かつて史郎と生活を共にしていたという、番頭の土蜘蛛・暁と芸妓の鈴蘭の兄妹。 その鈴蘭を妖都で助け、葵が天神屋に戻ると、今度は雪女のお涼が熱で倒れてしまった。 葵は料理を作って、お涼を介抱することに。 ところがそこへ、現世に行きたいという鈴蘭と反対する暁との喧嘩まで勃発して……。
あやかし姿での大喧嘩の末、妹の鈴蘭と離別した暁は、妖力を失った小さい蜘蛛の姿のまま、葵の出す料理にも頑なに手を付けようとしない。 このまま離れ離れになるなんて、悲しすぎる…。鈴蘭の現世への出発日が迫る中、何かできる事はないかと葵が立ち上がる。
遂に葵の食事処が開く日がやってきた。 松葉に「夕がお」というお店の名前を貰い、はりきって開店するのだが、その地はこれまで何をやっても失敗続きだった、鬼門中の鬼門。 どうやら、そう簡単にはいかないらしい。 しかも何やら、怪しい動きをするあやかしもいるようで……?
長雨の続く中、お帳場長の白夜に呼び出された葵は、未だに売り上げがないことを指摘され、結果を出さないと、夕がおを閉めると告げられてしまう。 どうすればと悩む葵のところに、お涼がお客様にお弁当を作って欲しいと頼んできた。 どうやら、そう簡単にはいかないらしい。 お弁当のアイディアを考えていた葵は、雨の中裏山に向かう大旦那の姿を見つけ……?
何とか白夜を納得させる成果を出し、窮地を脱した葵に、妖王家宮中より結婚記念日の料理を作って欲しいという依頼がきた。 しかも、奥方は現世の人間だという。 メニューを考える葵は、現世やその他の異界の珍味を取り揃えた市が、東の地で開催されていると聞き、食材を求め出かけるのであった。
銀次とはぐれ、暗い場所に閉じ込められてしまった葵。 雨と雷の音に思い出すのは、母に置いて行かれた幼き日の記憶。 薄れゆく意識の中、駆け付けた大旦那に救出されるも、目覚めた時には一日経っており妖王家夫妻の記念日当日に。 何も準備できていない中、葵は……。
七夕を控え、街も天神屋も大賑わい。 夕がおでも葵が七夕の準備をしていると、そこへ律子が訪れ、縫之陰との昔話を聞くのであった。 人とあやかしの生きる時間は違う。まだ、嫁入りすると決まっていないと言う葵だが……。
大旦那不在の天神屋に、突如やって来たのは、ライバル関係にある南の地の宿、折尾屋の番頭・葉鳥と湯守・時彦。 彼らは客として訪れたというのだが、天神屋面々の間には緊張した空気が広がり、銀次でさえ微妙な反応を見せるのであった。 そんな中、葵は時彦と天神屋の湯守・静奈が口論する現場に遭遇し……。
時彦の件で葵に興味を持った葉鳥が急接近。 元天神屋の彼の出現で、暁も銀次も微妙な空気の中、今度は、お客様の子供が行方不明になった!? 従業員総出で大捜索することになり、手伝いを申し出をした葵は、暁と一緒に初めて天神屋の地下へと向うことに。
迷子事件を解決した葵だが、次のトラブルに。 夕がおへと戻って来た葵が見つけたのは、妖力を失い子狐の姿となって倒れてしまった、銀次の弱った姿であった。 彼を介抱しているうちに、葵は幼い頃に助けてくれた、白い面のあやかしの姿を思い出す。
従業員のあやかし達とも打ち解け、天神屋で居場所を見つけた葵。 その前に突如して現れたのは、六角折の紋を帆に掲げる折尾屋の宙船。 そして、記憶の中のあやかしを思い起こさせる白い面に長い髪のあやかしの姿だった。
天神屋の好敵手宿である折尾屋へと連れてこられた葵は、捕らえられ座敷牢へと入れられてしまった。 銀次と引き離され、見知らぬ場所で一人になってしまう葵だったが、幼い頃に出会ったあやかしの正体を確かめるため、脱出しようと立ち上がる。
