愛媛に暮らす中学生・青井葦人(アシト)は、弱小サッカー部のエース。中学最後の県大会、アシトの活躍によりチームはベスト4へと迫るが、相手チームのゴールキーパーによる挑発に激昂したアシトはレッドカードを貰い退場してしまう。試合に敗れ、悔しさをぶつけるように海辺を走り込んでいたアシトのもとへ、Jリーグ・東京シティ・エスペリオンFCの育成組織、ユースチームの監督だと名乗る男・福田達也が現れる。
福田からエスペリオンユースの入団試験を受けに来いと誘われたアシトは、兄である瞬の後押しで単身東京へ。エスペリオンのサッカー施設の充実ぶりに驚くアシトは、福田の義理の妹・一条花と出会い、会場へと案内される。輝かしい経歴を誇る総勢86名の受験生が集まる中で何の実績も持たないアシトだったが、緊張に手を震わせつつも「この中でサッカーができる」という高揚感を胸にセレクションへ臨む。
第一試験を通過したアシトたちに課された最終試験は、エスペリオンユースとの試合だった。そして福田は、「試合中のどこかでお前らにあることを言う」と告げる。まわりの受験生が怖気づく中、ユースを倒して全員で合格しようと意気込むアシト。試合開始直後から、アシトを中心にゴールへ迫り、手ごたえを感じる受験生たちだが、阿久津を始めとしたユースチームの緩慢なプレーに違和感を覚え始める。
エスペリオンユースのプレーに圧倒される受験生たちに、さらに追い打ちを掛けるように福田から「あること」が告げられる。メンタルを立て直せない受験生チームは成す術無く、立て続けに追加点を許し、試合は一方的な展開となる。ユースと自分たちとの歴然とした差に絶望している受験生の中で、阿久津のラフプレーのダメージを引きずるアシトも徐々に戦意を喪失していく――。
地元・愛媛でセレクションの結果を待つアシトの元にユース合格の通知が届く。歓喜に湧くアシトや友人たちだったが、それを眺めるアシトの母・紀子の表情はどこか寂しげだった。電話でアシトにユースについて説明をしていた花は、上京する前に紀子とよく話すよう諭す。紀子と向き合おうとするアシトだったが、なかなか話が出来ず、母子ふたりはすれ違ったままで…。
母・紀子の想いを受け取ったアシトは、決意と共に再び東京シティ・エスペリオンを訪れる。練習場でエスペリオンユースの女性サポーターに話しかけられ、たじろいでいるアシトが再会したのは、セレクションを共に戦った大友と橘だった。ジュニアユースからの昇格組である遊馬・朝利とも合流し、寮へとやってきたアシトだったが、ひとりの合格者が集合時間を過ぎてもまだ現れていないことを知る。
東京シティ・エスペリオンFCユース入団式当日、福田の提案によりいきなり紅白戦に臨むことになったアシトたち。素晴らしいアピールをした選手は、すぐにユースのAチームに昇格できるのだという。一刻も早くプロになるためAチームへ昇格したいアシトたちは奮い立ち、それぞれの執念を剥き出しにしてゴールを狙いにいく。得意なFWのポジションで、最初こそ好調なアシトだったが…!?
Aチーム昇格を争う紅白戦。チームメイトと意思疎通が図れないアシトに、もはやパスは回ってこなくなってしまった。試合にまったく入れないアシトはフィールドで立ち尽くす。伊達曰く、目まぐるしく変化する試合展開に対応できないアシトには「個人戦術」が身についていないという。試合後、打ちひしがれているアシトの前に、セレクションでぶつかった先輩・阿久津渚が現れて…。
「止めて、蹴る」というサッカーの基本動作をなかなか体得できないアシト。ひとり個人練習に向かおうとするアシトの思いつめた様子を見かね、同室の冨樫は「止めて、蹴る」の本当の意味を教えると言う。しかし、冨樫の説明は抽象的で、夜練は難航する。お互いにいらだちを募らせるが、やがて冨樫の動きからアシトはついに「止めて、蹴る」のヒントを掴むのだった。
11人対21人という異色のミニゲームで、アシトは黒田、朝利と連携を取ることができず、ふたりからの信頼を完全に失ってしまう。そんなアシトに対し、伊達は「なぜ黒田と朝利だけが怒りをぶつけてきたのか考えろ」という課題を与える。週で唯一のオフの日を迎え、大友や橘、冨樫らがそれぞれの休日を過ごすなか、答えが見つけられないままひとりで練習に向かおうとするアシトのもとに、突然の来訪者が現れる。
東京都リーグ開幕。初の公式戦となる成京高校との試合を迎えるが、入学式の一件以来、ギスギスした雰囲気を抱えるアシトたち1年生。空気の悪さを引きずるエスペリオンBチームは思うように連携を取ることができず、スタメンに抜擢されたアシトも、伊達の課題の答えを見つけることができない。格下相手に苦戦を強いられる状況に耐えかねた平は、1年生メンバーの交代を申し出る。
東京都リーグ初戦・成京高校戦、後半。アシトは黒田と朝利との連携を通して、3人でボールを運んでいくことの重要性を理解する。課題の答えを導き出したアシトが起点となり、エスペリオンBチームは遂に反撃の狼煙を上げる。0-3の劣勢から点差を縮めていくも、試合時間は残りわずかに。しかし、極度の集中状態となったアシトの目には、ある「異変」が起こりはじめていた…!
