All Seasons

Season 1

  • S01E01 モハメド・アリ 勇気の連鎖

    • April 4, 2022

    1954年、12歳だったアリが愛用の自転車を盗まれたことがすべての始まりだった。怒りに燃えたアリはボクサーを志し、無敵のチャンピオンとなる。その言動は、世界を大きく揺さぶった。ベトナム反戦運動を燃え上がらせ、オリンピックを揺るがす表彰台での黒人差別への抗議をもたらし、史上初の黒人大統領誕生へとつながる。世界を敵に回しても信念を貫いたアリの勇気は、世界を変えたのだ。貴重映像でたどる勇気の連鎖の物語。

  • S01E02 アインシュタイン 科学者たちの罪と勇気

    • April 11, 2022

    就職先が見つからなかった若きアインシュタイン。仕方なくスイスの特許局に職を求めたことが、天才科学者誕生のきっかけだった。1905年、3つの論文を発表。「相対性理論」は第二次大戦下、アメリカの科学者たちによって磨き上げられ、遂には核というパンドラの箱を開いた。「ブラウン運動に関する数式」は、彼の死後、経済学者たちに応用され、金融市場に革命をもたらした。一人の天才から始まる科学者たちの罪と勇気の物語。

  • S01E03 ベルリンの壁崩壊 宰相メルケルの誕生

    • April 18, 2022

    冷戦下の東ドイツ。抑圧された社会で生きる3人の女性がいた。見えない将来に絶望していた物理学者のアンゲラ・メルケル。体制への批判を歌にこめた歌手ニナ・ハーゲン。デモで自由を訴えた学生のカトリン・ハッテンハウワー。1989年、政府報道官のひとつの失言から始まったベルリンの壁崩壊は、巨大な嵐を巻き起こし、3人の女性の運命を変えていく。宰相メルケル誕生に秘められた、絶望の中から希望をつかんだ女性たちの物語

  • S01E04 スペインかぜ 恐怖の連鎖

    • April 25, 2022

    百年前、米カンザス州の陸軍基地で広まったスペインかぜは、第一次世界大戦へ向かう兵士たちと共にヨーロッパへ渡り4千万の命を奪った。さらにパリでの講和会議の最中に米大統領ウイルソンが感染したことで歴史が大きく変わる。ヒトラーの台頭である。一方、スペインかぜの最前線で闘った米ペンシルベニア大学は感染症研究の中心地となり、ハンガリーから来た女性博士との出会いを経て、コロナワクチン開発へとつながっていく。

  • S01E05 ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー

    • May 9, 2022

    ソ連に軍事侵攻をされながらも20年間、抵抗を続けた国・チェコスロバキア。人々は長く暗い冬の時代を耐え、1989年「ビロード革命・ヴェルベット・レボルーション」を果たす。その陰には、革命と同じ名を持つアメリカのロックバンドの存在があった。「ヴェルヴェットアンダーグラウンド」である。すべての始まりは、革命家がそのバンドのレコードを手に入れたことだった。音楽が、時空を越えて世界を変えた奇跡の物語である。

  • S01E06 宇宙への挑戦 夢と悪夢 天才たちの頭脳戦

    • May 16, 2022

    150年前に書かれたジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」は人々に宇宙への夢を駆り立て、東西冷戦下で米ソ二人の天才科学者の戦いが繰り広げられる。第二次世界大戦でヒトラーのために恐怖のミサイルを生み出し、戦後はアメリカに渡ってアポロ計画を指揮したフォン・ブラウン。ソ連のロケット開発責任者として人類初の有人飛行を成功させながら、世界にその存在を隠され続けた謎の英雄コロリョフ。人類の夢への挑戦の物語である。

  • S01E07 スターリンとプーチン

    • May 23, 2022

    ソ連を超大国へ導いたスターリン、その崩壊を目の当たりにし、大国ロシアの復活を誓ったプーチン、発掘映像によって、ふたりの権力者の実像に迫る。独裁によって2千万の命を奪ったスターリンの狂気、最大の犠牲となったウクライナの人々の悲劇とは? スターリンの死去の半年前に生まれたプーチン。スパイから大統領にまで押し上げたのは、国家崩壊の絶望の中で誓った大国ロシア復活への執念とKGB仕込みの権謀術数だった。

  • S01E08 我が心のテレサ・テン

    • May 30, 2022

    台湾出身のテレサ・テンの歌声は世界のチャイニーズの心を震わせ、テレサが一度も足を踏み入れたことのない中国本土にも彼女のカセットテープがあふれた。中国から台湾に亡命した空軍パイロットはテレサとの面会を真っ先に求め、台湾当局もテレサをプロパガンダに利用した。そして、テレサの歌声は天安門広場の民主化デモを支援し、香港の民主化運動でも歌われ続けている。歴史に翻弄されたアジアの歌姫の知られざる物語である。

  • S01E09 ヒトラーVSチャップリン 終わりなき闘い

    • June 6, 2022

    わずか4日違いで生まれたチャップリンとヒトラーは、長きにわたって壮絶な闘いを繰り広げた。しかし、ふたりには多くの共通点があった。小柄でチョビひげ、そして映像を駆使して大衆を熱狂させるプロパガンダ術。チャップリンは民主主義を、ヒトラーはファシズムを訴えた。チャップリンは後にこう語っている。「ひとつ間違えば、私たちは逆になっていたかもしれない」。独裁者と喜劇王、因縁のふたりの終わりなき闘いの物語である

  • S01E10 砂漠の英雄と百年の悲劇

    • June 20, 2022

    古来パレスチナは、アラブ人とユダヤ人が共存して暮らす場所だった。そこに対立の火種を持ち込んだのは、イギリスだった。両民族に独立国家建設を約束したのだ。イギリスの情報将校ロレンスは、第一次世界大戦中にオスマン帝国に潜入、アラブ民族独立をあおり、オスマン帝国打倒をもちかけた。しかし一方でイギリスはユダヤ人にも同じ約束をしていた。百年前のひとりの英雄の裏切りから始まる、憎しみの連鎖の物語である。

  • S01E11 キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日

    • June 27, 2022

    1962年、人類は全面核戦争の危機に直面した。アメリカの偵察機がキューバに建設中のソ連のミサイル基地を発見、完成すれば全米の主要都市が核弾頭の射程に入る。先制攻撃を叫ぶ軍部に立ち向かったのは、若き大統領ケネディ。その決断を支えたのはコードネームHEROと呼ばれたスパイの命をかけた情報だった。ホワイトハウスで密かに録音されていた最高幹部会議の肉声を中心に、世界が最も核戦争に近づいた13日間に迫る。

  • S01E12 RBG 最強と呼ばれた女性判事 女性たち 百年のリレー

    • July 4, 2022

    最強の女性判事と呼ばれたルース・ベイダー・ギンズバーグ、通称“RBG”。87歳で亡くなるまで法廷に立ち続けた。公明正大な人柄で、連邦最高裁判事として、性別に基づく不平等に立ち向かう姿は、アメリカの宝と呼ばれた。RBG誕生までには、自由と平等を求めた女性たちの百年にわたる闘いがあった。参政権を求め命がけで抗議した女性、世界一周を目指して空に散った女性パイロット。信念のバトンをつないだ物語である。

