樹多村光と、月島四姉妹は幼なじみ。しっかりものの長女、一葉。明るく素直な次女、若葉。ちょっぴり無愛想な三女、青葉。元気いっぱいの四女、紅葉。そんな夏のある日。若葉は、光と夏祭りに行く約束をして、キャンプに出かける。数日後、光が何気なくつけた高校野球に流れてくるニュース。光は耳を疑うが…。
中学3年生になった光。中西や赤石、青葉も同じ中学に入っていた。野球部には、女子ながら男子顔負けの実力でエースとして活躍する青葉と、キャプテンとなりチームを引っ張る赤石がいた。そんな中、光と中西は草野球でピッチャーの青葉と対決することに。勝負に勝った青葉ではあるが、光の野球のセンスを認め始めて…。
季節は秋。野球部では引退が近い、赤石、千田たち3年生が高等部の野球部を気にし始めていた。高等部の野球部は、巻原たちが牛耳っており、悪い噂ばかりが流れている。お調子者の千田は、巻原たちに取り入ろうと、ゴマすりに奔走するのだった。光と中西は、小学生のときの友人と久しぶりに草野球をすることに…。
通学の電車で鉢合わせになる光と青葉。光の姿を見つけたとたん、青葉は他の車両に移ってしまう。車中、友人とお喋りをしていた青葉は、何気なく眺めていた窓外に強盗らしき姿を見つける。動体視力の優れた青葉だけが気づいたようだった。青葉は、強盗の人影を見た場所へと、わき目もふらずに駆け出すが…。
年末、両親が旅行に出てしまい、光は一人家で過ごすことに。月島家では、病気の紅葉と看病をする青葉を残し、清次と一葉は田舎に帰る。大晦日でも光、赤石、中西はトレーニングを続けていた。一方、紅葉にお粥を作ろうと、慣れない家事をする青葉。うまく作れずに悩んでいると、光が買物袋をさげてやってきて…。
4月、星秀学園高等部に入学した光、赤石、中西。高等部の野球部では、新監督大門の方針で、野球留学生とテストに合格した者のみが1軍、それ以外を2軍として別けられていた。2軍は部室がなく、プレハブを拠点としているので、「プレハブ組」と呼ばれていた。光、赤石、中西の三人はプレハブ組に所属することになり…。
大門が選手の将来よりもチームの成績を優先してきたことを聞き、追い出そう、と言い放つ赤石。中等部に視察にきた大門は、青葉のピッチングに目を付け、バッティングピッチャーとして1軍の練習に連れてくる。青葉が酷使されていることを聞き、1軍の練習場に向かった光、赤石、中西は、大門に事実上の宣戦布告をして…。
1軍との練習試合のスターティングメンバーが発表された。前野監督、赤石は光に期待する。そして、その他のメンバーも光に期待を寄せるようになっていく。1軍の実力、周りからの期待にプレッシャーを感じた光は、青葉に会いにいく。光の投球を受け、意見を求められた青葉は、「まぁまぁ」と答えるのだった…。
1軍とプレハブ組との試合。1軍の先発は千田。プレハブ組の3年生は力んで三者凡退に倒れる。1回裏、光がマウンドにあがる。光は青葉のメモを参考に1、2番を打ち取る。2回表、光、赤石がそれぞれホームランを打ち、プレハブ組が3点を先制する。2回裏、真っ向勝負を挑んだ光は東にホームランを打たれてしまうが…。
光は、神川のストレートを打ち返し3塁打を放つものの、疲労の色が濃くなる。4回表は東の打順から。2打席連続でホームランを浴び、1軍に逆転される光。神川の投球にプレハブ組は簡単に打ち取られ、光は休む時間が取れない。疲労がピークに達し投球が乱れ始めた光は、コントロールを捨ててスピードに専念して…。
プレハブ組と1軍との試合は7回裏を迎え、3対5と1軍がリードをしている。疲労から投球が崩れたかに見えた光ではあったが、スピードに専念してからは立ち直り、1軍打者を3者3振にする。そして、光がサイクルヒット達成となる一打を放ち、同点とするプレハブ組。9回裏、光は東と4度目の対決をすることに…。
