とある刑務所内の特別接見室で、宇佐木玲子(米倉涼子)は死刑囚の真里谷(城田優)と接見していた。少年課から捜査一課特殊犯捜査係・SITに配属になったことを伝える玲子に、「日本初の、女性の交渉人誕生だ。おめでとう。君はこれから人の命も操れる」と祝福をささげる真里谷。 そんな中、人質をとっての篭城事件が発生。装備に身を固めながら、玲子らSITのメンバーたちも現場にかけつける。現場に着くなり、SIT2係管理官・片山(高橋克実)と衝突するSIT5係管理官・桐沢(陣内孝則)。ただならぬ緊張感に、新人の甘利(高岡蒼甫)は早くもビビってしまう。 犯人の竹本(高杉亘)は、アパート二階の一室の窓から元妻の母親である人質の中年女性の頭に拳銃を押し付け、興奮状態で顔を出している。「離れろ!!それ以上近づくと、こいつを殺すぞ!!女房に会わせろ!」と叫ぶ竹本。SAT狙撃班がすでに各所に配置され、アパートの四方からは警察隊が迫る中、玲子は静かに犯人の動きを見つめながら心の中でマニュアルを呟く……。 写真 しばらくして、指揮ベースに竹本から電話が入った。対応する木崎(筧利夫)を見ながら、木崎が話すより先に竹本にかけるべき言葉を小さく呟く玲子。まったく同じ内容を呟く玲子に、傍で聞いていた甘利は驚きを隠せない。だが、木崎の「君の力になろう。助けるよ」との問いかけに、竹本は「……あと5分で、人質を撃つ」と電話を切ってしまう。 「変です!」木崎と竹本のやり取りを終始見ていた玲子は叫ぶ。竹本は自分から電話を掛けてきながら要求を言わず、しかも人質を
とある工場の一室で、新たなろう城事件が発生。駆けつけたSITに犯人の男(姜暢雄)は交渉人として玲子(米倉涼子)を指名する。桐沢(陣内孝則)も犯人の要求に応え、玲子をろう城現場へと向かわせる。 「その銃に弾は何発入っている? 7発? 5発かな?」 犯人に問いかけるフリをしながら無線で人質の人数が7人でうち男が5人であることを伝える玲子。拳銃がトカレフであること、あえて銃の専門用語を使って会話をすることで桐沢たちに犯人像を絞り込ませていく。 生意気な玲子に試されている。苛立ちを露にしながらも玲子と犯人のやり取りをどこか楽しげに聞く桐沢。彼もまた次第に玲子の犯人とのスリリングな会話にはまり込んでいた。 冷静に犯人の動きを確認しつつ、その目的を探ろうとする玲子。しかし、男は自分たちの会話が無線で飛ばされていることを察知していた。そんな冷静な態度から犯人は玲子をいたぶることが目的の愉快犯ではないと推理する桐沢ら。本当の目的とは何なのか? その時、犯人が玲子にとんでもない要求を出す。 「脱げ、脱げよ。武器を持ってないことを証明しろ!」 どうやら男は玲子を使って逃げる手段を考えているらしい。木崎(筧利夫)は狙撃手が犯人の頭に照準を合わせたことを無線で玲子に連絡。犯人射殺をにおわせる。 写真 しかし、玲子は「撃たないで」と言いながら、ゆっくりと服を脱ぎ始める。思わぬ成り行きに息を呑む桐沢たち。玲子は犯人にイヤホンやマイクを壊され、桐沢らとのホットラインを失ってしまう。 やがて犯人が元自衛官の佐久間という男であることが判明。
休日。玲子(米倉涼子)は甘利(高岡蒼甫)にデートに誘われ、動物園へ。とはいうものの、玲子は目の前の動物から目を離さず、甘利の言葉にもそっけない返事を返すだけ。動物園にやってきたのも玲子のリクエストだったらしい。 その時、甘利の携帯に、あるカフェに爆弾が仕掛けられ、SITは出動要請に備えるとの緊急招集の連絡が入った。だが、なぜか玲子には連絡はない。玲子は甘利から連絡を受けたふりをして捜査班に連絡を入れるが、管理官・桐沢(陣内孝則)は「お前、今日は休みだろう。ネイルサロンにでも行ってろ」と冷たく言い放つ。 現場のカフェでは、片山(高橋克実)と蓮見(高知東生)が爆発物処理班の到着を待っていた。玲子は桐沢の言葉を無視し、現場へとやってくる。同時に、偶然近くにいたという爆発物処理班の伊豆田(内倉憲二)も姿を現した。 通報によると、爆弾は振動を与えると爆発するタイプらしい。処理班の班長・河相(平賀雅臣)から本隊が到着するまで待機と言われた伊豆田だったが、店の中にいる客を外へ出すため、玲子や蓮見と共に店へと入る。伊豆田は爆弾の位置を確認、写真玲子らは一人ひとりの客をゆっくりと誘導し、店の外へ出していくが、転びそうになった老人客を支えた蓮見は、不自然な態勢で動けなくなってしまう。 そこへ河相らが到着した。すぐに処理を開始し、爆弾のふたを開けることに成功した河相だったが、その瞬間、時限装置にスイッチが入ってしまう。残り時間は9秒! タイマーがカウントダウンを刻み始め、河相は恐怖に顔を歪める。 だが、爆弾の中身はなんと芋羊羹