  • S01E13 太平洋戦争 “言葉”で戦った男たち

    • July 11, 2022

    太平洋戦争の勝敗に大きな影響を及ぼしたのが、米軍が急いで養成した日本語情報士官だった。暗号読解や捕虜の尋問に当たった彼らは、戦後の日本復興にも大きな役割を果たす。戦時下のテニアン島で日本人のための小学校を作ったテルファー・ムック、昭和天皇の戦後巡幸を進言したオーテス・ケーリ、川端康成のノーベル文学賞受賞に貢献したサイデンステッカー、言葉によって日本と戦い、そして日本との懸け橋となった男たちの物語。

  • S01E14 難民 命を救う闘い

    • July 25, 2022

    世界の難民・避難民はついに1億人を超えた。100年前、初の難民高等弁務官に就任したのは不屈の精神を評価された冒険家フリチョフ・ナンセン。だが、それは難民救済に消極的な国際社会との闘いの始まりだった。スペイン内戦で難民を撮り続けたロバート・キャパ、ベトナム戦争の難民の実態を世界に知らしめた沢田教一、そして日本人初の難民高等弁務官となった緒方貞子、人類の終わりなき課題と格闘を続けた者たちの物語である。

  • S01E15 中国 女たちの愛と野望

    • August 22, 2022

    中華人民共和国の建国式典に毛沢東と共に天安門に上る女性がいた。「革命の父」孫文の未亡人・宋慶齢である。中国の権力の攻防の陰にはいつも女性がいた。辛亥革命から権力者を支えてきた宋家の三姉妹、「一人は国を愛し、一人は権力を愛し、一人は富を愛した」と言われた。中国を恐怖に陥れた文化大革命を主導した江青、そのねらいはライバルの女性を失脚させることだった。権力の陰で繰り広げられた女性たちの愛と野望の物語。

  • S01E16 東京 破壊と創造 関東大震災と東京大空襲

    • August 29, 2022

    99年前、東京大学の地震計の針が振り切れた。関東大震災である。その22年後、東京は再び壊滅する。東京大空襲である。この二度の破壊と復興に深く関わったアメリカ人がいた。建築家アントニン・レーモンド。帝都復興院総裁・後藤新平との深い絆のもとで震災後の東京再建に尽力した一方で、日本の家屋と都市を知り尽くしていたレーモンドは、米軍の焼夷弾開発実験に巻き込まれていく。ふたつの破壊の運命的なつながりの物語。

  • S01E17 映像プロパガンダ戦 嘘(うそ)と嘘(うそ)の激突

    • September 5, 2022

    「映像は嘘をつく」。AIを駆使したフェイク映像が大統領選挙や戦争の行方すら左右している。映像プロパガンダ戦の始まりは、百年前、ソ連のある若者が日本の漢字の不思議さを知ったことに遡る。部首の組み合わせが別の意味を生む不思議さ。彼の名はエイゼンシュテイン。映画監督となり、映像を組み合わせる革命的な表現手法を編み出した。しかしそれはナチス、アメリカ、日本も含めた、国家的プロパガンダ戦へと広がっていく。

  • S01E18 9.11 同時多発テロへの点と線

    • September 12, 2022

    アメリカ同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディンとアメリカの巨大財閥ロックフェラー家との間には数奇な因縁がある。1930年代、ロックフェラー家創業の石油会社がサウジに進出すると、砂漠の国は好景気に沸き、小さな建設会社を急成長させる。ビンラディン建設。その家の17番目の息子は、アメリカを憎悪しテロリストへと変貌する。標的としたワールドトレードセンターは、ロックフェラー家が建設を推し進めたビルだった。

  • S01E19 ルーズベルトVSリンドバーグ大戦前夜の大論争

    • September 26, 2022

    1933年に撮影されたフランクリン・ルーズベルトの襲撃映像が残されていた。九死に一生を得た大統領は6年後、世紀の大論争に立たされる。「アメリカはヒトラーと戦うべきか」、ヨーロッパで始まった第二次世界大戦への参戦を視野に入れるルーズベルトに対し、参戦反対を訴え国民の絶大な支持を集めたのは史上初の大西洋単独無着陸飛行を成し遂げた英雄チャールズ・リンドバーグだった。世界の命運を担った二人の激闘の物語。

  • S01E20 ひとつの友情がアメリカを変えた

    • October 3, 2022

    逆境からはい上がり、アメリカで自由と平等のために戦った2人の連邦議員がいた。少年時代、政府の強制収容で日系人の親友を失った黒人ロン・デルムス。第二次大戦中、日系人への差別を跳ね返そうと苛酷な戦場に志願し、右腕を失ったダニエル・イノウエ。その後連邦議員となった2人は、知らぬうちに助け合い、自由を保障する法律を実現。その波は南アのアパルトヘイト撤廃に結実する。世界とアメリカを変えた勇気の連鎖の物語。

  • S01E21 ジェノサイド 虐殺と黙殺

    • October 17, 2022

    第二次世界大戦時、ナチスのユダヤ人大量虐殺を、チャーチルは「名前のない犯罪」と呼んだ。その悲劇を繰り返さないため、戦後世界は「ジェノサイド」という概念を生み出し、戦争犯罪と認定。ジェノサイドを駆逐する条約に世界が賛同した。しかし条約は現実の前に限界を露呈、悲劇が繰り返される。アフリカ・ルワンダでジェノサイドと闘った現地指揮官も孤立する。なぜジェノサイドを止められないのか?人類の悲劇と失敗の物語。

  • S01E22 大恐慌 欲望と破滅の1929年

    • October 24, 2022

    1929年10月24日、ウォール街を突如襲った株価大暴落。「暗黒の木曜日」を皮切りに世界は大恐慌に陥り、多くの人生が狂わされた。「ブロードウェイの父」と呼ばれた演出家は破滅、全米に愛された天才作家フィッツジェラルドの人生も転落する。その一方、市場崩壊を見抜いた伝説的な相場師ジョセフ・ケネディはいち早く売り抜いて巨万の富を築き、やがて大統領の父となる。永遠の成長を信じた人々の欲望と破滅の物語。

  • S01E23 ソ連崩壊 ゴルバチョフとロックシンガー

    • October 31, 2022

    ソ連崩壊はアフガニスタン侵攻によって始まった。数週間で終わらせるはずだった軍事作戦は10年に及ぶ泥沼の戦争となった。西側諸国の経済制裁と戦費拡大で、危機を迎えたソ連に登場したのが、ゴルバチョフだった。ペレストロイカの中で若者たちの絶大な支持を集めるロックバンド「キノー」が誕生する。ヒット曲「変化を!」は、自由を求める人々を鼓舞し続ける。超大国を崩壊に導いた指導者とロックシンガーの知られざる物語。

  • S01E24 世界を変えた“愚か者”フラーとジョブズ

    • November 7, 2022

    「宇宙船地球号」という概念を唱え、人類と地球との調和を説いた思想家バックミンスター・フラー。「現代のレオナルド・ダビンチ」とも「狂人」とも称されたフラーの思想は、無数の若者たちを突き動かす。その中に、若き日のスティーブ・ジョブズがいた。フラーの思想は、時空を超え、ジョブズに受け継がれ、世界を変えていく。そして生まれた伝説のスピーチ。常識に抗い続けた、ふたりの「愚か者」が起こした奇跡の物語である。

  • S01E25 ナチハンター 忘却との闘い

    • December 12, 2022

    今年6月、ドイツの裁判所で 101歳の男に、禁錮5年の有罪判決が下された。男はかつてナチスの収容所で、ユダヤ人の殺害に関与したが、戦後その経歴を隠し、100歳になるまで逃げ延びていた。「何十年経とうがナチスの罪を許さない」。ナチハンターと呼ばれる人々がいる。名前を変えて逃げのびていた元ナチを見つけ出し、裁判にかける。その執念は、「忌まわしい過去は忘れたい」というドイツ国民の空気を次第に変えていく。

