を見つける。そんな中、はる(藤田弓子)は、お手伝いの千代(二木てるみ)を東京へは連れて行かず、お見合いをさせると言い出す。それを聞いた千代は泣きながら表へ走り出してしまう。不憫に思った牛尾(三国一朗)たちはある提案をして…。
マリ子(熊谷真実)は、絵の師である石井(小沢弘治)の元を訪ね、絵を勉強するために東京へ行くことになったと報告する。手を離れることを残念がりながらも、さらなる道へ進むマリ子の背中を押す石井は、福岡を題材に一枚絵を描いてから東京へ行くようにと言う。一方その頃、千代(二木てるみ)は、はる(藤田弓子)からもらった晴れ着を着て、亡き父の部下である大和田(大門正明)という青年とお見合いをしていたが…。
浜辺に座り、絵を描くマリ子(熊谷真実)。東京に発つ前に「福岡の絵」を描くように先生に言われたがうまく描けない。家に帰ると、千代(二木てるみ)のためにはる(藤田弓子)が立派な嫁入り道具を支度している。自分には分不相応だと言う千代に、はるは千代への気持ちだからと返す。涙ぐむ千代に寄り添うマリ子は、ふとあることに気づく。一方、磯野家の東京行きを反対するお隣の一平(益田喜頓)はとある作戦に出るが…。
ニワトリを置いていくなら東京へ行かないと言い出したヨウ子(平塚磨紀)は、その夜熱を出してしまう。ニワトリをお客へのご馳走にすると言ってしまったことに責任を感じてしまう千代(二木てるみ)。そんな中、ヨウ子のことでマリ子(熊谷真実)につっかかるマチ子(田中裕子)は、はる(藤田弓子)に怒られて表に出されてしまう。ニワトリが寂しがっているとヨウ子に吹き込んだ一平(益田喜頓)も牛尾夫妻に怒られてしまい…
千代(二木てるみ)の結婚式の朝。マリ子(熊谷真実)は、支度中の千代を描いていた。ご近所の皆が集まる中、綺麗に着飾った千代は実の父母やはる(藤田弓子)に挨拶をする。マリ子たちにも挨拶をするが、ヨウ子(平塚磨紀)にいつ帰ってくるのかと聞かれ、泣き崩れてしまう。つられて泣くヨウ子のために、のらくろの絵を描いてやるマチ子(田中裕子)。一平(益田喜頓)はマチ子の漫画を見て、眺めていると楽しくなると褒め…。
校長先生(高松英郎)に東京での美術学校のことを相談しに行くはる(藤田弓子)。一方、家ではマリ子(熊田真実)がトミ子(村田みゆき)に手伝ってもらいながら、慣れない家事に奮闘中。嫁にいった千代(二木てるみ)のなごりを感じながらも、磯野家は本格的に東京への準備を始めていた。そんな中、トミ子は最後の友情旅行に太宰府に行きたいと言う。それを聞いていたマチ子(田中裕子)が一緒に行きたいと言い出し…。
マリ子(熊谷真実)とトミ子(村田みゆき)の友情旅行の朝。留守番役のマチ子(田中裕子)とヨウ子(平塚磨紀)に見送られ、太宰府天満宮に到着したマリ子たち。トミ子は天神さまの筆を買い、餞別の品としてマリ子に渡す。二人がお詣りしようと赤い太鼓橋を渡り終えると、その先にはマチ子とヨウ子の姿が。その頃、はる(藤田弓子)の元には嫁に出た千代(二木てるみ)が、早速大和田(大門正明)を連れて里帰りしていて…。
マリ子(熊谷真実)の卒業式。感極まり、泣いて抱き合うマリ子とトミ子(村田みゆき)。だが式の後、マリ子は校長(高松英郎)に呼び出されてしまう。戦々恐々としながら校長室へ向かうと、マリ子が展覧会で金賞をとった「裸婦像」の絵が飾ってあった。あちこちから買い手もついているが、どうするかはマリ子に任せるという。その頃、はる(藤田弓子)たちはご馳走を用意して待っているが、当のマリ子はなかなか帰って来ず…。
牛尾(三国一朗)たちが手伝いにきて、磯野家の引っ越しが始まった。だが、たくさんの荷物には荷札がついている。教会に持っていけば必要な人に渡ることになっていると言うはる(藤田弓子)。磯野家の金繰りを案じる村田(園田裕久)だが、はるやマリ子(熊谷真実)は動じない。そこへ、鯨漁の出航前の朝男(前田吟)が手伝いにくるが、ひょんなことから千代(二木てるみ)のことで大和田(大門正明)と言い争いが始まって…。
引っ越しの手伝いにきた人々の帰りを見送るマリ子(熊谷真実)たち。台所に戻り、天海(前田吟)とともに皿洗いをしていると、手伝いに来られなかったトミ子(村田みゆき)が息を切らせてやってきた。聞けば、今朝がた母から突然のお見合いを言い渡されたが、トミ子の家業である船問屋の信用問題に関わるとして、顔を出さざるを得なかったという。ところが、トミ子はお見合いでどエライしくじりをやってしまったと話し出し…。
夜更けの磯野家に、謎の声が響き渡る。二階で寝ていたマチ子(田中裕子)は飛び起きて、声のする庭に向かって地球儀を投げつけると、謎の声の主に見事命中する。その一連の騒ぎに、はる(藤田弓子)も驚いて寝間着姿で飛び出してきた。だが、騒動の中、マリ子(熊谷真実)は、部屋で怯えて布団にくるまっていた。そんなマリ子に対し、姉なのに情けないと責めるマチ子。うなだれるマリ子に、はるは姉妹に大切な心構えを話し出し…。
東京行き、前日。マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)は荷造りの確認をしている。そこへ、村田(園田裕久)と丸菱炭坑の支所長(柳谷寛)が餞別を渡しにやってきた。磯野家の屋敷を丸菱炭坑の寮として貸し出すにあたり、屋敷のあらゆるものを置いていくはる(藤田弓子)に今後の生活を心配する村田たち。一方、お隣の牛尾夫人(新井みよ子)は、気を利かせて東京・上野にいる兄に磯野家の新居を手配するよう働きかけて…。
東京行き当日。マリ子(熊谷真実)は、父の肖像画とともに福岡最後の朝を実感していた。門前には、別れの挨拶をしたい人々が集まったりと慌ただしく、ゆっくり朝ご飯も食べられないとイライラするマチ子(田中裕子)。隣の一平(益田喜頓)にも別れの挨拶をし、いよいよ出発時間。マリ子は去り際に、千代(二木てるみ)に肖像画を渡すのだった。定刻通り、列車に乗り込んだ磯野家。見送りの人々が駅に大勢駆けつけるのだが…。
磯野家は大勢の人に見送られ、汽車で東京を目指す。車内で東京に思いを馳せるマリ子(熊谷真実)だったが、福岡の八幡についた途端、はる(藤田弓子)が女学生の頃の友人に挨拶しに行くので下車すると言う。一方、牛尾夫人(新井みよ子)から磯野家が福岡を出発したと電報を受け取った夫人の兄・大造(河原崎長一郎)は、今か今かと磯野家の到着を待ちわびていた。しかし、はるは再び大阪で途中下車して、物見遊山に繰り出し…。
はる(藤田弓子)の兄夫婦は磯野家の到着を待ち詫びていた。一方その頃、磯野家は途中下車を繰り返し、ようやく東京へと辿り着いた…と思いきや、そのまま牛尾夫人の兄・大造(河原崎長一郎)に導かれるまま日暮里へ。はるの兄・岩村(小泉博)が用意してくれていた麻布の家か、手違いで大造が手配した上野の借家に住むか、決断を迫られるマリ子(熊谷真実)たち。大造の母・ウメ(鈴木光枝)もすっかり磯野家を気に入って…。
引っ越してきたばかりの磯野家の様子が気になるウメ(鈴木光枝)。大造(河原崎長一郎)に、棟梁(森幹太)たちが世話に行っていると言われるも構いにいきたくてウズウズしている。当のマリ子(熊谷真実)たちは昨日の騒動のこともあって、すっかり眠り込んでしまい、一家そろって遅めの起床。そこへ、大造からの言いつけで植木屋の植辰(江戸家猫八)たちが片付けの手伝いにくるが、気が付けば大宴会が始まってしまい…。
マチ子(田中裕子)たちの学校の始業式の日。保護者として参加しようと着飾るマリ子(熊谷真実)だったが、ひょんなことから留守番することに。久しぶりに時間がとれたマリ子は、トミ子(村田みゆき)に手紙を書く。手紙に、ヨウ子(平塚磨紀)の元気がないことを書いていると、ウグイスの鳴き真似をしながら植木屋の息子・栄一(江戸家小猫)が訪ねてきた。その色々な鳴き真似を見ているうちにマリ子はあることをひらめいて…。
ヨウ子(平塚磨紀)たちの学校生活が始まって数日。今度はマチ子(田中裕子)の元気がない。聞けば、東京のハイソな級友たちの中で浮いているようだ。買い物に出かけたマリ子(熊谷真実)は、帰りがけに上野の西郷さんの像を見に行き、マチ子たちにも見せて元気づけてやろうと思い立つ。マリ子が家に帰ると、先に教会から戻っていたはる(藤田弓子)が、ヨウ子がまだ帰ってきていないと言う。慌てて皆で手分けして探すのだが…。
マリ子(熊谷真実)たちが、ヨウ子捜索に奔走している頃、当のヨウ子(平塚磨紀)は写真館の主人・三郷(山口崇)に助けてもらっていた。学校に問い合わせた大造(河原崎長一郎)が、一足違いでヨウ子の住所を聞きにきた者がいると知り、人さらいと勘違い。そこにヨウ子を連れた三郷が現れたので、飛びかかってしまう。かくして、ヨウ子行方不明事件は幕を下ろしたが、各々慌てふためいていた自分の行動に思うことがあり…。
