日刊エブリースポーツの記者・松田は、ある日ひったくり犯人に見事な巴投げを決めた少女を目撃する。彼女の名は猪熊柔。かつて全日本柔道選手権を5連覇した猪熊滋悟郎を祖父に持つ女子高生だった。
柔と滋悟郎は、スポーツ万能の令嬢・本阿弥さやかと偶然遭遇した。滋悟郎は柔道に身の入らない柔にライバルを作ろうと、さやかに柔道の魅力を披露する。滋悟郎に触発されたさやかは猛練習を始める。
バスの中で松田にしつこくされているところをイケメン大学生・風祭に助けられ、柔は魅了される。先に試合にデビューしたさやかは、華々しく活躍していたが、滋悟郎の期待に反し柔は乗ってこない。
柔をデートに誘う風祭。だが、彼はさやかのコーチであり、柔の柔道の実力を探ろうとしていた。二人の様子を見たさやかは柔への嫉妬に燃える。一方、滋悟郎はどさくさに紛れて柔を男子の試合に参加させようとする。
女友達との買い物をフイにして、人数の足りない自校の男子柔道部の試合に出場することになった柔は、意に反して勝ち続けてしまう。しかし、足を怪我したところで、全国3位の相手が立ちはだかる。
男性相手の試合を終えた柔だが、滋悟郎はその日のことを周囲に極秘にするように伝え、TV局へデビュー記念の特番を提案する。一方、松田は自社でのスクープにこだわり、柔を徹底的に追い掛ける。
風祭を投げる姿をスクープした日刊エブリースポーツは売れまくり、柔はマスコミに追い回されるはめに。取材相手のプライベートまで詮索することを好まない松田は、柔をバイクに乗せて助けようとする。
家に匿ってもらったこともあり、柔は松田と近しくなっていく。そんな中、滋悟郎がさやかのコーチを依頼された話がマスコミを賑わす。そのことにショックを受けていた柔に、松田はある突飛な提案をする。
柔のデビュー戦の相手は20キロ以上も重い藤堂由貴だった。柔の実力を知らない女友達は心配するが、風祭は柔の勝利を断言する。一方、柔のワケあり家族のことを調べ始めた松田は柔にも尋ねる。
勝つつもりのない柔は藤堂に攻めまくられていた。負ける姿を見ずに帰ろうとする松田と入れ替わりで柔の母・玉緒が会場へやって来る。行方不明の父の消息を掴んだからだが、柔は母の姿を見て…。
柔に憧れて柔道部への志望者が殺到するが、柔は未だに短大への進学を希望する。そんな中、須藤という1年生が部員を次々と投げつけ、骨折した主将の花園をもこてんぱんにした揚げ句に柔をつけ回す。
須藤を倒せるように、柔は自校の柔道部員たちを猛特訓する。一方、柔に西海大学からの勧誘話が舞い込む。滋悟郎は前向きになるが、実績が必要だとの話になり、柔を大きな大会に出場させることを考える。
帰国途中の機上でハイジャック犯を投げ飛ばし、さやかは注目を浴びる。柔は自校の部員に柔道の稽古をつけるが、松田に連れ去られて葉山へ行くことに。そこでは風祭とさやかが猛練習をしていた。
風祭への思いでストレスが溜まっている柔は甘い物を食べまくる。そこに松田から情報を得た風祭が現れ、デートに誘う振りをして大会への出場を説得する。ところが、柔の周りには取り巻きが多く…。
武蔵山高校の柔道部のコーチに就任した柔をさやかが訪問する。柔は1回限りということで大会への出場を決意し、昇段試験に出場する。一方、風祭には本阿弥グループ入りとさやかの許嫁の話が舞い込んでいた。
柔がコーチを務める自校の柔道部の試合が、自分が出場する大会と同じ日になってしまった。須藤に自転車で送ってもらったおかげで武道館へギリギリの時間で到着した柔だったが、須藤は昔の不良仲間に絡まれてしまう。
