タンバルン王国のラジ王子に愛妾にされそうになった白雪は、生まれ育った国を出ることに。 隣国の森で出会ったのは、ゼンと名乗る少年。薬剤師の白雪は彼の捻挫の手当てを申し出るも信用されず、自らの腕を打ち、できた傷に薬を塗ってみせる。 彼女の思いがけない真摯な行為に心を許すゼン。事情を聞いた彼は、災厄の原因となった白雪の赤髪を運命の色だと言う。そんなふたりの元に林檎が届けられた。贈り主は、ラジ王子であった。
クラリネス王国での暮らしはじめた白雪。薬剤師の仕事を求めて入った薬局で、彼女は薬草をチェックする子どもに出会う。彼が宮廷薬剤師と知って驚く白雪に、店主は「クラリネスは優秀であれば、どんな人材でも支援する国だ」と宮廷薬剤師の募集要項をくれた。薬草を勉強するため、ゼンに見送られてコトの山に来た白雪。だが、見知らぬ男に襲われる。彼は稀な赤髪を持つ彼女を金持ちに献上し、褒美を得ようとしていた。
宮廷薬剤師を目指して試験勉強に励む白雪。王宮に呼ばれた彼女は、不眠不休で執務に励むゼンを目にする。お忍び外出をとがめられたゼンは、反省を態度で示すと執務室にこもり続けていたのだ。自分の国を知りたい、そのためにゼンは闘っている。ゼンの姿に白雪は宮廷薬剤師となる決意を強くする。そんな白雪をゼンに取り入る厄介者と思うハルカ侯は、彼女を遠ざけようと画策する。
いよいよ宮廷薬剤師見習いの採用試験が始まった。白雪は薬事棟の花壇で、薬屋で見かけた宮廷薬剤師のリュウに出会う。 彼に採取する時間で薬草の効能が変わることを教えられた白雪は、ここでなら生きた薬学が学べると試験への意気込みを新たにする。 試験内容は薬草園の管理。夜、薬草園の灯りが気になったゼンが訪れると、白雪がひとりで作業していた。 そこに何者かが現われ、白雪とゼンは薬草園に閉じ込められる。試験の行方は……。
宮廷薬剤師見習いとしての仕事で白雪はゼンたちとラクスドの町に到着した。 白雪と別れてラクスド砦に視察に訪れたゼンとミツヒデ、木々は、倒れて苦しむ兵士たちに驚く。 原因がわからず、魔物の仕業だと言う兵士やオビの制止を振り切って砦内を調査するゼンは、空になった武器庫を見て盗賊を疑う。 木々の提案で兵士たちの治療を白雪に頼むことにしたゼン。騒ぎのなか、オビは危険に飛び込むゼンを止めないミツヒデを不思議に思う。
クラリネス王国の第一王子、イザナが帰還し、王宮の空気が一変した。 ゼンの兄との思いがけない対面にとまどう白雪。 ゼンと白雪の関係を快く思わないイザナは、かつて彼女を愛妾にしようとしたタンバルン王国のラジ王子を城に招待するが…。
イザナの帰還によりクラリネス王国にいる意味を見失いかけた白雪だったが、ゼンの言葉を思い出し、どうありたいのか自分の中の答えを再確認する。 手をとりあい心を通い合わせる白雪とゼン。 ゼンは白雪に、一国の王となる自覚をもって道を進む兄・イザナとの思い出を語り始める。
ラジ王子の発言で注目の的となってしまった白雪。そんな白雪を心配するゼンはオビを彼女の護衛につける。そんな中、オビは、ゼンが”王子”じゃなければ良かったのではないかと白雪に問う。それを偶然聞いてしまったゼンは、アトリという少年との過去に思いを馳せるのであった。
ロカの実のお酒を飲んで酔ってしまった白雪は、ラクスドに行こうとする。砦での事件以来、ゼンのために何か出来ないかと考えていたのだ。護衛をまかせていたオビから知らせを受け、二人の元へ向かうゼン。その姿を見たミツヒデは、ゼンを守ると誓った日のことを思い出す。
白雪が出会ったのは笛で鳥を操る少女、キハル。彼女は鳥たちと共に暮らす一族のひとりで、むやみに鳥を狩る領主を止めるようゼンに頼みにきたと言う。王子のゼンに相手にされないだろうと諦めつつ、それでも後には引けないキハル。彼女と鳥の絆を見た白雪はゼンにある提案をする。