マリ子(熊谷真実)の画塾の登校初日。校内の案内を受けていると、そそっかしいマリ子は早速イーゼルを倒してしまい、しどろもどろ。そんな中、ルパシカを着た青年・信彦(森田順平)と出合い頭にぶつかり、思わず見惚れてしまうマリ子。教室に戻ると、倒したイーゼルの持ち主・茜(島本須美)から喫茶店に誘われる。慣れた様子で大人の振る舞いをしていた茜の話を、興奮気味にマチ子(田中裕子)に話して聞かせるのだが…。
ハイソな画学生たちがいる塾へいくため、バッチリ朝支度を決めるマリ子(熊谷真実)。そこへ大造(河原崎長一郎)がやってきて、アトリエを作ってくれると言う。しかし、ひょんなことから、職人は一流の寺院や庭を見るべきだとはる(藤田弓子)が言い出し、職人たちの旅費を持つと約束する。一方、マリ子はもう喫茶店に寄り道しないと決めたのに、信彦(森田順平)に誘われて行ってしまう。そこへ茜(島本須美)もやってきて…。
ソーダ水をかけてしまったことを信彦(森田順平)に謝るマリ子(熊谷真実)。マリ子が帰った後、信彦と茜(島本須美)は別れ話を始める。マリ子のような素直で素朴な女性が信彦にはお似合いだと茜が言い放つ。一方、マリ子が家に帰ると三郷(山口崇)がミシンと蓄音機を届けにきていた。早く画塾のアトリエに行きたいマリ子は、早速ブルーズを縫い始める。マチ子(田中裕子)も、密かに三郷にお願いしていたものを入手して…。
朝、元気良く家を飛び出すマチ子(田中裕子)とヨウ子(平塚磨紀)。いつの間にか東京の生活にも慣れ始めていた。マリ子(熊谷真実)もブルーズを作り直し、晴れて念願の油絵のアトリエへ。裸婦像を描いていると、茜(島本須美)にマリ子の画を見直したと言われる。一方、マチ子は読み終えた漫画を、密かに三吉(吉田茂樹)にもらってもらおうとするが、ウメ(鈴木光枝)が代わりにお礼に来たため、はる(藤田弓子)の耳に入り…。
マリ子(熊谷真実)たちが帰宅すると、アトリエが完成していた。はしゃぐ三姉妹だったが、マリ子にはさらに麻布の伯父から赤いハイヒールのプレゼントが。ハイヒールを履いて茜(島本須美)のアパートを訪ねると、その姿に喜んだ茜は、自分で描いた自画像を見せ、今のマリ子にも茜の姿を描いてほしいとお願いする。そして、記念にと口紅をマリ子に渡すのだった。マチ子(田中裕子)はその口紅をきっかけに自分の夢を口にして…。
マリ子(熊谷真実)がもらった口紅をきっかけに、マチ子(田中裕子)の田河水泡先生への弟子入り訪問が決まった。紹介書一枚携えず、さらに付き添いがマリ子ということに頼りなさを感じるマチ子。そこへ、聞きつけた三吉(吉田茂樹)がやってきて、大切な御守りをくれる。勇気を奮い立たせ、田河邸に行くが、内弟子の大宗(渡辺篤史)が先生は弟子を取らないと合わせてくれない。マリ子は機転を利かせ、あるウソをつくのだが…。
田河(愛川欽也)の内弟子・大宗(渡辺篤史)と押し問答の結果、面会の約束を取り付けたマリ子(熊谷真実)たち。翌日、マチ子(田中裕子)の描いた絵を見た田河は弟子入りを快諾する。マリ子は福岡からはるばるやってきたことはウソだと詫びるが、田河の妻・順子(三田和代)はマチ子の制服を見て、最初からわかっていたとのこと。帰りがけ、弟子入りできたことを三吉(吉田茂樹)に報告したマチ子。三吉は思わず嬉し泣きして…。
執筆中の田河(愛川欽也)の元へ、マチ子(田中裕子)が描いた漫画を持ってきた。それを邪険に扱った出版社の太田(内山森彦)に対し、田河は執筆を辞めて困らせる。一方、マリ子(熊谷真実)は茜(島本須美)の画を描いていた。改めて画の良さを実感した茜はマリ子にライバル宣言をする。マリ子が帰宅すると、ふらっと信彦(森田順平)が訪ねてきて、絵画論を交わしたいと言う。信彦のキザな物言いに、マリ子はドギマギして…。
はるは約束通り、植辰たちを京都見物へと連れて行った。早速、話を聞きつけたウメ(鈴木光枝)は三姉妹を心配して、世話を焼きに磯野家へ向かう。その頃、三姉妹は各々の予定を楽しんでいた。マリ子(熊谷真実)は茜(島本須美)とともに銀座へ繰り出し、マチ子(田中裕子)は田河(愛川欽也)の家でご馳走になり、ヨウ子(平塚磨紀)は三郷(山口崇)の家に泊まることに。何も知らないマリ子たちが家に帰るとウメがいて…。
三泊四日の旅を終え、はる(藤田弓子)たちが帰ってきた。土産を持ってきた植辰(江戸家猫八)の、浮ついた態度を叱りつける大造(河原崎長一郎)。その頃、マリ子(熊谷真実)たちは、久々にそろって食卓を囲んでいた。そんな中、磯野家の近所で火事が起こる。植辰や大造は協力して火を消し、マリ子やウメ(鈴木光枝)たちは焼け出された人々のために炊き出しを始める。火事は鎮火したが、大造と植辰は再び言い合いを始め…。
火事の騒ぎから数日後。マリ子(熊谷真実)の元へ、血相を変えて信彦(森田順平)がやってきた。聞けば、茜(島本須美)とは元々恋人関係だったが、今は避けられていると言う。マリ子の口利きで何とか茜に合わせてほしいと頼む信彦。そんな中、マリ子は田河邸のマチ子(田中裕子)から電話で呼び出される。慌ててかけつけると、田河(愛川欽也)から雑誌の「天才少女特集」にマチ子(田中裕子)を推薦したいと相談を受けて…。
信彦(森田順平)の熱烈な愛の告白を受けた茜(島本須美)は、マリ子(熊谷真実)の口添えもあり、信彦とやり直すことを決意する。一方、マチ子(田中裕子)が描いた漫画は華々しく雑誌デビューとなった。その快挙は福岡の千代(二木てるみ)たちにも届いており、皆、姉妹の話題で盛り上がっていた。東京では、田河(愛川欽也)が赤飯を焚いたり、大造たちがお祝いの会をひらく中、マリ子の元に茜から一通の手紙が届いて…。
昭和11年春。マチ子(田中裕子)が女学校を卒業し、磯野一家は三郷(山口崇)の写真館で記念写真を撮る。麻布に住む伯父・岩村(小泉博)に、卒業後マチ子が田河(愛川欽也)の元で内弟子に入ることを伝えると、お嬢様育ちにつとまるか心配される。卒業祝いに岩村から黒いハイヒールを贈られて喜ぶマチ子だったが、最近マリ子(熊谷真実)が赤いハイヒールをはいていないのは、茜たちの一件が関係しているのではと案じ…。
マチ子(田中裕子)が田河(愛川欽也)の内弟子として、住み込みで働くことになった。マリ子(熊谷真実)はマチ子を案じるあまり、不安げにしているマチ子を夢にまで見てしまった。その頃、マチ子は案の定、ホームシックで元気がなく、心配した大宗(渡辺篤史)が田河に相談すると、マチ子の内弟子歓迎会を開くことになる。早速マリ子たちが招かれるが、田河は元気のないマチ子に、自分の漫画のキャラクターについて語り出し…。
マチ子(田中裕子)の歓迎会にかけつけたマリ子(熊谷真実)。田河(愛川欽也)や大宗(渡辺篤史)たちとにぎやかに過ごしていると、あっという間に帰る時間に。だが、マチ子の元気そうな様子を見て、マリ子は安心して帰るのだった。その夜、捕鯨船に乗っていたはずの朝男(前田吟)が突然訪ねてきた。朝男の父が亡くなり、借金が発覚。朝男は船を降りて借金の整理をし、今は裸一貫で新しく世田谷に魚屋を移したというが…。
マリ子(熊谷真実)たちの元にウメ(鈴木光枝)が御礼にやってきた。マチ子(田中裕子)の歓迎会で、三吉が尊敬する田河(愛川欽也)と出会えたことで刺激を受け、奮起しているという。早速、マチ子に朝男や三吉のことを手紙で知らせるマリ子。しばらくして大宗(渡辺篤史)が訪ねてきて、マリ子からの手紙で、マチ子はますますホームシックが強くなったと聞かされる。そんな中、突然信彦(森田順平)がやつれた姿でやってきて…。
マリ子(熊谷真実)とヨウ子(平塚磨紀)が久しぶりに三郷(山口崇)の写真館へ行くと、工事をしていた。聞けばとある理由でパーマ屋に改装すると言う。三郷と再会できて喜ぶヨウ子だが、近々結婚すると知ってショックを受ける。失恋と喉の痛みでふせるヨウ子。そこへ、マチ子(田中裕子)が虫歯で痛がりながら家に帰ってきた。歯医者にいくとウソをついてまで、家族に会いたかったのだ。そこへはる(藤田弓子)が帰ってきて…。
写真屋から、新装開店したみさと美容院。早速、三郷(山口崇)の嫁・絹代(ホーン・ユキ)に髪をセットしてもらうマリ子(熊谷真実)。勤め帰りの三郷に出会い、似合うと言われてまんざらでもない様子。一方、マチ子(田中裕子)はホームシックが続き、覇気がない。心配した順子(三田和代)と大宗(渡辺篤史)は、通い弟子に戻す提案をするが、田河(愛川欽也)は認めない。話を途中から聞いたマチ子は、とある勘違いをし…。
太吉(三宅裕司)たちの出征が相次いで、日本は段々と生きづらい世の中になっていた。そんな中、マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)は、相変わらず舌戦を繰り広げている。女学生になったヨウ子(早川里美)は、姉たちの争いもお構いなく、物静かに登校していく。一方、田河(愛川欽也)の家では、編集者の細谷(下條アトム)が、マチ子の成長ぶりを褒めながらもはる(藤田弓子)が熱心な信仰者であることを心配しており…。