柔との決勝での対決を目指し、さやかと藤堂が対戦。しかし、柔は試合をこなして対戦相手に勝ち続けていながらも、自分がコーチを務める柔道部の試合が気になってしまう。その頃、柔道部はケガ人が相次いでいたが…。
試合を勝ち抜き、決勝で柔と対戦することとなったさやか。しかし、柔は自校の柔道部の試合に駆け付けたい一心で、一瞬で一本背負いを決めて試合を終わらせてしまう。その頃、武道館には父らしき男が姿を現していた。
亡き妻・カネコの命日が訪れ、柔に昔話をする滋悟郎。若い頃に上京した滋悟郎は、心の師と仰ぐ憧れの先生の道場を訪ねるが、既に亡くなっていたのだった。しかし、その娘であるカネコと共に道場再建を目指し…。
大学進学を迎えた柔は周囲の期待をよそに、三葉女子短大の家政科を目指していた。そんな中、日本のみならず世界にも多く存在する、柔を意識する柔道家たち。その1人、ジョディ・ロックウェルがカナダから来日する。
柔道部を突如訪問して、柔との試合を熱望するジョディ。その場は逃げ出した柔だったが、ジョディは住所を調べると、柔の家にまで押し掛ける。そして、滋悟郎が対応した結果、ジョディは猪熊家に居候することに。
柔とジョディを追っていた松田は猪熊家に忍び込むが、滋悟郎に見つかってしまい、柔とジョディの試合の審判をすることに。一方、世界遠征をしていたさやかはソウルで韓国の強豪選手であるキム・ヨンスクと対戦する。
決着がつかずに終わりを迎えたジョディと柔の戦い。大舞台での再会を誓い、ジョディは帰国する。柔はその約束を守るために受験勉強と柔道の両立を目指すが、勝ち続ける彼女の技の切れが衰えるのを周囲は感じていた。
柔道と受験勉強の両立が難しくなっている柔のことを知って、風祭が自分の家での家庭教師を買って出た。その甲斐あってか文武両道が上手くいくようになった柔だが、2人の状況を見て松田はやきもきしていた。
大会で優勝を重ねる柔だったが、風祭がさやかのフィアンセだと聞いて集中ができなくなっていた。そんなところを滋悟郎に叱咤激励された柔は、ジョディが出場するカナダ対ソビエトの試合中継があることを知る。
テレシコワとの試合で敗れたジョディは負傷し、柔道へ復帰できるかもわからない状態になってしまった。それに気を落とす柔だが、風祭から励まされる。さらにさやかから誕生日パーティーへの招待状が届くのだが…。
風祭とさやかの婚約が発表され、受験勉強に専念しようとする柔だが身が入らない。それを見かねた松田が気を紛らわせるために誘いを掛けるが効果はなく、松田は元凶である風祭本人に何とかするように伝えるが…。
柔に片思いをする柔道部員・花園と須藤。ひょんなことから遊園地にその3人で行くことになった柔たちだったが、帰りがけに昔の不良仲間に絡まれてしまう須藤。そして翌日。須藤は退部を決意して果し合いに赴く。
滋悟郎に邪魔をされながらも短大受験を目指す柔の下に、再会を心待ちにしているというジョディからの手紙が届く。その頃、松田は新しく一緒に仕事をする激しい性格の女性カメラマン・加賀邦子に片思いをされていた。
短大受験の前日に行われた柔道の大会。会場に現れた、出場登録が間に合わなかったさやかと風祭、そして松田と邦子たちの親しげな様子に嫉妬した柔は、思わぬ苦戦を強いられ、最後の最後で手首を捻挫してしまう。
柔道大会で優勝を果たすも、右手を捻挫してしまった柔。滋悟郎に薬を塗ってもらったがそれはにせの薬で、受験会場に着いても手がうまく動かせない。そこへ訪ねてきた松田は、彼女の状況を聞いて協力を申し出る。
合格発表の日を迎え、柔は発表会場へ向かう。約束をしていた松田の姿が見えず、柔はがっかりしてしまう。それは邦子によって邪魔されていたためだった。やがて母校の柔道部員や風祭たちも会場にやって来て…。
