初音島に寒さが訪れた12月のある朝、眠りからなかなか覚めずにいた義之は、耳元で音姫と由夢がささやく声を聞く。 それに気付き、義之がぼんやりと目を開けると……なんと2人も義之のベッドにいた。 聞けばいつも3人で一緒に寝ているというのだが、義之には覚えがない。 状況を把握できていない彼に対し、音姫と由夢は「お仕置き」と称して、かわいらしい唇を近づけていく……。
ところが、実際に義之の顔に触れたのは、さくらが押し当てた熱い缶コーヒーだった。 あまりの熱さにたちまち目覚めた彼は、先ほどの光景が夢だったと理解する。 そもそも、音姫と由夢は幼なじみで姉妹同然の間柄。あのような甘い出来事があるはずがないのだ。 頭のモヤを振り切った義之は、登校の準備を整え家を出る。そこには、夢とは違ういつもの音姫と由夢が迎えに来ていた。 そしていつものように、3人は桜並木を歩き風見学園へと向かうのだった。
その後、義之が在籍する3年3組では、今月開催予定のクリスマスパーティーにおけるクラスの催し物を決める会議が行われた。 11月から議題に上がりながらもまだ決定していなかったため、委員長の麻耶は焦りと苛立ちを隠しきれない。 そんなとき、杏が人形劇を、杉並がお化け屋敷を提案。 多数決の末、ついに人形劇に決まったのだが、すでにシナリオを完成させているという杏の権限で、主人公は義之、ヒロインは小恋となってしまった。 しかも内容は恋愛もの。かつてお互いの気持ちがすれ違った経験のある2人にとっては気まずさがある。 だが、今は仲のいい友達関係を保っている彼らは、気持ちを切り