実母の春子が危篤だという嘘の報せを受け、カナダへとやって来た高校生の海棠晴は、零という名の少年と引き合わされる。「お前に新しい弟ができた。面倒ヨロシクな」――。春子に命じられるがままに、零と一夏を過ごすことになってしまう晴。野生児で、誰のいうことも聞かない零との日々は、闘いだった。そんな中、少しずつ懐いてくる零を愛おしく感じた晴は、とある「約束」を交わすのだが……。
あの夏から5年。晴は、ホストとして働きながら、離れて暮らす双子の弟たちの学費を稼いでいた。ある日、世話になっている弁護士の幹子から呼び出された晴は、零と再会する。実は、両親である海棠夫妻が亡くなる3ヶ月前に、零を養子として引き取っていたのだ。 事故で記憶を失っていた晴は戸惑うが、それでも零は「一緒に暮らす」と言い張り―――!?
突然現れた海棠家の「四男」に困惑する、次男・亜樹と三男・蒔麻。しかもあまりに晴が零を可愛がるため、亜樹は怒りを爆発させてしまう。そんななか、晴は街で偶然、自動車の衝突事故を目撃する。それ以来、零を一人残し自宅に寄りつかなくなってしまった晴。そのうえ、零が晴のいない家で一人過ごしていると、ホストの晴に執心する女性客が押しかけてきて―――!?
春になって、長男・晴の夢でもあった兄弟四人での新生活がついに始まった。一軒家に引っ越し、ホストクラブの後輩・郁芳に手伝われつつカフェをオープンする計画も進み始め、順風満帆……と思いきや、晴には気掛かりなことがあった。零が、自分の部屋に引きこもりがちなのだ。亜樹は、零の態度にいらだち、思わず「何一つできねえガキのくせに」と声を荒げてしまう。そんな折、アパートの大家・小野寺の家を訪れた零は……。
学校に通い始めた零は、入学早々しぶしぶ「いってきます」のキスを晴としているところを、クラスメイトの黒崎十全に見られてしまう。興味津々な十全は零に晴のことを「彼氏?」と問うが……。一方、どんどん距離が近づく晴と零の光景に慣れない郁芳は、晴にある質問を投げかける。しかし、「あんな色気ねーガキにそんな気になるかって」―――冗談交じりにそう笑いながら答えた晴の言葉を、零が聞いてしまい…!?
晴と零が近所の動物園に出掛けていると、亜樹たちから家に「キヨカ」と名乗る人物が来ていると連絡が入る。キヨカ(清華)は晴の高校時代の同級生で、これから開店するカフェの共同経営だった。店の設計や準備について打ち合わせを重ねるなか、ある女性の存在を清華に告げられた晴は、彼女の連絡先を渡される。一方、「晴のことが好きなの?」と清華に問い詰められた零は……。
零がカナダから持ってきていた一冊の本。もともと晴のお気に入りだったそれは、一匹の孤独な灰色狼が一人の人間と出会い、主人だと認める物語だ。零に「ただの弟でいる」と言わせてしまったことで自己嫌悪に陥っていた晴は、清華の言葉に追い打ちをかけられる。一方、零はクラスメイトの十全や、零と同じく帰国子女の近藤紀里に助けられながら学校生活を送っていたが、体育の授業中に倒れてしまい……。
晴が経営するカフェ「WHITE FANG」は、オープン早々から盛況。ギクシャクしていた晴と零も、以前の日常を取り戻していた。だが、亜樹はすこぶる機嫌が悪い。蒔麻が、家庭教師をしている少女・夏川亜衣の世話にかかりきりなのだ。両親の離婚で祖父母に預けられ、学校生活もうまくいっていない亜衣のことが放っていけない蒔麻。深夜の呼び出しにまで応じると、ついに亜樹がキレて―――!?
雨音のする部屋で突然目を覚ました晴。夢の中に出てきた零の姿に激しく動揺し、息が荒くなる。夢の内容の原因に思い当たった晴は翌朝、郁芳を問い詰める。一方、初めて日本の梅雨を経験する零は、慣れない湿度や雨で日課のジョギングができないストレスからか、体調がすぐれない。そのせいか、学校で十全と話しているそばから鼻血を出し、保健室へ行くことに。だが、そこで保健医の篁にとんでもない質問をされて…!?
零が送ったメールがきっかけで、スイスから春子が日本にやってくることになった。春子との久しぶりの再会を心待ちにし、無邪気にはしゃぐ零。けれども晴は、最近少しずつ変化してきた零との関係を知られてしまうのではないかと思い、春子の来訪を素直に喜べずにいた。そして、ついに海棠家を訪れた春子に、零は思い切って胸の内を話すことにするが……。海棠家に突然「春子」という嵐がやってきた!? 4兄弟の平穏な日常は果たして――!?