柔の短大入学に反対する滋悟郎だったが、母親や花園、須藤は彼女を応援していた。そんな中で柔は、さやかに全日本選手権への出場をけしかけられる。柔を大会に出したい滋悟郎は、考えた末に交換条件を出す。
ついに開催された全日本女子柔道選手権。柔、さやか、藤堂が出場し、それぞれ順調に勝ち進んでいく。柔は準々決勝で、秘策を持つ西海大学の主将と対戦。西海大学は、花園が受験に失敗した大学なのだが…。
大会の準決勝で、藤堂とさやかが対決する。果敢に技を掛け続けるさやかだが、体重を増やして馬力を増した藤堂にかわされ、足に怪我をしてしまう。柔は畳の近くまで近寄り、さやかにアドバイスを送る。
卒業を迎え、それぞれの思いに耽る武蔵山高校の3年生たち。「バルセロナオリンピックは難しくても、次のアトランタを目指す」と意気込む花園は、柔道の猛練習を重ねていた。そして柔に試合を申し込むが…。
柔を取材するため自宅に押し掛けて来たマスコミの前で、滋悟郎は昔話を始める。滋悟郎の妻・カネコは、父の死後、お見合いを勧められていた。滋悟郎は大会に優勝し、見合いを阻止しようとしたが…。
大学の入学式の日。滋悟郎について来られた柔だったが、式の後に離れ離れになる。サークルに勧誘され、柔は同じ新入生・富士子と一緒に飲み会に参加することに。同じ頃、滋悟郎も別の場所で人気者になっていた。
前日の酒が残る滋悟郎は、柔と母が朝食を食べているところに遅れて現れる。大学で富士子と合流した柔は、派手な雰囲気を持つ新入生・ゆかりと知り合う。ゴルフ部へ参加することになるが、そこに風祭も現れて…。
ゴルフ部の旅行に参加した柔は、柔道の練習に励む花園と再会する。だが旅行中、彼女はゴルフ部のメンバーに過去のことは隠したまま過ごした。帰りがけに、富士子は柔を自宅に誘い、自分の過去を語り始める。
ゆかりに触発され、柔と富士子は「自分たちもおしゃれをしたい」と思い立つ。資金稼ぎのためにファーストフード店でアルバイトを始めるが、松田に場所を突き止められ、さらに風祭やさやかまで現れて…。
ディスコにやって来た柔だったが、なかなか楽しめずにいた。男の2人組に強引に迫られ、富士子もバレエダンスをして変な目立ち方をしてしまう。その頃滋悟郎と松田は、柔がどこへ行ったのかとやきもきしていた。
IOC会長が来日し、本阿弥家に接近した。滋悟郎や松田は、無差別級をワールドカップで行うように仕向けようとする。一方柔は、富士子に柔道の実力者であることを知られ応援を受けるが、うれしいと思えず…。
ワールドカップで無差別級が行われることになり、出場選手として柔が選ばれた。滋悟郎の期待に反して出る気のなかった彼女だったが、風祭がコーチに決まり、富士子やジョディの後押しもあって気持ちが変わっていく。
富士子が大学で皆に応援を呼び掛け、ジョディが再戦を希望する。そんな中で、柔は遅ればせながらワールドカップの合同練習に参加する。父が開催地・ソウルにいるという情報もあり、柔のやる気が上がっていく。
それぞれの思いを胸にソウルへと向かう日本人選手たち。柔も花園や富士子に激励されて機上の人となる。気合いの入ったジョディにホテルを訪問されるが、柔はどうしても父のことが気になってしまい…。
さやかは48キロ級に出場して勝ち進み、決勝で地元出身のキムと激突。会場では柔が外国のライバルたちに囲まれてマスコミの注目を浴びる。集中できないさやかは苦戦するが、柔からアドバイスを受け…。
本命だったさやかと藤堂が敗れてしまい、日本勢の期待を背負って無差別級の試合に出場した柔は初戦を突破する。テレシコワ、ジョディ、べルッケンスといった外国の強豪も順調に勝ち上がるが…。
