大財閥・市ノ宮グループの御曹司・市ノ宮行は「他人に借りを作るべからず」と父から厳しく叩き込まれて生きてきた。ある時、荒川の橋の上で出会った金星人と称するニノという少女に命を救われた行は家訓に従い律儀に借りを返そうとしてニノから「恋をさせてくれないか」と頼まれてしまう。思わず「イエス」と答えてしまった行は荒川の橋の下にひっこすが、そこには奇妙な人々が生活していた。
行は、荒川河川敷を仕切っているという河童の着ぐるみの姿の男・村長から「リク」という名前をもらい仲間として迎えられた。行(リク)を驚かせたのは、河川敷に集まった不法占拠者たちが皆、どこかおかしな人たちばかりだったこと。村長をはじめ、シスターの格好をしたいかつい男、星や鳥のかぶりものをした男、マゲを結った男、鉄仮面をかぶった子供たち・・・・・・。彼らは勝手に畑や牧場を作り、リッパに衣食住を自給自足で賄っていた。
戸惑いつつも徐々に河川敷の生活に馴染んでいくリク。鉄雄、鉄郎とステラとP子にペットボトルのロケットの飛ばし方を教えているうち自分の子供の頃を思い出す。ニノと考えていることがふと合致する経験をしたり、P子の村長に対する恋心を聞いたりしているうちに、リクの気持ちにも徐々に変化が起こっていく・・・・・・?折しも春、到来。理屈屋で周囲に心を開かなかったリクの中に新たな萌芽が・・・???
すっかり、鉄雄、鉄郎、ステラたち子供の先生のようになってしまったリク。 なりゆきで社会見学として「宝探し」をしていたら、いつも石灰で白線を引いている男シロの意外な素顔に出会う。リクの青空教室ではステラが、ビリーとジャクリーンが荒川にやって来た経緯を想像した作文を書く。その作文の中ではここへ来る以前、ビリーは橘という名前で仁挟の世界に生きていた。そして橘の親分の女・直美と道ならぬ恋に落ちてしまったのだった。真実は他の住人たちと同じく不明のままだ。
桜が咲いているけれどゴールデンウィーク。リクが河川敷に住むようになって一ヶ月が経っていた。リクはシスターから「そもそも、人は生まれてきた時点で借りだらけだ」と自分の価値観と真逆なことを言われる。確かにここでは皆、物理的にも精神的にも持ちつ持たれつ生きている。その頃ニノは雑誌を見て、季節外れのクリスマスイベントをリクと行おうと計画するが、ちょっとした行き違いが起こって・・・・・・。
ニノに髪の毛を洗ってもらってふと涙が出てしまうリク。センチメンタルになったニノがデートに誘う。しかし金星人にはデートという概念がなく、しかも、引力と磁場の関係で荒川から離れることができない。仕方なく荒川散歩というデートをすることになったが、リクとニノの会話や遊びはまったく噛み合わない。でも「ひとりぼっちでどこへも行けない」というところで共鳴して、金星と地球の異性(異星)間交流が生まれる。
荒川河川敷で暮らしてから「あとで『思い出したい』と思えるような思い出ばかりが、増えてきた」リク。すっかりニノと距離感が縮まってきたが、リクは、この場所は国の所有地であり、住人は不法侵入者には変わりはないという悩みを抱えていた。一方、P子は村長に片思い。ラストサムライの励ましによってアタックすることにしたP子だが玉砕しやさぐれてしまう。そんな彼女にラストサムライが告白!?果たして恋の行方はどうなる???
季節は移り、梅雨に。リクのテントに住人たちが集まってきた。テントを建てた場所には、いかだ的機能のあるモノ(ノアの方舟的な)が隠されているというのだ。時折、ここでの生活を荒らしに来る輩がいるので、その準備だと言う。村長やニノからいざという時は「みんな一緒だ」と仲間意識を強調されたリクだが、家族や共同体体験のない想いを抱えていることにも気づいていく。
河川敷に凶暴なスズメバチが巣を作り、その駆除で一苦労した後は満天の星空。みんなで天体観測を行って盛り上がっていると、ちょっとしたハプニングでマリアとシスターがキスしてしまった。シスターのことを好きなステラはショックで号泣。彼女をなだめるニノの姿を見ていたリクに、突然、自分が生まれた時の記憶が蘇った。自分が生まれるのと入れ違いに命を落とした母の顔はニノにそっくりだった。
実はリクがニノたちの住む河川敷にやってきたわけは、ある建設計画に邪魔な住人を立ち退かせるため。なかなか成果をあげない息子・行に苛立った父・積は工事着工の日を早める。父の思惑に反して、いつの間にか河川敷の生活に馴染んでしまったリクは、縁日を体験したことがないというニノやステラのためにこの場所で縁日を行うことを企画する。そして、ニノが金星に帰る期限・七夕の日が近づいてきていた。