何でも手に入り、物があふれる日本。 そんな世の中、下町にに、そんな便利さや豊かさとは無縁の一軒の料理屋・壱升庵。 ホテルで働いていた江崎ヨシ夫が、働かせて欲しいと壱升庵のおかみ・おせんを訪ねてきた。 壱升庵の調理法は、だしのとり方から大根の炊き方まで、手間と時間をかけた、今までヨシ夫がしていたものとは違うものだった。 野菜も自家栽培。 そして、おせんは、若くして母から店を受け継いだ酒好きの女だった。 常連・木下の頼みで、木下クッキングスクールのイベント・「まかない料理とスーパースピード家庭料理の対決」でおせんが桜井三千子と対決する事になる。 戦いの場で電子レンジを初めて見たおせん。卵を中に入れて爆発させてしまう。 意気消沈するおせんだったが、勝負が始まり、動き始める。 時間をかけずに調理を終える桜井に対して、時間をかけて丁寧に調理をするおせん。 ヨシ夫は一度「壱升庵」を離れたが、この勝負を見て、また店に戻る。 おせんは、桜井の「時代の流れ」という言葉が気になる。
先代の女将がやってくる。 先代女将の目利きは最高。 今回は味噌を仕込むために、やってきた。 おせんの口利きで、今年の味噌は「よっちゃんさん印」に。 ある日、店にヨシ夫の先輩がやってくる。 先輩は、家庭の中が冷え込んでいた。 ・大豆の選別。おせんとヨシ夫が選別を終えた大豆を珍品堂がひっくり返し、内緒で戻すが、選別は散々だった。 おせんとヨシ夫が二人でやり直す。 ・大豆を洗う。冷たい水で洗う。 大豆のコトばかり考えた辛い作業にヨシ夫は切れ、酷い事を言っておせんを傷つけ、店を出てしまう。 先輩の所に泊まったヨシ夫。 壱升庵の味噌汁のうまさに気づく。先輩は壱升庵の味噌作りを見学に行きたいと言い出した。 味噌作りをして、分かち合う事の大切さに気づいた先輩。 妻とやり直す。 おせんは、選別のやり直しも、あえてヨシ夫に頼んでいた。 それでいい味噌を造り、ヨシ夫から人に喜んでもらう気持ちを引き出そうと思っていた。
定食屋で会った男にひどい目にあったヨシ夫。 タコヒキの竜と名乗るその男のことを、清二や大おかみは知っているようだった。 怪我をして店を追い出されたという竜。 おせんは心から竜をもてなす。が、その話とは違う事情があったらしい。 当時、竜の技術はすばらしく話題になったが、技術に勝ちすぎ、客の筋も変わっていった。 おかみは藤代を板長にし、技術よりも味をとった。 竜の怪我はその後 やけになっての事だった。 おせんは、竜を壱升庵に招待する。 清二の心を込めた料理。 しめは、昔、竜が清二に作り、今では壱升庵の看板となったとろろめし。 大おかみは、出て行ってしまった清二に見えるように、とろろめしの「のぼり」を作って毎日立てていた。 清二は壱升庵のとろろめしで屋台を引きはじめる。
客からの祝儀でみんなで鍋をつつく従業員たち。 そこへ、珍品堂が台場という男を連れてきて、一緒に盛り上がった。 そして、数日後、台場が一升庵の2号店の話を持ってくる。 具合の悪い仙。板長は即座にその話を断った。 おせんの体調が良くないなか、客としてやってきた台場。 今回も色よい返事はもらえない。 体調の良くなったおせんは、台場を招き、すき焼きを振舞う。 おせん自ら客の目の前で作り上げた、すき焼き。 付きっ切りでないと作れないすき焼き。これが、鍋と出さない理由と2号店を出さない理由だった。 おせんがいないと、一升庵の味にはならない。
おせんのお気に入りで、先々代の手作り皿を割ってしまったヨシ夫。 その直後に地震が起き、皿は地震で割れたということになってしまった。 地震の後、壱升庵を見てくれた女大工の丁子 木下の娘夫婦がアメリカから戻り、 木下が丁子に家の 仕立て直しを頼んだが、木下の娘は新築しなおすという。 が、壱升庵の従業員が、新築を請け負った帝都ホームのひどい商売を耳にする。 おせんは、新築契約の場を壱升庵にしてもらい、 惣菜を買ってきて人件費を入れた15万円の請求をする。 これは、帝都ホームの商売そのものと弾劾し、家立替えの再考を求める。 木下の娘は、立替を考え直し、 家は丁子の手に巻かされることになる。 ヨシ夫は皿を割ったことを告白し、皿は金継ぎの修理でよみがえる。
買出しから戻ると、大河原フミがおせんに見合いを持ってきていた。が、おせんは店の予約と勘違いして受けてしまう。 相手は城南大学準教授・千堂保。柔道師範の免状を持っている 悩むおせんだが、シズに勧められ、見合いをすることにする。 最初の店を出、二人で酒を飲み、意気投合し、また会うことを約束する。 楽しそうなおせんが気になり、気になる留吉は邪魔しようとするが、保の人柄に触れ、ショックを受ける。 留吉とヨシ夫は、珍品堂におせんの昔の恋の話を聞く。 壱升庵で食事をしたいという千堂。 心づくしのもてなしに感動し、千堂は縁談を断る。 おせんに見合う男になったら、また結婚して欲しいと言い残して。 千堂と、話題のハンバーグを食べたがっていた おせんのために、まかないにハンバーグを作ったヨシ夫。
