ある暑い夏の日。よしきは、いつものように隣で笑う親友の「光」が、光とは声も見た目もそっくりながらも違う〝ナニカ〟になっていることを知る。息苦しい僻村で幼い頃から共に生きてきた、唯一の心許せる存在を失いたくなかったよしきは、そんなニセモノのヒカルを受け入れ、誰にも明かさないことを約束するのだが……。
村で暮らす老婆の常軌を逸した死に方が話題に上がる中、クラスメイトの巻が「自分も呪われているかもしれない」と言い出す。普段は使わない林道を通って帰宅しようとした際、恐ろしい体験をしたというのだ。よしきは巻の懇願を受け、話を聞いていた朝子と結希、そして興味を示したヒカルとともに林を見に行くが……。
無邪気にスイカを食べるヒカルを見て「光」を思い出すよしき。もう「光」はいなくなったのに、自分だけが〝日常〟を謳歌して許されるのだろうか……? そんなよしきの葛藤も知らず、ヒカルは「お前と一緒におるだけで楽しい」と純粋な気持ちを伝えてくるのだった。耐えかねたよしきは、スーパーで出会った主婦の暮林と連絡を取る。
「浴衣が着たい」と願う妹のかおるを連れて、ヒカルとともに夏祭りを楽しむよしき。かき氷を食べていたヒカルは「着色の違いだけで味が変わって感じる」といったシロップの話から「見た目が同じなら、同じに感じるん?」という疑問を抱く。そうして、よしきに自分が「光」のニセモノであることをどうやって見抜いたのかと聞くのだが……。
自分のような存在への耐性をつけさせるべく、よしきに再びからだの〝中〟を触るよう持ちかけるヒカル。前回より慣れた様子のよしきに対し、ヒカルの〝干渉〟はエスカレートしていく。そして、ヒカルが案じたようによしきはケガレを引き付けていた。風呂場に出現した「カツラのオバケ」を退治すべく、よしきの家に向かうヒカルだったが……。
合唱大会の本番が近づく中、練習の息抜きがてら、巻、朝子、結希の3人ととともにヒカルの家に泊まることになったよしき。花火に感動するヒカルの姿は微笑ましく、楽しい時間が過ぎていった。だが、密かにヒカルとふたりきりになる機会をうかがっていた朝子が、ついにそのときを迎えて切り出す。「あなたは一体、誰ですか?」と……。
よしきを襲ってしまったことに負い目を感じるヒカル。だが、よしきはそんなことを気にもとめない様子で「学校をサボろう」とヒカルを町へ連れ出す。学校では合唱コンクールが本番を迎えていたが、2人は映画館で映画を見るのだった。ヒカルの言動から、彼が人間とは“違う”ことを感じているよしきだったが……
よしきは「ここにいたい」というヒカルの望みを受け入れ、彼がナニモノであるかを調べることにする。光によるメモには「のうぬき様」と書かれていたが、それにまつわる記憶は曖昧なヒカル。光のじいさんにも突如「『ヒチさん』はどこにやった?」と聞かれ、謎は深まるばかりだった。そんな中、徐々に学校内でもケガレの影響が出始めて……。
暮林をヒカルに紹介するよしき。このままケガレが増え続けたらたくさんの人が死ぬ……。かつて死んだ夫が〝帰ってきた〟が報われなかったという経験を持つ暮林は2人に「あんたたちはどうしたいの」と問い、その答えを聞いて協力を約束した。一方、よしきと遭遇し、探していた存在への足がかりを見つけた田中も行動を始めていて……。
丸2日眠っていたヒカルが目を覚まし、安心するよしき。最近のヒカルには痛覚があり、以前より確実に「弱っている」状態だった。よしきたちが曰くつきと思われる刀で襲いかかってきた謎の男の出現に戸惑う中、その田中は武田と対峙していた。田中には、会社に命じられた任務とは別に「個人の目的」があるらしく……。
よしきは、何年も自分から話しかけることのなかった父・俊紀の書斎の扉を叩く。光の父・晃平とともに「息子たちにまで背負わせたくない」と終わらせたはずの因習にふれられ、戸惑いながらも語りだす俊紀。そこには光の祖父が口にした「ヒチさん」のこと、そして飢餓で死んだとされる村人たちにまつわる真実が秘められていた……。
体育館で終業式が行われるさなか、楽しかった思い出をなぞるように誰もいない校舎を歩くヒカル。だがそこへ朝子がやってきて、問いかける。「やっぱり『光』やないよね?」。あの日、ヒカルがよしきを襲う現場を目撃してしまっていたのだ。その頃、タナカは武田に「ノウヌキ様ね、あれ最初から存在してないんです」と告げていて……。