――時は、人類が月に住処を移した未来。 月面コロニーに住む人々は、クロノス社が開催する一大エンターテインメントサバイバルゲーム『逃走中』に熱狂していた。ハンターから逃げきり、逃走成功した者には、栄光と莫大な賞金が与えられ、それに人生を賭ける者も多かった。 コロニーの下層に位置する「グレーエリア」に住む、運び屋の少年・トムラ颯也もまた『逃走中』への参加を夢見ていたが、グレーエリアの住人たちはクロノブレスを所持していないため、『逃走中』にエントリーする資格さえなかった。そんなある日、ペコ婆から、「かつてグレーエリアの住人が、警備が厳重だというクロノス社のドームに通じるブリッジを突破したことで認められ、『逃走中』に参加したことがある」という伝説を聞いた颯也。 そして、新たな『逃走中』開催日……。颯也は、病気を抱える弟のためにと、伝説に聞いた通り、ゴールデンムーンブリッジの突破を試みる。そこで謎の美女に出会った颯也は、クロノブレスを与えられ、『逃走中』への参加が認められた。 こうして颯也は、夢に見た『逃走中』の世界へと足を踏み入れ、ハンターとの激しい逃走劇が始まった……!
颯也が飛び込んだ『逃走中』の舞台、それは「2023年の渋谷」であった。 突如として出現し、暴れ回る巨大怪獣シブラー。人々が逃げ惑う中、颯也は不思議な少女・すずに出会うが……すずはシブラーに連れ去られてしまう。 「怪獣シブラーによって渋谷駅地下ホームへ連れ去られた五人の市民を救出せよ。制限時間は15分」――クロノス社のゲームマスター・月村サトシによってミッションが発動される。そのミッションをクリアすべく、颯也たち20人の逃走者は行動を開始した。ミスター・パーフェクト、モーリスから的確な指示を受け、クロノス社から支給されたアイテムを手に渋谷駅へ急ぐ颯也たち。だが、シブラーは触腕を振り回して行く手を阻む。さらに恐るべきハンターたちも執拗に逃走者を追う。 颯也たちは時間内にミッションをクリアできるのか? すずを救出できるのか? ハンターから逃げ切れるのか……!?
「2023年の渋谷」を舞台とした『逃走中』へと転送された颯也たち。 しかし、そこに怪獣シブラ―が現れ、その触手が町の人々や逃走者たちを襲っていた。最初のミッションをなんとかクリアし、逃走エリアは拡大。逃げやすくなったかと思われたが、シブラ―は第二形態の巨大ダンゴムシ型に進化しており、ゲームは過酷さを増していた。 新たなミッションに取り組むべく、シブラ―に対抗する武器を手に入れるため、現在行方知れずの丹波博士の捜索にあたる逃走者たち。だが、手がかりは、ケガで朦朧とした丹波博士が、孫娘・すずに送った動画のスクショ画像のみだ。 逃走者たちは、その画像を手に丹波博士を懸命に探すが、目的の場所は一向に見つからない。一方、その様子をグレーエリアの自宅で観戦していたハルは、ある事に気づき、ゲーム内の颯也に通信を試みる……。
繭になったシブラーだが、丹波博士が開発したバーストブラスターを使えば倒すことができるチャンスだ。だが、バーストブラスターを起動させるにはエターナルメタルのエネルギーが必要だ。エターナルメタルは保管庫に格納されている。 そんな時、月村サトシによりミッションが発動された! 「保管庫にあるエターナルメタルを攻撃用特殊車両に届け、バーストブラスターでシブラーをたおせ!」 颯矢を始め、ミッションに動き出す逃走者がいるなか、月村サトシは逃走者たちを惑わす条件を出す。 それはエターナルメタルが賞金に換金できるというものだ。シブヤの街中に出現した自首ボックスが逃走者たちを迷わせる。 颯矢は無事にミッションをクリアし、シブラーを倒すことができるのか!?
颯也はミッションの最後を仲間に託したが、裏切りにあい、ミッションは失敗。怪獣シブラーは更なる進化を遂げ、ルナは牢獄へ送られてしまった。それが逃走中だと諭すモーリスだが、自分を責める颯也。 「シブラーのコアをバーストサーベルで突き刺し退治せよ!」――月村サトシによってミッションが発動された。 ミッションをクリアするにはシブヤの上空に浮遊する怪獣シブラーの頭部まで、そのクラゲの足のような触手を伝って登らなくてはならないが、ミッションをクリアすれば、牢獄に送られた逃走者1名を復活できる。 ピッケルに、フライングマット。様々なアイテムを手に登りだす逃走者たち。颯也もルナを復活させるためにミッションに挑む。だが、落下すれば命はない。更に上空からはシブラーの吐き出す毒が。地上からはハンターたちが逃走者たちを追い詰める。 颯也はミッションをクリアし、ルナを復活できるのか!
