「私、真賀田研究所へ行ってきました」 国立那古野大学の准教授・犀川創平は、恩師の娘であり、いまは自分の教え子でもある西之園萌絵が、天才プログラマ・真賀田四季博士と面談したと聞き驚きを隠せずにいた。その反応を見た萌絵は、犀川にある提案をする。
ゼミ合宿で、真賀田研究所がある妃真加島にやって来た犀川と萌絵たち。ゼミ生たちがキャンプの夜を楽しんでいる中、萌絵は犀川と研究所を訪れていた。研究所の副所長・山根は、四季と連絡が取れなくなっていることを二人に告げ、彼女の安否を確かめるため、十五年間四季の許可なく開けることのなかった四季の居室の扉を開けることを決意する。
四季の部屋から出てきた死体に動揺を隠せない一同。何があったのか探ろうとするが、現場となった部屋は、完全な密室だったことから、謎は深まっていく。そんな中、研究所の所長で四季の叔父でもある新藤清二が四季の妹・未来を連れて研究所に戻ってきたことで、所内は新たな局面を迎える。
ひとつ目の殺人に続いて、四季の叔父でもある新藤所長が殺害され、研究所内は混乱していた。ふたつの事件の犯人を特定しようと、犀川と萌絵たちは四季の部屋の捜索を始める。そこで発見したのは、奇妙な生活空間とミチルというロボット、そして“すべてがFになる”というメッセージだった。
新藤所長の事件を調査する過程で、新藤の妻・裕見子との会話から、十五年前の四季による両親殺害の詳細と、四季に複数の人格が存在していたことを知った犀川と萌絵。二人は解決の糸口を見つけるべく四季の思考をトレースしようとする。その過程で、萌絵は自身の両親の事故という過去と直面することとなる。
ふたつの事件の解決を見送り、キャンプに戻った犀川と萌絵だったが、頭の隅では推理をやめることはなかった。二人は研究所に戻り、事件の真相を明らかにすることを決意する。さっそく四季の部屋の再捜査をすると、そこには奇妙な符号が存在することを発見する。
新藤がヘリで研究所に連れて来た、四季の妹・未来へ質問していた犀川は、幼少期から変わらない特異な四季の思考の一端に触れる。一方、萌絵は研究所スタッフ・島田の手引きで脳内イメージに入れるヴァーチャル装置を体験。その最中、“謎の声”からの質問で自ら封印していた自身の過去と向き合っていく。
ヴァーチャル空間での体験を通し、自分の両親が亡くなったとき犀川がそばにいてくれたことを思い出し、心から感謝する萌絵。山根たちは、四季の部屋から死体が出てきて以来、エラーを起こしていた研究所のメインシステムのリセットを行う。停電する研究所、その闇の中で思考する犀川は遂に事件解決の糸口をつかむ。
研究所のメインシステムが復旧し、島に警察官たちもやってきたが、捜査は依然として難航していた。そんな中、犀川は情報解析と推理、萌絵は得意の計算能力を生かし協力して真相に近づいていく。ついに犀川は、四季の部屋が完全な密室だったという前提を覆す証明を導き出し、犯人との対面に臨むーー。
明かされる事件の真相ーー、四季を殺害したのは部屋にいたもう一人の“四季”だった。ヴァーチャル空間での犯人との対面に臨む犀川と萌絵。二人は事件のトリックを解き明かしながら、その過程で真賀田四季という人間がいかに生きたのかを知る。
真賀田研究所での事件から時は経ち、犀川たちは日常生活に戻りつつあった。そんなある日、大学の図書館にいた犀川を四季が突然訪ねてくる。四季との邂逅後、煙に巻かれたような感覚になった犀川だったが、萌絵との久しぶりの二人きりの会話でいつもの調子を取り戻していく。一方四季はーー