人里離れた山奥で師匠のマーリンと暮らしていたロイドは、過酷な魔法修行の毎日から逃れる為に山を降りイシュタルの街へやって来た。そして自らの能力に無自覚なまま勇者アレンのパーティーに加わり、後方支援の白魔導師として1年の時が過ぎて行った。そんなある日、アレンの危機を救ったロイドは、何故か突然パーティーからの追放を言い渡されてしまった…。
アレンにパーティーを追放されたロイドは白魔導師を探していた剣士ユイと出会う。採用テストで見せた彼の規格外の能力に驚き言葉を失う冒険者パーティーの仲間達。それを期待外れと受け取ったロイドは元の白魔導師に戻ってきて貰う方が良いと告げるが、前任者クルムは妹の「体が魔石化する」病の看病の為に復帰は難しい。すると病状を聞いたロイドは家へ案内してくれと申し出る…。
ユイ達の冒険者パーティーに加わったロイド。緊急に白魔導師を必要とした依頼は、遠方の農場を荒らすモンスターの群れの退治だった。相容れない多種多様なモンスターが混在すると言う情報は腑に落ちないが、困っている人を助けたいと思うユイの強い気持ちに応え一同は旅立つ。そして野営地の湖畔で悲鳴を聞き駆けつけたロイドが見たものは、バジリスクに襲われる水浴び中のユイと魔法使いのシリカの姿だった…。
依頼地への旅は続く。ロイドは危険を回避する為に探知魔法を展開し、夜営の見張りも引き受けていた。独りでやるのが彼には当然の事だったのだ。ユイ達との頓珍漢な交流の中、次第にパーティーの仲間との絆が芽生えてゆく。そして辿り着いた農園には、見た事もない数のハイウルフが集まっていた。更にロイドの探知魔法が、彼らに向かってくる別のモンスターの大群を捉えていた…。
この依頼はイシュタルから冒険者を遠ざける為に、何者かが仕組んだ罠だと察したロイド達。危機を知らせようと全力で街へ戻る途中、ロイドは魔族の反応を捉える。今回の件への関わりを疑い、情報収集の為にも魔族を追うロイド達。そして山間の小屋に獣人の少女が囚われているのを知る。噂で聞く、モンスターを操る魔法を使える獣人なのか?それを確かめる為にも、彼女を魔族から救い出そうとするが…。
救い出した獣人の少女・クレハ。彼女の魔法が魔族の企に悪用されモンスターを暴走させてしまったのだ。一方その頃、異変を感じた街の騎士団は残っている僅かな冒険者達と防衛戦の準備を進めていた。その中には勇者アレンの姿もあった。そしてロイドはイシュタルへ向かうモンスターの大群を探知した。危機を案じたロイドはクレハと共にそこへ向かって行った。果たしてロイドの作戦とは…?
ロイドの作戦でモンスター群が退いたとは言え、イシュタルの危機が去った訳ではなかった。心を持たないゴーレムにはクレハの想いが通じない。魔力を使い続けたロイドは、疲弊の極みに達しながらも街の防衛戦に駆けつけた。そして最後の力を振り絞りすべての戦う者達に強化魔法を施して、気を失った。目覚めたロイドを英雄と讃えるイシュタルの人達。「戦ったのはみんななのに」と戸惑うロイドは気圧されて宿を逃げ出す…。
獣人のクレアは隣国フォレス帝国の第二皇女だった。魔族は彼女の<古代魔法>を狙っているのだ。ロイド達は帝国からの迎えが来ると言う王都までクレアを護衛してゆくことになった。そして温泉の街へ辿り着いた一行はロイドの提案でここに留まり、魔族に備え万全の準備をする事に。温泉を満喫する一方で、ダッガスは武器屋へ、シリカは密かに魔法の特訓を始める。それぞれが新しい何かを掴む為に…。
温泉の街で鍛錬に励むロイド達。自らの伸び代に悩んでいたクロスはDランク冒険者のリンと出会い、彼の依頼を手伝う事に。一方、横暴な女貴族達に絡まれていたユイは謎の女性リリスに救われる。その強さに感銘を受けるユイ。するとリリスは「稽古しない?」と挑発的な笑みを返す。そして支援魔法の更なる改善に取り組むロイドは、クレアに古代魔法のことを尋ねるのだった…。