  • S01E26 戦場の女たち

    • December 19, 2022

    世界の軍隊で増え続ける女性兵士たち。そのきっかけは第二次世界大戦だった。309人を仕留め、死のエンジェルと呼ばれたソ連の女性狙撃兵リュドミラ・パブリチェンコ。ナチスの急降下爆撃を生み出した天才飛行士ハンナ・ライチュ。ノルマンディー上陸作戦を成功させるため、危険な潜入工作に挑んだスパイたち。彼女たちの命懸けの活躍、そして兵器の進化が、その後の女性兵士を生んでいく。戦場の女性たちの勇気と悲しみの物語。

  • S01E27 ロックが壊した冷戦の壁

    • December 30, 2022

    東西冷戦の象徴「ベルリンの壁」を崩壊に導いた、3人のロックシンガーの物語を拡大版で特集。東ドイツで監視社会への怒りを歌った女性歌手ニナ・ハーゲン。ドラッグや同性愛を赤裸々に歌い、チェコスロバキアで大ブームとなった、ルー・リード率いるベルベットアンダーグラウンド。そして西ベルリンから壁の反対側に向けてコンサートを行ったデビッド・ボウイ。自由を叫ぶ3人の音楽は、冷戦の壁を越えて人々の心を揺さぶった。

  • S01E28 危機の中の勇気

    • January 16, 2023

    2001年1月、新大久保駅のホームで転落した人を助けようとして命を落とした韓国人留学生イ・スヒョンさん。6年後の同じ日、またしても転落事故が起き、助けようと線路に飛び込んだ人がいた。今度は助かった。助けようとした人は6年前に亡くなったスヒョンさんの本を読んでいた。ひとつの勇気は次の誰かを動かす。サンフランシスコ大地震、関東大震災、ロンドン大空襲、同時多発テロ、東日本大震災。危機の中の勇気の物語。

  • S01E29 零戦 その後の敗者の戦い

    • January 23, 2023

    日本の工業技術の粋を集めながら、最後は特攻という悲劇的な作戦に使われた海軍の主力戦闘機「零戦」。戦後GHQにより日本の航空産業は解体され、零戦には火が放たれ研究開発の一切が禁じられた。すべてを否定された技術者たちは、戦後の日本のために何ができるか探し続けた。世界初の胃カメラの実用化、新幹線の高速運転を可能にした技術、そして日本の宇宙開発の基礎を築いたロケット。絶望から立ち上がった技術者たちの物語。

  • S01E30 ブルース・リー 友よ 水になれ

    • February 6, 2023

    ブルース・リーは、香港とアメリカの両方の社会で疎外されながら、国籍・人種の壁を越えてハリウッドで大成功を収める。鍛え上げられた肉体と甘いマスク・そして死後、分断された世界のヒーローになった。バスケットボール界のスーパースター、IT革命を支えた中国系アメリカ人社会、戦禍を生き抜いた旧ユーゴスラビアの人々、香港の民主化運動。夭折のヒーローが残した「友よ水になれ」という言葉は、世界を変えていった。

  • S01E31 朝鮮戦争 そして核がばらまかれた

    • February 13, 2023

    1950年、北朝鮮軍が突如韓国に侵攻し、朝鮮戦争が勃発した。わずか3日でソウルは陥落、韓国は国土の大半を失う危機に陥った。そして朝鮮半島の戦火は、冷戦のさなか、世界の脅威に発展する。韓国を支援した国連軍の指揮官マッカーサーは、戦局打開のため、核兵器の大量使用を主張。対する北朝鮮・金日成を支援したソ連スターリン、中国・毛沢東も核の誘惑に取りつかれていく。日本の体制も一変。権力者たちの虚々実々の物語。

  • S01E32 大統領が恐れたFBI長官

    • March 6, 2023

    アメリカ歴代大統領が恐れた男、エドガー・フーバー。正義の味方FBI長官の隠された顔は、違法な盗聴・監視で大統領のスキャンダルを収集するモンスターだった。赤裸々な女性関係を記した秘密ファイルを保身に利用し、48年間権力の座に君臨した。監視の目は、市民にも向け、危険と見なした団体を徹底的に弾圧した。しかしFBIの違法捜査は、フーバーの死の直前、白日の下にさらされる。自由の国アメリカのうそと秘密の物語。

  • S01E33 運命の恋人たち

    • March 13, 2023

    この百年、カメラは無数の愛を記録し続けてきた。数多くの男性と浮き名を流した女優、マリリン・モンロー。男性が求める理想の女性を演じる一方で、真実の愛を求め続けた。1950年代アメリカで、白人と黒人の結婚は、法律違反だとされ逮捕されたラビング夫妻。そのいちずな愛は裁判を勝ち抜き、その判決は50年後、同性婚訴訟にも道を切り拓く。愛は時に傷つけられながらも、人々に勇気を与え、新しい世界を切り拓いてきた。

  • S01E34 戦争の中の芸術家

    • April 3, 2023

    ベルリンフィル指揮者フルトヴェングラーはユダヤ人楽団員を守りながらもドイツに留まり、戦後ナチ協力者の疑いをかけられた。作曲家ショスタコーヴィチは、スターリン体制で生き延びるために意に沿わない作曲を続け、独ソ戦では反ファシズムの象徴となる交響曲を作る。芥川賞作家・火野葦平は従軍して書いた「麦と兵隊」がベストセラーとなるが、戦後は罪の意識に苦しんだ。芸術家たちは、国家と表現の自由との間で揺れ続けた。

  • S01E35 満州帝国 実験国家の夢と幻

    • April 10, 2023

    1932年、「五族協和」と「王道楽土」のスローガンを掲げ、日本の傀儡国家「満州国」が建国される。日本の3倍以上の広大な大地に100万を越す日本人が渡った。その地で多くの夢が交錯した。欧米風の近代都市、ラストエンペラー溥儀、東洋最速の超特急、満州映画協会の看板女優・李香蘭、幻のユダヤ人移民計画、新興財閥を使った重工業開発、アヘン密売。わずか13年で世界地図から消えた実験国家の夢と挫折の物語である。

  • S01E36 ベルリン 戦後ゼロ年

    • April 17, 2023

    1945年4月30日、ソ連軍の猛攻を受けてヒトラーが自殺。その日を境にベルリンでは、正と悪が逆転する。連合軍の豊かな配給を受けたユダヤ人が安息の日々を送る一方で、ドイツ人は飢餓に苦しむ。ドイツの支配下にあった国々でも、立場が逆転、ドイツ系住民や兵士は激しい報復を受けた。リンチ、略奪、暴行…。しかし絶望の淵(ふち)から、ドイツは経済復興を成し遂げていく。荒廃から希望を育んだ、ベルリン戦後ゼロ年の物語

  • S01E37 大東亜共栄圏の3年8か月

    • April 24, 2023

    太平洋戦争において日本は、欧米の植民地支配からアジアを解放するというスローガン「大東亜共栄圏」を掲げる。東南アジアの人々は日本軍を救世主と歓迎した。だが、実情は、日本精神が強要され、日本に協力する指導者を育成するために現地の秀才たちは「南方特別留学生」として日本へ送り込まれた。そして戦後、再び経済進出して来た日本に、元留学生たちは向かい合うことになる。大東亜共栄圏は今のアジアに何を残したのか。

