片田舎の剣術師範として平穏に暮らすベリルのもとに、かつての教え子アリューシアが現れた。いまや王国騎士団長にまで登り詰めているアリューシアは、ベリルを騎士団の特別指南役に推挙したと告げる。戸惑いつつも役目を引き受けたベリル。しかし事の次第に疑念を抱く副団長ヘンブリッツが、ベリルに勝負を迫る。
アリューシアは、ベリルとの出会いから今に至るまでを回顧する。そこには少女の頃から続くひたむきな想いと、是が非でもベリルを指南役として招聘せねばならない理由が秘められていた。一方ベリルは、クルニとの街歩きの最中に元弟子フィッセルと再会。フィッセルが見せる魔術の片鱗に驚くベリルだが、その後遭遇した別の魔術師がさらにベリルを驚愕させる。
元弟子にして最高ランク冒険者のスレナが、ベリルを借り受けるため騎士団を訪れる。依頼の内容は新人冒険者の育成、その引率役であった。 詳細を聞くため冒険者ギルドに赴いたベリルは依頼に見合う実力の有無を問われ、それを証明するためにスレナと立ち合うことになってしまう。 この成り行きに乗り切れないベリルだが、スレナには万感の思いがあるようで──
特別討伐指定個体。通称ネームドと呼ばれる、並のモンスターとは一線を画す危険極まりない存在。期せずしてそれと対峙したベリルは新人冒険者を守るために必死で立ち向かうのだが、本能で動くモンスターは普段相手にしている剣士とは違い、苦戦を強いられる。そして、ベリルの今後の運命を大きく揺さぶる邂逅があり──
スリの少女と思いがけず再会したベリル。 殺伐として荒みきっているその少女をベリルは放っておけず、心を開いてもらうべく向き合うのだが、一筋縄ではいかない。アリューシアとルーシーの助力もあり、少女を利用する悪党がいることを知ったベリルは、少女を縛る悪の鎖を断ち切るために立ち上がる。
ミュイを利用していた悪党を、背後で操る者がいた。 宗教と国際関係が複雑に絡み合う中で生じた死角。そこに潜む黒幕を白日の下に引き出すためには、しがらみのないベリルの立ち回りが必要になるとルーシーは言う。特別討伐指定個体の素材を用いて造られた新たな剣を手に、ベリルはミュイの明日を切り拓くための戦いに赴く。
報酬として与えられた持ち家で、ベリルとミュイの同居生活が始まった。 親代わりとなるべく、戸惑いながらもミュイとの距離を縮めようと心を砕くベリル。しかしそんな折、ミュイが入学を予定している魔術師学院には設備の充実も著しい学生寮があることをふたりは知るのだった。 自分との同居と寮での生活、ミュイにとってどちらがより良い環境なのかと気を揉むベリルだが──
隣国からの使節団来訪にあたり、アリューシアはベリルに要人警護の協力を要請する。 立場上断れないベリル。アリューシアは今回の任務に適した着衣の必要性を強調し、ふたりでベリルの服を選びに行くことに。 さながらデートのような時間は過ぎ行き、翌日アリューシアはベリルにある申し入れをする。
ミュイの魔術師学院入学が間近に迫っている。通学用のカバンがないことに気付いたベリルはすぐさまカバン店に駆け込むのだが、そこでまともなカバンは値が張るという厳しい現実を突きつけられてしまう。購入を保留し迷う中、スレナに臨時収入を得られる仕事の話を持ちかけられ、渡りに船とばかりに引き受けるベリル。しかしその仕事は、高ランクの冒険者ですら未だに果たし得ないものだった。