成京高校戦後の祝勝会中、焼肉屋のテレビに映し出されたのは、エスペリオンユースの栗林がJ1でプレーしている姿だった。圧巻のプレーを披露した栗林が試合後のインタビューを終えるころ、壬生の携帯に伊達からの連絡が入る。Aチームの義経が肉離れを起こしたため、AチームとBチームで前線の選手を何人か入れ替えるという。そのAチーム昇格がかかった試合でもアシトは躍動するが…!?
福田からディフェンダーへの転向を告げられたアシト。それは、到底受け入れられるものではなかった。Aチーム昇格メンバーの発表の場にアシトの姿が見えないことを不審に思っていたチームメイトたちも、内容を知り動揺する。橘、大友、冨樫、黒田、朝利はアシトを探しに出るが、なかなか見つからない。バス停で一人うなだれているアシトのもとに現れたのは、花だった。
サイドバックへの転向に抵抗を感じつつも、やるしかないと腹をくくったアシト。まず福田の意図を理解しなければならないと練習に挑むが、ディフェンダーとしての立ち回りに慣れておらず、そのうえ守備が大嫌いなアシトは「絞る」という言葉の意味をイマイチ掴むことができず「ここは俺のいるべき場所じゃねえ」と思い悩む。
竹島や杏里から栗林の動きを研究するようアドバイスをもらったアシトは、栗林の出場するJ1の試合中継を食い入るように見ていた。栗林の過去の試合映像まで見て気づいたある動き、それは「首を振る」ことだった。さっそく練習に「首振り」を取り入れたアシトだったが、慣れないチャレンジに混乱してしまう。そんなアシトの姿は、チームメイトからはサイドバックへの転向でやる気をなくしているように見えてしまい…。
セレクションを共にした金田、中野と思いがけず再会したアシトたち。金田と中野はエスペリオンのセレクションには落ちてしまったが、橘の古巣で都リーグ首位の東京武蔵野蹴球団ユースに所属しているのだという。再会を喜ぶ中野とは対照的に、金田は自分がセレクションに落ちたのはアシトたちと馴れ合ったせいだと敵意をむき出しにする。
都リーグ多摩体戦に臨んだエスペリオンBチーム。義経の活躍により、1点リードで前半を折り返すが、後半戦開始直後、冨樫と竹島の連携ミスから同点に追いつかれてしまう。一色が負傷退場したこともあり、Bチームはフォーメーションを変更し、冨樫とアシトは前に上がるよう指示を受ける。「守備で学んだことを攻撃に活かせ」という伊達の言葉にアシトは…?
多摩体戦を終えたBチーム。次節は橘の古巣であり、都リーグ首位の武蔵野が対戦相手である。ところが、試合で活躍できていないことに自信を失った橘は、伊達に対し武蔵野戦では自分を起用しないよう願い出る…。それを知ったアシトたちは武蔵野の試合を見るために半ば強引に橘を連れ出す。かつてアシトたちがセレクションを共にした金田、中野も所属する武蔵野は、驚異的な内容のサッカーを展開していた!
復調のきざしを見せるエスペリオンBチームは、次節、ここまで無敗の武蔵野戦を迎える。チームが一丸となって難敵に挑まねばならない状況のなか、チームの守備の要である竹島と冨樫が殴り合いの大ゲンカを起こしてしまう。次の試合に勝つためならなんでもするという決意を固めた橘は、冨樫と竹島たちの過去について知りたい、と遊馬のもとを訪れる。