墨田(笹野高史)がなじみのクラブ『和子』のママ(山下容莉枝)から受け取ったのは、都内に仕掛けられた九つ目の芋羊羹。しかも、本物の爆弾だった。爆弾を手に動くことができない墨田を横目に、ボイスチェンジャーを通して話す犯人と交渉を開始する玲子(米倉涼子)。犯人によると、起爆装置の下にはバイブレーターモードにしてあるトランシーバーが付けられており、犯人がそのトランシーバーに呼びかけると、振動で爆弾が爆発する仕掛けになっているという。犯人は遠隔操作ができる状態なのだ。玲子はさらに交渉を続けようとするが、犯人は「また後で」と言い、通信は切られてしまう。 犯人はこちらの状況をどこかから見ているかもしれない。玲子は犯人との会話を振り返りつつ、犯人像を絞り込み始める。爆弾に詳しい人間ならば、墨田が爆弾を手にしているような、いつ爆発してもいい状況を放っておけるはずがない。犯人は部屋の状況を把握できていないのではないか……。 写真 河相(平賀雅臣)、伊豆田(内倉憲二)ら爆弾処理班も待機する中、犯人から二度目の連絡が入った。玲子の巧妙なやりとりで、やはり犯人はこちらの状況が見えていないことがわかる。そして犯人は爆弾処理班を無能呼ばわりすると、またも通信を切ってしまう。どうやら犯人の目的は、爆弾処理班に対する挑戦らしい。 ボイスチェンジャーの声を解析した結果、犯人は女であることがわかった。クラブ『和子』に向かった蓮見(高知東生)らがホステスを一人ずつ人調べる一方、現場で河相と伊豆田が爆弾処理を始めようとしたその瞬間、再びトランシーバ
年商二千億の大企業トップの息子・本橋和馬(岡田将生)が何者かに誘拐された。玲子(米倉涼子)らSITのメンバーは和馬の自宅へと急行。母親の芳江(山口美也子)は誘拐を知らせる犯人からの電話をとっさに録音していたが、その女性の声には聞き覚えがないという。その中の「探さないで」という表現に疑問を抱く木崎(筧利夫)。営利目的の誘拐ではないのだろうか? 玲子らが犯人からの連絡を待つ中、片山(高橋克実)からの連絡で意外な事実が明らかになった。和馬が担任教師・岡村小百合(井上和香)と一緒に学校から出るところを何人もの生徒が目撃していたのだ。しかも小百合はその日の授業が終わった時点で辞表を提出していた。木崎は、和馬と小百合は交際していたのではないかと芳江に質問するが、芳江は成績もトップクラスの和馬がそんなことをするはずがないと一蹴する。 だが、誘拐ではなく駆け落ちだとしたら、無理心中の可能性もある。捜査本部に緊張が走ったその時、本橋邸の電話が鳴った。写真 芳江を装って電話に出た玲子は、要求を聞きだそうとしながら、小百合ではないかとカマをかけてみる。すると、電話の声はあっさりと自分が小百合であることを認め、身代金3000万円を要求。さらに、縛られた和馬の写真が芳江の携帯電話に送られてきた。 その後、小百合の部屋で金融会社からの督促状が発見される。小百合は事業に失敗した両親の借金を背負ってしまい、連日きびしい取立てに苦しんでいたらしい。やはり小百合による営利誘拐だったのか? 芳江はあっさりと3000万円を用意することに同意するが、大企業ト