画を続けられる日々に、幸せを感じるマリ子(熊谷真実)。ある日、天海朝男の母・タマ(星清子)がやってきて、朝男(前田吟)に好きな人がいるのか詮索し出す。見合い話に見向きもしないため、心配していると言う。いつものように磯野家に立ち寄った朝男は、タマのもっていた見合い写真を見てしまい、当分嫁はとらないと断言してしまう。一方、千代(二木てるみ)から手紙が届き、大和田(大門正明)に召集令状が届いたと言い…。
マリ子(熊谷真実)から励ましの手紙が届いた千代(二木てるみ)は、一平(益田喜頓)とともに大和田の身を案じる。一方、マリ子もみさと美容院のトセ(三崎千恵子)に、大和田の無事を祈って千人針を縫ってもらう。すると、国防婦人会がきて、パーマをかけて外国人の真似をしたり、贅沢はやめろと抗議される。マリ子からその話を聞いたオネスト神父(ラットバウト・モリン)は、なぜ自分が日本で伝導を続けているか語り出し…。
オネスト神父(ラットバウト・モリン)がスパイ容疑で警察に連行された。マリ子(熊谷真実)が、伯父の岩村(小泉博)から警察に事情を話してもらったため、誤解が解けて神父も解放される。騒動の発端となったはる(藤田弓子)が岩村に諫められる中、門前では大宗(渡辺篤史)と朝男(前田吟)が姉妹の兄貴分の座を巡って小競り合い。翌日、マリ子が大造(河原崎長一郎)たちに事の顛末を報告に行った帰り、思わぬ人と再会し…。
4年ぶりに茜(島本須美)と再会したマリ子(熊谷真実)。駆け落ちした後、信彦と泥沼にハマったような暮らしをしていた茜。だが、茜の父が別れを条件に信彦のイタリアへの留学費を用立て、茜を病院へ入れたのだと言う。壮絶な過去から立ち直ったという茜は、マリ子には素敵な人が現れると言い残し、去る。マリ子が帰宅すると、大宗(渡辺篤史)が神父騒動の見舞いに来ていた。大宗は、さりげなくマリ子の婿事情を探るのだが…。
トミ子からの結婚報告の手紙がきて、早速マリ子(熊谷真実)はお祝いにトミ子の肖像画を、マチ子(田中裕子)は漫画を、描いて贈ることに。そこへ、朝男(前田吟)がやってきて、トミ子たちを東京に呼べばいい、と提案する。さらに、いつ召集されるかわからない自分にも、一枚くらい画を描いてほしい、とぼやく。その夜、はる(藤田弓子)は長女のマリ子だけを呼び出し、磯野家の貯金がついに底を尽きたと白状して…。
福岡行きを諦めたマリ子(熊谷真実)は、茜(島本須美)に貯金が尽きたことを打ち明け、職探しの相談をする。茜は小説の挿絵の仕事をもらうため、出版社を回るよう提案する。帰宅し、最後の油絵かも知れないと思いを込めてトミ子の画を描くマリ子。そこへ、大造(河原崎長一郎)がきて、福岡行きがなくなり、ウメが落胆していると言う。咄嗟に風邪だとウソをつくマリ子だが、代わりにマチ子(田中裕子)が福岡へ行くと言い…。
マリ子(熊谷真実)のウソの風邪の見舞いにきたウメ(鈴木光枝)のために、うな重を注文してしまうはる(藤田弓子)。その頃、挿絵で生活費を稼ごうと、出版社を奔走するマリ子だが、うまくいかない。陽談社の取次ぎでもあしらわれていると、田河の編集者である細谷(下條アトム)に出会い、担当の塚田(日下武史)に会わせてもらえることに。急遽、挿絵を描ける代役を探していたと言われ、是非描きたいと頼み込むマリ子だが…。
夜通し描いて挿絵を完成させたマリ子(熊谷真実)。だが翌朝、落とした通帳が家に届き、マチ子(田中裕子)にも貯金がないことがバレてしまう。怒るマチ子に、事情を知っていたヨウ子(早川里美)が事の成り行きを話し、なだめる。挿絵が採用され、画料を受け取ったマリ子は細谷(下條アトム)に言われるまま、田河(愛川欽也)を訪ねる。出版社への紹介状を用意していた田河は、皆がマリ子の力になろうと動いていたと話し…。
田河の紹介状により、もらえる仕事には何でも食らいついていくマリ子(熊谷真実)たち。磯野家の現状を朝男(前田吟)に相談すると、自分の店の近くの空き家に引っ越すよう提案される。早速下見に行って気に入ったマリ子たちは、大家の姉妹にも会い、とある理由から破格の賃料で家を借りることに。すぐに引っ越しを始める磯野家の元に、大造(河原崎長一郎)たちがやってきて引きとめようとするが、マリ子がとっさにウソを言い…。
磯野家の新居が世田谷新町に決まった。植辰(江戸家猫八)親子や朝男(前田吟)たちと引っ越しをしていると、大家のウララ(楠田薫)とマドカ(斉藤美和)も差し入れを持ってやってくる。そんな矢先、近所の年子(北川智繪)にこの家がいわくつきだと聞かされたウメ(鈴木光枝)は卒倒する。だが、当のマリ子(熊谷真実)たちは承知の上と言う。一方、粋なご祝儀で門出を祝う三郷(山口崇)は、画を続けるようマリ子を激励し…。
棟梁(森幹太)が、乙松(吾桐芳雄)と栄一(江戸家小猫)を連れて、古びた新居の修繕にやってきた。工事の音を聞きつけた大家のウララ(楠田薫)たちは、自分の家も見てほしいと頼む。マリ子が塚田(日下武史)の元へ挿絵を持っていくと、菊池寛の作品を出来るだけたくさん読むよう言われる。細谷(下條アトム)が、菊池寛とマリ子との組み合わせを心配する中、塚田は名実ともにマリ子を新進女流挿絵家に育てることを宣言し…。
マリ子(熊谷真実)は夜通し、菊池寛の作品を読み漁る。身体を気遣うヨウ子(早川里美)や、家事を代わるマチ子(田中裕子)たち磯野家の協力体制が整う。そんな中、トミ子の結婚式の写真が届き、磯野家の結婚話になるが、今一つピンと来ない娘たち。一方、塚田(日下武史)から菊池作品の感想を聞かれたマリ子は、男性本位な道徳に抗う女性の姿に感銘を受けたと答えると、塚田は今から菊池邸に挨拶に行くと言い…。
塚田(日下武史)はマリ子(熊谷真実)を連れて、流行作家・菊池寛(フランキー堺)の屋敷を訪ねる。菊池のほどけた浴衣の帯を見て、咄嗟に締め直してしまうマリ子。煙たがる菊池だが、マリ子は意に介さず、転ぶと危ないだの、子どものようだの、菊池の体型にまで言及してしまう始末。慌てる塚田をよそに、遠慮なく物を言って仕事ができそうだとマリ子を気に入る菊池。そのまま、天下の菊池と雑誌の写真撮影をするマリ子だが…。
憲兵隊に連行された田河(愛川欽也)たちは、漫画「のらくろ」が軍隊を揶揄しているのではないかと尋問される。軍曹(井上博一)が来て、言いがかりのような追及は逃れたものの、戦意高揚のために漫画を描くように言われる。その話を聞いたマチ子(田中裕子)は、自分が軍のために漫画を描くことになれば筆を捨てると言い放つ。程なくして、マリ子(熊谷真実)の写真が掲載された雑誌が発売。皆が方々からお祝いにかけつけて…。
菊池との顔合わせが雑誌の巻頭記事を飾ったマリ子(熊谷真実)のために、大造(河原崎長一郎)やウメ(鈴木光枝)がお祝いにきた。はる(藤田弓子)が頼んだ寿司15人前が届くが、お金がない磯野家。マリ子は機転をきかせ、ツケにしてもらう。そんな中、伯母の花江(岩本多代)にも新居がいわくつき物件だとバレてしまう。その頃、三郷(山口崇)の家ではトセ(三崎千恵子)と嫁の絹代(ホーン・ユキ)の折り合いが悪くなり…。
嫁姑問題と、休業中の美容室のことを心配したマリ子(熊谷真実)は三郷(山口崇)に手紙を出す。三郷は一人で磯野家を訪ね、元気な顔を見せてマリ子を安心させる。その後、菊池の新作の題名が「女性の戦い」になったと塚田(日下武史)が知らせにくる。ますます仕事に励むマリ子だが、記事を見た出版各社から仕事の依頼が殺到。電話番をしていたはる(藤田弓子)がすべて引き受けてしまう。それを聞いたマリ子は倒れてしまい…。
40℃の知恵熱が出ても、マリ子(熊谷真実)は挿絵を書き上げた。早速、菊池(フランキー堺)に見せる塚田(日下武史)。着物の柄を褒める菊池に戸惑う塚田だが、柄は人の階級や年齢、好みまで表す要素だと言い、マリ子の女性ならではの視点を評価する菊池。その頃、磯野家には編集者たちが続々訪ねてきていた。その中の、毎朝新聞の記者・東郷新八郎(田中健)が客間にある琵琶を弾き出すと、マリ子は亡き父の音色と重ねて…。
娘たちが頑張ったおかげで、磯野家にも人並みの正月が訪れる。伯父の岩村(小泉博)に新年の挨拶と近況報告にきたマリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)。年頃のマリ子たちの結婚について心配する岩村だが、当の二人はその気がない。帰宅すると、新八郎(田中健)とはる(藤田弓子)たちがトランプ遊びで盛り上がっている。マリ子たちを寄席に誘いにきたのだと言う新八郎。そこへ大宗(渡辺篤史)も新年の挨拶にやってきて…。
お隣のウララ(楠田薫)は、袴姿の女学生だった頃のことをマリ子(熊谷真実)に話し、挿絵のモデルになると乗り気。そんな中、はる(藤田弓子)が菊池(フランキー堺)にお歳暮を贈ったと知り、母親らしい一面に驚くマリ子。偶然出会った新八郎(田中健)とともに帰宅すると、鹿児島の新八郎の母から磯野家に御礼状が届いていた。マチ子(田中裕子)の偵察にきた細谷(下條アトム)も加わって、新八郎の両親の話で盛り上がり…。
