52歳の真面目な公務員、屯田林憲三郎。彼は交通事故で死んだ……。はずだったのだが、なぜか乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の世界に転生し、ゲームに登場する悪役令嬢、グレイス・オーヴェルヌとして生きていくことに。公爵令嬢という前世と大きなギャップがある“転生先”に持ち前の社会人スキルで早々に順応していくグレイス=憲三郎。そして転生したからには、本来のグレイスと同じように悪役令嬢としての役目を果たそうと決意する。そんな矢先、ついつい親目線の優しい発言をしてしまい……。
王立魔法学園入学後、本来のゲームの主人公、アンナ・ドールに悪役令嬢として高圧的な態度で接しようとあれこれと考えを巡らせるグレイス=憲三郎。ある日、学園の生徒会メンバーと対面したグレイス=憲三郎は、彼らこそがアンナと結ばれる乙女ゲームの攻略対象であることを思い出す。そこでアンナの恋路を邪魔するため、彼女の格を下げようとするグレイス=憲三郎。だが、前世からのクセでつい客観的な評価を口にしてしまう。その結果……?
ある日、生徒会の予算チェックをするグレイス=憲三郎とアンナ。その最中、何度やっても計算が合わないアンナはグレイス=憲三郎に助けを求める。するとグレイス=憲三郎は、密かに制作を依頼していたそろばんを使い、アンナのピンチを解決しようとする。すると一連の出来事を見ていた生徒会長、ヴィルジール・ヴィエルジは、有能でありながら謙虚な彼女に胸の高鳴りを覚えて……。さらに、前世の経験を活かしたグレイス=憲三郎の言動は、他の生徒会メンバーの心も掴んでいく。
憲三郎がグレイス=憲三郎に転生してから時が流れ、1か月……。この日、王立魔法学園の新入生たちは、入学時に貰っていた卵から使い魔、従魔(ビースト)を孵化させる“召喚の儀”を行うことに。どんな従魔を孵化させるのか、周囲の注目を集めるグレイス=憲三郎。そんな中、卵からデフォルメサイズのグレイスと憲三郎が誕生し、さらに謎の魔法陣が出現。何が起きているのか分からず一同が困惑する中、グレイス=憲三郎の耳に謎の声が聞こえる。それは現実世界の娘・屯田林日菜子の声で……。
従魔(ビースト)として古代龍(エンシェントドラゴン)を召喚したグレイス=憲三郎。オリオンと名付けられ、炎と水、2つの属性を持つ特殊な従魔は一躍注目の的に。学園長もオリオンに興味を示し、グレイス=憲三郎に学期末に行われる魔法模範演習、通称、マジックエキシビションへオリオンと共に出場するよう提案する……。一方、現実世界。部分的であれば乙女ゲームの世界に干渉し、父親の手助けができることに気が付いた日菜子たちは、引き続きゲームを進めることにする。
マジックエキシビションへ向けて、生徒会屈指の実力を誇るリシャール・ヴェルソーとオーギュスト・リオンの模擬演習を見学するグレイス=憲三郎とアンナ。模擬演習後、アンナが試しに放った魔法によって崖が崩れると、中から骨の姿のモンスター、ドラゴンスケルトンが出現する。攻撃を仕掛けてきたドラゴンスケルトンに対して、リシャールとオーギュストが即座に反撃するものの、攻撃が通じず苦戦気味。そこでグレイス=憲三郎は、2人の魔法陣にとある文字を書き込んで……。
仕事で家を留守にしていたグレイス=憲三郎の父親、レオポルド・オーヴェルヌが2か月ぶりに帰宅する。お土産として小さな木馬をグレイス=憲三郎に渡すレオポルド。しかしそれは、15歳となった娘に渡すにしては幼稚なものだったため、屋敷は微妙な空気になってしまう……。後日、マジックエキシビションへ出場するグレイス=憲三郎とアンナ、オーギュストとリシャール。まずはオーギュストとリシャールが高度な魔法を披露し、客席は大盛り上がり。そんな中、ついにグレイス=憲三郎とアンナの出番がやって来る。