飯塚(大東俊介)という青年が何者かに殺害された。飯塚は5年前に機動隊員だった玲子(米倉涼子)の父・修次(陰山泰)が殉職した立てこもり事件で、真里谷(城田優)と共に逮捕された少年グループの一人だった。新聞記事で事件を知った玲子は、一般人を装って飯塚が殺害された現場へと向かう。そこには、新聞記者の工藤(伊武雅刀)の姿もあった。 「殺されちゃいましたねえ、あの、飯塚良博くんが…」と声をかけてくる工藤。どうやら彼も5年前の事件を追っているらしい。しかも工藤は飯塚が殺された約二時間前に飯塚と会っていたという。 欠勤した玲子は、工藤と共に居酒屋へと場所を移す。工藤が録音した飯塚との会話によると、最近、真里谷からラブレターが届き、飯塚はおびえていたらしい。工藤はその手紙が隠されているコインロッカーの鍵を飯塚から預かっていた。 写真 コインロッカーへと向かった二人は、すぐに手紙を確認。確かに差出人は真里谷で、他の仲間にも同じ手紙を送ったと書かれていた。その文字を見ながら、初めて拘置所で真里谷と会った時のことを思い出した玲子は、改めて真里谷への怒りをかみ締める。 翌日、玲子は真里谷が手紙を送ったという田口(斉藤祥太)のもとへと向かう。すっかり更生した田口は、「若者たちよ、あきらめるな」という講演会に参加していた。かつては悪いことばかりしていた自分だが、勇気を持って生まれ変わる決心をした。そう語り、聞いていた若者たちから拍手を浴びる田口に、玲子は「あなたが立ち直れればそれでいいの?」と声をかける。さらに、真里谷からのラブレ
弁護士の野口(平泉成)から呼び出された玲子(米倉涼子)は、真里谷(城田優)の心神喪失が認められ、無罪になる可能性が出てきたことを聞かされる。その上、田口(斉藤祥太)の自殺を止められなかったことを理由に、高林(大杉漣)からSITの任を解かれてしまう。桐沢(陣内孝則)にも庇ってもらえず、悔しさをかみ締める玲子。 そんな中、気象予報士の望月(木原実)が、テレビで突然、真里谷の仲間であった少年たちの名前を口にする。望月は妻を拉致され、無理やりメッセージを読まされることになったらしい。 騒然となる中、玲子は真里谷が出所したら困る人間による仕業ではないかと持論を展開する。そして、SITのメンバーを前に、自分が5年前の立てこもり事件で殉職した機動隊員・矢嶋修次(陰山泰)の娘であり、父の死の真相を探っていることを告白。しかし、桐沢は真里谷が銃撃し、殉職したという以外に疑問はないと玲子を冷たく突き放す。 だが、玲子は独自に捜査を開始。テレビで名前を発表されてしまった3人のうちのひとり・酒井(荒木宏文)に接触を試みるが、酒井は玲子の目の前で白いワゴン車に乗り込み、走り去ってしまう。玲子はその事を片山(高橋克実)に告げるが、その片山からもこの件には警察は一切関知しないと冷たく言われてしまうのだった。 酒井はその後も消息が分からず、中村(倉貫匡弘)や浅川(高橋光臣)も行方不明のまま。玲子は真里谷に思い当たる人物はいないかと尋ねるが、真里谷は「そいつはもうひとりの神になろうとしているのかもね」と答えるだけだった。 写真 そんな中、
玲子(米倉涼子)と澪(林丹丹)、かつての仲間である酒井(荒木宏文)、中村(倉貫匡弘)、浅川(高橋光臣)をある山荘に拉致した北岡(田中圭)は、桐沢(陣内孝則)に電話をかけると、真里谷(城田優)を連れて来ることを要求。北岡の目的は、真里谷らのグループから抜けようとしたためにみんなからリンチを受け、植物状態となったまま死亡した恋人・奈津子の復讐をすることだった。 警視庁では幹部による緊急の対策会議が開かれ、その席で片山(高橋克実)は、一連の事件の概要と、玲子が5年前の立てこもり事件で殉職した矢嶋修次(陰山泰)の娘であることを発表。そんな中、新潟県警から交渉班への協力要請が入る。高林(大杉漣)は指揮官に木崎(筧利夫)を指名、写真桐沢に対し、「君は冷静な判断を欠く可能性がある。あの時と同じ失敗は許されない」と言い放つ。 数時間後、山荘に駆けつけた木崎らの前に玲子が現れる。北岡からの要求を交渉班に伝えつつ、北岡とも巧みに駆け引きを行う玲子。 同じ頃、片山は桐沢に、玲子の父・修次が、警察の不祥事 ―― 自分の同僚が紛失した拳銃が真里谷らの手に渡り、連続殺傷事件が発生、二人の命が奪われたが、警察はその事実を公表しなかったこと ―― を内部告発しようとしていたと告げる。その直後、修次は立てこもり事件で撃たれ、凶器の拳銃は現場の混乱の中、ある人物の命令で、片山が別のものにすり替えていた。事件の真相を知り、怒りに震える桐沢。 山荘では、凍てつく寒さに限界を感じ始めた北岡が、玲子の説得に心が揺れ始めていた…。だがその時、高林ら警視庁