マリ子(熊谷真実)が挿絵家となって早半年。ある日、呉服屋の金沢(西村淳二)とともにはる(藤田弓子)が帰宅する。召集令状が届き、店を閉めることになったと言う。持ってきた反物を大金で購入したはるに抗議する娘たち。その夜、オネスト神父(ラッドバウト・モリン)が伝導の旅から帰ってきて、戦時下の悪状況を嘆き、生きる姿勢について説く。マリ子ははるが神の教えに従い、助け合って生きていこうとしていると気づき…。
電力供給制限の新聞記事が出回る頃、菊池(フランキー堺)の連載小説が終わり、マリ子(熊谷真実)も無事やり遂げる。菊池は、マリ子と塚田(日下武史)を労い、独り立ちするマリ子に向けて「合理的、且つ明快に生きよ」と、作家としての今後の姿勢を助言する。次の仕事はオール小説の増田雄作(大塚国夫)の挿絵。原稿があがらない増田からイメージだけを伝えられ、戸惑うマリ子。そこで新八郎(田中健)に相談するのだが…。
原稿なしでも挿絵を描けるようになったマリ子(熊谷真実)は、増田から絵に色気がないと言われ悩む。はる(藤田弓子)は増田の不倫小説を検閲し、即刻挿絵を辞めるように言う。大宗(渡辺篤史)からは、せっかく築いた成人向け挿絵家の道を捨てるなと説得されるが、新八郎(田中健)は紙の使用が制限されている情勢とは言え、児童物は最後まで残ると考え、児童物へ転向を進める。そんな中、新八郎は思いがけずマリ子に告白し…。
新聞で茜(島本須美)の絵の入選を知ったマリ子(熊谷真実)は、新八郎(田中健)と美術展に訪れ、茜と再会する。「青春」という名の画は、茜が自分で生きているという実感を描いたものだと言う。一方、ウメ(鈴木光枝)から三郷(山口崇)が離婚し、会社も上手くいっていないと知らされる磯野家。心配したマリ子が三郷を訪ねると、ヨウ子(早川里美)もまた様子を見にきていた。そんな中、朝男(前田吟)に赤紙が届き…。
マリ子(熊谷真実)から朝男(前田吟)の召集を聞かされる均(渡辺篤史)。田河(愛川欽也)に渡された酒をもって、魚朝にかけつける。朝男は、一度店は閉め、戻ったら再開できるように段取り、タマ(星清子)は仲間の店で働きながら帰りを待つと言う。磯野三姉妹が帰った後、朝男は均に三姉妹を頼むと兄貴分同士の約束をし、酒を酌み交わす。翌日、マリ子ははる(藤田弓子)とともに朝男のために千人針の完成に奔走し…。
朝男(前田吟)の出征日。ウメ(鈴木光枝)は水の神の水天宮のお守りを朝男に渡す。皆で朝男を囲んで記念撮影をする。揺れる日の丸と響き渡る軍歌の中で、朝男はマリ子(熊谷真実)たちとの別れに思いを巡らす。程なくして三吉(福田勝洋)が兵に志願する。マチ子(田中裕子)に闇の料亭に連れ出された三吉は、食料不足の中、自分の食い扶持のことでウメたちに迷惑かけまいと志願したと言う。マチ子はのらくろのお守りを渡し…。
ある日、険しい顔で新八郎(田中健)がやってきてのらくろが打ち切りになると言う。資材制限の中、売れ過ぎたことが原因だった。かけつけたマチ子(田中裕子)と細谷(下條アトム)を前に、田河(愛川欽也)は清々しい程覚悟を決めていた。幾度も細谷と軍の干渉を乗り切って、連載10年。田河と順子(三田和代)はのらくろを我が子のように思い、これまでの活躍を労う。だが、田河は均(渡辺篤史)の今後が心配で…。
皆出払った磯野家で、新八郎(田中健)がマリ子(熊谷真実)に結婚の話を切り出す。突然のことで歯切れの悪いマリ子に、焦った新八郎は激昂しながら無茶な求婚をする。勢いに押されて承諾しながら、優しいが気短な亡き父を思い出すマリ子。熱も冷めぬうちに、新八郎が鹿児島の父・隆太郎(戸浦六宏)と母・貴美(三木弘子)を連れて挨拶にきた。だが、嫁入り後の磯野家を心配するマリ子は求婚の承諾を言い出せずにいて…。
10年続いた「のらくろ」最終話が載った少年倶楽部を細谷(下條アトム)から受け取るマチ子(田中裕子)。田河(愛川欽也)の直筆サインを見て、マチ子は感極まる。一方、やつれた新八郎(田中健)が一週間ぶりに訪ねてくる。スパイ事件で元同僚が捕まり、混乱に見舞われていたと言う。そして、ついに新八郎にも赤紙が届く。夕方にも東京を発つという新八郎は、出征の前にマリ子(熊谷真実)に婚約の解消を求めるが…。
出征した新八郎(田中健)に写真を送るため、三郷(山口崇)に写真を撮ってもらうマリ子(熊谷真実)。三郷は再婚し、子供が生まれていた。そこへ、新八郎からすでに日本を発ったという知らせが届く。一方、田河(愛川欽也)を訪ねたマチ子(田中裕子)は、軍の言いなりになる前に、少女倶楽部の連載を辞めると言う。昭和16年12月、ついに、日本は米国・英国との戦争を始める。戦勝気分を盛り上げるニュースが続くが…。
戦果をあげるニュースがくり返し流れていたが、空襲を受け、元帥の死が報じられた頃、日本の戦況は厳しいものとなっていた。新八郎のことを思うだけで胸が苦しいマリ子(熊谷真実)は、手紙をはるに代筆してもらい、やりとりを続けていた。一方で、はる(藤田弓子)は敵国人として捕まった英国人のオネスト神父との面会を、たびたび懇願しに行っていた。怒鳴る看守(奥村公延)にもめげず、はる節で恩義について語り始めるが…。
不要資源を供出するように、との回覧板を見たはる(藤田弓子)は、押し入れを漁っている。供出したものが軍の武器となり、人を傷つけないか心配するマリ子(熊谷真実)たちだが、自分だけ出し惜しみするような考え方はいけない、と頑なはる。さらに、ヨウ子(早川里美)の書いた原稿を使い物になるか、菊池(フランキー堺)に見せるようマリ子に命じるはる。ヨウ子の才能の片鱗に気づき、菊池がじきじきに講義することになり…。
菊池(フランキー堺)の元へ学びに行くヨウ子(早川里美)は浮かない顔。マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)はヨウ子のためにスーツを作ることにする。そこへ、呉服屋の金沢(西村淳二)がはる(藤田弓子)に頼まれた闇の缶詰めをもってきた。マリ子はスーツの生地を調達ができるという金沢にお金を託す。その後、久々に訪ねてきた大造(河原崎長一郎)に缶詰めをご馳走するが、帰宅したはるは三姉妹が食べたと怒りだし…。
菊池(フランキー堺)から春秋文学社で働くよう誘われたヨウ子(早川里美)だが、塚田(日下武史)が懸念するほど消極的。人見知りなヨウ子は公園で一人で弁当を食べており、マリ子(熊谷真実)もまた心配する。一方、我が道を行くはる(藤田弓子)は鉄くずを拾いに行く。その間に、均(渡辺篤史)が手土産を持って訪ねてきて、マチ子(田中裕子)に標本を絵にする仕事を紹介する。そこへ、呉服屋の金沢(西村淳二)がきて…。
呉服屋の金沢(西村淳二)は、マリ子(熊谷真実)から預かったお金を商売仲間に騙し取られたと言う。咎めると態度が豹変するが、大宗(渡辺篤史)が一喝すると、そそくさと逃げ出していく。やがて、ヨウ子(早川里美)が春秋文学館で働き始めた頃、標本を絵にする仕事を始めたマチ子(田中裕子)は性に合わず、辞めようとする。そこへ、一平(益田喜頓)から千代(二木てるみ)の夫・大和田(大門正明)の戦死が知らされ…。
大和田の死を悼むタマ(星清子)。マリ子(熊谷真実)とタマは、互いに大事な人が戦地にいく前に残した言葉を思い出していた。そんな矢先、ヨウ子(早川里美)が肋膜炎になる。マリ子から報告を受けた菊池(フランキー堺)はカステラを持たせる。配給所では、いわくつきの家のせいでヨウ子が病に倒れたと噂している。それを聞いたマドカ(斎藤美和)は憤慨し、ウララ(楠田薫)は責任を感じてシャワーで水ごりをしようとし…。
ヨウ子(早川里美)に肉入りスープを出して栄養をとらせるはる(藤田弓子)。ヨウ子は飼ってるニワトリの声が聞こえないと心配するが、皆でさばいたことをひた隠す。三郷(山口崇)から新たに紹介された医者・新藤(冨田浩太郎)からヨウ子が他の病の可能性があると言われる。一方、マチ子(田中裕子)の後釜として、標本を絵にする仕事を始めたマリ子(熊谷真実)。食べられるものかどうか兵が見て判断するための絵だと聞き…。
新八郎の母・貴美(三木弘子)から、新八郎(田中健)が帰国したという電話が入る。喜ぶマリ子(熊谷真実)だったが、毎朝新聞から広島行きの切符を二枚手配されたことに、何かを察するはる(藤田弓子)。広島につくと、父・隆太郎(戸浦六宏)から、新八郎が戦地に戻る前に結婚式をあげてほしいと頼まれる。今度、南方へ赴けば生きて戻れる保証がないと言う。そこへ、軍服姿で坊主になった新八郎が現れ、結婚はしないと言い…。
マリ子(熊谷真実)と新八郎(田中健)の結婚式当日。義姉の孝子(今出川西紀)から、自身が嫁いだ時に使ったという筥迫(はこせこ)を借り、持参した着物で身支度するマリ子。略式ながらも厳かに式が終わり、隆太郎(戸浦六宏)と貴美(三木弘子)は孝子の家に旧婚旅行に行き、はる(藤田弓子)は東京へ帰る。皆の計らいにより、残された時間を家でゆっくり過ごすことになったマリ子たちだが、皆が帰った後、どこか他人行儀で…。
