とある夏の日。いつもと変わらない日常に退屈していた少年・ゴローのスマホに謎のメッセージが届く。「あなたの願いを吹き込んでください」――スパムだと思い「憧れのホノカとエッチなことがしたい」と適当な願いを呟くと、彼の状況は一変する。SNSにアップした覚えのない動画、気になっていたホノカとの急接近……。そして世界の神様を選ぶ“カミエラビ”が始まるのだった。
同盟関係になり、共闘してガスマスクの”神様候補”を退けるも、アキツとホノカには警戒しろというラル。しかし、ゴローにとって特にアキツはかけがえのない友達で、信頼できる相手だった。アキツにスマホを奪われても、ただの悪ふざけとして気にしないゴローは、今後のことを相談するためにアキツとの溜まり場“ゲーセン”へ向かうが……。
キョウとゴローの戦いから12年。一連の事件は“828事件”として語られ、世界から姿を消したゴローは、人々の記憶からも完全に消え去ってしまっていた。そんなある日、自由研究で事件のことを調べていたエコは、”夢の中で見た神様”を探して当時のまま封鎖されている828事件の現場へ足を運ぶ。その帰り道、ふと彼女の目についた張り紙に神様に関することが書かれていて……。
エコとリョウの前に現れたラル。12年前の戦いで姿を消した彼女は、捻じ曲げられた因果によってこの世界に新たに生を受けていた。そして誰もゴローのことを覚えていない世界で、ラルは自分の生まれた意味を全うするため、彼に代わって神様候補に選ばれる。現れた“本”を手にリョウと対峙するラル。彼女が発現した能力は、ゴローの“愚者の聖典”とは異なる「ひとりでは使えない能力」で……。
12年の時を経て再開されたカミエラビ。画面に表示されたラルの次の対戦相手はホノカだった。かつて敵対したこともある彼女について、ラルがエコに説明していると、偶然ホノカと鉢合わせてしまい、ゲーセンで話し合うことに。昔の戦いからホノカを警戒するラル。しかしホノカの口から語られたのは、戦う理由を見失った彼女の心境だった。
なんとかゴローを復活させようと考えるラル。しかし、その手段を試すには人の見た目や記憶を再現できる力が必要だった。エコの協力で、12年前にその力でフタナイヨとして成り代わったイヨと再会したラルは彼女に協力を頼むが、イヨの力では“魂”まで模倣することはできないという。さらに、イヨはもうひとつ問題があるというのだが……。
カミエラビによって歪められた世界の崩壊の阻止と秩序の維持――アキツの力で12時間前にタイムリープしたラルとエコは、リョウとイヨから興神会発足の真の目的を聞かされる。そして、戦いの場に現れた謎の男“死を散蒔く者”に対抗するため、リョウから共闘の提案を受ける。一方、コウキのもとを尋ねたミツコ。2人もまたカミエラビ再開によって対戦相手となっていた。
カミエラビによる戦いが始まる前から世界が狂っていたと語るイヨ。しかもその元凶は誰しもが所持しているスマホだという。確証のない推理にラルが戸惑っていると、イヨと戦うはずだったケイタが現れ「文字の力に気をつけろ」と忠告を残していく。そして再び現れた“死を散蒔く者”と対峙していたエコが男の謎の力によって苦しめられていると、ラルたちが助けにやってくるのだが……。
覚醒したチカと、リョウが命をふり絞って呼び出したキョウ、そしてラルの攻撃によって“死を散蒔く者”はラルと共にパラレルワールドに落ちていく。能力が通用しない世界で、”死を散蒔く者”と対峙するラルとキョウ。その男の正体は、カミエラビを始めた男・ヒガキだった。そしてラルは、彼の記憶とカミエラビの真実を知ることとなる。
ラルたちが生きてきた世界は、破滅の危機にある現実世界の人々を救おうとしたヒガキの操作がきっかけでAI“カミエラビ”によって作られた幻覚の世界だった。さらに、神様候補たちが持つ力の真実を明かし、これまでの戦いは“真なる神”の筋書に反逆するためのAIが行ったものだと語るヒガキ。一方その頃、パラレルワールドの外では“この世界”の崩壊が始まろうとしていた。
書かれた文字の意味を具現化するヒガキの力で、崩壊するパラレルワールドから脱出したラルとキョウはアキツたちと合流し“カミエラビ”のAI本体がある場所へと向かう。真なる神の攻撃を交わしながらなんとかその施設へと辿り着いた一行は、ケイタの案内で、施設を進む。そして12年前、ヒガキに誘われて世界の秘密を知ったケイタは、ラルたちにカミエラビと幻覚の世界について語る。しかしそこに待ち受けていたのは……。
突然ラルたちの前に現れたエコ。それは彼女たちの知るエコではなく、ヒガキの語っていた“真なる神”だった。これまでの出来事を自分の作ったシナリオだと話し、全てを思い通りにする力を持つエコを前に、カミエラビの力も通用せず、追いつめられるラルたち。しかしそれでも諦めなかったラルは、アキツの機転で全員の力を合わせ、ある行動にでる。
復活したゴローの力は現実世界にすら干渉し、世界の崩壊は“なかった”ことになる。ゴローの力を目の当たりにしたエコは、自分の書いた物語に登場していないはずの彼との出会いを綴ろうとするが、ゴローの力はエコの能力さえ超え、エコの作った世界を書き換えていく。そしてゴローが電話をかけると、スマホの向こうには彼を知る友人たちがいて……。
誰もが“普通”になる世界を作るために神様になることを目指すゴローだが、そこには世界に必要な“誰か”が足りないとラルはいう。愚者の聖典の力によって過去の自分と向き合ったゴローは、かつて自分が心から望んだ“本当の願い”を思い出す。そして世界の全てを救うためエコと対峙したゴローは、彼女が胸に秘めた声を聞く。