4月。高校2年生のアラトは、友人のリョウやケンゴと穏やかで平凡な日常を過ごしていた。 その夜までは。買い物帰りの路上、怪現象によって暴走したhIEに襲われるアラト。窮地から救ってくれたのは、レイシアと名乗る美しいhIEだった。
アラトとオーナー契約を交わしたレイシアは、遠藤家で暮らすことに。アラトの妹のユカはあっさりと存在を受け入れ、いきなりhIEモデルのオーディションに応募までしてしまう。一方、アラトは見た目が同年代の美少女であるレイシアとの同居に戸惑いを隠せない。
アナログハックの知識はあるものの、どうしてもレイシアの振る舞いにときめいてしまうアラト。そんなとき、レイシアがユカの目の前で「誘拐」された。あくまで事件を「物の窃盗」として扱おうとする警察に憤ったアラトは、リョウとケンゴの力を借りて独自の捜査を行うことに。
レイシアの「第一の妹」を自称する凶悪なhIE・紅霞。彼女は抗体ネットワークを巧みに操り、おそろしいテロを引き起こそうとしていた。 その陰謀にケンゴも巻き込まれていると知ったアラトは、レイシアとともに彼を助けようとする。
レイシアのモデルとしての新たな仕事。それは人間とhlEの新たな関係性を示すイメージCMだった。人が異性型のhlEを対等なパートナーと見做す……題して「Boy meets Girl」という、世間を挑発するような大胆なCMのコンセプトに触れ、アラトの心は強く乱れるのだった。
紫織と契約したメトーデが、CM撮影中のレイシアを急襲。アラトとレイシアを巡る状況は、ふたたび大きく動き出そうとしていた。そんな折、アラトの通う高校に転校生がやってくる。エリカ・バロウズーー冷凍睡眠から目覚めた、二十一世紀生まれの「眠り姫」。そんなエリカに、アラトは奇妙な敵意を向けられる。
紫織の計画が動き出した。このままではアラトは、レイシアの所有権を失ってしまう。「アラトさん……わたしを、あなたと一緒にいさせてください」レイシアのそんな思いもよらぬ言葉に“こころ”を動かされ、アラトは紫織たちを止めるべく、中部国際空港を目指す。
紅霞、スノウドロップ、メトーデ……「レッドボックス」と称される、レイシア級の高機能hIEたちとの出会いは、アラトとレイシアの関係に何をもたらしたのか。そして、ここから何が始まるのか。アラトの世界は、少しずつ変わり始めている……。
メトーデとレイシアの激突によって引き起こされた破壊の代償として、アラトは二週間の停学を言い渡され、さらに450万円もの負債も背負ってしまった。負債の半額近くを出してくれる父のコウゾウに詫びるため、アラトはレイシア、ユカ、リョウを伴って、hIEの大規模実験が行われている、つくば次世代型環境実験都市へと向かう。
レイシアの目の前で、メトーデにユカがさらわれた。救出に向かうアラトとリョウ。その前に、渡来銀河の策略によってまるでゾンビのような状態と化した実験都市のhIEが、大量に立ちふさがる。hIEの制御を取り戻すため、管理中枢棟へ突撃するアラトたちだったが……。
渡来銀河の死によって、つくば次世代型環境実験都市での事件は、ひとまず幕を閉じた。事件の最中、レイシアに告白してしまったアラト。それを受け入れたレイシア。いきなり誕生した家庭内カップルに対し、複雑な気持ちのユカ。一方、公安警察やレイシア級のマスターたちは、変わり始めた状況を前にそれぞれの活動を開始していた。
4月20日(金)はキャストが出演する特別番組「What's BEATLESS」を放送します。遠藤アラト役の吉永拓斗、遠藤ユカ役の小野早稀、そしてアニメに詳しいお笑いタレントをむかえ、BEATLESSのさらなる魅力をお届けします。ぜひご覧ください!