マリ子(熊谷真実)が目を覚ますと、庭には凄まじい気迫で木刀を振り上げる新八郎(田中健)がいた。朝食時に、鹿児島の男は亭主関白だと話す新八郎を前に、マリ子はあの剛剣で切り合うことが戦争なのだと痛感し、別人のようで怖かったと新八郎に告げる。そんなマリ子に新八郎は、西郷隆盛像や桜島など、自分が生まれ育った鹿児島を案内して回る。新婚旅行のように楽しい時が過ぎ、新八郎はある歌にマリ子への思いをのせて…。
瞬く間に新婚生活が過ぎていく。花を生けるマリ子(熊谷真実)を見て、良いところを小出しにしてたら、君の全部を知る前に旅立つことになる、と皮肉を言う新八郎(田中健)。じゃれ合う二人は、婚約の時に誓った、マリ子を不幸にしないという約束を思い出しながら口づけする。その夜、マリ子と貴美(三木弘子)が炊いた赤飯を食べ、酒を酌み交わし、別れを惜しむ東郷家。隆太郎(戸浦六宏)は月夜の灯りの中、琵琶を奏でて…。
新八郎(田中健)の出征のために広島に向かう道中が、二人の新婚旅行となった。そんな二人をガランとした家の中で思いやる隆太郎(戸浦六宏)たち。汽車の中で、マリ子(熊谷真実)と新八郎は、子どもができたらと二人で名前を考える。幸せな時間もつかの間、広島に到着する二人。別れ際、敬礼する新八郎の瞳を見て、想いを巡らせるマリ子。その後、9日ぶりに磯野家へ帰郷したマリ子。マリ子はいつものように明るく振舞うが…。
昭和19年早春。学徒出陣に続き、若い女性が軍事工場に借りだされることになった。病床でも明るく振舞うヨウ子(早川里美)に、栄養をとらせたいマリ子(熊谷真実)たちは、度々農婦・テツ(今井和子)を訪ね、着物と食べ物を交換しに行く。愛想の悪いマチ子(田中裕子)に忠告するテツだが、マリ子の人の良さと働きぶりにより、大量の野菜と米を持たせる。そんな矢先、はる(藤田弓子)が家族バラバラに住もうと言い出し…。
ヨウ子(早川里美)の見舞いにきた三郷(山口崇)とマリ子(熊谷真実)が、磯野家の疎開先について話していると、塚田(日下武史)が訪ねてきた。細谷(下條アトム)が、信州で小学校の美術の先生として働き口がある疎開先を見つけたと言う。マチ子(田中裕子)がお礼のために細谷を訪ねると、独り病床で空咳をしていた。マチ子が介抱しようとすると、細谷は漫画家としてのプライドを持てと断り、ただの風邪だと言うのだが…。
塚田(日下武史)から、信州の疎開先は身体を壊した細谷(下條アトム)のために探したと聞かされるマリ子(熊谷真実)。しかし、マチ子(田中裕子)の才能を潰さないため、細谷が磯野家を疎開先に行かせたがったと言う。一方、茜(島本須美)から文部省の絵画展のことを聞いたはる(藤田弓子)は締め切りまで3日という中、マチ子に東京生活総決算の画を描いて出展するよう命じる。見事、賞を勝ち取ったマチ子が描いたものは…。
疎開先に引っ越すため、野戦食編さんの絵の仕事を終わらせたマリ子(熊谷真実)。契約期間よりも早めに済ませた上、プロの絵描きとして交渉をし、大金をもらう。疎開準備の日、大造(河原崎長一郎)や植辰(江戸家猫八)、ウララ(楠田薫)たちが手伝いにくる。そんな中、三郷(山口崇)は、病を患いながらも前向きなヨウ子(早川里美)に驚かされる。その晩、久々に一平(益田喜頓)たちが上京してくるが、ただならぬ雰囲気で…。
疎開準備が終わった夜。食べ物に不自由している磯野家を福岡へ連れ帰るために、一平(益田喜頓)と千代(二木てるみ)が談判にきた。戸惑うマリ子(熊谷真実)たちだったが、二人の磯野家を思う気持ちと、一平とヨウ子(早川里美)の再会を見て、福岡行きを決意。時を同じく、岩村も鹿児島市長になったため、鹿児島に移り住むと言う。そこへ、田河(愛川欽也)たちが別れの挨拶にやってきて、漫画はどこでだって描けると言い…。
福岡行き当日。塚田(日下武史)から、マチ子(田中裕子)の売れた画のお金を渡される細谷(下條アトム)。細谷は女学生だったマチ子の成長を実感する。一方、最後までマリ子(熊谷真実)に想いを伝えられなかった大宗(渡辺篤史)も11年の月日を噛みしめる。しばらく千代(二木てるみ)を預かると言うタマ(星清子)や満州へ移ると言う三郷(山口崇)たちと、皆で別れの歌を歌う。だが、とうとうウメ(鈴木光枝)が泣き出し…。
磯野家は懐かしの福岡へ戻ってくる。寮として貸し出していた磯野家に戻れるよう奔走した村田(園田裕久)や、お隣の牛尾(三国一朗)や加津子(新井みよ子)が出迎える中、一家を連れ帰った一平(益田喜頓)は満足気。そこへ、紳太郎(木内聡)を連れたトミ子(村田みゆき)がきてマリ子(熊谷真実)との再会を喜ぶ。トミ子はヨウ子(早川里美)を今津の療養所に入院させることを提案。だが、療養所長(林昭夫)は入院を断り…。
一平(益田喜頓)はヨウ子(早川里美)が療養入院すると聞き、離ればなれになる磯野家を心配する。その頃、マチ子(田中裕子)は石井先生(小沢弘治)を伴い、かつて福岡新聞社だった西部日本新聞社を訪ね、文部大臣賞の賞状を見せつけて就職にこぎつける。そんな矢先、土地に馴染めずにいる鹿児島の花江(岩本多代)から、誰か手伝いにくるよう頼まれる。マリ子(熊谷真実)は東郷家の嫁として、東郷家から通うと言い…。
新八郎の留守の間、東郷家の嫁として鹿児島で暮らすことになったマリ子(熊谷真実)。男をたてる土地柄の中、マリ子は貴美(三木弘子)からさまざまな心得を学ぶ。一方で、磯野家の近況を書いたマチ子(田中裕子)からの手紙を、隆太郎(戸浦六宏)たちとともに心待ちにしていた。マチ子は新聞社で相変わらず愛想がないだの言われるが、仕事は順調な様子。療養中のヨウ子(早川里美)も、自分で少しずつ歩けるように訓練しており…
手土産を持ってきた花江(岩本多代)は、子供のいないマリ子(熊谷真実)を残念がるが、貴美(三木弘子)が制す。一方、マリ子は、隆太郎(戸浦六宏)たちが工面してくれた米をヨウ子(早川里美)に送ろうして駅員(北見治一)に没収されそうになるも、人懐っこさで切り抜ける。その頃、療養所では東京から戻った千代(二木てるみ)との再会に沸いていた。ウラマド姉妹の話を聞き、マチ子(田中裕子)も畑を始めると言い…。
昭和19年6月、空襲警報が増えた鹿児島。マリ子(熊谷真実)は、隆太郎(戸浦六宏)の指示のもと、落ち着いて逃げる準備をする。福岡のマチ子(田中裕子)は留守を預かる磯野家を守ろうと、火はたきを持って敵機の飛ぶ空をひとり睨む。翌日、東郷家ではじゃんぼ餅を焼いて食べるが、マリ子は初めて新八郎(田中健)の好きな食べ物だったと知る。その夜、夢の中に白い着物姿の新八郎が出てきて、ケガをしてしまったと言い…。
新八郎の夢を見たと隆太郎(戸浦六宏)たちに話すマリ子(熊谷真実)は、新八郎の全てを教えて欲しいと頼む。隆太郎は幼い頃のことや、新八郎を医者にしたかったが、新聞記者になりたいと、唯一反抗してきたことを話す。その頃、出勤前のマチ子(田中裕子)は、療養所に野菜の差し入れに来ていた。新聞社の人に頼まれて描いたのらくろの贋作のお礼だと言う。一方、毎朝から内報を聞いた貴美(三木弘子)はマリ子に知らせるが…。
新八郎の戦死の内報を聞いた後、東郷家の思いやりで福岡の実家に帰ったマリ子(熊谷真実)。千代(二木てるみ)を訪ね、戦争未亡人同士、慰め合う二人。だが、内報よりも夢の中の新八郎の言葉を信じると言い、マリ子は死を受け入れない。一方、軍から療養所を追い出されたヨウ子(早川里美)は、荒治療のおかげか少しずつ散歩もできるまでに回復していた。だが、空襲警報が連日鳴り響くことで、人々は神経をすり減らしており…。
昭和20年3月10日未明の東京を約130機のB29が襲い、未曾有の大空襲となった。朝から加津子(新井みよ子)たちが磯野家に集まり、皆で東京のウメたちを案ずる。だが、損害を伏せ、国民の戦意喪失を警戒した発表では、東京の様子は掴めなかった。そんな中、妊娠中のトミ子(村田みゆき)とマリ子(熊谷真実)が買い出しを終えると、ニワトリ泥棒(佐藤輝昭)に鉢合わす。はる(藤田弓子)は広い心で許そうとするが…。
ウメたちの安否不明のまま迎えた梅雨。腰を痛めた一平(益田喜頓)に代わり、マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)は畑で大量の野菜を収穫する。教会へ持っていく道中、はる(藤田弓子)は野菜で心も元気になったヨウ子(早川里美)について、かつて消極的だったが、病気によって成長したとマチ子に話す。その夜、福岡はB29の大軍隊により反復攻撃を受ける。防空壕で身を寄せ合う中、磯野家に焼夷弾が落ちたと聞き…。
空襲を心配して磯野家に電話をかけ続ける花江(岩本多代)や隆太郎(戸浦六宏)。一方、磯野家の焼夷弾を消し止めた村田(園田裕久)や牛尾(三国一朗)たちは、偵察してきた町の酷い有り様を語る。炊き出しに集まったり災者の中には、目の前で孫を失った老婆(牧よし子)もいた。千代(二木てるみ)も、マリ子(熊谷真実)が描いた画を命がけで持ち出して逃げてくる。そんな中、避難してきたトミ子(村田みゆき)が産気づき…。