  • S01E38 ハリウッド 夢と狂気の映画の都

    • May 15, 2023

    20世紀初頭、発明王エジソンに高額な特許料を求められた映画人たちは、自由に映画を作れる場所を求めて西海岸のハリウッドにたどり着く。小さな田舎町は第一次世界大戦を経て世界最大の「映画の都」となり、1930年代にはジュディ・ガーランドなどが活躍する黄金期を迎える。しかし、その輝きに魅せられて集まって来た若者たちを待っていたのは、彼らの夢を飲み込み肥え太るモンスターだった。夢と狂気が渦巻く百年の物語。

  • S01E39 独ソ戦 地獄の戦場

    • May 22, 2023

    ナチス・ドイツとソ連が戦った独ソ戦は、死者3千万を超える、史上最悪の犠牲者を生んだ。互いに不可侵条約を結び、開戦前日まで助け合っていた両国。しかし突如ヒトラーが奇襲を仕掛け、対するスターリンは全人民を動員して徹底抗戦した。2人の独裁者の激突は、次第に軍事的合理性を欠き、憎悪と復讐心のままに敵の絶滅を叫ぶ、地獄の戦場と化していく。プーチン大統領がウクライナ侵攻の拠り所とする独ソ戦、殺りくの記録。

  • S01E40 ベトナム戦争 マクナマラの誤謬(ごびゅう)

    • May 29, 2023

    数字にばかりこだわり物事の全体像を見失うことを「マクナマラの誤謬(ごびゅう)」という。この言葉の由来となったのが米国防長官を務めたロバート・マクナマラ。神童と呼ばれたマクナマラはデータ分析を駆使してベトナム戦争に勝利しようとしたが、数値では計れないベトナム人の愛国心やアメリカ市民の反戦感情に目を向けず、300万以上の犠牲者を出す泥沼の戦争を招いた。アメリカを敗北に導いた一人の天才の物語である。

  • S01E41 ビートルズの革命 赤の時代 『のっぽのサリー』が起こした奇跡

    • June 12, 2023

    ジョン・レノンとポール・マッカートニーの運命の出会いは1957年7月6日。二人とも黒人ロックンローラー、リトル・リチャードの『のっぽのサリー』に夢中だった。すべてはここから始まった。オリジナリティあふれる音楽、奔放な言動は、世界の若者の心に火をつける。階級社会、人種差別、戦争、その全てにNOを突きつけ、世界を変えた4人の冒険。今なお世界で愛され続けるビートルズを世界史の中で改めて味わい直す。

  • S01E42 ビートルズの革命 青の時代 そしてルーシーは宇宙を行く

    • June 19, 2023

    人気が過熱し、1966年8月をもってライブ活動を休止したビートルズ。4人は数か月、姿を消す。再び人前に現れた時、その音楽はすさまじい進化を遂げていた。その衝撃は、東西冷戦の壁も越える。西側のロックが禁止されていたソ連で、若者たちは身の危険を冒しながら、ビートルズを聴いた。そして解散後もビートルズが残した熱は、若者たちの自由を求める心に火をつけ、もはや国家が止められないほどのパワーとなっていった。

  • S01E43 チャーチルVSヒトラー

    • July 3, 2023

    数奇な運命で結ばれた二人の政治家の絵画がオークションにかけられた。イギリス首相チャーチルとドイツ首相ヒトラーである。二人は第一次世界大戦でわずか20キロ離れた前線で戦った。世界恐慌でチャーチルは失脚しヒトラーは首相となるがヒトラーが起こした第二次世界大戦によってチャーチルは首相として復活。ヒトラーからの和平案をチャーチルは拒否し両国の熾(し)烈な戦いが始まる。宿命のライバルとも言えるふたりの激突。

  • S01E44 JFKをつくった3人のケネディ

    • July 10, 2023

    暗殺から今年で60年、今なおアメリカで絶大な人気を誇る第35代大統領ジョン・F・ケネディ。JFK誕生の裏には、3人の家族の強力な援護があった。ウォール街の相場師として富を築き、財力でジョンの選挙戦を支えた父ジョセフ。知性と気品で理想の夫婦像を作り上げた妻ジャクリーン。汚れ仕事を引き受け参謀となった弟ロバート。病弱だった読書好きの若者が、伝説的な選挙戦をくぐりぬけ、大統領に上りつめるまでの物語。

  • S01E45 GHQの6年8か月 マッカーサーの野望と挫折

    • August 21, 2023

    財閥解体や農地改革を断行した連合国軍最高司令官・マッカーサーを、日本国民は「民主主義の父」と称え、GHQ本部にはその姿を一目見ようと人々がつめかけた。そしてマッカーサーはアメリカ大統領への野望を抱くようになる。しかし、世界で共産主義が拡大すると、アメリカは占領方針を180度転換する。マッカーサーは日本の再軍備を進め、逆コースに舵(かじ)を切る。そして突然の解任。マッカーサーの野望と挫折の物語。

  • S01E46 プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年

    • August 28, 2023

    2000年、ロシアに47歳の若き大統領が誕生する。ウラジーミル・プーチン。19年後隣国ウクライナにコメディアン出身の大統領が誕生する。ボロディミル・ゼレンスキー。この百年、両国は3度戦火を交えてきた。一度目はロシア革命直後、ウクライナは独立を求め戦った。2度目は第二次世界大戦、ナチスの後押しを受けた市民がソ連に牙をむいた。そして3度目の今。二人の指導者が背負う、ロシアとウクライナの百年の歴史。

  • S01E47 関東大震災 復興から太平洋戦争への18年

    • September 4, 2023

    今から百年前、1923年9月1日に発生した関東大震災。火災で9割が焼失した東京で、奇跡的に焼失を免れたのが神田・佐久間町と和泉町だった。住民の決死のバケツリレーによるものだったが、日本が戦争へと突き進む中、この奇跡のエピソードは空襲に立ち向かう手本としてけんでんされていく。震災後、防災のために生まれたラジオや町内会も次第にその目的を変え、国家総動員体制を支えていく。震災から戦争に至る18年間の記録

  • S01E48 9.11が変えた世界 運命の3人

    • September 11, 2023

    初回放送日: 2023年9月11日 911同時多発テロで運命が激変した3人の物語。テロ直前に黒人初の国務長官となったコリン・パウエルは、イラクが大量破壊兵器を持っていると信じ、武力行使を主張。しかし彼に渡されていたデータは虚偽。英雄は失墜する。一方、混迷を追い風に、実業家ドナルド・トランプは泡まつ候補から大統領へ。アメリカ第一主義に世界は翻弄されていく。そんな中、女性連邦議員バーバラ・リーは、民主主義を守るための孤独な戦いを開始する

  • S01E49 竹のカーテンの向こう側 外国人記者が見た激動中国

    • October 2, 2023

    建国から20年以上、西側の多くの国と国交がなく「竹のカーテンで覆われた謎の国」と呼ばれてきた中国。容易に足を踏み入れることのできないその実像に迫ろうと、西側ジャーナリストたちは悪戦苦闘してきた。数千万の死者を出した大躍進政策、破壊と暴力の文化大革命、そして天安門事件。中国は外国人ジャーナリストを時に宣伝に利用し、時にその活動を厳しく制限してきた。外国人ジャーナリストと巨大国家との攻防の記録である。

