太平洋戦争の終結から十三年。日本が戦後の混乱期を経て、高度成長期を迎えようとしていた昭和三十三年。ある嵐の夜、ひとつの伝説が始まろうとしていた。後に神域の男と呼ばれ、日本の裏社会に君臨する男の伝説が。その男の名は、アカギ…。
南郷の代わりに竜崎との勝負を引き受けたアカギは、麻雀を覚えて数時間でその才能を開花させ、一度も振り込むことなくトップを取る。自分の手に負えないと悟った竜崎は、ベテランの代打ちの矢木を呼ぶ。矢木はアカギに指を賭けてのサシウマ勝負を挑むが…。
有利に戦いを進めるアカギ。逆襲のチャンスをうかがう矢木は、「キャタピラ」と呼ばれるイカサマを仕掛ける。矢木のリーチ・ドラ8に振り込むアカギ。一転窮地に立たされたように見えたアカギだったが、誰もが思いもよらない展開を考えていた。炸裂するアカギのドラタンキ待ち。勝負の行方は!?
矢木を破ったアカギに、川田組は次の相手として盲目の雀士・市川をぶつけてきた。名乗る前に市川の正体を見抜いたアカギは、ロシアン・ルーレットを仕掛ける。アカギの口に銃を突っ込んだ市川は冷静に引き金を引くが…。
勝負の場に遅れてきたアカギは、土壇場の南郷と交代、牌を弾くイカサマでピンチを脱する。勢いづいたアカギは連荘を重ねるが、この闘いは二人のサシ勝負。お互い直撃を取らなければ勝利は無い。それに気付いた二人は、一色を絶つ「絶一門」の闘いに進む。
流れが悪いアカギ。市川は10万点を越え、闘いは「絶二門」に突入する。ついに市川に放銃するアカギ。勝負は決したと思われたが、アカギは国士と見せかけ市川の親番を蹴る。ディフェンスに徹する市川に、アカギはお互いの点棒を十分の一に減らそうと提案するが…。
点棒を十分の一にしようとのアカギの提案を市川は拒否。そこで、「拾い」というイカサマを使って強引に飲ませる。しかしイカサマをしたことにより、市川にもまた「すり替え」を使う口実を与えてしまった。自分のツモ山の牌を完全に暗記している市川にアカギは…。
アカギが姿を消して6年後の昭和三十九年。日本中が東京オリンピックの開催に沸き返っている中、不良刑事・安岡はある男を川田組に連れて来る。彼こそ6年前の伝説の主役・赤木しげるだと。その男の麻雀能力に驚きつつも、違和感を覚えた石川は…。
自分の偽物に興味を持ったアカギはその男と対面する。ニセアカギは無作為にとった配牌のシャンテン数を一瞬で言い当て、周囲を驚嘆させる。最後に残った19牌から13枚を選び、開こうとするとアカギが3シャンテンと言い当てる。唖然とする周囲をよそに、ニセアカギは確率の問題だと言い切るが…。
川田組の石川が現れ、組長がアカギとニセアカギの勝負をどうしても見たいと言っているという。川田組宅では、ニセアカギと藤沢組の代打ち・浦部との勝負が始まっていた。ニセアカギが圧倒的に有利に見える展開だったが、アカギは浦部の逆襲を予告する。
浦部の策にハマった川田組陣営。ニセアカギは勝つチャンスを手にしながら、それを逃がし、掛け金は千六百万から三千二百万 (現在の三億二千万) へと倍増していった。ニセアカギでは浦部に敵わないと気付いた川田組長は、アカギに代打ちを頼むが…。
アカギと浦部の闘いが始まった。アカギは、四暗刻単騎の多面待ちをオープンリーチするという暴挙に出る。さらに、ツモアガリを怖れた浦部の差し込みを見送り、結果浦部の親満に放銃。両者の差は七万点を超え、残りはたったの二局だが…。
浦部とアカギの死闘も最終局面。アカギが親で、満貫を浦部から直撃すれば逆転という状況になった。先にテンパイを果たした浦部だが、アカギが仕掛けるとベタオリ作戦に切り替える。しかし、アカギの狙いは浦部からの河底ロンだった。ハダカ単騎になったアカギは牌を伏せ、静かに席を立つ。
昭和40年、夏。多摩山中で変死体が見つかる。死因は失血多量だったが身体に外傷が無く、左腕に注射痕があるだけだった。安岡はその死体がかつてコンビを組んだニセアカギだったことから事件の黒幕に気付く。その黒幕とは!?
