ベルリンフィル指揮者フルトヴェングラーはユダヤ人楽団員を守りながらもドイツに留まり、戦後ナチ協力者の疑いをかけられた。作曲家ショスタコーヴィチは、スターリン体制で生き延びるために意に沿わない作曲を続け、独ソ戦では反ファシズムの象徴となる交響曲を作る。芥川賞作家・火野葦平は従軍して書いた「麦と兵隊」がベストセラーとなるが、戦後は罪の意識に苦しんだ。芸術家たちは、国家と表現の自由との間で揺れ続けた。