銀次の機転によって、滞在中の松葉の朝食を作ることになった葵。 放っておかれていた旧館の台所を使えることに。 限られた食材で料理を作った葵は、久しぶりに一人ぼっちの夕食を食べるのであった。 その頃、葵と銀次のいなくなった夕がおに灯りが燈り……。
板前の鶴童子達に頼まれ、我儘なお嬢様である淀子の持て成しをすることになった葵。 面白い料理を所望する彼女に葵が振る舞うのは、もんじゃ焼きであった。 始めは怪訝そうな淀子であったが目の前で作られる様子に、興味を持ったようで……。
爆発音を聞きつけて、折尾屋・本館へ戻った葵が目にしたのは、怒りを露わにする松葉とボロボロな葉鳥の姿。 儀式に必要な品の一つ、『天狗の秘酒』を譲って貰おうと、葉鳥が直接交渉したことで松葉の怒りに触れたのである。 葉鳥は松葉の息子だが、どうやら過去に何かあったようで破門の身となっており……。
天狗の親子を仲直りさせ、儀式に必要な品の一つ『天狗の秘酒』を手に入れ喜ぶ葵。 その一方で、都からやってきた貴族の雷獣が葵に興味を持ち、怪しく微笑む。 何も知らない葵は、ノブナガに呼ばれるまま松林の奥へと進み、朽ちた社の前に倒れる、大きな銀色の獣を見つけるのであった。
人魚の鱗を探すことになった葵は、大旦那と共に竜宮城跡へ向かう。 かつて人魚たちが生活を営み栄えていたその地も、今は強い呪いが澱み、あやかしでは短い時間いるだけでも邪気に蝕まれてしまうのだという。 人間の葵と、あやかしの中でも特異な大旦那は、邪気を受け付けることはなかったが、どこからか葵を呼ぶ声に誘われ、二人ははぐれてしまい……。
人魚の鱗を手に入れて、儀式に必要な残りの品は蓬莱の玉の枝のみ。 そんな折、天神屋の元若女将であるお涼が客として折尾屋にやってきた。 束の間の再会を喜ぶ葵だが、ライバル宿の従業員の登場に折尾屋は警戒ムード。 特に若女将のねねは、お涼に思うところがあるようで……?
儀式の料理を思案している葵の前に、突如として現れたのは、妖都の貴族・雷獣。 折尾屋の最上級の客室でもてなされていた雷獣は、儀式のために活躍する葵に興味を持ち、怪しげにまとわりついてきた。 苦手な雷のあやかしから逃げ回る葵に、雷獣の冷たい悪意が向けられる。
海宝の肴の試食会で天狗の秘酒を口にし、急に倒れてしまった葵。 目を覚ました時、喉に違和感を覚える葵だったが、なんと声を出せなくなったうえ、味覚までをも失っていた。 酒のせいではなく、特殊な呪いのせいだとわかるものの、味がわからない葵に、海宝の肴を手がけることはできなくなり……?
蓬莱の玉の枝は、縫ノ陰夫妻が所有する水墨画の中の結界に保管されていたことが判明。 その知らせを受けた葵は、まだ味覚は戻らないものの、白夜の助けを借り、銀次、乱丸、チビとともに水墨画の世界に向かう。
水墨画の世界から戻った葵は、改めて海宝の肴を作ると決意した。 そして花火大会当日。遠くに海坊主の姿を確認する一方で、雷獣の最後の嫌がらせによって押しかけて来たお客に折尾屋は大混乱に。 そこへ天神屋の宙船が現れ、大旦那達が一同の前に降り立った。
神楽殿に炎が灯り、儀式が始まった。 葵は海坊主の為に料理を作り振る舞うが、キュウリの匂いに釣られたチビが海坊主の御簾の中へと入ってしまう。 聞こえてきたチビの悲鳴に、思わず御簾を持ち上げてしまった葵は海坊主の声を聞き、過去の自分と同じ思いを抱えていた事を知る。