  • S01E50 巨大工事 世界はどうつながってきたのか

    • October 30, 2023

    20世紀、人類は新たなつながりを求め、世界で巨大工事を推し進めてきた。太平洋と大西洋を結ぶ「パナマ運河」はアメリカに覇権国家への足がかりを与えた。「シベリア鉄道」は巨大国家「ソビエト」の支配を広げ、「英仏海峡トンネル」は、EU拡大を後押しした。日本では、黒部ダム、青函トンネルという2つの超難工事。巨大重機が駆け、シールドマシンが掘り進み、奇跡のようなドラマが起こる20世紀の巨大工事のスペクタクル。

  • S01E51 地球破壊 人類百年の罪と罰

    • November 6, 2023

    産業革命が進み大量の石炭を燃やし続けて生じたロンドンの「黒い霧」。自動車の爆発的な普及によって深刻なスモッグに苦しむ街となったロサンゼルス。高度経済成長期の日本で起きた公害。そして地球温暖化による気候変動。豊かさと引き替えに、私たちは地球に取り返しがつかないほどのダメージを与えてしまった。これまで何度となく繰り返されてきた自然からの警告に、人類はなぜ目を背けてきたのか。百年の破壊の記録である。

  • S01E52 イギリス王室の百年 大英帝国の栄光と贖罪

    • November 20, 2023

    「太陽の沈まぬ国」を築いたヴィクトリア女王から2022年に亡くなったエリザベス女王まで、イギリス王室百年の栄光としょく罪の記録。イギリス王室は2度の世界大戦に深く関わった。第一次大戦ではヴィクトリアの孫たちが敵味方に分かれて戦い、第二次大戦では兄弟が敵味方に分かれ骨肉の争いを演じた。戦後、即位したエリザベスは、大英帝国の負の遺産の清算を担い、旧植民地諸国を飛び回る。王たちは世界をどう変えてきたのか

  • S01E53 パリは燃えているか

    • November 27, 2023

    この番組のテーマ音楽「パリは燃えているか」は、ヒトラーが第二次大戦末期に発した言葉に由来する。しかし、パリは燃えなかった。パリを治めるドイツ軍司令官がヒトラーの破壊命令に背いたのだ。ナチス占領下のパリで何があったのか。亡命先から市民に徹底抗戦を呼びかけたドゴール、ドイツの監視の中、創作を続けたピカソ、シャネルはナチスの協力者となった。「パリ燃え」のメロディーに乗せて贈る、パリ百年の不屈の物語。

  • S01E54 田中角栄 列島改造の夢と転落

    • December 4, 2023

    「目白御殿」と呼ばれた田中角栄の自宅に、公共事業の誘致を求めて、全国から自治体や企業の担当者が陳情に押しかける映像が残っている。民主政治とは陳情政治。高邁な理想よりも目の前の現実。新潟の農家に生まれ、高等小学校卒、土建会社出身の田中角栄は、何もかも本音むき出しだった。地方と都市の格差解消の手段が道路と新幹線だった。開発を見越して地価は高騰、住民は地域発展を夢見た。田中角栄は日本に何を残したのか。

  • S01E55 エベレスト 栄光と狂気

    • December 11, 2023

    「なぜエベレストに登るのか」と問われ「そこに山があるからだ」と答えたマロリー。エベレスト登頂目前に消息を絶ったその遺体が75年後発見された。人類初登頂を成し遂げたヒラリー、超人的な身体能力で単独無酸素登頂を果たしたメスナー、ひとつの挑戦が達成されると続く者は、より過酷な条件を自らに課していく。彼らにとって価値あるものとは、前人未到しかない。世界で一番高い頂に取りつかれた者たちの栄光と狂気の記録。

  • S01E56 塩の行進 ガンジーの志を継ぐ者たち

    • December 18, 2023

    大英帝国によるインド支配に抵抗したガンジーが、非暴力の力を世界に示した「塩の行進」。その志は時空を超え受け継がれた。人種差別と闘い、ワシントン大行進で公民権法成立への道筋を作ったキング牧師。フィリピンの独裁政権との闘いの中で暗殺され、政権打倒への市民の団結を生んだアキノ氏。自宅軟禁されながら非暴力抵抗でミャンマーの軍事政権と闘い続けたスー・チー女史。非暴力で世界を変えようとした人々の闘いの記録。

  • S01E57 ビートルズとロックの革命

    • December 30, 2023

    1970年の解散から半世紀がたった今も、新しいファンを獲得し続けているビートルズ。全世界のレコード売り上げ枚数は前人未到の10億枚。若者たちの気持ちを代弁する初めての音楽だった。そしてその奔放な言動は旧来の価値観も壊していく。階級、人種、性別の壁、さらには東西冷戦の壁。ビートルズは世界をどう変えたのか。そして、4人に影響を受けたスティング、ボウイ、スプリングスティーンなどスーパースターも続々登場!

  • S01E58 ふたつの超大国 米中の百年

    • January 15, 2024

    世界大学ランキングでアジア最高位の清華大学は、親米派人材を育成するというアメリカの目論見によって清朝末期に設立された。清華大学から渡米し、ロケット開発の第一人者となったのが天才科学者・銭学森。しかし銭はアメリカで赤狩りによって逮捕され、国外追放された。中国帰国後は初の核ミサイル開発を実現する。清華大学は多くの政治家も輩出している。そのひとりが習近平である。ふたりの人生を通して描く米中激動の百年。

  • S01E59 石油 世界を動かした“血”の百年

    • January 22, 2024

    世界で初めて大規模な油田が発見されたのは、19世紀半ば、アメリカ五大湖近くだった。以来石油は、石炭に代わる新たな動力源として爆発的に需要が増加、石油なしには世界は動かなくなった。それゆえ石油は、争いの種となった。日本があの戦争を始め敗れたのも、戦後欧米とアラブ諸国との間に激しい対立が生まれたのも、その原因は石油だった。その一滴は血の一滴とも称される、「燃える黒い水・石油」をめぐる争いの物語である。

  • S01E60 世界が揺れた2つの年 1968と1989

    • January 29, 2024

    ヴォルフ・ビーアマンという東ドイツの詩人がいる。政府を批判し、国外追放された人物である。1989年、東ドイツ市民が自由と民主化を求めて立ち上がった時、ビーアマンはその象徴となった。彼には娘がいる。国民的大ヒット曲「カラーフィルムを忘れたのね」で知られるミュージシャンのニナ・ハーゲン。ふたりはベルリンの壁崩壊に大きな役割を果たした。1968年と1989年。ふたつの激動の年をつなぐ勇気の連鎖の物語。

  • S01E61 マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪

    • February 19, 2024

    アメリカの原爆開発「マンハッタン計画」を指揮した天才科学者オッペンハイマーの生涯を描く。ニューヨークのユダヤ人家庭に生まれ、ハーバード大学を飛び級しながら首席で卒業、「原爆の父」と呼ばれるオッペンハイマーは、アメリカ国内で「戦争を終わらせた英雄」と称えられたが、自分自身は深い罪の意識に苦しんでいた。戦後は、一転してアメリカの水爆開発に異議を唱える。そして赤狩りの対象となり、公職から追放された。

  • S01E62 CIA 世界を変えた秘密工作

    • February 26, 2024

    アメリカ大統領直轄の情報機関「CIA」は、戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。世界の民主化支援という大義の下、極秘に他国へ工作員を派遣、秘密工作を仕掛けてきた。戦後まもないイランでは、巧みな世論操作で政権を転覆させ、莫大な石油利権をアメリカにもたらした。冷戦の時代、ソ連の衛星国ハンガリーでは、ラジオを使って反体制運動をあおった。南米チリでは、社会主義政権を親米政権に転換させたクーデターに関与した。

