優秀な治癒師を多く抱えるハーゼス王国の片隅、貧民街の廃墟地区。誰も住まなくなったこの場所にひっそりと治療院が佇んでいる。闇営業でヒーラーをしている青年ゼノスを起こし紅茶を淹れるエルフの少女リリ。いつもと同じ一日が始まった。怪我人の治療を終えたゼノスは往診へと出かけ、具合の悪そうな一人の亜人と出会う。
「お前最近何もしていないよな、ぶっちゃけもういらないんだ」パーティから役立たずと言われ、手切れ金として金貨1枚で追放された貧民街出身の治癒師ゼノス。ゼノスが路地を歩いていると、奴隷商から逃げようとして怪我を負ったエルフの少女リリに出会う。
廃墟街に治療院を開業したゼノス。リザードマンの首領ゾフィア、ワーウルフの首領リンガに気に入られたゼノスの元に、今度はオーク族の遣いがやってくる。オーク族の首領であるレーヴェが動けない状態にあるそうだ。嫌な予感を感じつつ、ゼノスはオーク族のアジトへ往診に向かうことに。
鋼鉄の淑女(アイアン・ローズ)と呼ばれる近衛師団の副師団長クリシュナが治療院に迷い込んだ。とある密命で貧民街を捜査をしに来たというクリシュナは、貧民街を悪の巣窟と信じて疑わない。珍しいエルフのリリの姿を見て、ゼノスを誘拐事件の犯人と勘違いしたクリシュナは突然爆煙弾を発射!?
ゼノスを追放したアストンが率いる【黄金の不死鳥(ゴールデンフェニックス)】は、無傷でA級の魔獣を倒す冒険者パーティとして名を馳せていた。貴族からの依頼で魔獣狩りに向かうアストンたちだが、ゼノスがいた頃の様にパーティが機能しない。苛立ちを覚えるアストンは再びゼノスを引き入れるために貧民街に赴くが……