風の強い、明るい満月の夜。真木晶が自宅のマンションのエレベーターに乗り込むと、突然目の前に奇妙な服装の見知らぬ男が現れる。「お会いできて光栄です、愛しい賢者様。あなたに、世界を救済してほしいのです」。一方的な言葉に戸惑う中、「あなたと友人になりたい」「あなたに世界の真実を見つけてほしい」と言い残し、男は姿を消す。状況を飲み込めずにいる晶をよそに、エレベーターの扉が開く。そこは見慣れた廊下ではなく、見知らぬ異世界だった…!
東の国の呪い屋・ファウストは、先の<大いなる厄災>で仲間を庇い、瀕死の傷を負っていた。ヒースクリフらに「賢者の力があれば救えるかもしれない」と頼み込まれた晶は、ファウストの病床を訪れる。そこには、双子の魔法使いスノウとホワイト、囚人の魔法使い・ブラッドリー、そして世界最強の魔法使い・オズの姿があった。いまにも事切れそうなファウストを前に、晶は自分が力になれる確証がなかったが、オズの言葉に従い、彼と手を重ねると……。
新しい『賢者の魔法使い』たちの召喚の儀式の執行が決まる。儀式を行うことができるのは、賢者である晶ただひとり。準備が整うまでの間、前の賢者が魔法使いたちについて記したノート・『賢者の書』と照らし合わせながら、彼らが何を考え、何に心を痛めるかを知り、少しずつ距離を縮めていく。その一方、カインの目の様子がおかしいことに皆が気づき始める。本人に自覚はないが、皆の姿が見えていないことがあるようで、スノウとホワイトも、昨晩は壁の絵から出れられなくなったらしく……。
召喚の儀式を終えた夜、魔法舎に侵入者が現れる。それは中央の国の書記官・クックロビンだった。彼の目的は、大臣の計画に従って晶を外へ連れ出したのち、軍によって魔法舎を武力制圧することだった。彼自身も気が進まなさそうではあるものの「魔法使いの強い力を人間が制御するために必要なことだ」という言葉に、魔法使いたちは戸惑いや憤り、悲しみを感じる。そんななか、彼らの身体には、奇妙な異変が現れ始めていた。
新たに召喚された魔法使いたちが揃った魔法舎で、『合コン』の開催が決定!一部の魔法使い以外が一堂に会し、交流会をすることに。しかし五つの国から集まった魔法使いたちは国ごとに気風も異なり、個性もバラバラ。どうにも足並みが揃わない。さらに、召喚された者のなかには、旧知の顔がいくつもある様子。それぞれの関係について言葉を濁したり、あまり顔を合わせようとしなかったりと、因縁だらけのメンバーが揃ってしまったことが徐々に明らかになっていく。
晶と魔法使いたちは、先の戦いの凱旋パレードと、叙任式に参加することに。裁縫が得意なクロエはみんなの洋服を仕立てたいと大張り切りで、晴れの場を楽しみにしている。しかし一方で、これまで人間のふりをしてひっそりと生きてきたネロは、人前に出ることに難色を示す。そんなネロを身勝手だと糾弾したのは、『神の使徒』として生きてきたリケだった。
パレードのあと、中央の国で魔法使いたちを迎えるパーティが始まる。華やかな音楽や美味しそうな料理に皆がはしゃぐなか、晶はひとり会場を出ていくシノの後ろ姿に気づく。誰にも言わずに勝手に帰ろうとしているシノに事情を問うと、ヒースクリフと喧嘩をしたと言う。シノは東の国でヒースクリフの家の小間使いとして働いていたが、二人の間にあるものはどうやらそれだけではない様子。シノは晶に自らの出自と、ヒースクリフとの関係、そして彼に抱いている複雑な感情について語り出す。
不在だった北の魔法使いたちを引き連れ、オズがパーティ会場に現れ、ついに『賢者の魔法使い』が全員揃う。しかし、彼らは一筋縄ではいかない好戦的な魔法使いたちで…。さらに、アーサーの叔父であるヴィンセントは、『魔法科学』の力を誇示し、民衆にその力を見せつけようとする。しかしその動力となるマナ石は、魔法生物や魔法使いの骸であった。シャイロックやフィガロは、魔法科学が普及することで未来に起こりうる争いを危惧し、眉を寄せる。一方、シノはメイドの少女から不思議な話を聞き、調査に向かおうとしていた。