  • S01E63 イスラエル

    • March 4, 2024

    数千年前、国を失い、世界各地に離散したユダヤ人は、絶えず迫害を受けてきた。19世紀末ロシアでの集団虐殺・ポグロム。ナチスによるホロコーストでは、世界のユダヤ人の3分の1にあたる600万の命が奪われた。1948年のイスラエル建国は、ユダヤ人の悲願だった。その後イスラエルは、アラブ諸国との戦争に勝利を重ね、今や世界有数の軍事大国となった。なぜイスラエルは戦い続けるのか、ユダヤ人苦難の歴史から読み解く。

  • S01E64 ロシア 暗殺と粛清

    • March 18, 2024

    ロシアではソ連時代以来、暗殺と粛清が繰り返されてきた。レーニンは秘密警察によって反対勢力を処刑、凄惨な弾圧で革命を成功へ導いた。スターリンは政敵をスパイに仕立て次々と処刑、粛清の嵐は一般国民にも及び2千万の命が奪われた。そしてソ連崩壊後も、政権の不正を告発する人物などが不審な死を遂げている。その度に政権の関与が疑われるが、真相はわからない。恐怖による統治が続いてきたロシア百年の記録である。

  • S01E65 映像記録 東京裁判

    • April 1, 2024

    アメリカなど11か国が裁判官と検察官を務めた東京裁判は、日本の戦争指導者の責任を追及する様子を世界に発信するため、照明など撮影に万全の体制を整えた法廷で行われた。被告人25人のうち7人に極刑が言い渡された。傍聴していた作家・川端康成は、「劇的な人間の生と死との分れ目を私は眼前に見て、深く打たれるものがあった」と記している。東条英機、広田弘毅など戦争指導者が裁かれた東京裁判の2年6か月をたどる。

  • S01E66 巨大事故 夢と安全のジレンマ

    • April 8, 2024

    タイタニック号の沈没、ドイツの飛行船ヒンデンブルク号の爆発、583人の犠牲者を出し、航空機史上最悪の事故と呼ばれる「テネリフェの悲劇」、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故。未知への挑戦を続ける中で、巨大事故が何度も引き起こされてきた。そして人間は同じ過ちを繰り返さないために原因を究明し、安全を目指す闘いを続けてきた。私たちは巨大事故の悲劇とどのように向き合い、乗り越えようとしてきたのか。

  • S01E67 史上最大の作戦 ノルマンディー上陸

    • April 15, 2024

    「砂浜には兵士の死体の他は何もなく、眼鏡を捜してはい回る従軍牧師がいるだけだった」、これはノルマンディー上陸作戦で兵士として戦った作家サリンジャーの未発表作品の一節。この作戦には15万の兵員が投入され、初めて戦場を経験する者も数多くいた。船の扉が開いた瞬間、ドイツ軍の銃弾が襲う。身を守る物などない中、兵士たちは恐怖を押さえつけ陸地に向け飛び出していく。連合軍を勝利に導いた名もなき人々の犠牲の記録。

  • S01E68 奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン

    • May 13, 2024

    20世紀最高の歌と評される名曲「奇妙な果実」。木につるされた黒人の遺体を果実に見立てたこの歌は、1939年、伝説の黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイによって発表された。差別が根強いこの時代に、黒人自らが人種差別を告発するなど前代未聞だった。破滅と引き換えに歌い続けたビリーの怒りと悲しみは、時空を越え人々に受け継がれていく。公民権運動、ブラックライブズマター。「奇妙な果実」は世界をどう変えたのか。

  • S01E69 カラシニコフ銃1億丁 史上最悪の殺人兵器

    • May 20, 2024

    「人類史上、最も多くの人を殺した武器」と言われるカラシニコフ銃。80年前、ソ連で密かに生まれたこの銃は、誰でも簡単に扱え、故障知らずで、1丁10ドルから手に入る。それゆえ、世界へ広がった。アメリカが敗れたベトナム戦争でも、アフリカ内戦の無差別殺りくでも、そして繰り返されるテロでも、使われたのはカラシニコフ銃だった。人々の憎しみに取りつき、コントロール不可能なまでに巨大化したモンスターの記録である。

  • S01E70 安保闘争 燃え盛った政治の季節

    • June 3, 2024

    2度にわたり繰り広げられた安保闘争・激動の記録。60年安保闘争は、戦争の記憶がまだ生々しかった時代、若者に大人も加わり国会を取り囲む国民運動となった。映像は、闘争を牽引する若きカリスマを捉えている。全学連委員長・唐牛健太郎、人々は彼を現代の英雄と呼んだ。70年安保闘争では、戦後生まれの学生がゲバ棒と火炎ビンで武装し大学に立てこもる。だが闘争の末路は凄惨な事件を引き起こし、国民の支持を失っていった。

  • S01E71 ルート66 アメリカの夢と絶望を運んだ道

    • June 10, 2024

    1926年開通したルート66は、人とモノの大陸横断を可能にし、アメリカのダイナミズムとなる。30年代、巨大な砂嵐に故郷を追われた中西部の人々は、道の終着点・カリフォルニアを目指した。50年代、ファストフード、モーテルなどロードサイドビジネスが生まれ、戦後の繁栄をアメリカ中に行き渡らせた。60年代には、大人たちにNOを叫ぶヒッピーが聖地カリフォルニアに向かった。アメリカの夢と絶望を運んだ道の物語。

  • S01E72 香港 百年のカオス 借り物の場所 借り物の時間

    • June 17, 2024

    高層ビルをかすめるように降下する飛行機、魔窟と呼ばれた巨大スラム、数千の水上生活者の船。中国本土で戦乱や危機が起こる度、無数の人々が逃げ込み、香港のカオスを作り上げた。イギリスによる植民地統治のルールは「自由」。しかしそれは、いつか中国に返還される「期限付きの自由」だった。ある作家は「借り物の場所、借り物の時間」と呼んだ。巨大国家・中国の存在におびえながら、束の間の自由を追い続けた人々の記録。

  • S01E73 ワイマール ヒトラーを生んだ自由の国

    • July 1, 2024

    ドイツ・ワイマール共和国は、最先端の民主主義国家であった。男女平等の普通選挙、1日8時間労働制、女性の社会進出、ユダヤ人も活躍し “黄金の20年代”が到来する。革命的な芸術学校バウハウスが生まれ、ナイトクラブでは性のタブーも解放された。しかし世界恐慌をきっかけに失業者は激増、手厚い社会保障が皮肉にも国の財政を圧迫、政治は大混乱に陥る。そして人々は民主主義に代わる、強力な指導者の登場を待望していく。

  • S01E74 東京 戦後ゼロ年

    • July 8, 2024

    終戦から3週間後の東京を占領軍の兵士が撮影している。広がる焼け跡の向こうに、国会議事堂が見える。誰もが生き延びるために必死だった。焼け跡には闇市が出現、人々は非合法と知りながら、命をつないだ。家族を養うために占領軍兵士に身を売る女性もいた。一方で、東京湾からは、103本の金塊が引き上げられる。日本軍の「隠匿物資」と言われる。戦争に耐え忍んできた人々は怒りに震えた。戦後ゼロ年、東京のルールなき物語。

  • S01E75 オリンピック 聖火と戦火

    • July 22, 2024

    「近代オリンピックの父」・クーベルタン男爵は、オリンピックに平和への願いを込めた。しかし、大会には戦争の影がつきまとってきた。ヒトラーが国家のプロパガンダに利用した1936年のベルリン大会、テロリストがイスラエルの選手村を襲撃して11人が命を落とした1972年のミュンヘン大会、そして今回のパリ大会出場をめぐってウクライナ人選手はロシア人選手に憎悪をむき出しにしている。「平和の祭典」の激動の記録。

