歴史ある皇国パロは、新興国モンゴールの前触れのない侵略により一夜にして陥落した。パロの王位継承者である双子のリンダとレムスは謎の空間転移装置により脱出を図るが、目標を誤り魔物の棲む森「ルード」に送られてしまう。その森で二人をモンゴールの追手から偶然救ったのは、なんと豹頭を持つ謎の戦士であった…。
グインと双子は森で魔物の襲来から辛くも逃げ切るが、モンゴール黒騎士隊に包囲されてしまう。隊長ルトは三人をスタフォロス砦に連行する。砦を預かり黒伯爵と恐れられるヴァーノンの座興でグインは巨大灰色猿と戦い危機一髪勝利する。収まらないヴァーノンは次に囚人イシュトヴァーンをグインと戦わせようとするが…。
スタフォロス砦で、リンダはグイン、レムスとは別の牢に入れられていたが、そこで猿人セム族の少女スニと出会う。一方グインたちが隣牢のイシュトヴァーンと言葉を交わしている最中、猿人カロイ族が奇襲した砦は炎に包まれる。グインたちはモンゴール兵士オロに助けられ牢獄から脱出、黒伯爵ヴァーノンと対決を迎える…。
グインたちはモンゴール領を離れるべく「死の河ケス」を下ることを決意した。だが、それをモンゴール大公の娘、右府将軍アムネリスは見逃さなかった。その中、自分の運を開く「光の公女」を探していたイシュトヴァーンは、それがリンダではないかと感じていた。ある夜、何かに憑依された彼女が彼に不気味な予言をして…。
アムネリスに青騎士隊長マルス伯爵がグインの力試しを願い出た。そしてマルスがグインの底知れぬ力を感じていたその時、リンダとレムスが捕らえられ人質になってしまう。ついにパロの二粒の真珠はモンゴール大公の娘アムネリスと宿命の出会いを果たそうとしていた。そんなアムネリスが出会うのは二人だけではなかった…。
イシュトヴァーンの機知により、アムネリスの陣を脱出したグインたちだったが、赤騎士隊に追い詰められてしまった。リンダたちをスニの村へ無事送るため単身追手を食い止めるグイン。そしてスニの村に入ったグインたちであったが、そこに待っていたのはモンゴール軍が一万五千の大軍勢を結集させたとの知らせであった…。
一万五千のモンゴール軍に対する五百のセム族は地の利を活かしながら決死の奇襲を仕掛けるが圧倒的な戦力差はいかんともし難かった。だがグインの予想もしない作戦で戦況は一変した。誘き寄せられたモンゴール軍はノスフェラスの謎の生き物「イド」により壊滅的な大打撃を受け、グインとセム族は奇跡的な勝利をつかみ…。
戦局を転換させたセム族であったが、モンゴール軍をノスフェラスから撤退させることはできず、敵も次の好機を窺っていた。圧倒的な戦力差の先に待つものを感じ、セムたちに問いかけるグイン。そしてグインはノスフェラスの民であり、住処の知れない「幻の巨人族」ラゴンに味方になってもらうよう頼みに行くと告白して…。
巨人族ラゴンの村でグインは盗人と誤解され牢に入れられていた。使命を果たすために族長である賢者カーに対し勇者ドードーとの決闘を願い出、牢を出るグイン。一方、グインの作戦でモンゴール青騎士隊に潜入していたイシュトヴァーンは、隊長マルスに近づいていた。その彼にマルスは我が子の面影を重ねていた…。
モンゴール軍はセム族一掃のため、全軍総攻撃を仕掛けた。指揮官グイン不在のセムたちにとって、この攻撃を阻む手立てはなく、次々と「赤きサソリ」の餌食となっていった。そして、この状況を不利と見切ったイシュトヴァーンは「未来の王」として生き延びるため、一人戦場から荒野に向けて馬を出す。リンダを残して…。
ノスフェラス制圧からの撤退を余儀なくされたモンゴール大公ヴラドは、娘のアムネリスに対し「パロへ嫁げ」と命じる。それは占領中のパロを完全に治めるための政略結婚であった。アムネリスは相手がクリスタル公アルド・ナリスであることをまだ知らない。一方、グインは「ノスフェラスの王」となるように懇願されるが…。
パロ奪回のためクリスタルに潜んでいたアルド・ナリスは内通により捕らわれた。そんなアルド・ナリスを救出する決意をスカールは固める。またアルゴスに向かうレムスは謎のドクロの怪人の声を聞く。一方、花嫁としてクリスタルへ向かったアムネリスをアストリアスが追う。運命に吹く激動の風をそれぞれが感じていた…。
グインたちはケス河を下りレント海の港町ロスに到着。ここでアルゴスに向かうため大海を渡る船を探す。片や政略結婚のためパロに乗り込んできたアムネリスに婚約相手アルド・ナリスは「パロの秘密、古代機械を見せてあげる」と謎の部屋へ彼女を誘う。一人ヤヌスの塔へ向かうアムネリスがそこで出会うものは…。