空襲の日に生まれた子を抱き、トミ子(村田みゆき)一家が引き上げて行った。千代(二木てるみ)も磯野家を出ようとするが、一平(益田喜頓)は、亡き高男が安心するよう磯野家で暮らせと諭す。連日、艦載機による機銃掃射に追われる中、東京の大宗(渡辺篤史)からマリ子(熊谷真実)宛てに手紙が届く。赤紙がきて、死を覚悟した大宗はマリ子への長年の想いを打ち明ける。そんな中、ついに広島と長崎に原子爆弾が落とされ…。
間引き疎開の中止を求め、福岡市役所に直談判に行ったマリ子(熊谷真実)。帰りが遅いと心配する千代(二木てるみ)に、軍に逆らって銃殺されたのではと言い出すマチ子(田中裕子)。だが、マリ子は見事、磯野家取り壊し中止の約束を取り付けてくる。翌日、新聞社の物々しい雰囲気を悟ったマチ子は、明日天皇の御言葉によって戦争が終わる、という情報を聞く。日本が戦争に負けたことが信じられない一平(益田喜頓)たちは…。
日本の敗戦という経験したことない事態に市民は混乱に陥った。翌日、マリ子(熊谷真実)の周りでは、博多湾から敵が押し寄せてくるというデマが飛び交う。トミ子(村田みゆき)や仙造(福田信昭)、牛尾(三国一朗)たちが一緒に逃げようと説得するが、注意深いはる(藤田弓子)は頑として動かない。逃げ出して誰もいなくなった町で、畑仕事に精を出したマリ子たちは大量の野菜を収穫する。そこへ、片言の日本語が聞こえて…。
太平洋戦争開戦とともに、敵国人として横浜の抑留所で囚われていたオネスト神父(ラットバウト・モリン)が磯野家を訪ねてくる。はる(藤田弓子)が何度も面会に来てくれていたことを感謝する神父。また世田谷で、タマやウラマド姉妹の無事を確認してきたと言う。だが、焼け野原となった日暮里のウメたちは依然として安否不明のままだった。海を見つめるマリ子(熊谷真実)たちは、満州に渡った三郷のことも気にかかり…。
灯火管制が解除されたことにより、デマによる戦後疎開騒ぎの混乱も下火となった。磯野家延焼を防いだ村田(園田裕久)も、仕事を続けるため当分近所で一人暮らしすると言う。そんな中、仙造(福田信昭)が療養所の再開を知らせにくる。マッカーサーの進駐騒ぎがおさまった頃、ヨウ子(早川里美)は今津療養所へ入院する。だが、ある晩マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)が二人で留守番していると、米兵たちがやってきて…。
マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)の二人きりの夜、米兵たちが磯野家の戸を叩く。マチ子は果敢に米兵たちの応対をするが、子供と間違われてチョコレートやお菓子をもらう。学院の英語の先生の元へ案内しようとした時、偶然牛尾(三国一朗)と遭遇し、米兵たちを引き渡す。その間、怖がりなマリ子は家の鍵を閉めて震えていた。翌日、今度は胡散臭い英語を話す山田(小松政夫)という男が磯野姉妹の所在を探していて…。
闇屋の山田(小松政夫)は、マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)にアメリカ受けする日本風の画を描いて欲しいと頼む。マリ子は絵具と紙は調達するので20円以下では描かないと断言。困る山田に、アメリカから融通してもらう栄養価の高い食料を画料としても良いと交渉。ヨウ子(早川里美)のため、せっせと画を描く二人。はる(藤田弓子)も療養所でせっせと食料を配り歩く。そこへ、同業者の夏川(早崎文司)もきて…。
闇屋の山田(小松政夫)から画の報酬として受け取ったステーキを頬張るマリ子(熊谷真実)たち。マチ子(田中裕子)は画を描き、畑を耕し、美味しいものを食べられるこの生活を気に入っている様子。そんなある日、二百年続く戸田海運を守ろうとしているトミ子(村田みゆき)を見て、マリ子は磯野家をどう立て直していくか悩む。だが、はる(藤田弓子)は今の磯野家の目標は、ヨウ子(早川里美)の病気を治すことだと言い…。
昭和21年4月。退院したヨウ子(早川里美)を連れ、早朝にこっそり出かけるマチ子(田中裕子)。帰るなり、畑のために馬糞を拾いに行ったら、誰かがすでに拾っていたと憤慨する。とられまいと起床の時間を早めていく中、西部日本新聞の小田(織本順吉)たちが訪ねてくる。夕刊フクオカという会社を作るので、その夕刊に載せる漫画の連載をお願いしたいと言う。全て自分に一任させてもらえるならと引き受けるマチ子だが…。
千代(二木てるみ)は、村田(園田裕久)にマチ子(田中裕子)の連載が決まった経緯を話す。当のマチ子は窓から海を眺めたり、かと思えば家中をウロウロしたりと悶々としている。だが、突然筆を持つと、勢い良く髪型が特徴的な主人公を描きあげる。生命力溢れるお転婆な主人公にしたいというマチ子に、ヨウ子(早川里美)はマリ子(熊谷真実)みたいだと言う。百道の浜を散歩していたマチ子は、サザエの貝殻を見て何かを閃き…。
ついに漫画「サザエさん」が新聞紙上に産声をあげる。磯野家の日常で起こるようなことを描いているのだが、誰の失敗がネタにされるかと内心ヒヤヒヤする周りの人々。そんな中、マリ子(熊谷真実)の失敗談が早速漫画のネタになり、怒ったマリ子はマチ子(田中裕子)を追いかけ回す。そこへ、満州から帰国した三郷(山口崇)が、道子(光丘真理)と言う少女を連れて、ボロボロの姿で磯野家を訪ねてくる。道子を風呂に入れると…。
風呂に入り、見違えるほど可憐な少女になった道子(光丘真理)。空き缶に入れていた父の遺骨を、綺麗ななつめに入れ替えたらと差し出すマリ子(熊谷真実)たち。三郷(山口崇)が満州で、友人でもない父をおぶって3日も歩いてくれたと話す道子。翌日、百道の海を眺めて決心した三郷は、静かに満州での悲劇を語り出す。異郷で死んだ自分の家族への、せめてもの罪滅ぼしをするため、道子の父の遺骨を故郷北海道に納めると言い…。
三郷(山口崇)と道子(光丘真理)の北海道への出発の日。いよいよ送り出そうとした時、闇屋の山田(小松政夫)がやってくる。日本趣味のあるアメリカ将校から画の依頼があったと言う山田に、三郷たちをきちんと見送れず怒るマリ子(熊谷真実)は、高い画料を要求する。だが、この生活に疑問を持っていたマリ子は、突如人の役に立つことに目覚める。教会での花嫁衣裳の着付け係になったり、頼まれてオルガンを弾いてみたり…。
昭和21年秋。人の役に立つことに目覚めたマリ子(熊谷真実)は、はる(藤田弓子)が引き受けた裁縫の仕事など、手当たり次第に飛びつく。そんな中、空襲の時に避難してきた昌枝(中西妙子)と、その夫の森田(高原駿雄)がお礼にやってきた。近々東京に引っ越す予定の森田は、従弟も東京で出版の仕事をしていると伝えて帰っていく。数日後、朝刊には塚田から磯野姉妹宛てに、仕事の依頼をしたいという広告が載っており…。
塚田からの仕事の依頼の新聞広告を見て、はる(藤田弓子)は再び東京行きを宣言。早速、フクオカ新聞の小田(織本順吉)を訪ね、「サザエさん」の打ち切りを約束させるマリ子(熊谷真実)。一方、はるはあっという間に家を売るなり、半金を持って帰ってきて、その金で「サザエさん」を出版するようにマリ子に命じる。出版を知らないマリ子とマチ子(田中裕子)は東京へ偵察へ行くが、世田谷の家はすでに別の家族が住んでおり…。
東京へやってきたマリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)は、畑仕事が板についたウララ(楠田薫)やマドカ(斎藤美和)と再会を果たし、タマ(星清子)も交えてサツマイモでお茶会を始める。そんな中、朝男の無事を聞いて安堵したマリ子は、東郷も帰りが遅れているだけだと言い切ってしまう。さらに、大宗(渡辺篤史)が、空襲後にウメを見かけたという人に会ったらしいという話を聞いて、マリ子は恋文のことを思い出し…。
ウラマド姉妹の家に泊まったマリ子(熊谷真実)たちは、翌日田河邸に行き、田河(愛川欽也)や順子(三田和代)と再会を喜ぶ。だが、マリ子に恋文を書いたことを後悔する大宗(渡辺篤史)は、再会の場に顔を出せずにいた。その後、出版のために紙屋を訪ねるマリ子たちだが、素人丸出しである磯野姉妹の取次ぎは後回しにされてしまう。出版を渋る森田(大塚周夫)に、マリ子は持ってきた現金を見せて出版の約束を取りつけるが…。
マリ子(熊谷真実)たちがウラマド姉妹の家に戻ると、塚田(日下武史)が待っていた。出版のために紙屋に大金を払ったと聞いた塚田は、戦後のカストリ雑誌の氾濫による出版界の危うさを説く。それでも出版の道へ突き進もうとする磯野姉妹。「サザエさん」の面白さに納得する塚田も、B5版で出すようアドバイスする。一方、タマ(星清子)はマリ子たちに、現在もなお、磯野家に住む家族から磯野宅を買い戻して欲しいと頼み…。
