紅緒は、自転車で通学する途中に転んでしまったことでハンサムな男性と出会うが、笑われたことに立腹。その後、木に絡まったたこを取ろうとし、木から落ちかけた姿を見られてまた笑われるが、彼が助けてくれた。
ハンサムな陸軍少尉が自分の婚約者だという事実を知った紅緒は、婚約者を受け入れることができず、父親に反発してしまう。悲しみに浸っているそんな時、幼馴染みの蘭丸が家の外で紅緒を待っていた。
駆け落ちのなか、喧嘩に負けたことのない丑五郎という大きな男と勝負をするが、紅緒が勝ったため丑五郎の親分となる。丑五郎と一緒にやけ酒を飲んでいると、そこへ何も知らない婚約者の少尉が現れる。
いいなずけと結婚をしたくない紅緒は、親友の環に話を聞いてもらう。一方、環の意中の相手である婚約者がいるという。紅緒には特別に彼を見せてあげるということで、2人は浅草のオペラ会場に行くこととなる。
少尉の悲しい生い立ちを聞いた紅緒だが、祖母の願いを叶えるために自分と結婚することを知って腹を立てる。料理、裁縫、行儀作法の全てがオール1の紅緒は、伊集院家への行儀修行が婚約解消の好機だと目論む。
伊集院家が花村家に紅緒を迎えにきたが、紅緒はもんぺ姿で現れる。父に亡くなった母の白い喪服を見せられ、万が一の時に使うよう言われる。別れを悲しむ蘭丸たちに紅緒は、すぐに追い出されて帰ってくると告げた。
伊集院家が広大なので驚く紅緒。父の心配をよそに豪華な屋敷に着いた紅緒は、よろい武者と出くわして屋敷じゅう走り回るが、よろい武者は伯爵だった。伯爵夫人は元気な紅緒を見て、紅緒の祖父を思い出す。
食事作法を知らない紅緒は、なかなか食べることができない。伯爵にも伊集院家にはふさわしくないと言われ、弱気になってしまう。だが少尉には、家の古いしきたりを破ってくれることを紅緒に期待していると言われる。
花嫁修行で悔しい思いをしながら、紅緒は如月に勝つため夜な夜な勉強をする。そんな姿を見た少尉は、伊集院家を変えてくれると改めて思うのだった。紅緒は少尉の優しさに胸がときめいて、少し戸惑ってしまう。
伯爵の男尊女卑に腹を立て、戦うことになった紅緒。伯爵に勝ったため、伊集院家を出ていこうとするが伯爵夫人に止められる。ひどい神経痛に悩む伯爵に特効薬を作り、朝まで看病した紅緒に伯爵は少しずつ心を開く。
園遊会で忍の婚約者・紅緒を友人に紹介することになった。招待された環は、忍に想いを打ち明けるがふられてしまう。パーティの席で、環は親友の紅緒を不幸せにしたら許さないと伝え、気分が乗らないから帰ると言う。
紅緒を心配する蘭丸は蘭子と名乗り、女装をして紅緒のメイドとして伊集院家にやってきた。紅緒はすぐに帰るよう告げるが、蘭丸の泣き顔を見て負けてしまう。一方、伯爵は蘭子を見て「怪しい」と言う。
女の中で暮らすことになった蘭丸だが、男だとバレないか心配になり、紅緒と同じ部屋で生活をし始める。如月の厳しい花嫁修行を受けていることを知った蘭丸は、如月に腹を立ててあることを画策する。
少尉の身の回りの世話をしないと如月に怒られ、少尉にいたずらを考えたが、これが事件となると言われて心配になる。学校からの帰り道で、丑五郎と紅緒がヤクザに狙われ危ういなか、花乃屋吉次という美女が現れる。
伊集院家の家宝である皿を虫干ししている蘭丸は、手を滑らせて割ってしまった。現れた伯爵は、皿が割れていることを知って腰を抜かしてしまう。蘭丸を死刑にすると言い、そこへ紅緒が来て蘭丸を守ろうとする。
紅緒は、屋敷を出ていくことで皿を割った責任を取ることを決断。縁談も破談になり、すっかり元気がなくなってしまった紅緒は吉次と会う。一方、伯爵家では紅緒がいなくなって寂しい思いをしていた。
花村家に戻った紅緒だが、伊集院家へ戻るよう父に言われて大喧嘩になる。再び花村家を去ることになった紅緒だが、伊集院家に戻ることはできず、行き先がなくなってしまい蘭丸と丑五郎とやけ酒をあおる。
紅緒を迎えに花村家を訪れる少尉だが、紅緒はすでに帰したと言われ、探しにいくこととなった。一方、酒を飲んだくれていた紅緒は、その場にいた軍人と喧嘩を始めてしまい、そこへ少尉が現れる。
喧嘩相手の軍人が少尉の上官・印念中佐だったが、無礼な態度を取ったということで、中佐の逆鱗に触れてしまう。酒に酔った紅緒は、少尉におぶられながら伊集院家へ戻るが、何も記憶にないと話す。
少尉はいつもラブレターをたくさんもらうが、読まずに捨てていた。だが、手紙をくれた女性と会おうとしていることを嗅ぎつけた蘭丸は、これを怪しむ。街へ出た紅緒は、少尉と吉次が会っているのを目撃してしまう。
女性とのデートを目撃した紅緒は、すっかり食欲もなくなってしまう。少尉と距離を置くようになるが、少尉はなぜ紅緒に避けられているのか理解できない。傷ついた紅緒は、環に話を聞いてもらう。