柔とベルッケンスが準決勝を戦う会場で、松田は柔の父・虎滋郎を探し出す。彼は柔道日本一の山下泰裕とも浅からぬ因縁があった。ベルッケンスは守りの一手で柔は攻めあぐねるが、もつれ合う中で…。
以前敗れたテレシコワと戦うジョディは、前半は優勢に進めるが途中から古傷に足技を繰り出され劣勢に。かたや虎滋郎は、松田に昔の話を語り出す。彼が旅に出たのは、山下に敗れたのみならず柔にも原因があった。
ジョディを下したテレシコワと決勝で戦う柔。松田は柔に虎滋郎からの手紙を渡そうとするが、果たせずに試合が開始される。柔はジョディの仇とばかりに一本背負いや大内刈りで激しく攻めるが、気負い過ぎていて…。
テレシコワの裏投げで技ありを取られた柔は、脳しんとうで意識不明に。松田の声援で目覚めるが、その後も技が空回りしてポイントを取られてしまう。ジョディは病室を抜け出して柔の応援に向かい…。
テレシコワを相手にして肩車に活路を見出そうとする柔だが、もう一歩のところで決まらない。滋悟郎は感情的な柔を邪道と断ずる。松田の頭には、大会後の独占インタビューを承諾された記憶が残っていた。
松田は柔との出会いとそれ以降の過程を振り返る。もともと柔は彼のスクープによってマスコミに注目され、女子柔道界にデビューした。そして武蔵山高校の柔道部員たちや、本阿弥さやかと出会う。
当初、滋悟郎の意思に反して柔道を本格的にやる気のなかった柔だが、運命はそうさせてはくれなかった。紆余曲折を経て柔は世界チャンピオンになるが、父との一件で再びやる気を失ってしまい…。
ワールドカップの無差別級で優勝した柔が凱旋し、歓声と共に迎えられるが、虎滋郎のことが引っ掛かる柔は柔道をやめたいと思っていた。その気持ちを唯一知る松田。一方、さやかは虎滋郎のコーチ就任を望んで動く。
松田は、柔が柔道をやめたいと思っていることを風祭とさやかに伝える。柔からその意向を聞いた富士子は何とか思いとどめようと、あるアイディアを思い付く。かたや本阿弥家に囲われた虎滋郎は曖昧な態度を続け…。
ジョディの結婚式に招待された柔はカナダへ。ジョディから夫をコーチにして柔道を続け、再び戦える日を夢見ていると言われた柔は戸惑う。松田はジョディを、柔が柔道を続ける原動力として期待していたが…。
カナダを訪れた柔は、柔道世界一として大歓迎されてしまう。ジョディの結婚式でなし崩し的に72キロ級の強豪と戦うことになり、松田にもその情報が届く。相手は意外にも強く、柔は簡単には勝てないが…。
柔にやる気を出させるために富士子が発案した通り、三葉女子短大柔道部の部員が5人となり認可されることに。だが、日本一弱いくらいに練習のレベルは低く、花園に相談した富士子は、ある秘策を授けられる。
柔にやる気を取り戻させようと新聞記者の松田は三葉女子短大へ出向く。思うところがあり柔道部のコーチとなった柔の祖父・滋悟郎は、うまく部員たちの心理を突いてやる気を維持させる。何も知らない柔だったが…。
稽古を続ける三葉女子柔道部だが、前年度優勝チームとの練習試合の日はすぐに来てしまう。だが、滋悟郎の訓練の下、南田陽子の出足払いをはじめ、柔道部員は皆一つの技を徹底してマスターしていた。
思いの外善戦する三葉女子柔道部だが、急仕上げなのは否めなかった。副将の富士子は相手の次鋒に体の柔軟性を活かした大内刈りを決めるが、敵の監督はそれしかないのに気付き、苦戦中の中堅選手にそのことを伝える。
マスコミが撤収しようとしたその時、ついに柔が柔道着を持って現れる。富士子は2人に何とか勝つがそこまでが精いっぱいで、柔が登場するかと思いきや、軟弱キャラの日陰今日子が試合に出たいと申し出て…。