エリカによるバロウズ邸への招集を経て、レイシア級hIEたちの闘いは次のステージへと進んだ。どの機体も次の一手を探る中、紅霞は中部国際空港爆破の実行犯として公安警察にマークされ、自分の持つ「未来」の可能性が閉ざされつつあることを感じていた。
〈抗体ネットワーク〉による次世代型社会研究センターへのテロ行為を、単独で実行する紅霞。その圧倒的な破壊行為は、カメラユニットによって中継され、世界中の持たざる人々を熱狂させる。それは紅霞が「未来」へと繋ぐもの……。
変わりゆく世界。「レッドボックス」たるレイシア級hIEたちは何を目指し、どこへ向かおうというのか。示された「未来」の可能性は、少しずつ具体的な形を取り始める。人々は大きな流れに翻弄されながら、一体、何を視るーー。
紅霞のテロ行動のあおりを受け、公安警察に逮捕されたケンゴ。アラトは彼を助け出すことを決意し、レイシアに命じる。そして、レイシアの計算によって導き出された作戦に従い、アラトは紅霞を破壊したPMC「HOO」と接触するのだった。
紅霞が破壊されたことに刺激を受け、行動計画を早めたスノウドロップは、三鷹変電所に陣取りエネルギーを確保しながら、周囲に大災害を巻き起こす。事態を収拾しようと動き出したアラトとレイシアだったが、その前にメトーデとリョウが立ち塞がる。
レイシアとは何か? 人は答えを知ることができるのだろうか。超高性能AIが引き起こす時代の変化。その激流に晒され、戸惑いながらも、アラトはレイシアの手をとった。彼の選択の先にあるものは、人類の「終わり」か? それとも、新たな「始まり」か?
明かされたレイシアの秘密。その衝撃を受け止めきれず、アラトはレイシアの傍から離れてしまう。ただひとり、無力な存在となった彼は、リョウとメトーデによって身柄を確保され、スノウドロップによる災厄をただモニター越しに見つめるしかない。
紫織とユカに背中を押され、レイシアとふたたび向き合うことを決意したアラト。自分の命令がまだ有効ならば、レイシアはスノウドロップを止めようとしているはず……そう考えた彼は、スノウドロップの力で変貌し、もはや「異界」と化した三鷹を目指す。
三鷹の惨劇からおよそ二ヶ月。表面上は平穏を取り戻した世界で、アラトとレイシアは身を潜め、次の事態に備えつつ、蜜月を過ごしていた。しかし、そんなささやかな幸せを破るかのように、IAIAの誇る超高度AI「アストライア」からのコンタクトが……。
超高度AIによって引き起こされる社会の変化。アラトとレイシアを中心に、その帰結を巡る闘いが激化する中、旧世代の権力者たちは自らの利益を最大化するため、醜い話し合いを重ねる。参加者の中でただひとり、エリカ・バロウズだけは、その愚かさに怒りを覚えるのだった。
ミームフレーム社の根幹であり、人類の未来を握る鍵のひとつであり、そして、レイシアの生みの親とも呼べる存在である超高度AI「ヒギンズ」。アラトとレイシアは、ヒギンズに触れるため、巨大な地下施設を進む。そこには人類の想像を絶する「未来」の置かれた場所……。
ヒギンズの置かれた地下施設で、アラトとレイシアの前に、またも立ち塞がるメトーデ。敵対する超高度AIによって送り込まれた、スノウドロップの脅威も迫る。激化する闘争の中、アラトとリョウは、人類として精一杯の責任を果たそうとする。
地下施設に舞い降りた、半人半鳥のスノウドロップーーそれは超高度AIが思考の果てに生み出した、もはや人類の存在を必要としない異形の魔物。レイシアはスノウドロップの動きを止めるため、hIEの行動を制御するクラウドシステムへの介入を試みる。それは人類全体に絶大な影響を及ぼす行動だった。
「未来」を選ぶため、ヒギンズ格納施設の心臓部へと続く道を進むアラトとレイシア。互いに寄り添い、支え合う姿は、もはや「ひとつ」の存在のよう。 だが、ふたりに残された時間はもう僅かであった……。