ついに最終形態となった怪獣シブラー。シブラーを倒すには、すずのペンダントに収められている高純度のエターナルメタルを利用した最終兵器を完成させる必要がある。だが、怒りに燃えるすずは一人でシブラーに向かっていく。 「すずを保護し、ペンダントを丹波博士に届けて最終兵器を完成させ、シブラーを撃滅せよ」――月村サトシは最終ミッションを発動した。 バズーカ、防護スーツ、デコイ。三つのアイテムからひとつを選び、夜のシブヤを走る逃走者たち。ハンターから必死に逃げながら、すずの行方を追う。やがてすずと再会した颯也は、彼女と彼女の両親との悲しい過去を知る。 エターナルメタルに反応し、すずに迫ってくるシブラー。颯也は怒りを込め、シブラーにバズーカを撃ち放つ……!
バーストグレネード完成まで時間を稼ごうとしていた颯也を怪獣シブラーが、踏み潰した! 絶句する逃走者たちだったが、なんと幸運にも防護スーツを着ていたルナが身代わりになっていて、二人とも無事だと発覚。ルナはその後、ハンターに確保されてしまうが、「絶対勝ちなさいよ、自分のために」と想いを颯也に託す。 最終ミッション『怪獣シブラーを撃滅せよ!』に挑む逃走者は、颯也、モーリス、ペンタ、シド、カラハリの5人。シブヤの一角に巨大トラップが仕掛けられており、その場所まで暴走するシブラ―を誘導し、モーリスが最終兵器バーストグレネードで止めを刺すという作戦が開始される。 大暴れするシブラ―を懸命に誘導する颯也たち。颯也はすずや丹波博士の為に、シブヤを守るべく懸命に走る。しかし、シブラーの脅威は増すばかりで……!?
シブヤでの『逃走中』から数か月後――バイタルブレスを失った颯也は以前のように、ただの運び屋として荷物を運ぶ日々を送っていた。その途中で、恐るべき身体能力で移動する謎の男と衝突してしまう颯也。その男は、颯也に気づき、前回の『逃走中』での判断の甘さを指摘。「ハンターが何体だろうと……俺は影すら踏ませない」と颯也を挑発して、去ってく。 一方、ホワイトエリアの大病院で煙月病の治療を受けていたハルは、順調に回復に向かっており、いつしか『逃走中』出場への想いが膨らみ始めていた。グレーエリアで日常を過ごしていた颯也もまた、シブヤでの激しい逃走劇を思い出し、もう一度『逃走中』に出場したいという想いが抑えきれなくなる。 そんな時、クロノス社の月村サトシから『逃走中』に関する、ある重大な発表が行われて……!?
颯也たちが降り立った『逃走中』の新たな舞台、そこは「江戸時代のオワリの国」だった。颯也とルナは、城下町で妖怪・佐々木小次郎の攻撃を受けていた侍の少年・五郎太を救う。五郎太はこの国の城主の息子であり、城主は突如現われた織田信長によって殺されていた。 オワリ城上空に出現する信長の立体映像。信長は「日本を魔界に変えて天下を統一する」と宣言し、さらに「五郎太を捕らえよ」と小次郎に命じる。 「五郎太を南の村へ脱出させ、城下町と村をつなぐ橋を破壊せよ」――月村サトシによってミッションが発動された。颯也とルナ、モーリス、そして各逃走者たちがミッションのクリアを目指し、行動を開始する。だが、町の各所には5体の恐るべきハンターが存在し、逃走者を捜索している。さらに、二刀流の使い手である小次郎が手下の妖怪同心とともに五郎太を狙っている。達成困難なこのミッションに、颯也はどう挑むのか……!?