東京偵察から戻って数日。マチ子(田中裕子)の提案で「サザエさん」の発行所は「姉妹出版」に決定する。早速、東京の紙屋を訪ね、2万部刷ってほしいと頼むマリ子(熊谷真実)に、無謀な見通しだと驚く森田(大塚周夫)。お金も倍はかかると知り、さらに、帰り道でも別の復員兵を新八郎(田中健)と見間違え、落ち込むマリ子。その頃、大宗(渡辺篤史)とマチ子は、磯野宅に住む家族に家を明け渡して欲しいと交渉しに行き…。
安定した職がない者を制限する、東京への転入問題。マリ子(熊谷真実)はフクオカ新聞の小田(織本順吉)を訪ね、名目上の社員の座を勝ち取る。荷造りも一段落したマリ子とトミ子(村田みゆき)は、学生の頃に歩いた道をたどる。再び東京へ行くマリ子に、エールを送るトミ子は今や4人の母親、今度は出版を目指すマリ子。だが、二人の友情はあの頃と変わらない。その夜、隆太郎(戸浦六宏)たちも磯野家の見送りにかけつけ…。
マリ子(熊谷真実)たちは、現在磯野宅に住む松枝(有崎由見子)たちと同居することになった。咳き込むヨウ子(早川里美)を見て、タマ(星清子)に病気の詮索を入れる松枝だが、うつらないようにと脅されて磯野家との接触を避ける。一方、マリ子は製本の納品日に森田(大塚周夫)を訪ねるが、もう少し待って欲しいと言われる。騙されているのかと心配になり、不安になるマリ子。そんな時、朝男(前田吟)が戦地から戻ってきて…。
朝男(前田吟)は磯野家に顔を出し、千代(二木てるみ)の夫・大和田が戦死したことや、マリ子(熊谷真実)が新八郎の妻になっていたことを知る。家に帰り、タマ(星清子)からマリ子が初めての出版の仕事で困っていることを聞いた朝男は、何の力にもなっていない大宗(渡辺篤史)に激怒し、呼び出して殴りかかる。大宗から恋文事件のことを聞いた矢先、マリ子が訪ねてくるが、マリ子は手紙のことなど知らないと言い出し…。
千代(二木てるみ)に差し入れを頼むマチ子(田中裕子)は、ヨウ子(早川里美)に手伝ってもらいながら、出版社の締め切りに追われている。一方、朝男(前田吟)と大宗(渡辺篤史)は、マリ子(熊谷真実)の本を早く仕上げてもらおうと、紙屋の森田(大塚周夫)たちを食事に招く。初めての場で戸惑うマリ子は、朝男たちの歌や踊りの捨て身の接待を見て、商売人としての交渉術を学ぶ。だが、肝心の本を売る方法を考えておらず…。
刷った本を持ってデパートに行くマリ子(熊谷真実)は、店の係長(真田五郎)に取次店について教わるついでに、500部買い取ってもらう。いつの間にか磯野家での些細な小競り合いも、家長として立派に取り仕切るマリ子の姿に、はる(藤田弓子)は亡き夫の面影を見る。翌日、日本一大きい取次店に乗り込んだマリ子は、見事全て在庫を買い取ってもらう。同居していた松枝たちも朝男(前田吟)の家に移り住み、年は暮れて…。
振袖のヨウ子(早川里美)を囲み、近所のウララ(楠田薫)たちが綺麗だと褒めそやす昭和22年、正月。新年の挨拶にきた朝男(前田吟)や大宗(渡辺篤史)とともに、皆で正月を迎えることのありがたみを噛みしめる。そんな時、塚田が本の増刷を提案していたと話す大宗。それを聞いたはる(藤田弓子)は、マリ子に再販するように命じる。だが、紙屋の森田(大塚周夫)はインフレにより、前と同じ金額では受けられないと言い…。
「サザエさん」2万部再販の発注からひと月半。インフレで値上がりが続き、初版は12円のものを、25円で再販することとなった。その頃、マチ子(田中裕子)は病気の身体で疎開先を心配してくれた細谷が、小説家として復活したと知って感激する一方で、消化に悪いスルメばかりを食べて、胃を悪くしていた。そんな矢先、取次店を訪れたマリ子は「サザエさん」再販の買い取りを断られ、返本続きで全く売れてない事実を知り…。
磯野家が返本だらけと聞いた大宗(渡辺篤史)はマリ子(熊谷真実)を連れ、塚田(日下武史)を訪ねる。返本の原因がB5版の型にあると言われ、責任を感じた塚田は、神田村の取次店をまわるよう助言する。早速、神田村で本を置いてもらうよう交渉するマリ子。痔を悪化させた大宗に代わり、朝男(前田吟)と千代(二木てるみ)にリヤカーで本を運んでもらったマリ子は、順調に本を卸していく。だが、その晩、朝男が倒れて…。
マラリアで倒れ、薬が飲み込めない朝男(前田吟)。千代(二木てるみ)はとっさに水を含み、口移しで薬を流し込む。一方、マリ子(熊谷真実)は取次店主から、新顔なのに手際が良いと褒められるも、客扱いされないことにショックを受けるが、病床の朝男からは、商売人として物を売ることの方が重要だと教えられる。そんな中、取次店から再び4000部返本されてしまう。さらに、マチ子(田中裕子)も胃けいれんで倒れてしまい…。
胃痙攣で倒れたマチ子(田中裕子)は痛みをこらえて締め切りをこなす。一方、本が売れない原因が型にあるなら、型を変えて2巻目を出すように提案するはる(藤田弓子)。マリ子(熊谷真実)は、挿絵を描けという塚田(日下武史)を押し切って、2巻目出版分の資金を借りる。そこへ、天松屋・良造(金沢淳二)がきて、コストを下げた出版ルートがあると言う。そんな中、千代(二木てるみ)と朝男(前田吟)はいい雰囲気で…。
天松屋に紹介された印刷所や製本屋へ通い、朝から晩まで見張るマリ子(熊谷真実)。折り屋では順番を飛ばされそうになるが、機転を利かせて回避する。そんな中、身体がかゆくなる南京虫事件が発生。朝男(前田吟)がDDTをもってきて対処したり、虫が隠れそうな本を外に運びだしたり、一騒動。2巻目が売れるか心配になったマリ子は、夢の中で新八郎(田中健)から、よく眠り、明るく元気いっぱいに本を届けるよう助言を受け…。
神田村に2巻目を卸した翌日、取次店のあちこちから追加注文を受けるマチ子(熊谷真実)。再販の資金がないと言うと、売れた分を今すぐ支払うとまで言い出す取次店主たち。一方、マチ子(田中裕子)は福岡から訪ねてきた小田(織本順吉)に、「続・サザエさん」を描いて欲しいと頼まれる。福岡・名古屋・北海道の同時掲載で、3紙分の稿料がもらえると言う。そんな中、サザエさん2巻を見て、植辰(江戸家猫八)が訪ねてきて…。
実の娘のように一緒に暮らす道子(光丘真理)の将来を思い、磯野家へ託したいと三郷(山口崇)から手紙が届く。早速、北海道に迎えに行くはる(藤田弓子)。そんな中、復員した三吉(福田勝洋)は、一緒に、さよ(香川久美子)の実家にいるウメ(鈴木光枝)たちに会いに行って欲しいと言う。実家に向かったマリ子(熊谷真実)と三吉は、うつろな眼差しのウメと再会する。三吉は酒田の看板をもらい、店を立て直したいと言い…。
昭和23年、春。型を変えて出した2巻目は飛ぶような売れ行きだ。道子(光丘真理)は磯野家のお手伝いさんのみならず、マチ子(田中裕子)が行き詰った時のお相手としても活躍中。磯野家に資金を借りて店を立て直した三吉(福田勝洋)は、ウメ(鈴木光枝)たちを東京に迎える。ウメは再び皆で東京に住める嬉しさに感極まる。そんな中、互いに惹かれ合う朝男(前田吟)と千代(二木てるみ)は結婚に向けて話し合うのだが…。
千代(二木てるみ)に熱烈なプロポーズをした朝男(前田吟)。夫婦となった朝男たちは、ウラマド姉妹の家を買って欲しいとマリ子(熊谷真実)に相談する。資産だけでは立ち行かなくなったウラマド姉妹は、家を売って有料老人ホームを立ち上げると言う。家を買う資金のために、サザエさん3巻目を出すよう命じるはる(藤田弓子)。そこへ、塚田(日下武史)が3巻目は陽談社から出し、マリ子は挿絵家に戻ればいいと提案するが…。
昭和25年。道子(光丘真理)と琴(猪俣光世)が磯野家のお手伝いさんとなる。サザエさん3巻が売れ、マリ子(熊谷真実)たちはその資金でウラマド姉妹の家を買い取り、応接間を改築して使っている。そんな中、久々に田河邸で同窓会が開かれる。細谷(下條アトム)は妻(高尾美由紀)を連れ、三吉(福田勝洋)も立派に店を復興させ、時間の流れを実感する面々。田河(愛川欽也)も今、大人になったのらくろを描いていると言い…。
井関(和田一壮)が来ると、台所ではお菓子を作りながらマリ子(熊谷真実)や道子(光丘真理)たちが歌っている。応接間では、はる(藤田弓子)やウメ(鈴木光枝)や植辰(江戸家猫八)たちが集まって、今度、ウララ(楠田薫)たちのいる自然に囲まれた老人ホームにピクニックに行こうと盛り上がっている。そこへ、オネスト神父(ラットバウト・モリン)も遅れて合流し、はるたちの同窓会はより一層、話に花が咲くのだが…。
隆太郎(戸浦六宏)から新八郎の七回忌の知らせが届く。行けば戦死を認めることになると言うマリ子(熊谷真実)に、かけつけることが何よりも慰めになり、新八郎に代わってできる親孝行だと言うはる(藤田弓子)。鹿児島へ向かったマリ子は、隆太郎と貴美(三木弘子)とともに法事に出る。隆太郎たちは、マリ子の新しい出発を思い、籍を抜くと言う。東京に戻ると、岩村(小泉博)がヨウ子(早川里美)の見合い写真を持ってきて…。
