海面上昇により世界の多くが海の底に忘れられた近未来。海の上に取り残された小さな町に生きる斑鳩夏生は、謎の女・キャサリンに誘われ海洋地質学者だった祖母の家にある宝を探している。ある日、潜水艦で海底に潜った彼は、謎のカプセルとその中に眠る少女に出会う。彼女は、人間と見紛うほど精巧なヒューマノイドだった。
「マスターの足になります」。キャサリンに預けたはずが、夏生のもとへ戻ってきていたアトリ。マスターをサポートすると息巻くアトリだったが、夏生を担いで海に落ちたり、料理は失敗したりとまるでポンコツ。そんなアトリは乃音子から受けた大事な命令を思い出そうとするが…。
学校へ通うことになったアトリと、付き添う夏生。しかし校舎はその大半が水に沈んでいた。なんとか校舎に踏み入れたふたりだったが、そのなかは学校とはいえない閑散とした教室と予想外の教師の姿だった。そこで夏生は、町に残った者たちの哀しい現実を知ることになる。
潮の満ち引きを利用した潮汐発電機を作る決心し、材料を探すため再び海へ潜った夏生は竜司の実家である工場から樹脂を持ち帰ると、すぐに作業に取り掛かる。作業が進む中、夏生と竜司は激しく意見がぶつかり合うも、アトリの仲裁もあり次第に仲を深めていく。一方、学校の外には彼らを覗く怪しい人影が…。
アトリを売れば、バッテリーが手に入る。だが夏生には、もうアトリがただのヒューマノイドとは思えなくなっていた。船着場で思い悩む夏生、ふと目を海に向けると流されているキャサリンを見つける。酔っぱらっていた彼女を仕方なく介抱する夏生とアトリ。しかしその時、静かな船内に銃声が響く。
学校の先生とサルベージ屋を始めたことで、大きく変化した夏生の生活。「電気の灯る学校」の噂は生徒を呼び戻し、校舎は次第に活気を取り戻していた。それに比例するように豊かになっていく夏生の表情―。そんな姿を目にし、何か裏があると睨んだ竜司たちは、探りを入れ始める。
夏生の初恋の人は、アトリなのか?美しかった幼い頃の記憶がどんどん上書きされてしまう。認めたくはないが、認めざるを得ない状況を、必死に否定し続ける夏生。そんな中、キャサリンはアトリのこれからについて疑問を投げかける。人間のように生活するアトリのこれからは…。
何をするにも上の空で、夏生の様子が少しおかしい。水菜萌たちに問い詰められた夏生は、渋々海の中でキスをしたことを打ち明けるのだった。アトリはヒューマノイドでもあり、初恋の人でもあるという現実をうまく受け止めきれない夏生。そんな彼に水菜萌が告げた言葉とは…。
広げてあったアトリのログを見てしまった夏生。そこに綴られていたのは、ヒューマノイドとして夏生の望む行動を無機質に実行した血の通わない「記録」だった。本能的にアトリを拒絶し、何もかもを信じられなくなった夏生のもとに、1通の手紙が届く。それは、アトリというヒューマノイドの真実を記したレポートだった。
ボロボロなアトリのもとに駆け付けた夏生。しかし、ヤスダの標的はアトリから夏生へ。絶え間なく与えられる痛みで、夏生までもボロボロになってしまう。そんなヤスダからの一方的な暴力を前に、耐えられなくなったアトリは…
本土のアカデミーに戻り、ヒューマノイドについて学ぶことを決心した夏生。サルベージ屋を竜司に託すため船の片付けをしている中、頬を赤らめるアトリに連れられたベッドには「YES」を向いた枕が。夏生は呆れながらもふたりの未来を見つめ直すため話し始める。
カプセルがアトリに伝えた最後の命令。それは、エデンに行くこと。しかし肝心の場所が分からない不完全な命令に戸惑う夏生たちは、どこまでも広がる海を手当たり次第捜索するのだった。まったく進展がない絶望的な状態だったが、凜々花の見つけた一つのヒントが夏生の「ある記憶」を思い出させる。
残り3日。エデンに組み込まれることを決意したアトリとアトリを救うために動く夏生の限られた時間は進んでいく。