相馬一也は勇者召喚の儀式によってエルフリーデン王国に召喚された。 アルベルト王はその資質を見抜き、彼に王位を譲るとともに娘リーシアとの婚約も決めた。 現代知識を駆使して挑む王国再建記がここに始まる。
エルフリーデン王国の財政は苦しく、 ソーマは輸出用の綿花中心の農業から食料増産に方針を変え、まず人民の暮らしの安定を図る。 だがまだまだ問題は山積み。 解決のためには人材不足が否めず、ソーマは広くこれを民間から募ることにした。
ソーマの「ただ才あらば用いる!」の一言で、国中からさまざまな人々が集まってきた。 ダークエルフのアイーシャ、美貌のジュナ、怜悧な頭脳を持つハクヤなど多才な者たち。 しかし、ソーマが一番高く評価したのは、食いしん坊のポンチョだった……。
集まってきた人々の中に、妖狼族の少女トモエがいた。 彼女のもたらした情報は、ソーマたちに衝撃を与える。 一方、ソーマの命を受けて国中を回ったポンチョは、 今まではあまり顧みられることのなかった「食材」を各地から集めてきた。
ポンチョのもたらした新しい「食材」は衝撃的ではあったが、 美味さと手軽さゆえに瞬く間に国民の間に広がっていった。 多忙な日々がつづくある日、 ソーマは婚約者のリーシア、ダークエルフのアイーシャとお忍びデートすることに……。
革新は常に反発をもたらす。 軍を統べる三公とソーマは対立状態にあり、若い士官の中にはゲオルグの下にはせ参じようとする者もいた。 そんなひとりハルバートとソーマは街で出会う。 そして翌日、彼の父グレイヴがもたらした情報とは……。
王国の財政は官僚たちの努力もあって危機を脱しようとしていた。 ソーマは新しく港湾都市ヴェネティノヴァを建設する計画を打ち出す。 将来、流通の要となり、新たな雇用と住宅を生み出すはずだった。 しかし、これに一人の古老が反対する。
アイーシャの故郷である神護の森に未曾有の危機が訪れる。 長雨で地滑りが起き、集落の半分が飲まれたというのだ。 被災者の生死を分けるといわれる72時間の壁が迫る中、ソーマたちは必死の救護活動に挑む。
ソーマはついに三公との会議を開き、最後通告を出す。 自分に従うか、さもなくば戦か。 エクセルは恭順を示したが、残るゲオルグとカストールは戦いの道を選ぶ。 さらにその混乱を突くように、隣国アミドニアが兵を動かした。
アミドニア軍は、エルフリーデン王国の城壁都市アルトムラを包囲し、開城を要求した。 領主ワイストは城内の意見をまとめるのに、一両日の時間をもとめる。 一方、ソーマはカストール率いる空軍との戦端を開かざるを得なくなり……。
アルトムラを包囲するガイウス八世は笑う。 もはやエルフリーデン王国は落ちたも同然と。 だが、ソーマたちはカストールの空軍を奇襲で破ることに成功。 さらにゲオルグたちの陸軍とも交戦を開始したのである。
ソーマは、だれもが予想していなかった策を講じる。 アミドニアの首都ヴァンの前面に兵を進めたのだ。 ガイウスは必死で軍を走らせ、故国を敵の手から守ろうとする。 そして、ついに両者はヴァンの平野でぶつかりあう!
ヴァンを制圧したソーマは、 ヴァンもまたエルフリーデン王国のように自由な街に作り変えていく。 その陰で笑うガイウスの娘ロロア。 そして、ついに人類宣言の盟主グラン・ケイオス帝国が動き出そうとしていた……。
ガイウスの息子ユリウスは、 大国グラン・ケイオス帝国の威を背景にかつての自領ヴァンをソーマの手から取り戻そうとする。 その交渉の全権を与えられたのは、女皇マリアの妹ジャンヌ・ユーフォリアであった。
ジャンヌとの交渉はつづく。 もはや交渉はユリウスのものではなく、グラン・ケイオス帝国とエルフリーデン王国のものだった。 そして、ジャンヌはソーマの中に、新しい未来を、新しい世界の姿を見る。
グラン・ケイオス帝国の仲介の結果、ヴァンはユリウスの元に返還されることになる。 高額な賠償金を引き換えにして。 ソーマは未だ多くの問題が残るエルフリーデン王国へと帰還していく……。
内乱、さらにはアミドニアとの戦いに勝利したソーマ。 だが、それはゲオルグという男の献身の上に成り立ったものであった。 しかし、法は法。ソーマは彼に対し厳しい裁きをくださねばならなかった。
さまざまな困難を乗り越え、ソーマはなんとか戦乱の後処理を終える。 だが、彼には言い知れぬ疲労が忍び寄っていた。 人の上に立たねばならない者のみが背負う苦悩と重圧。 それは彼ひとりで抱えきれるものではなく……。
近衛騎士団のルドウィンの幼なじみジーニャは稀代のマッドサイエンティストであった。 その発明は、科学技術が発達した世界からやってきたソーマでさえ、 驚き感嘆……そしてあきれ果てるようなものだった。
ユリウスに返還されたアミドニアの首都ヴァンでは、再び圧政が敷かれていた。 民衆の不満は日に日に増していき、ついに反旗を翻すに至る。 そのとき、ソーマの前にユリウスの妹ロロアが現れた。
ロロアの登場によってアミドニアとエルフリーデン王国の状況はさらに複雑になる。 ソーマすら想定していなかった結果。 これを受けてグラン・ケイオス帝国の女皇マリア・ユーフォリアとソーマの会談が開かれることに……。
フリードニア王国にジンジャー・カミュという奇妙な奴隷商がいた。 彼は奴隷に清潔な衣服とじゅうぶんな食事を与え、さらには教育まで施してやった。 それがゆくゆくは王国を揺るがすことになるとも知らずに……。
難民、それは現代社会も抱える難問のひとつである。 そして、フリードニア王国もまた例外ではなかった。 王都の壁の外には魔物の侵入によって国を追われた難民たちが集まり、キャンプを築いていたのである。
難民の元を訪れていたソーマたちは、難産の妊婦を助けることに。 新しく生まれてくる命、それは難民たちの希望であり、未来への礎であったが、 彼らのすべてがソーマの示す未来を受け入れるわけではなかった。
とある夜、リーシア、アイーシャ、ジュナ、ロロアといった婚約者たちに、エクセルは囁く。 殿方の喜ばせ方をお教えしましょう、と突如始まった「花嫁育成講座」。 ソーマと婚約者の秘密がつまびらかになる……。
大晦日の晩、ソーマは先代の王アルベルトに呼び出され、妃のエリシャと共に話をすることに。 アルベルトの口から告げられる驚くべき真実。 そして、「すべて」を知ったソーマの胸にこみ上げるのは……。