ミッションはクリアしたが、モーリスが倒壊する家屋に巻き込まれ、生死不明の状態に。だが、同じく倒壊に巻き込まれた宮本武蔵は生きていた。 二刀流の達人、妖怪・宮本武蔵が再び五郎太に襲い掛かる。五郎太を守りながら逃げる颯矢たち。共に逃げる五郎太の付き人・松之丞は、織田信長がオワリ城を襲った際、父を宮本武蔵に斬り殺されていた。父の仇を討つ決意の松之丞。 妖怪・宮本武蔵を斬るには、泉の水で清められた聖剣『水雲(みずぐも)』が必要だった。逃走者の一人、ムーンライト歌劇団兎組、男役トップスターの兎桜マリンと共に村はずの寺へ行き、封印されていた水雲を手に入れる松之丞。 複製された水雲が颯也たち逃走者に支給され、ミッション発動。「宮本武蔵の二刀流の刀を破壊し、松之丞に父の仇を討たせろ!」 松之丞に仇を討たせるため、颯也たちは宮本武蔵を村外れの松林に誘い出すが‥‥。
『侍魔人を呼び起こせ』 オワリ家の守り神である侍魔人を呼び起こせば、織田信長を退けることが出来る。そのことを聞いた颯也たちはオワリ城への潜入を決意する。しかし侍魔人を呼び起こすには、城の敷地内に隠された三体の武人像を探し出さなければならなかった。少人数に分かれ武人像を探し始める逃走者たち。彼らの前に立ちはだかるハンター。更に信長の妖力に操られた城の守備兵や、新たな敵・真田幸村が行く手を阻む。武器を調達したり、秘密の抜け穴を使ったり、時には誰かが囮になったり……各々のやり方で武人像を探す逃走者たち。しかし敵の攻撃とハンターの猛追により次々と捕獲されてしまう。一方、ホワイトエリアで颯也の逃走を見守っていたハル。彼の元に突如、とある人物が現れて……
ミッションをクリアし、侍魔人を呼び起こし歓喜する颯也たちだったが、喜びも束の間、織田信長と安倍天魔に侍魔人を奪われてしまう。 天魔は侍魔人を操り、天守の上空に出現した魔界の扉を開けさせる。魔界から飛び出てくる無数の空飛ぶ鬼。彼らは天魔の指令に従い、五郎太を狙う。 颯也たちに課せられる新たなミッション。100体の空飛ぶ鬼を殲滅し、魔界の扉を閉じなければならない。ハンターたちの追跡をかわし、空飛ぶ鬼たちとバトルする颯也たち。しかし、空飛ぶ鬼たちの攻撃は凄まじく、徐々に追い込まれていく。 五郎太を守ろうと盾になるルナに、天魔の刀が振り下ろされる!? そんな絶体絶命のピンチを救ったのは、行方知れずとなっていたあの男だった! 一方、ホワイトエリアで颯也を観戦していたハルは、訪ねて来たクロノス社のハーヴェストから、ハッキングしたことを追求され……。
逃走者たちと空飛ぶ鬼との激闘も終盤戦。武器であるエレキテル砲のエネルギーが僅かとなるが、遂に共闘した颯也とシグマによって、最後の一体を倒すことに成功した。颯也たちの熱い想いに感化され覚醒した五郎太は、天魔から侍魔人を取り戻し、魔界の扉を閉じた。 失態を犯した天魔は織田信長の怒りを買い、彼に吸収されて灰となる。 見事にミッションクリアした颯也たちだが、休む間も無く、新たなミッションが課せられる。五郎太に信長を討ち取らせなければならない。颯也たちは与えられた名刀を手に、五郎太と共に信長が待つ天守へと向かう。しかし、魔界から妖力を吸収し、パワーアップしていた信長は、なんと龍を出現させ、先制攻撃を仕掛けて来た!? 一方、ホワイトエリアで観戦していたハルは、クロノス社のハーヴェストから、逃走中へ参加するよう誘われ……。
打倒信長に闘志を燃やす五郎太。信長の龍の攻撃を受けた侍魔人は崩壊してしまうが、その直前に颯也と五郎太たちをオワリ城内に送り届けた。 「五郎太に信長を討ち取らせよ!」という最終ミッション達成のため、信長を目指す颯也たち。だが、復活した妖怪・佐々木小次郎と宮本武蔵が行く手に立ちはだかる。 激しい戦いの末、武蔵と小次郎を倒した颯也・ルナ・シグマは、五郎太とともに信長と対峙する。そして、ついに信長と五郎太の戦いが始まった。 巨大な龍を操る信長は圧倒的な力を見せ、五郎太の体内に宿るエネルギーを奪い取ろうとする。追い詰められ、力を失っていく五郎太。颯也もなす術がない。だがその時、ある秘密にシグマが気づく。それは信長の弱点に通ずる重大な秘密だった。 果たして五郎太は信長を倒せるのか? オワリの国に平和を取り戻せるのか? 残り時間はあとわずか。大逆転に向かって颯也が走る……!
最終ミッションを突破し、逃走成功まであと僅か。残された颯也、ルナ、モーリスを、計8体のハンターが容赦なく追いかける! やがて、3体のハンターに囲まれ、逃げ場を失う颯也。だが、城内に仕掛けられたカラクリを作動させたルナのお陰で、ギリギリ逃げ切る。しかし、落とし穴に転落したルナを思わず助け、残り時間数秒でハンターに確保されてしまった! 異世界オワリ城を舞台としたステージで、見事、逃走成功したのは絶対王者モーリス。そして、ルナだった。 数日後、一年後に年間王者を決めるグレートチャンピオンツアーへの参加権を争うポイントが、クロノス社から発表される。それを確認した颯也は、次こそは逃走成功だと意気込む。すると、病気を克服し、帰宅していたハルが、『逃走中』に出ると言い始め……。
第51話
第52話