  • S01E76 太平洋戦争 日米プロパガンダ戦

    • August 26, 2024

    太平洋戦争は日米のプロパガンダ戦でもあった。アメリカはハリウッドが協力して戦場のリアルな映像で国民を戦争に駆り立てていく。日本はニュース映画を使い銃後の人々を総力戦に巻き込んでいく。またラジオ放送では「東京ローズ」と呼ばれたアナウンサーたちが敵兵の戦意喪失をねらった。戦局が進むと日本は偽りの戦果を伝えアメリカは大量殺りくを正当化していく。国民をあおり不都合な真実を伏せた日米の知られざる戦いの記録。

  • S01E77 ゲッベルス 狂気と熱狂の扇動者

    • September 2, 2024

    ドイツの敗北が濃厚となった1943年2月、ナチス宣伝相ゲッベルスは国民をあおり、死の淵へと駆り立てる総力戦演説を決行した。「諸君に問う。勝利を得るため、総統に従っていく決意はあるか?苦難を共にする覚悟はあるか?」。その言葉に熱狂し、実に100万以上の民間人が総力戦で命を落とした。フェイク、炎上商法、陰謀論を駆使、弱小政党だったナチ党を政権の座に押し上げ、世界に地獄をもたらした男の戦慄の記録である。

  • S01E78 9.11 あの日が変えた私の人生

    • September 9, 2024

    2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ。3千人の犠牲者の中には、24人の日本人もいた。息子を失ったふたりの父親のその後の人生をたどる。息子が殺された理由を知りたいと、テロの首謀者・ビンラディンへの手紙を携えアフガンに渡った父親。テロの記憶を風化させまいと567ページものアメリカ政府の報告書を10年がかりで翻訳した父親。深い悲しみを抱えつつ、憎しみの連鎖を断つために踏み出した人々の23年の記録。

  • S01E79 I DON’T LIKE MONDAYS 月曜日の物語

    • September 30, 2024

    1979年、アメリカで月曜日の朝の登校時間を狙った銃乱射事件が起こる。狙撃犯は16歳の少女。犯行動機を「I don’t like Mondays」と答え、社会に衝撃を与えた。ジョン・レノン暗殺(1980)ブラックマンデー(1987)地下鉄サリン事件(1995)が起こったのも月曜日だった。ある調査によると、一週間で最も憂うつを感じるのは「月曜日」と答えた人が最も多かった。あなたも月曜日が嫌いですか?

  • S01E80 壁 世界を分断するもの

    • October 7, 2024

    20世紀、東西に分かれた世界は「壁」を築いた。「ベルリンの壁」、朝鮮半島の「38度線」。21世紀に入っても、壁は増え続けている。メキシコからの不法移民をはね返す「国境の壁」、イスラエルとパレスチナを隔てる「分離壁」…。一方で自由を奪う壁に挑む人も数多くいた。白昼堂々、ベルリンの壁を飛び越えた東独の若き警備隊員、壁の向こう側に残した恋人を救うためにトンネルを掘った大学生。壁をめぐる絶望と希望の物語。

  • S01E81 バブル ふたりのカリスマ経営者

    • October 21, 2014

    80年代後半の日本のバブル期、株式市場の時価総額は600兆円超、一人あたりのGDPはアメリカを抜いた。この時代に大きく業績を拡大させた2人の経営者がいた。ダイエーの中内功(功は〈たくみへん〉に刀)とセゾングループの堤清二。中内は、所有する不動産を担保に借り入れを増やし店舗数を拡大していく。堤は、洗練された商品で新しい消費文化を築く。しかしバブル崩壊後、2人の運命は暗転する。バブルの魅惑と罪の物語。

  • S01E82 ふたつの敗戦国 ドイツ さまよえる人々

    • October 28, 2024

    大戦後、東欧には1500万のドイツ人がいた。ドイツ降伏はその運命を変えた。現地の人々のドイツ人への恨みは暴力となり、住み慣れた土地からは強制追放された。しかしドイツ本国に戻っても彼らの苦しみは終わらなかった。戦争責任を重く受け止める西ドイツでは、彼ら被害者の声はかき消され、東ドイツでは、そもそも語ることが許されなかった。シリーズ「ふたつの敗戦国」、前編はドイツ人の被害者としての側面をみつめる。

Season 2024

  • S2024E01 ふたつの超大国 米中の百年

    • January 15, 2024

    世界大学ランキングでアジア最高位の清華大学は、親米派人材を育成するというアメリカの目論見によって清朝末期に設立された。清華大学から渡米し、ロケット開発の第一人者となったのが天才科学者・銭学森。しかし銭はアメリカで赤狩りによって逮捕され、国外追放された。中国帰国後は初の核ミサイル開発を実現する。清華大学は多くの政治家も輩出している。そのひとりが習近平である。ふたりの人生を通して描く米中激動の百年。

  • S2024E02 石油 世界を動かした“血”の百年

    • January 22, 2024

    世界で初めて大規模な油田が発見されたのは、19世紀半ば、アメリカ五大湖近くだった。以来石油は、石炭に代わる新たな動力源として爆発的に需要が増加、石油なしには世界は動かなくなった。それゆえ石油は、争いの種となった。日本があの戦争を始め敗れたのも、戦後欧米とアラブ諸国との間に激しい対立が生まれたのも、その原因は石油だった。その一滴は血の一滴とも称される、「燃える黒い水・石油」をめぐる争いの物語である。

  • S2024E03 世界が揺れた2つの年 1968と1989

    • January 29, 2024

    ヴォルフ・ビーアマンという東ドイツの詩人がいる。政府を批判し、国外追放された人物である。1989年、東ドイツ市民が自由と民主化を求めて立ち上がった時、ビーアマンはその象徴となった。彼には娘がいる。国民的大ヒット曲「カラーフィルムを忘れたのね」で知られるミュージシャンのニナ・ハーゲン。ふたりはベルリンの壁崩壊に大きな役割を果たした。1968年と1989年。ふたつの激動の年をつなぐ勇気の連鎖の物語。

  • S2024E04 マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪

    • February 19, 2024

    アメリカ大統領直轄の情報機関「CIA」は、戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。世界の民主化支援という大義の下、極秘に他国へ工作員を派遣、秘密工作を仕掛けてきた。戦後まもないイランでは、巧みな世論操作で政権を転覆させ、莫大な石油利権をアメリカにもたらした。冷戦の時代、ソ連の衛星国ハンガリーでは、ラジオを使って反体制運動をあおった。南米チリでは、社会主義政権を親米政権に転換させたクーデターに関与した。

  • S2024E05 CIA 世界を変えた秘密工作

    • February 26, 2024

    アメリカ大統領直轄の情報機関「CIA」は、戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。世界の民主化支援という大義の下、極秘に他国へ工作員を派遣、秘密工作を仕掛けてきた。戦後まもないイランでは、巧みな世論操作で政権を転覆させ、莫大な石油利権をアメリカにもたらした。冷戦の時代、ソ連の衛星国ハンガリーでは、ラジオを使って反体制運動をあおった。南米チリでは、社会主義政権を親米政権に転換させたクーデターに関与した。

