魔術を愛しながらも、才能と血統に恵まれず、魔術に焼かれて息絶えた魔術師。しかし目覚めると、前世の記憶を持ったまま、魔術の血統と才能に恵まれたサルーム王国の第七王子・ロイドに転生していた。ある日、興味の赴くままに立入禁止の封印書庫へ潜り込み、古代魔術を操る禁書の魔人を目覚めさせてしまう…。
魔人グリモワールを圧倒し使い魔として従えたロイドは、魔力を帯びた魅力的なアイテムを手にすべく、ダンジョン探索へと向かった。その道中、呼吸を操り超人的力を発揮する“気術”を使う武術家・タオと出会う。タオの気術に興味を持ったロイドは、架空の人物・ロベルトに変身し彼女と共にダンジョンの最深部へ向かうのだった。
ダンジョンの奥に待ち受けていたのは、多くの冒険者たちを葬り、その知識を取り込んできた魔人・リッチだった。とっさにロベルトを逃がすタオ。単身立ち向かうが、魔人との大きな力の差に圧倒されてしまう。満身創痍で瀕死の彼女にトドメを刺そうとするリッチの前に現れたのは…?
武器への付与魔術に興味を持ったロイドは、自身が魔術を付与した武器の完成具合を見るため、アルベルト、シルファ、王国の騎士団らと共に、国王からの依頼である魔獣狩りへと向かう。行軍の途中でタオと再会し、目的地である魔獣の湖に到着する一行。しかし、そこで不自然なほどに高い再生能力を持つ魔獣ベアウルフの群れに遭遇する……。
シルファの活躍によってベアウルフたちを圧倒したかに見えたが、魔獣を操る魔人・パズズが放出する瘴気の影響により、一転して騎士団は窮地に陥ってしまう。シルファとタオも反撃できない状況に追い込まれるなか、ついにロイドが動きだす。
新たにベアウルフのシロを従えるようになったロイドは、魔獣たちと心を通わす秘訣を知るべく、その能力に長ける姉の第六王女・アリーゼの元に向かう。その後城へ戻ったロイドは、鍛冶技術を極め最強の「魔剣」を作るという志を持つ、兄の第四王子・ディアンと再会。魔術を付与した「魔剣」作りで意気投合する。
王国に侵入してきた暗殺者ギルドの少女・レン。ロイドは、彼女の持つ「毒のノロワレ」と呼ばれる彼女能力を知ったロイドは、ほかの暗殺者ギルドのメンバーたちがどんな能力を持っているかに興味を持つ。単身でレンの後を付け、暗殺者ギルドのアジトへと忍び込んだロイドの前に、さまざまな能力を駆使した暗殺者たちの攻撃が迫る……。
暗殺者ギルドのメンバーたちと心を通わせたロイドは、彼らの仲間であるジェイドの「空間転移」の能力に興味をそそられる。そして、ジェイドから送られてきた手紙に導かれ、彼らと共にロードスト領主邸へと向かうのだった。ロードストに到着し、ジェイドとの再会を喜ぶ暗殺者ギルドのメンバーたちだったが…
レン達の前に現れたのは、ジェイドの肉体と空間転移の能力を奪った魔族・ギザルムだった。人々の肉体を魔人に与え、ロードストを手中に収めていたギザルムは、暗殺者ギルドの肉体を魔人のさらなる受け皿としようとしていたのだった。暗殺者ギルドのピンチに間一髪で間に合ったロイドはギザルムと対峙する。
ロイドがギザルムと激しい攻防を繰り広げる中、暗殺者ギルドの面々に魔人の群れが迫る。ロイドが施した術式により能力を操れるようになった暗殺者ギルドは、それぞれの能力を駆使して対抗するが、魔人達の強大な力によって徐々に追い詰められてしまう…
空間転移能力を駆使したギザルムの波状攻撃に攻めあぐねるロイド。戦いの最中、偶然吹き上がった水蒸気の目隠しに新たな気付きを得たロイドは、剣による物理攻撃を試すことに…。その目的は、ギザルムに奪われたジェイドの能力の術式を解読し、研究するため魔術を吸収する「吸魔の魔剣」を使うことだった。
ジェイドが残した意思と術式によって、空間転移能力の魔術を完全に理解したロイド。追い詰められたギザルムは、万物万象をのみ込みすべてを無に帰す奥の手「黒死玉」を発動するが、ロイドがその圧倒的な魔力で迎え撃つ。そして、苛烈な魔術バトルはついに決着の時を迎える。