紫陽花杯に柔が出場することを新聞記者の松田は記事にした。それを見たさやかは自分の女子大に部を結成しようとする。富士子は柔道に気合いを入れてコーチでもある花園と親しくなるが、柔を通しての仲だと意識する。
柔は新聞記者・松田のアドバイスもあり、あえて稽古で投げられることでみんなにやる気と感覚を掴んでもらう。かたや正式にお嬢様チームを組織したさやかやほかの強豪チームも猛練習をして大会に備えていた。
第八回紫陽花杯が行われ、お嬢様チームの聖身女学館は先に出た4人が敗れるのにもめげず、さやかが一人で相手5人を抜き初戦を突破する。素人集団のはずの三葉女子も、南田が出足払いで2人を破り…。
花園の「アン・ドゥ・トロワ」の声援をバックにリズミカルな動きと柔軟性を武器にして富士子が大健闘。柔の力を借りずに三葉女子は初戦を突破する。二回戦では藤堂が率いる昨年準優勝の実力者チームと対決し…。
柔と再戦した藤堂は、柔に投げに来られた時に送り襟締めに入ろうとするが、大内刈りで返されてまたもや敗戦する。三葉女子は準決勝に進むが、小田真理が試合に間に合わず、今日子が代わりに先鋒を務める。
柔のことしか頭にないさやかにはほかの選手は邪魔者としか映っていなかった。南田と四品川小百合には楽勝するが、富士子相手に大苦戦。開始早々大内刈りで技ありを取られ、後半では内股と押さえ込みで逆襲するが…。
左肩を痛めた富士子を欠いて筑紫大との決勝を戦う三葉女子柔道部。相手の先鋒が得意とする支釣込足の対策を行うが、実力の差はいかんともしがたい。相手の先鋒に一気に4人が抜かれ、柔一人が残ってしまう。
一気に4人が抜かれ、後がなくなった三葉女子柔道部。得意の一本背負いや大外落としを駆使して相手の先鋒と次鋒を撃破した柔。だが中堅は72キロ超級の巨漢で、柔の一本背負いが汗で滑って返されてしまう。
さやかのコーチ就任を本阿弥家から懇請されていた柔の父・虎滋郎がついに前向きになる。さやかを連れて山歩きをし、掘っ立て小屋を建ててトレーニングを始める。松田は新聞記者としてその行方を追うが…。
卒業が近くなり、三葉女子の柔道部員たちは自分の進路を模索する。滋悟郎は柔を西海大へ編入させようとするが柔は就職活動を始める。富士子にも西海大の柔道部から声が掛かって彼女はその気になるが…。
柔と富士子の体重別選手権への出場が決まり、二人は稽古に精を出す。富士子と花園は、前にも増して親しくなっていた。新聞記者の松田は父から見合いを持ち掛けられるが、柔への思いが強く乗り気になれなかった。
体重別選手権が始まるが、企業から面接の返答がないのが気になって集中できない柔。滋悟郎が電話を拒絶して郵便物を捨てていたと知った柔は、会場で怒り心頭。一方、富士子は試合を前にガチガチに緊張していた。
面接を受けた会社の社長たちに取り囲まれていた柔だが、試合中の富士子へアドバイスをするため松田に連れられて会場へ戻る。苦戦する富士子だが、あと数秒のところで新必殺技のくるみ割り人形こと内股が炸裂する。
柔のアドバイスもあり、富士子は独自のななめ四方固めで準決勝を勝ち上がる。悩みを吹っ切った柔は、電光石火の一本背負いで筑紫大の大垣を破って優勝を遂げ、就職を目指す動きに戻っていくが…。
バレエや演劇、競争など少女時代からここ一番で失敗してきた富士子が、61キロ級の決勝に挑む。左利きの大林に当初は合わせてしまうが、柔のアドバイスで奧襟を取って逆襲。僅差の勝負はついに判定へ持ち込まれる。