  • S2024E06 イスラエル

    • March 4, 2024

    数千年前、国を失い、世界各地に離散したユダヤ人は、絶えず迫害を受けてきた。19世紀末ロシアでの集団虐殺・ポグロム。ナチスによるホロコーストでは、世界のユダヤ人の3分の1にあたる600万の命が奪われた。1948年のイスラエル建国は、ユダヤ人の悲願だった。その後イスラエルは、アラブ諸国との戦争に勝利を重ね、今や世界有数の軍事大国となった。なぜイスラエルは戦い続けるのか、ユダヤ人苦難の歴史から読み解く。

  • S2024E07 ロシア 暗殺と粛清

    • March 18, 2024

    ロシアではソ連時代以来、暗殺と粛清が繰り返されてきた。レーニンは秘密警察によって反対勢力を処刑、凄惨な弾圧で革命を成功へ導いた。スターリンは政敵をスパイに仕立て次々と処刑、粛清の嵐は一般国民にも及び2千万の命が奪われた。そしてソ連崩壊後も、政権の不正を告発する人物などが不審な死を遂げている。その度に政権の関与が疑われるが、真相はわからない。恐怖による統治が続いてきたロシア百年の記録である。

  • S2024E08 映像記録 東京裁判

    • April 1, 2024

    アメリカなど11か国が裁判官と検察官を務めた東京裁判は、日本の戦争指導者の責任を追及する様子を世界に発信するため、照明など撮影に万全の体制を整えた法廷で行われた。被告人25人のうち7人に極刑が言い渡された。傍聴していた作家・川端康成は、「劇的な人間の生と死との分れ目を私は眼前に見て、深く打たれるものがあった」と記している。東条英機、広田弘毅など戦争指導者が裁かれた東京裁判の2年6か月をたどる。

  • S2024E09 巨大事故 夢と安全のジレンマ

    • April 8, 2024

    タイタニック号の沈没、ドイツの飛行船ヒンデンブルク号の爆発、583人の犠牲者を出し、航空機史上最悪の事故と呼ばれる「テネリフェの悲劇」、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故。未知への挑戦を続ける中で、巨大事故が何度も引き起こされてきた。そして人間は同じ過ちを繰り返さないために原因を究明し、安全を目指す闘いを続けてきた。私たちは巨大事故の悲劇とどのように向き合い、乗り越えようとしてきたのか。

  • S2024E10 史上最大の作戦 ノルマンディー上陸

    • April 15, 2024

    「砂浜には兵士の死体の他は何もなく、眼鏡を捜してはい回る従軍牧師がいるだけだった」、これはノルマンディー上陸作戦で兵士として戦った作家サリンジャーの未発表作品の一節。この作戦には15万の兵員が投入され、初めて戦場を経験する者も数多くいた。船の扉が開いた瞬間、ドイツ軍の銃弾が襲う。身を守る物などない中、兵士たちは恐怖を押さえつけ陸地に向け飛び出していく。連合軍を勝利に導いた名もなき人々の犠牲の記録。

  • S2024E11 奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン

    • May 13, 2024

    20世紀最高の歌と評される名曲「奇妙な果実」。木につるされた黒人の遺体を果実に見立てたこの歌は、1939年、伝説の黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイによって発表された。差別が根強いこの時代に、黒人自らが人種差別を告発するなど前代未聞だった。破滅と引き換えに歌い続けたビリーの怒りと悲しみは、時空を越え人々に受け継がれていく。公民権運動、ブラックライブズマター。「奇妙な果実」は世界をどう変えたのか。

  • S2024E12 カラシニコフ銃1億丁 史上最悪の殺人兵器

    • May 20, 2024

    「人類史上、最も多くの人を殺した武器」と言われるカラシニコフ銃。80年前、ソ連で密かに生まれたこの銃は、誰でも簡単に扱え、故障知らずで、1丁10ドルから手に入る。それゆえ、世界へ広がった。アメリカが敗れたベトナム戦争でも、アフリカ内戦の無差別殺りくでも、そして繰り返されるテロでも、使われたのはカラシニコフ銃だった。人々の憎しみに取りつき、コントロール不可能なまでに巨大化したモンスターの記録である。

  • S2024E13 安保闘争 燃え盛った政治の季節

    • June 3, 2024

    2度にわたり繰り広げられた安保闘争・激動の記録。60年安保闘争は、戦争の記憶がまだ生々しかった時代、若者に大人も加わり国会を取り囲む国民運動となった。映像は、闘争を牽引する若きカリスマを捉えている。全学連委員長・唐牛健太郎、人々は彼を現代の英雄と呼んだ。70年安保闘争では、戦後生まれの学生がゲバ棒と火炎ビンで武装し大学に立てこもる。だが闘争の末路は凄惨な事件を引き起こし、国民の支持を失っていった。

  • S2024E14 ルート66 アメリカの夢と絶望を運んだ道

    • June 10, 2024

    1926年開通したルート66は、人とモノの大陸横断を可能にし、アメリカのダイナミズムとなる。30年代、巨大な砂嵐に故郷を追われた中西部の人々は、道の終着点・カリフォルニアを目指した。50年代、ファストフード、モーテルなどロードサイドビジネスが生まれ、戦後の繁栄をアメリカ中に行き渡らせた。60年代には、大人たちにNOを叫ぶヒッピーが聖地カリフォルニアに向かった。アメリカの夢と絶望を運んだ道の物語。

  • S2024E15 香港 百年のカオス 借り物の場所 借り物の時間

    • June 17, 2024

    高層ビルをかすめるように降下する飛行機、魔窟と呼ばれた巨大スラム、数千の水上生活者の船。中国本土で戦乱や危機が起こる度、無数の人々が逃げ込み、香港のカオスを作り上げた。イギリスによる植民地統治のルールは「自由」。しかしそれは、いつか中国に返還される「期限付きの自由」だった。ある作家は「借り物の場所、借り物の時間」と呼んだ。巨大国家・中国の存在におびえながら、束の間の自由を追い続けた人々の記録。

  • S2024E16 ワイマール ヒトラーを生んだ自由の国

    • July 1, 2024

    ドイツ・ワイマール共和国は、最先端の民主主義国家であった。男女平等の普通選挙、1日8時間労働制、女性の社会進出、ユダヤ人も活躍し “黄金の20年代”が到来する。革命的な芸術学校バウハウスが生まれ、ナイトクラブでは性のタブーも解放された。しかし世界恐慌をきっかけに失業者は激増、手厚い社会保障が皮肉にも国の財政を圧迫、政治は大混乱に陥る。そして人々は民主主義に代わる、強力な指導者の登場を待望していく。

  • S2024E17 東京 戦後ゼロ年

    • July 8, 2024

    終戦から3週間後の東京を占領軍の兵士が撮影している。広がる焼け跡の向こうに、国会議事堂が見える。誰もが生き延びるために必死だった。焼け跡には闇市が出現、人々は非合法と知りながら、命をつないだ。家族を養うために占領軍兵士に身を売る女性もいた。一方で、東京湾からは、103本の金塊が引き上げられる。日本軍の「隠匿物資」と言われる。戦争に耐え忍んできた人々は怒りに震えた。戦後ゼロ年、東京のルールなき物語。

  • S2024E18 オリンピック 聖火と戦火

    • July 22, 2024

    「近代オリンピックの父」・クーベルタン男爵は、オリンピックに平和への願いを込めた。しかし、大会には戦争の影がつきまとってきた。ヒトラーが国家のプロパガンダに利用した1936年のベルリン大会、テロリストがイスラエルの選手村を襲撃して11人が命を落とした1972年のミュンヘン大会、そして今回のパリ大会出場をめぐってウクライナ人選手はロシア人選手に憎悪をむき出しにしている。「平和の祭典」の激動の記録。