ふざけて留吉の包丁捌きを判定するヨシ夫。が、なかなかうまくはいかない。 たまたま飲みに言った店で、大将が病気で困っているところで、飲み物だけと断って手伝う。 が、壱升庵の板前と聞いて、馬鹿にされ、思わず、一升庵のとろろを作ってしまう。 それを見た珍品堂。 留吉の一件がおせんと清二の耳に入り、留吉は板場出入り禁止になる。 考えた留吉が、おせんにやめると告げると、おせんはあっさりそれを受け入れた。 駅前の店で働き始める留吉。 留吉のことを心配するヨシ夫だが、 シズに、「自分のことを考えろ。女将が決めたことに反対する腕があるのか」と諭され 、おせんを信じることに決めてがんばることにする。 ある日、留吉が働き始めた店の閉店後におせんが訪ねてくる。 最近考え始めた塩麹のつけものを考えて作って欲しいと頼まれた留吉は一生懸命つくり、 おせんは、留吉が作ったことは内緒で清二に振舞う。 清二に、留吉が心を入れ替えていると説得し、留吉は壱升庵に戻ってくる。
千成神社のまつりの、休憩時のおむすびは、 毎年壱升庵がつくる事になっている。 200人分、600個のおむすび。 牧野商店で祭り用の米を調達し、米をたくための藁も準備済み 神輿担ぎのセミプロの男たちが町にやってきているが、ガラが悪くて評判が悪い。 男達は、おせんに神輿にのれと詰め寄ってきた。 飯を炊く担当のテル子は、魚沼東中学校時代のの同窓会に行くが、 仕事で飯を炊いていると言ったらみんなに馬鹿にされ、途中で抜けてきてしまった。 店先で写真を撮る怪しい男。 男はテル子の同級生で、食べ物関係の雑誌編集者の藤木だった。 同窓会でのテル子の話を聞いて、おいしいご飯のことを知りたいとやってきた。 壱升庵の隠れ献立「ことこと飯」を堪能する藤木。 雑誌には載せないと約束するが、ブログに載せてしまった。 ご飯を注文する客が増え、燃料の藁が足りなくなってくる。 祭り用の藁もないかもしれない。 珍品堂に車を出してもらって、テル子の実家に藁をとりに行くが、 途中で車の調子が悪くなってしまう。 今だけ違う燃料でとみんなに言われるが、 そうしようとはしない おせんが姿を消す。 翌朝、おせんに頼まれた神輿担ぎの男達の車で、藁が運ばれてくる。 藤木も徹夜で農家から藁を調達してきた。
乾物問屋的場で若旦那を殴ったおせん。 いままでの店主が入院しており、荒節を鰹節として販売している息子に頭にきて、 鰹節で殴ってしまった。 店主が詫びにやってくるが、 今まで本枯節を買っていた山上では、本枯節の製造をやめるという。おせんは、焼津の山上を訪ねる。 が、大量に作ることのできない本枯節。需要も少なく、山上の借金もかさみ、鰹節工場をつくろうという企業・エンプールに土地を売ることになった。 エンプールの山上担当は、矢田守。 一世一代の本枯節をもらって帰るおせん。 ある日、矢田が、山神がずっとライバルと思ってきた藤坂次郎の息子だとわかる。 おせんに、やれることをやろうと訴えるヨシ夫。 矢田をたずねるおせん。が、 矢田は気持ちを変えようとはしなかった。 山上から壱升庵の予約が入る。最後に本枯節の料理が食べたいという。 やってきた山上。 やはり、本枯節を作りたいと思っている山上に、おせんは一計を案じる。
山上とエンプールの契約は、壱升庵で交わされることになる。 矢田のためのかつお料理に土佐醤油、本枯節の一番出しで 昔のことを思い出した矢田は、新しい工場に本枯節のラインを残してくれと、 同席したエンプール社長・金池に頼む。 話を聞いていた金池は、山上から手を引くと言い出した。山上の借金はそのまま残るが、 矢田がなんとか道を探すという。 ある日、壱升庵を取引先の銀行マンが訪ねてきた。 貸付中の8千万を一度全額返済して欲しいという。 この裏には金池がいた。壱升庵いったいの再開発をもくろみ、壱升庵を買い取りたいと言い出す。 契約についてきた金池の息子と話をするおせん。 金池の家は忙しく、息子のりょうは、大根の味を知らなかった。 このままでは壱升庵がなくなると悩むおせんに、大おかみは、建物が壱升庵ではないという。 その言葉に元気をもらったおせん。 ヨシ夫は、自分が前にいた会社がエンプールの系列と知り、誘われるまま、壱升庵をやめて系列の店に入る。そして、店の不正の証拠をつかんで戻ってきた。 が、おせんはそれは使わずに、心づくしの料理をつくって金池親子をもてなす。 しかし、りょうは、全ての料理に、持ってきたケチャップをかけ始めた いまどきの子だから仕方がないという金池に、量にも、金池が知っている色々なことを伝えて欲しいと頼むおせん。 そして、店に戻りたいというヨシオの申し出を断り、壱升庵はどうなるか判らない。今いる店をちゃんとした店にして、味を伝えてくれと頼む。