テレシコワやジョディなど世界の強豪たちも、柔に続いて次々と世界選手権への出場を決めていく。自分が敗退したせいで柔とのユーゴ遠征をフイにしたと落胆する富士子だが、滋悟郎には秘策があった。
強化選手に選ばれて喜ぶ富士子を前に、自分が世界選手権へ出ないつもりだと言い出せない柔。柔が旅行代理店を希望するのは、父を探し出せるのではという期待があったからだった。それを知った松田と風祭は戸惑う。
柔を自社へ入れようとする企業の人たちと部の仲間に見送られ、世界選手権へ旅立つ柔と富士子。柔の出場する48キロ級は最終日に設定され、無差別級も同じ日になる。かたや松田は、父が倒れたため山形へ駆けつける。
藤堂を小外刈りで破ったキューバのマルチネスと72キロ超級の決勝で当たったジョディは苦戦するが、柔のアドバイスもあり内股で一本を取って優勝。ソ連のテレシコワは無差別級一本に絞り、打倒柔に燃える。
日本勢が次々と敗退して期待は柔に集中するが、松田の不在とプレッシャーが重なって柔は元気が出ない。そんな柔を富士子やジョディは励まそうとする。松田は大会へ向かうが、飛行機トラブルに巻き込まれてしまう。
フランスのドヌーブに出会い頭の内股で技ありを許すも、途中から逆襲して有効を一つリードし、辛勝した柔。無差別級の出場へ抜擢された富士子は極度に緊張するが、残り30秒で柔の絶妙なアドバイスに救われる。
鶴亀トラベルのフランクフルト支社のスタッフが、柔の視察のため会場へ派遣される。柔は2回戦、3回戦とも何とか判定勝ちをもぎ取るが、技の切れ味が鈍いようで…。一方、富士子は連続の一本勝ちで準決勝へ進む。
ザグレブ空港から400キロ離れたベオグラードの試合会場へタクシーで急ぐ松田。初めはダラダラ走っていたが、状況を知った柔ファンの運転手は、何度も大型車とぶつかりそうになりながらも会場へ急ぐ。
準決勝でテレシコワと対戦することになった富士子は、柔と戦えずに気落ちしているテレシコワに得意の内股を駆使してポイントをリードする。だが、相手の裏投げと自分の大内刈りが同時にかかってしまい…。
決勝に進んだ柔だが本調子には戻れず、ソ連のフルシチョワに対して押され気味。ようやく会場に着いた松田は、何とか柔の近くへたどり着く。大内刈りを裏投げで返される柔だが、松田の姿を見て必殺の一本背負いが…。
テレビの特番に出演する滋悟郎。みんな柔のことを聞きたいのだが、話は滋悟郎の武勇伝へ飛んでしまう。レスリングの選手権者でベルリン五輪を目指すアメリカのデービスが弟子入りしてきたが、時は戦争前夜であり…。
鶴亀トラベルの社長以下が訪ねてくるが、滋悟郎は柔の就職話に耳を貸さない。だが、卒業記念に柔道の試合をやりたいという柔道部員の訪問は大歓迎。それを柔の西海大行きへ結びつけようと画策する。
セーヌ大学の柔道部との練習試合に勝てば柔の就職が認められると聞いて喜ぶ部員たちだが、実は勝ち抜き戦ではなく、点取り試合だった。これは滋悟郎の策だとみんなが憤慨する中、柔を先鋒に試合が開始される。
柔は一本勝ちするが、次鋒の南田が敗れたため今日子が中堅に登場。周囲は一方的な敗戦を予想するが、彼女は自分の体が丈夫になった恩返しを柔へしようと、出足払いを武器に奮闘する。だが、体力のハンデは否めず…。
次鋒と中堅が敗退して後がなくなった三葉女子柔道部。副将の小百合は巻き込みからの押さえ込みで攻め立てられるが何とか逃れ、隅返しを重い体で潰して縦四方で押さえ込む。そして勝敗の行方は富士子にかかることに。
プレッシャーに弱い富士子にとって、応援は逆効果。肩車で投げられて有効を取られてしまう。しかし、風祭の指示を受けて接近した花園は彼なりの愛の言葉を叫ぶ。富士子は滋悟郎の言葉をも思い出し奮闘する。