少尉と花乃屋吉次の関係が気になる紅緒は、吉次の働いている芸者風情へ行く。紅緒は少尉と吉次の関係を気遣い、吉次に伊集院家へ来てほしいとお願いをするが、誤解していたことがわかって安堵する。
少尉と吉次の関係を知って幸せをかみ締める紅緒だったが、そんな幸せは長続きはしなかった。少尉が九州への転属を命じられたことが判明する。この転属は、印念中佐によって仕組まれたようなのだ。
印念中佐の画策による少尉の転属を聞かされ、居ても立っても居られない紅緒は、陸軍へ殴り込みにいくことを決意。紅緒の一大事を聞きつけた仲間が次々と駆けつけ、「応援団になる」と気勢を上げる。
人に迷惑はかけられないと、ひとり大日本帝国に立ち向かう紅緒。これを見た印念中佐は逃げだしてしまう。そんな紅緒に師団長は話を聞くと言ってお茶を出すが、紅緒は師団長とは知らず、印念中佐のたくらみを話す。
紅緒は、少尉が戻ってくるまでに女らしくなっていようと決意。だが、号外を読んで少尉がシベリアへ出動することを知り、絶望する。印念中佐の仕業だと思った紅緒は、陸軍へ再び乗り込むことにした。
シベリアにいる少尉から初めての便りが届き、盛り上がる伊集院家。最前線の部隊ではなく、後方部隊でのんびりしていると知って安堵する。その頃、少尉は印念中佐のたくらみで、大変な部隊に配属されていた。
少尉は自分に反発する部下を守り、後方部隊から最前線の部隊への出動となってしまった。反発していた鬼島は、少尉についていくことを決心。一方その頃、紅緒はお披露目も兼ねて舞踏会へ行くこととなる。
少尉の無事を祈り、舞踏会で大量に飲酒をした紅緒。舞踏会にいるのは少尉を狙っていた女性ばかりで、紅緒は嫌みを言われる。シベリアでは、少尉と鬼島が敵軍に見つかってしまい、少尉は鬼島を守るため1人で戦う。
敵に囲まれて絶体絶命の少尉。だが、部下の助けによって少尉も鬼島も救われ、絆も深まった。一方で補給隊からの食糧の補給はなく、底を突き始めた。いったん本部へ戻ることになったが、そこで待ち受けていたのは...。
敵に襲われて逃げ遅れた鬼島を助けるため、少尉はひとり敵軍へ出向いたが、その後、少尉と鬼島の姿を見つけることができなくなった。戦地を共にした部下が伊集院家へ訪れ、少尉の戦死を報告する。
紅緒は、亡くなった母の形見である白い喪服をまとい、黒髪を切って少尉の葬式に参列。そこで集まった親族が、財産についてばかり話をすることに腹を立てる。そして紅緒は、伊集院家に一生をささげる意志を固めた。
未来ある蘭丸が役者の道へ進むよう、家に帰すことにした紅緒。車のガソリン代も払えず、伊集院家にお金がないことを知って節約をすることにする。それでもお金が足りないので、紅緒は自ら働き始める。
働き先が見つからず、芸者になることを決めた紅緒は吉次を訪ねる。ところが、軍服を姿の客を見ると印念中佐を思い出し、暴れてクビになってしまった。そんな紅緒に、吉次は職を紹介してやると言う。
学校に行くふりをして、紅緒は吉次に紹介してもらった記者の仕事をするため、編集部へ行く。編集長は大の女嫌いで働かせないと言うのだが、「打ち壊しの騒動の取材をして、記事を取れたら雇ってもいい」と告げた。
紅緒は、「学校をサボっているのにお金を払っているのはもったいない」との理由で学校を辞めた。正式に雑誌記者として働くことにした紅緒だが、少尉に似た人物を追いかけて大切な原稿をなくしてしまう。
環のおかげで高校を卒業できた紅緒は、日本人の馬賊が満州にいると聞き、少尉が生きているのではと思って満州へ行くことを決意。会社を辞めることにしたが、これを聞いた編集長は満州での取材を紅緒に命じた。
紅緒は馬賊に襲われた村へ行って印念中佐に会うが、彼は昇格して大佐になっていた。村では、村長の娘が馬賊の人質になって身代金を請求されており、紅緒は馬賊に近づくためにも自ら「人質になる」と言う。
馬賊の長が少尉の部下の鬼島だとわかり、紅緒は助かった。印念の謀略で少尉がいなくなり、紅緒を人質として見放したことを知った鬼島は、印念に報復をする。少尉が亡くなったと聞いた紅緒は、自ら命を絶とうとする。
日本に帰国した紅緒は、伯爵と伯爵夫人には心配させまいと少尉の死を伏せていた。ところが、少尉の死を知った2人は紅緒を花村家に返すことにするのだが、紅緒は断り、心の中で伊集院家にいようと誓う。
靖国神社へ参拝に来た伯爵と伯爵夫人の姿を見て、少尉の死を知っていることを察した紅緒。環に再会して酒を一緒に飲み、2人共酔っ払ってしまうが、飛行船を見た紅緒は「少尉の姿を見た」と口にする。
少尉と同じ顔をしている人物が飛行船から降りてきたが、彼はミハイロフ侯爵という別人。それでも紅緒は少尉だと信じて近づくが、侯爵の妻が快く思わない。やっとの思いで侯爵との対面を果たすのだが...。