グインたちが乗船した船は海賊船「ガルムの首」だった。その夜、海賊たちは彼らの寝込みを襲い船上で争いが起きる。その最中、大きな光の船がどこからともなく現われ、海賊船めがけて突入してくる。そして船は一瞬にして消え去りグインもその姿を消した。グインが衝突の前に発した「ランドック」という言葉を残して…。
グインが消え去った嵐から10日目。スニとレムスが前方に島を発見、一行は海賊たちの目を盗み上陸を試みる。グインを失った寂しさを隠さないリンダと彼女にこれまで抱いたことのない感情を覚えるイシュトヴァーン。一方婚礼を控えたアムネリスは、アルド・ナリスとの出会いで自分が女であることの喜びに浸っていた…。
島の洞窟でグインたちが遭遇したものは、内部に様々な色の光をたたえる巨大な塊のような物体であった。一方アムネリスがナリスと恋に落ちたことを知った大公ヴラドは、モンゴールの支配を危ぶみナリスを婚儀の後に殺害することを計画し、アムネリスの弟マリウスをケイロニアの皇女シルヴィアと婚約させようと画策して…。
吟遊詩人マリウスの歌に孤独を癒されたモンゴール公子ミアイルは、彼を実の兄のように慕い始めていた。またマリウスも彼に幼き自分の姿を見る。二人には敵国の間を超えた心の絆が生まれていた。しかしアルド・ナリスはマリウスにミアイルを殺害せよ伝令する。マリウスはパロへの忠誠とミアイルとの友情の間で揺れ動く…。
パロ、クリスタル公アルド・ナリスとモンゴール公女アムネリスの婚礼の日。ヴァレリウスの声で婚礼に突入したアストリアスの剣はナリスを狙う。愛するナリスとの結婚という幸せの絶頂に飛び込んできた凶刃。婚礼はアムネリスの絶叫で幕を閉じた。そしてその直後、アムネリスの前にもう一つの報が届けられるのであった…。
正装をまとったリンダの姿に息を呑んだイシュトヴァーン。だが、彼は同時に王族である彼女と自分の間に埋めがたい溝を感じる。そして自らの思いを告白しようと二人だけで丘の上に立った。そんな頃、パロの首都クリスタルではサリアの塔で暗殺された「アルド・ナリスの亡霊」がでるとの噂が立ち上っていた…。
沿海州六カ国代表はモンゴール討伐のため海軍出動を決議した。だが全会一致の決議の裏には各国の思惑が隠されていた。そして開戦を祝賀する街の様子を、宿屋の窓から眺めていたイシュトヴァーンは、この戦で自らの未来を掴むことを自らに言い聞かせる。そんな時、人目を避け路地に消える男の姿が彼の目にとまり…。
クリスタルの南ではパロの学生たちが祖国をモンゴールから奪還するため蜂起。二万人の市民とアルカンドロス広場に集結したが、モンゴール黒騎士隊により鎮圧されていく。その時、パロ聖騎士の騎馬隊千五百が颯爽と駆けてきた。そしてついに聖騎士のリーダーが兜を取る。静まる一同、中には涙を流す者も。その男の名は…。
愛するナリスとミアイルを失いモンゴールに戻った失意のアムネリスに衝撃の事実が伝えられた。パロ、クリスタルの反乱を指揮していたのは「死んだはずのアルド・ナリス」なのだと。裏切られたにも関わらずナリスとの甘美な思い出を捨てられない自らの惨めな女心を封印するため、アムネリスは自らの髪を切り復讐を誓い…。
三万のパロ軍勢はクリスタル奪還後、モンゴールを陥落させるべく、トーラスを目指していた。そんなある夜、イシュトヴァーンは尊敬するアルド・ナリスがリンダを妻にすると決めていることを知り衝撃を受ける。そして彼は一人誓う。自分がリンダを手にいれる方法は、他国の王としてパロを征服し、力づくで奪うことだと…。
パロ・アルゴス連合軍、沿海諸国軍によりモンゴールは完全に包囲された。滅亡を予感しつつ、せめてアルド・ナリスに一太刀をと望むアムネリスだったが、父ヴラド急逝の報がその想いを打ち砕き、トーラスへの帰還を余儀なくされる。そして孤独な道の先には同盟国であるはずのクムが五万の兵で待ち構えていたのだった…。
スカールはアルゴスへ戻ると一万八千の騎馬の民と去った。ナリスは彼が目指すのはノスフェラスではと直感する。一方、モンゴールを裏切ったクムではタリオ大公が捕虜アムネリスに「クムの傀儡となれ」と迫る。そしてアムネリスは、第二王子タル・サンと第三王子タリクの視線が自分に注がれているのを感じていた…。
クリスタルは新王となるレムスの帰還を出迎えるパロ国民で溢れ返っていた。しかし多くの歓声はナリスやリンダに向けられ、孤独の色を強めるレムス。その歓声の影でグインはその場を静かに立ち去る。そしてパロに新しい歴史を刻む戴冠式の日がきた。その日、一人荒野を北に向うグインの前にイシュトヴァ−ンが現われる…。