悩み、苦しみ抜いたすえ、音姫はついに桜を枯らした。 そして桜の花びらが四散すると同時に、義之も消える……はずだった。 実際は、彼の体はなぜか翌朝になってもまだ存在していた。 しかし、このまま消えずに済むとは思えない。 近いうちに訪れる、初音島から全ての桜が消えるその日が、自分にとっても最後の日となるかもしれない。 それは覚悟していることとはいえ、どうしても寂しさが募ってしまう。 さまざまな考えを頭に巡らせながら登校した義之は、その後の休み時間中、廊下で音姫と出くわす。 どんな言葉をかけるべきかわからないが、せめて笑顔で彼女に挨拶をしようとする義之。 しかし音姫は、何も返さずただ彼の横を通り過ぎるだけ。 その心は、義之を犠牲にしたという罪悪感と後悔に支配されていた。 だがその直後、2人は音姫とともにいた生徒会仲間のまゆきから衝撃の言葉を聞く。 彼女が、義之を見ても誰だかわからなくなっていたのだ。
人々の記憶から、義之の存在が消えていく。 音姫はその事実にひどく落ち込むものの、何とか解決策を見つけようと学園の図書室で調べ物に明け暮れた。 そんなとき、読書レポートのため図書室を訪れていた由夢が音姫のもとへやってきた。 義之との別れの日が近いことを察していた彼女は、姉に対し義之と悔いのない生活を送るよう諭す。 しかし、音姫にとって後悔しないこととは、義之を救う策を見つけることだった。 それぞれの道で残りの日を過ごそうとする音姫と由夢。 だがその間にも、義之は次々と辛い事実に直面していた。 麻耶、ななか、そして杏や茜でさえも彼のことを忘れてし