リディル王国における魔術師の頂点・七賢人がひとり〈沈黙(ちんもく)の魔女(まじょ)〉モニカ・エヴァレット。極度の人見知りである彼女は、山奥の小屋でひっそりと暮らしていた。そこへ七賢人の同僚である〈結界(けっかい)の魔術師(まじゅつし)〉ルイス・ミラーが訪れた。突然の来訪に戸惑うモニカに、ルイスはひとつの依頼をする。それは貴族の集う全寮制の名門校・セレンディア学園に通う第二王子フェリクス・アーク・リディルを秘密裏に護衛するというものだった。モニカは必死になって拒否するが……。
極秘任務を引き受けてしまったモニカは、セレンディア学園へ転入する。彼女の任務は第二王子フェリクスを本人にも気づかれず、秘密裏に護衛すること。フェリクスは同校の生徒会長を務めているが、極度の人見知りのモニカは生徒会室に近づくことはおろか、クラスでの自己紹介すらまともにできない。生徒たちに溶け込むことができず、中庭に行き、一人で昼食をとろうとすると生徒会書記のエリオット・ハワードが現れ、モニカが第二王子を狙う刺客ではないかと詰問する。
裏庭にいたフェリクスを狙って、何者かが校舎の上階から植木鉢を落とすという事件が起きた。共犯者だと疑われたモニカは汚名を晴らすため、犯人を捜すことになる。モニカは、校舎の4階のバルコニーから植木鉢が落とされたのではないかと推理し、4階の音楽室へと向かった。しかし、その途中、貴族の女生徒たちのいざこざに巻き込まれたはずみで、階段から突き落とされてしまう。そんなモニカの前に、生徒会副会長のシリル・アシュリーが現れる。
ルイスからの知らせを届けに来ていた使い魔のリンが、セレンディア学園の男子寮で魔力の異変が起きていることに気づく。男子寮の裏手の森へ向かうと、魔力の暴走に苦しむシリルの姿があった。自らまでも凍りつかせながら、周囲をじわじわと氷で包んでいく。モニカはシリルの魔力が暴走してしまった理由を見抜き、この暴走を引き起こした犯人がいると気付く。生徒会に隠された秘密が暴かれる――。
休日、モニカは任務から解き放たれ、近くのクレーメの街へネロといっしょにお出かけすることに。ところがクレーメの街に地竜が現れる。モニカは地竜に応戦する魔術師の少年をひそかに助け、事なきを得て騒がしい休日を終える。翌日、セレンディア学園に新たな教師が就任する。その教師は――かつてのモニカを知るマクレガンだった。選択授業を選ばなくてはならないモニカは、フェリクスの提案によりマクレガンの教える基礎魔術学の授業を見学しに行く羽目に。そこで、地竜と戦っていた魔術師の少年グレン・ダドリーと再会して……。
セレンディア学園は紳士・淑女を育てる名門校。女生徒には、社交ダンスやお茶会といった必修科目が用意されている。モニカは長年の山小屋ひきこもり生活がたたり、社交ダンスは再試験を受けることに。頭を悩ませるモニカに追い打ちをかけるかのごとく、お茶会が行われることも発表される。そのお茶会のグループには、友人のラナ・コレット、ケイシー・グローヴの他、歩く図書館と言われる才女クローディアがいた。はたしてお茶会と社交ダンスの再試験の行方は?