兄弟4人一つ屋根の下で暮らすという長男・晴の夢が叶って、三ヶ月。 だが、春子が「零をスイスに連れて帰る」と言いだしたせいで、海棠家は一気に嵐に。幹子から春子の秘めた寂しさを聞いた零は、それでも晴に求められる限り日本にいたいと願う。 そんな言葉にできない想いを抱えたまま「ただの弟」であろうとする零だったが……。
家に母の春子がいるため、うかつに零とスキンシップを図れない日々が続く晴。そんな晴に郁芳は、思わずある質問を投げかける。 一方、晴を求める気持ちをうまく伝えることが出来ずにいる零は、学校でクラスメイトの十全と保健医の篁を質問攻めにしていた。 そんなある日、晴の事故後の定期検診の話題をきっかけに、亜樹が春子に強くあたってしまい……。
日本で迎える初めての夏休み。零は、かつて晴と住んでいたアパートの大家・小野寺の頼まれて、アパートの一室の掃除をするバイトをすることに。 しかし晴は、頑なにバイトの理由を教えようとしない零の態度が気になって仕方がない。清華は犬を連れて遊びに来ていた同級生の女子・紀里の存在を怪しむが……? そんなある日、見知らぬ男が零に声を掛けてきて――!?
知らない男の車に強引に乗せられた零。晴とよく似た雰囲気のその男・斯波夏生は、海棠兄弟の従兄弟だという。 夏生に、自分と会ったことを晴たちに内緒にするよう言われつつも、なんとか帰宅した零を迎えたのは遅い帰宅を心配した晴と双子だった。 晴は、零を案じるあまりバイトをやめるように言うが、自分を子ども扱いする晴の態度に、思わず零は「俺は子どもじゃない」と言い放ってしまい……。
外泊し、大金を持ち帰ってきた零。夜通し心配していた晴は、 理由を明かそうとしない零に冷たくあたってしまう。翌朝、晴とのわだかまりを解消することなく零は友人の紀里の家へ犬の躾けを教えに出かける。 その頃、零とこれ以上のすれ違いを避けるため、晴は零の携帯電話を買い替えに出かける。ところが、零の携帯電話に知らない男から電話がかかってきて……!?
両親を失くした7年前の交通事故で瀕死の重傷を負った晴。奇跡的に回復したものの、退院以来一度も定期健診を受けようとしない兄を心配した亜樹と蒔麻は、零に晴を病院に連れて行くように頼む。そんなこととは知らず、零に連れ出された晴は「デートか!?」と喜ぶが、到着したのは病院……。一方、零が病院の待合所で晴を待っていると、晴の担当だという心理療法士の森が声を掛けてきて……。
晴と零が暮らしていた小野寺のアパートに、新たな住人が入居することになり、零はその部屋の掃除を手伝っていた。小野寺と共に現れたのは、零の通う蒼陵学園の保健医・篁だった。その頃、カフェ「WHITE FANG」に毎日のように訪れ、晴に話しかける一人の女性客がいた。その女性が例の見合い写真の彼女だと気付く亜樹や蒔麻たちだったが…?
晴から子ども扱いされることに我慢できなくなり家を飛び出した零。夏生は突然訪ねてきた零を家に泊めることにするが、「晴には言えないことをする」と言う 零の希望を叶えようとしたところに晴が現れる。晴に、二度とウチに戻ってくるなと言われてしまった零だったが…?
「夏生に二度と近づくな!」と晴が零にそう言い放って以来、表面上は普通の日常生活を送りながらも、晴と零の関係はぎくしゃくしていた 。妙に素直でおとなしい零の姿に晴は、零がたった一人でカナダへ帰ってしまった2年前を思い出し、不安を募らせる。そんな中、零は「晴がオレとしたくないなら、諦める」「晴も諦める」と言い出して……。
晴が「俺は零のもの」宣言をして以来、零は晴に無茶なことを言わなくなった。相変わらずカフェを訪れる女性客は多いけれど、 晴はそんな女性たちにキッパリと断る姿勢を見せるようになり、平和な日々を送っていた。だが一方で、夏生は言葉にできない気持ちを抱えていた。 かつてNO.1ホストだった「ナツ」の存在へのいらだち、子供の頃の晴との思い出。そんなとき、海棠家で亜樹と蒔麻の誕生日パーティが開かれることになって……!?