体育館の2階でいつもの様にしまむらとサボっていた。 この場所と、友達未満の距離感でいられるしまむらは心地が良い。 ある日、偶然しまむらが知らない人達と帰っている場面に遭遇した。 目は合ったけど特に声は掛けなかった。 次の日お互いその事を気にしているのか、いつもの場所には微妙な空気が流れていた。 そんな中しまむらから今日授業を受けよう、と今日一緒に帰ろうならどっちがいい? と提案された。 私は――。
ある土曜日に日野に面白いやつがいるからと誘われ釣り掘に来た。 そこには自称未来人で宇宙飛行士風の衣装を纏ったヤシロと名乗る奇妙なやつがいた。 次の日、安達にその話をしたのだがどうやら興味は無さそうだったので、 ふと安達に提案をしてみた。 午後から授業を一緒に受けないか、と。 意外や意外、その提案はあっさり受け入れられたのだが、 代わりに安達からも提案を頂いた。 授業終わったらどっか寄ろう、と。
よくわからないけど安達は私の部屋を飛び出して行った。 次の日いつもの場所にも教室にも安達の姿が見えなかったのでメッセージを送ってみた。 が、既読にならないので家に行ってみよう、そうしよう。 道中見知らぬ奇妙なやつに声を掛けられたが、なんだかんだ安達家に到着した。 家から出てきた安達は思いのほか元気そうで何よりだったのだが、 何やら真剣な眼差しをしながら——。
お試しチケットが有るからと、母に連れられジムに来た。 ルームランナーを少し頑張ってみたのだがダメ出しと小言が飛んでくるのでプールに避難した。 そこには水泳教室の女の子を見つめながらへらへらしている金髪のお兄さんがいた。 なんだこいつはと引きつつ、プールを出てサウナへ向かったのだが、 道中すれ違ったおばさんに何か引っかかる。 見た事ある様なないような……。 少しばかり考え、気が付いた。おおぅ、うんめー。
クリスマスを何とかしまむらと過ごせないか。 そんな事を考えシミュレーションするばかりで 行動に移す勇気のない自分に自己嫌悪すらする。 学校でもしまむらの姿をつい目で追ってしまっていたそんな時、 偶然日野に声を掛けられたことがきっかけで、 自然な流れで勉強を口実にしまむらの家に行くことに成功した。 私はちゃんとしまむらにクリスマスの予定を聞くことが出来るだろうか。
クリスマスの予定は取りつける事に成功した。 だけど今度は交換するプレゼントを何にしようか、という難問に直面してしまった。 そんな折、偶然お昼が一緒になった日野から しまむらが好きなお茶についての情報を聞くことができた。 だけど銘柄までは思い出せなかったみたいなので、現地調査する事を提案した。 日野はそれなら思い出せるかもと、一緒にショッピングモールに行ったのだけど そこで私はとある光景を目にしてしまった。
冬休みも中盤。年の瀬に勉強をするなんて私も随分まじめになったものだ、 なんて思っていると安達から「起きてる?」とメッセージが来た。 いくつかのやり取りをしていると今度は安達から着信が来て他愛のない話をしながら年を越した。 冬休みも終わった2月のある日、何やら言いたそうにソワソワしている安達がいた。 その安達から誘いを頂きショッピングモールへ遊びに行ったのだが……。 なるほど、これが目的だったのか。
2月14日の数日前。安達の様子はいつにも増して不審だった。 やたらと私を見つめていたり、髪を結っていたり。 この前なんて大量のチョコを食べていた。 さらに14日に近づいたある日、ギリギリ遅刻をせずに済みそうな感じで学校に向かっていたところ、 道中の公園に見覚えのある水色の髪をしたシルエットが。 まんまと水色の術中に嵌った私は学校をサボることにした。 家で昼寝をしているとチャイムが鳴って——。
2月14日の前日、「明日予定空いてますか」としまむらに聞いてみたら 「いいですよー」とだけ返ってきた。 もちろんその答えは嬉しかったけど、どこかに少し不安もあった。 2月14日の放課後、しまむらと名古屋駅に行った。 無事交換にたどり着き、しまむらから貰ったチョコを食べると特別おいしく感じた。 チョコを交換した事の余韻に浸っていると、しまむらがちょっと付いてきて、と。 どこに行くのだろう。
2年生に進級した。 そういえば1年前のこの時期の安達は、 偶然目が合っただけなのに露骨に嫌がっていたなあ……。 新しいクラスでの当たり障りのない友人関係のようなものを受け入れつつあった私とは違い、 安達はいつかの月曜日から教室に姿を見せなくなった。 そんな安達が気にはなっていたけど特に何もしなかった。 そんなある日、樽見から一本の電話が掛かってきた。 今度、遊びに行きませんか、と。
しまむらと同じクラスにはなったけど、新しい環境は苦手だ。 人間関係をうまくこなしているしまむらともどこか距離を感じてしまって、 教室から逃げだして体育館の2階にいた。 けれどこの場所すらも自分の居場所じゃない様な気がして、 思わず体育館からも飛び出した私は、 無意識にしまむらとの思い出を探すようにショッピングモールにいた。 いつの間にか流れていた涙を拭いながら歩いていると、 怪しげな易者に声を掛けられ――。
日野と永藤はお泊りをするらしい。 そんな話を聞いた私はしまむらにお泊りがしたいと提案していた。 しかも連泊希望だ。 しまむらは当初、困惑していた様に見えたけど提案を受け入れてくれた。 お泊り会当日の朝、しまむらの家にお邪魔するとちょうど朝ご飯の時間で その時のしまむらの家の空気は少し羨ましく感じた。 そんな感じで始まったお泊り会を、私はとても特別なものに感じていた。 この感覚はいつの日以来だろうか。