富士子が内股で一本を決め、三葉女子柔道部はセーヌ大に勝利。鶴亀トラベルはマスコミを前に柔の入社発表を行う。滋悟郎は意気消沈する西海大の祐天寺と会場を後にするが、鳴りを潜めたお嬢様が気になるのだった。
10カ月の山ごもりを終えてさやかが戻ってきた。三葉女子では卒業生を男性が迎えに来ており、柔道部も同様だった。富士子も花園に自転車で連れて行かれる中、柔は約束した風祭が来ないため取り残されてしまう。
テレビのインタビューを受けて、柔を挑発するさやか。驚く周囲をよそに、滋悟郎はこれが柔の闘志に火を点けるとほくそ笑む。風祭は待ち合わせをすっぽかした言い訳をしに柔の家を訪ねるが、そこで…。
正式に鶴亀トラベルに入社した柔は羽衣係長の下で働くことに。飛び込みで入った会社で大きな仕事を取れそうになるが、そこは本阿弥トラベルのお得意様だった。一方、風祭は本阿弥トラベルの社長に就任する。
柔の同行が前提になっている北海道ツアーが、柔道の全日本選手権の日と重なってしまう。羽衣は旅行の日程変更を客先に持ち掛けるが、受け付けてもらえない。柔は風祭に相談するが、仕事を優先すべきだと言われる。
加藤忠商事の旅行に羽衣と同行する柔。鶴亀トラベルは取材に箝口令を敷き、滋悟郎の訪問も拒絶する。しかし、松田の記事のファンだった羽衣は、柔を大会へ出場させるため、クビを覚悟で柔を返そうとする。
空港で待ちかまえていた松田のバイクで会場へ急ぐ柔。滋悟郎は時間を引っ張ろうと、技をすぐ決めないように富士子へアドバイスを送る。風祭は、もしもさやかが柔に勝ってしまったら結婚させられると右往左往する。
柔の到着を知って気合いが入り、勝ち進んでいくさやか。ギリギリ間に合った柔も、重量級の宇崎をものともせずに退け、勝ち抜いていく。柔を会場まで連れて来た松田は、バイクを停めた時に転倒して骨折していた。
加藤忠商事の旅行の接待相手であるトヨ産自動車の専務は柔道のファンで、テレビを見ながら羽衣と意気投合する。準決勝でさやかと対決した柔は押され気味で…。一方虎滋郎は、ソバ屋のテレビで試合を観戦していた。
柔は一本背負いで有効を取るが、さやかにはまだ余裕があった。左へ組み手を変えて、柔の小外刈りからの一本背負いを左内股で返す。そんなさやかに柔は電光石火で背負い落としを仕掛ける。もう一方の準決勝では…。
準決勝で藤堂と当たった富士子は起死回生の内股で技ありを取り辛勝する。次は柔との決勝だ。柔に勝たせて富士子を西海大へ編入させようと目論む滋悟郎は、富士子に試合開始直後に攻めろとアドバイスをする。
鶴亀トラベルが接待旅行として組んだ柔たちの試合は大いに盛り上がり、結果大きな契約を取り付けた。それには、日刊エヴリースポーツ・松田による感動的な記事も貢献。柔はお礼のため、松田の家を訪ねることに。
富士子は、花園にほかに女ができたのではないかと心配していたので、柔が代わりに会いに行って詰問。すると、花園は、部のレギュラーになるまで彼女に会わないと言う。一方、柔に邦子との関係を誤解された松田は…。
花園は上達を目指すために柔と猛稽古を開始。滋悟郎は、それは柔にとっても打って付けの稽古だと喜んでいた。富士子への思いを胸に「アイラブユー」のリズムで技を掛ける花園。しかし、それを知らない富士子は…。
花園は、95キロ超級の準決勝で巨漢の八重樫に判定勝ちを収める。決勝で西海大の稲垣と当たった花園は、前半は優位に進めるも、後半は緊張から劣勢に。残り時間20秒のところで、駆けつけた富士子の声援を聞き…。
福岡国際で柔は48キロ級、富士子は61キロ級で優勝した。だが直後に富士子の妊娠が判明する。柔は祝福するが、富士子の両親は激怒し、相手の花園も猛省状態に。だが富士子はきっぱりと気持ちを固める。