白雪負傷の知らせに馬を走らせたゼンは、彼女の笑顔を見て思わずキスをする。それから三日経っても落ち着かず、ゼンを意識してしまう白雪。 一方、キハルの住む島に交渉に出かけたゼンは、白雪への想いを彼女に告げようと決意していた。
ゼンの告白を受け、自分の想いを返した白雪。 別れ際、いつもと変わらず「またな」と言うゼンを白雪は心強く感じる。 王城開放日、市井の人々であふれ、お祭りのような城内。 ケガをした女優の治療に呼ばれた白雪は、座長の頼みで代役を務めることに。 目立つ赤髪を隠して舞台に立つ白雪だったが……。
互いの想いを受け入れたゼンと白雪は、これからの事に思いを巡らせながら、第二王子として、宮殿薬剤師見習いとして成長していた。日常を取り戻し、穏やかな時間が流れるクラリネス王国ウィスタル城だったが、白雪とゼンに突然の来訪者が現れる。それは、以前白雪をさらって牢に入っていたはずの巳早だった。さらに、イザナの元にタンバルン王国からの便りが届き、白雪のこれからに変化の予兆が現れる。
イザナから7日間のタンバルン王国行きを命じられた白雪は、立ち振る舞いの稽古に追われていた。タンバルン行きを翌日に控え、白雪を追う謎の少年鹿月の手掛かりを得られず不安を募らせるゼンに、オビは白雪の付き人を自分にしてほしいと勝負を挑む。その勝負の行方とは―――。そして、決意を胸に白雪は付き人とともにタンバルン王国へと出発する。
ラジ王子に招待され、オビとともにタンバルン王国へやってきた白雪。ラジ王子は、二人と親睦を深めるため、シェナザード城の案内を自ら買って出るが、道に迷ってしまう。道に迷う白雪たちの後ろには、後をつける二人組の姿が。一方クラリネス王国では、巳早と鹿月を巡って新たな動きの兆しが見え始めた。
タンバルン王国で白雪と過ごす時間の中で、少しずつ王子としての自覚が芽生え始めた様子のラジ王子。 そんなラジ王子の変化を目の当たりにしたロナは、 ユジナを巻き込んで白雪をタンバルン王国へ留まらせようと、画策し始める。 一方、クラリネス王国で白雪を追う鹿月の動きを察知したゼンは、 白雪の身に危険が迫っていると気付き、行動を起こす
ついに白雪とオビの目の前に現れた鹿月とイトヤ。 彼らによって白雪はさらわれてしまう。 タンバルン王国への道中を急ぐゼン、ミツヒデ、木々だが、到着したのはすでに白雪がさらわれた後。 ゼンたちは、白雪の救出に力を尽くしたいと申し出たラジと共に、タンバルン国王の許しを得て、異国の地で白雪の捜索に乗り出す。 その頃、ゼンたちの動きを待たずして鹿月たちを追ったオビは、森に潜む彼らを発見する。しかし、そこに白雪の姿はなかった…
鹿月とイトヤにさらわれたはずの白雪。 しかし今度は、鹿月と共に海の鉤爪にさらわれていた。白雪を探すゼンたちとラジ一行は、白雪をさらったと思われる海の鉤爪の情報を持つという山の獅子を訪れることに。 その道中、すでに山の獅子の大将無風と行動を共にしていたオビとイトヤと合流する。そこで、ゼンは白雪がさらわれた経緯と目的を知らされ、イトヤに敵意を露わにする。しかし、ゼンとラジは白雪、無風とイトヤは鹿月を救出するという共通の目的の元、手を組むこととなる。
白雪と鹿月を乗せた船に潜り込むことに成功した木々。彼女が持ってきた胡桃石のおかげで、白雪と鹿月が乗せられた船を特定したゼンたちとラジ一行は、白雪救出に向けて大きく動き出す。ラジは自ら民衆に呼び掛け、白雪と鹿月を乗せた船を囲い込むが、海を知り尽くした海の鉤爪に翻弄され、根城へと逃げ込まれてしまう。しかし、逃げ込んだ根城にはゼンたちが待ち構えていた。ラジの手によって退路を塞がれた海の鉤爪と、ゼンたちの総力戦がついに始まる——。