怪物狩り。安岡たちの申し出をアカギは了承する。その怪物に自分と同じ匂いを嗅ぎ取ったのだ。その怪物の名前は鷲巣巌。卓越した頭脳と野心で莫大な資産を築き上げ、政財界を支配する日本の闇の帝王だ。鷲巣は賭けの対価としてアカギに血液を要求する。
若い挑戦者が牌を打つたびに死を恐れ、恐怖する鷲巣麻雀。その様を見たくて何人も殺してしまったと狂ったように笑う鷲巣。しかしアカギは、鷲巣の設定したレートを十倍にして欲しいと言う。仮にアカギが五十万点勝てば、鷲巣の資産・五億をさらう計算になる。「これなら範疇…あなたの滅びに手が届く!」と。
ついに鷲巣麻雀が始まった。東一局、鷲巣のリーチに対してアカギは回し、すぐにピンフドラ1のテンパイに復帰。安岡が差し込み、鷲巣のリーチは空振りに終わった。さらに役牌をポンして、二千点のアガリ。立ち上がり、アカギがリードする展開となったが、鷲巣は笑い出す…。
勝負は南入。好調な鷲巣はタンピン三色ドラ1という大物手をテンパイする。勝利を確信し、リーチしようとするが、その宣言牌をアカギがロン。アカギは、多面待ちを蹴ってでも、鷲巣が三色を狙えば溢れる牌の単騎で待っていたのだ。
一回戦も大詰めのオーラス。流れのある鷲巣にアカギは渾身のブラフをしかける。鷲巣は自分の余り牌がアカギに当たる流れではないと確信しながらも、手を回す。鷲巣がテンパイするためにはアカギへ危険牌を切らなければならない。鷲巣はその牌を鈴木に打たせるが…。
一回戦はアカギがトップで終了。しかし、失った1100㏄の血液補給を拒否し、勝ち分はすべて金に換えることを要求する。つまり、鷲巣に満貫を一度でも振り込めば、即死の状態だ。仰木や安岡はその意図が分からない。好調なアカギは満貫をツモアガるが、ここでも親の鷲巣からの四千点分を血液ではなく金を選択する。
アカギと鷲巣の点差は九千二百点。鷲巣は發を仕掛けてホンイツ気配。ドラの西を絡めれば、ホンイツ、發、ドラ3でハネ満、逆転で終了となる。アカギは鷲巣に順位で下回れば、その時点で絶命する。鈴木の手に運命の西が落ちたが、鈴木は差し込まず。同巡、アカギはテンパイを果たすが、不要牌は西…。
鷲巣の手を読み切り、鈴木が鷲巣に差し込む三萬を頭ハネしたアカギ。これで一・二回戦の勝ち分は、一億千八百五十万にまでなった。血液を補給しない理由を説明するアカギ。勝つために鷲巣のミスを必要としたアカギは、輸血拒否という狂った行動で、鷲巣の心中深く眠っていた恐れの気持ちを揺り起こしたのだった。
三回戦が始まった。鷲巣は、アカギを殺せれば、己の人生の中で最高地点に到達することを予感する。東一局、完全に流れを引き込んだアカギは、早い巡目でハネ満をツモアガリ。続く東二局、鷲巣の親番。流れの悪い鷲巣だが、槓ドラが暗刻で乗るという剛運を見せつけ、黒牌の一筒単騎待ちでリーチをかける。
鷲巣がツモれば、アカギは死、あるいは一歩手前の状況だが、アカギには微塵の動揺も無い。面白くない鷲巣だが、鈴木がもう一つ暗槓をすると状況が一変する。鷲巣の手がドラ6に化けたのだ。ツモれば親の倍満で、アカギは即死だ。ついに絶望に打ち震える顔が見られると狂喜乱舞する鷲巣だが…。
鷲巣の手はドラ12に化けた。ツモれば親の数え役満でアカギは1600ccもの血液を抜かれ、致死量を遥かに超える。鷲巣はアカギとの決着をつけるべく、リンシャンツモでアガろうとするが、あと少しというところでアガリを逃してしまう。鈴木は手の内の一筒を差し込んでリードを得ようと提案するが…。
絶体絶命の危機から蘇ったアカギは、一気に鷲巣へ攻勢をかける。アカギの言葉に鷲巣は完全に冷静さを失う。今までの狩る者と狩られる者という立場が逆転し、アカギは次々に鷲巣を狙い撃ち。三回戦を勝利すると、続く四回戦も圧勝。鷲巣は疲労困憊で意識も朦朧として倒れ込む。ついに決着した、誰もがそう思ったが…。