岩村(小泉博)からの縁談を皮切りに、ヨウ子(早川里美)には続々と見合いの話が持ち込まれる。だが、結婚せず、一生マリ子(熊谷真実)たちと暮らしたいと言うヨウ子。ある日、岩村が語った正史(湯沢紀保)の失敗談に興味を持ったヨウ子は、見合いをすることに。だが、粗こつ者の正史は時間を間違えてやってきて、まだヨウ子の支度も出来ていないうちに、思いがけない出会い方をした二人は、見合いを機に交際が始まり…。
お洒落したヨウ子(早川里美)は、正史(湯沢紀保)とデートに出かける。そんな矢先、磯野家に一件のクレーム電話が入る。今朝の新聞のサザエさんの漫画に、そば屋の連絡先として描かれた電話番号の持ち主だ。ひっきりなしに迷惑電話がかかってくると怒る持ち主に、慌てたマチ子(田中裕子)は、マリ子(熊谷真実)に泣きついてお詫びに行ってもらう。一方、ヨウ子は正史が磯野家で暮らすならお嫁に行ってもいいと言い出し…。
ヨウ子(早川里美)の結婚の条件が、磯野家でともに暮らすことだとマリ子(熊谷真実)から聞いた正史(湯沢紀保)は、あっさり承諾。年を越して早々に婚約となった。マリ子たちはヨウ子が幼い頃、夜に泊まり先から、寂しくなって家に帰ってきたことを思い出していた。一方、婚約が決まってからの正史は、毎日磯野家にお得意の講義を開きにやってくる。そんな中、近所で火事だと聞いた正史は、人が変わったように飛び出して行き…。
毎晩、遅くまで講義をしにくる正史(湯沢紀保)に付き合いきれなくなったマリ子(熊谷真実)たちは、一刻も早くヨウ子(早川里美)と結婚させようと、挙式の日取りを早める。純白のドレスを見て喜ぶヨウ子の姿に、マリ子とマチ子(田中裕子)は思わず感極まる。結婚式の当日、ウメ(鈴木光枝)たちが集まり、教会で厳かに式が始まる。外で三郷の到着を待つ道子(光丘真理)に、均(渡辺篤史)は代わりに自分が外で待つと言い…。
ヨウ子(早川里美)の結婚式に参列した一平(益田喜頓)たちが福岡へ帰って行った。三郷(山口崇)からは、開拓仲間の急病のため駆けつけられなかったとお詫びの手紙が届く。三郷が無事だったと知って安心した道子(光丘真理)は、下宿先に住む均(渡辺篤史)へ報告に行く。一方、新婚旅行から戻り、正史(湯沢紀保)の妻となったヨウ子と、どう接していいかわからないマリ子(熊谷真実)たちは、よそよそしくしてしまい…。
新婚のヨウ子(早川里美)たちの生活が気になるマリ子(熊谷真実)たち。だが、当のヨウ子は正史(湯沢紀保)の面白い行動を楽しんでいる様子。そんな中、不眠症や胃けいれんが続いていたマチ子(田中裕子)は、自分の才能に疑心暗鬼になり、漫画を休みたいと言い出す。マリ子は早速毎朝新聞に出向き、休載を申し出る。紙やペンや本など、すべて燃やして漫画家廃業宣言したマチ子だが、磯野家一同はどこか晴れ晴れとしていて…。
漫画を休載したマチ子(田中裕子)が畑を耕したり、人形をつくる中、はる(藤田弓子)の湯河原のホーム通いが増える。マチ子の様子を見にきた塚田(日下武史)が、ヨウ子(早川里美)と正史(湯沢紀保)のデートの失敗談を無邪気に笑ったり、マチ子が仕事を辞めたことで、磯野家に流れる空気は平和そのものだった。そんな中、マリ子(熊谷真実)の元にサザエさんカルタ発売の話が舞い込み、マチ子のやる気に火がつくが…。
毎朝の朝刊に「サザエさん」が再登場する。凝り性のマチ子(田中裕子)は気に入らない原稿を描き直し、マリ子(熊谷真実)に頼んで原稿取りの池田(加藤健一)を待たせている。そんな中、朝男(前田吟)に引っ張られてきた均(渡辺篤史)が、道子(光丘真理)との結婚を認めて欲しいと直訴する。親子ほど年の差のある二人だが、道子は均の描くおおらかな漫画への愛を語る。二人の気持ちを聞いたマリ子は、結婚を認めるのだが…。
式も挙げずに、均(渡辺篤史)の住むアパートに嫁に行った道子(光丘真理)。二人の生活を心配し、マリ子(熊谷真実)だけでなく、田河(愛川欽也)夫妻や細谷(下條アトム)夫妻も同じように日用品を持ってかけつけ、狭いアパートは一気ににぎやかになる。マリ子が家に帰宅すると、マチ子(田中裕子)が胃を痛めて倒れてしまう。医者(川部修詩)からもはや胃けいれんの段階ではないと言われたマリ子は、がんではないかと心配し…
胃痛で倒れたマチ子(田中裕子)は検査を嫌がる。マリ子(熊谷真実)たちに説得されて渋々検査するが、即日入院となる。付き添いのヨウ子(早川里美)が入院支度のため帰宅すると、信心深いはる(藤田弓子)は手術に反対する。ヨウ子は、マチ子の胃に穴があきかかっており、命に関わるため手術が必要だとはるを説き伏せる。そんな中、北海道から三郷(山口崇)がかけつけ、病気に負けない信念を持つようにとマチ子を励まし…。
マチ子(田中裕子)の手術中、不安な面持ちで待つマリ子(熊谷真実)たち。一方、磯野家にはウラマド姉妹やウメ(鈴木光枝)もかけつける。ウメは手術の成功を祈り、風呂で水ごりを始める。予定より随分早く終わるも、手術は無事成功。麻酔からなかなか覚めないマチ子の様子を見に、女医の荘司(鳳蘭)が病室に来る。明るくハツラツとしているが大胆な発言に圧倒されるマリ子たち。そんな中、塚田(日下武史)が見舞いにきて…。
手術の短かさを気にしたマチ子(田中裕子)は、重病ゆえに手術ができなかったのではと大山医師(北村和夫)に迫る。切った胃袋を見せようとする大山にマチ子とマリ子(熊谷真実)は押し黙る。そこへ、女医の荘司(鳳蘭)と看護婦の久美子(遥くらら)がやってくる。荘司は気弱になっているマチ子に、自分が昔宝塚に憧れ、今でも諦めずに踊りの練習をしていると話す。数日後、漫画を描こうとするマチ子に磯野家はある決断をし…。
磯野家で話し合った結果、マリ子(熊谷真実)たちは、マチ子(田中裕子)に仕事を辞めて農業を勧めてみるが、仕事の意欲が湧き始めているマチ子は断固拒否する。脳と胃は兄弟のようなものであると話す正史(湯沢紀保)だが、今回の手術で胃痛の心配がなくなったとわかった磯野家は、漫画廃業の案を廃案とする。マチ子の退院の日、今度はヨウ子(早川里美)が倒れてしまう。子供ができたとわかり、磯野家はお祝いムードになり…。
サザエさんの20巻が出る頃、ヨウ子(早川里美)のおなかも大きくなっていた。ウメ(鈴木光枝)とさよ(香川久美子)が安産祈願のお札を持ってきたり、ヨウ子と正史(湯沢紀保)が生まれてくる子どもの性別で揉める中、植辰(江戸家猫八)だけは元気がない。はる(藤田弓子)が薬を飲ませたり、皆で介抱して元気を取り戻した植辰だが、マリ子(熊谷真実)には戦地から未だ戻ってこない息子のことを思いだしたと語り出し…。
日曜日の磯野家に、相変わらず怪しげな天松屋(西村淳二)が押し売りにくる。一枚上手のはる(藤田弓子)は、タマ(星清子)と天松屋を連れて湯河原の老人ホームに遊びに行く。そんな矢先、ヨウ子(早川里美)の陣痛が始まってしまう。出産経験のないマリ子(熊谷真実)やマチ子(田中裕子)は慌てふためき、正史(湯沢紀保)もオロオロ。だが、かつて息子のお産を手伝ったことのある植辰(江戸家猫八)が冷静に指示を出し…。
出産のため入院したヨウ子(早川里美)。家で待つことになったマリ子(熊谷真実)たちの元に、朝男(前田吟)や植辰(江戸家猫八)も駆けつける。夜、無事に女の子が生まれたと連絡が入ると、正史(湯沢紀保)やはる(藤田弓子)は我先に会いに行こうとしてマリ子に止められる。明日まで会えないもどかしさから、感情的になってしまう正史たち。やがて赤ん坊は正子と名付けられ、骨抜きにされた磯野家は皆、正子にべったりで…。
磯野家の皆がしきりに正子にかまうため、当のヨウ子(早川里美)にはなかなか順番が回ってこない。代わりに夜泣きが増え、ヨウ子も正史(湯沢紀保)も寝不足の日々。気を利かせて、庭で正子をあやすマリ子(熊谷真実)は、子守歌のように昔の話を聞かせるのだった。福岡にいた頃のこと、幼い頃のヨウ子のこと、東京に引っ越してきたこと、優しい人たちと出会えたこと。そこへ、どこからともなく新八郎(田中健)がやってきて…。
鹿児島から訪ねてきた貴美(三木弘子)は、未亡人のままのマリ子(熊谷真実)を心配するが、新八郎の帰りを待つことから始めた姉妹出版の仕事が、マリ子をたくましい女性へと成長させていた。新八郎と結婚したことを何一つ後悔していないマリ子を見て、貴美は安堵して帰っていく。一つの区切りをつけたマリ子は、朝男(前田吟)に、自分の生き方に自信を持ったと胸の内を話す。そんな中、ヨウ子(早川里美)が二人目を出産し…。
田河(愛川欽也)夫妻も、一平(益田喜頓)たちも、ヨウ子(早川里美)の二人目の子・彩子の誕生を喜ぶ。赤ん坊に会いにきたウメ(鈴木光枝)やウラマド姉妹が同窓会のように賑わう中、マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)は、はる(藤田弓子)の相変わらずの献金宣言に圧倒されつつ、母の偉大な精神に負けじと頑張ることを誓う。そんな中、三郷(山口崇)に送る磯野家の記念写真を撮ろうとした正史(湯沢紀保)だが…。