柔の周辺で、父・虎滋郎の影が見え隠れするようになった。旅行業務中に、航空座席でその名を発見したり、テレビで柔を挑発するさやかの背後にそれらしい人物を見い出す。ある日、虎滋郎が神田に現れたと聞くが…。
虎滋郎がさやかを指導しているのを確信した柔は、ショックから試合会場に向かうことができない。柔不在の中、さやかはオール一本勝ちで階級を制覇。柔を案じていたマスコミや観客の関心も次第にさやかへ集中し…。
虎滋郎の後ろ盾を得たさやかは世界大会に出場し、決勝でフルシチョワを破って48キロ級の世界一となる。柔が試合をドタキャンした理由を知った富士子は、それでも柔に柔道を続けさせるべく思い悩む。
さやかを大きく取り上げた日刊エヴリーの売れ行きは絶好調だ。しかも、松田と邦子の結婚を信じた柔はますます意気消沈してしまう。そんな中、無事出産を終えた富士子、滋悟郎、松田は柔を柔道に引き戻すため…。
富士子は子育てをしながらトレーニングを開始。その姿を見つめる柔だが、背後に滋悟郎と松田がいるのを知り、柔道へ復帰する気になれない。一方、仕事の兼ね合いもあって邦子と共に実家へ戻った松田は…。
柔道を再開していない柔は、松田が記者を辞めると言う邦子の嘘を信じ、自責の念に駆られる。クリスマスイブに風祭に誘われた柔だが、松田を優先して言われた店へ会いに行く。しかし、店は既に閉まっていて…。
ジョギング中に転んだ富士子の前に柔が現れた。父・虎滋郎と対峙する決意で柔道への復帰を選んだようだ。だが大会での下馬評は勢いのあるさやかが有利であり、かつ彼女は虎滋郎のもとで極秘特訓に励んでいた。
柔と富士子が欠場した全日本選手権は、さやかの独壇場となり、藤堂を準決勝で破った高部を決勝で下して堂々と優勝。だが、さやかへのインタビュー直前に、解説席にいた滋悟郎から爆弾発言が飛び出した。
体重別選手権は、滋悟郎と虎滋郎とのコーチ同士の親子対決の様相を呈し、マスコミはそれを騒ぎ立てた。そんな中、1年間のブランクをものともしない柔は、一回戦を電撃の一本背負いで決めてみせる。
虎滋郎が突然家へ戻って来た。玉緒は最初こそ驚くものの、虎滋郎を好意的に受け入れる。二人はテレビで体重別選手権を見ながら歓談。48キロ級の柔とさやか、61キロ級の富士子は順調に勝ち進んでいた。
決勝へ臨んだ富士子は苦戦続きだったが、娘・富薫子が自分を呼んだように聞こえて奮起する。最後には逆転の双手刈を決めて優勢勝ちを収める。だが「ママ」と聞こえた声は、実は「マンマ」の間違えで…。
48キロ級の決勝は、柔とさやかの対決となった。さやかは新たにマスターした寝技を連続で仕掛け、腕ひしぎ十字固めでもう一歩まで追い込む。柔は右腕を痛めてしまうが、松田の絶妙な応援を武器に応戦する。
柔は封印していた巴投げを繰り出し、最後には一本背負いでさやかに勝利。猪熊家で祝勝会が開かれるが、虎滋郎はフランスからのコーチ招聘を受けて旅立っていた。そして柔と松田、風祭とさやかの関係も新たな局面に。
アトランタオリンピック出場を決めた柔は2階級で参加することに。練習に励む彼女だが、松田と邦子の関係や風祭からのプロポーズなどがあり柔道に集中できない。そんな柔の前に、宿敵・ジョディと父・虎滋郎の教え子、フランス代表のマルソーが立ちはだかる。
日本を代表する柔道選手となった柔は、ひょんなことから弱小柔道チームの少年少女たちと知り合う。リーダーの真由美は小学生最後の大会を控え、幼馴染みの純二率いるライザ柔道チームに必勝を宣言。へっぴり腰のメンバーと共に、柔へ稽古を頼み込むが…。