1軍との試合を終えたある日。光と千田は中等部の練習試合を見にいく。ピッチャーの青葉は、相手打線を完璧に抑え、わざと打たれるくらいの余裕を見せる。試合は青葉の好投で星秀学園中等部が勝利する。帰り道、光は雑貨屋であるものを見つけて立ち止まる。一方、千田は自宅の前でいとこの小金沢みどりと出くわすが…。
夏の地区予選が始まった。大門監督率いる星秀学園は、初戦、2回戦ともに圧勝する。4番で大活躍した東は、記者の取材を受けるなど騒ぎ立てられるが、そんなことよりもプレハブ組の光のことが気になって仕方がない。地区予選で快進撃を続けている1軍。だが、東と三木だけは大門監督の采配に次第に不信感を持ち始めて…。
地区予選、ベスト8を掛けた試合。星秀学園は大門監督の不条理な采配で負けてしまう。観戦していた青葉は東の兄、純平と知り合う。弟とはまったく似ていない純平に驚く青葉。そんな中、プールに出かけた青葉に忘れ物を届けるよう頼まれた光。届けに行った先で、光は青葉に付きまとうボクシング部の男に絡まれてしまい…。
夏の大会が終わり、他校と練習試合を盛んに行う光たちプレハブ組。今がプレハブ組を追い出すチャンスと校長代理は前野監督にクビを宣告するが、逆に前野監督は1軍の大門監督と互いのクビをかけた試合を提案する。普段は穏やかだが、一転して厳しい練習を課す前野監督。一方、1軍の東は大門監督にあることを告げる…。
いよいよプレハブ組と1軍との試合。試合が始まり、マウンドには光。1軍の1番から3番までの中3トリオに3連打を浴び、ノーアウト満塁のピンチに見舞われる。が、その後の打者を3者3振にとり、ピンチをしのぐ。前野の提案を受けて、この試合にクビをかけたはずの大門だが、実はそんなつもりは微塵もなく…。
プレハブ組と1軍との試合は、プレハブ組の勝利に終わった。試合に負けた1軍は解体され、校長代理と大門監督、そして野球留学生たちも去っていった。秋季大会の準決勝の試合。大門が去っても、東は星秀学園に残ることを選んでいた。東が加わったことで他の選手が刺激され、より練習に熱が入るようになっていたが…。
野球部のマネージャーを続けていた理沙は、光を巻き込んでの努力が実り、映画のオーディションで最終選考まで残った。最後の選考は野球の実技が重視されると聞き、光を相手にピッチングの練習を始める。一方、青葉に再び勝負を挑みにきた小金沢みどりは、青葉に付きまとい、自宅のバッティングセンターまで付いてくるが…。
若葉の母親の実家を訪れた樹多村家と月島家。アルバムを見ながら若葉が生きていた頃を思い出す光と青葉。翌日、若葉との思い出が残る木を見に登った裏山で、光は「あさみ みずき」という聞き覚えのある名の少年に出会う。その後、光は東と月島バッティングセンターに向かう途中で、その少年と再会するが…。
星秀学園高等部に進学をした青葉。朝見水輝も星秀学園に入学をしていて、女生徒の注目の的となっていた。水輝は青葉の従姉妹ということもあり、月島家に居候をすることに。青葉と一つ屋根の下で暮らすことを気にする光や東たち。青葉は野球部に入部する。そんな中、水輝に告白された青葉は彼を意識するようになるが…。
青葉と水輝が付き合っていると噂が流れた。水輝は満更でもない様子。青葉の入部、東の加入で更に熱気を帯びるようになった野球部。水輝は青葉を誘って映画に行くことに。どこか上の空の青葉を心配する水輝。帰り道、偶然会った光と口論する青葉。その後、普段通りに戻った青葉を見て、水輝は光に少し嫉妬をして…。
青葉にチームに加わって欲しいとお願いでするために小金沢みどりがやってきた。みどりの所属する里美女子高校が女子野球の強豪、桜花女子大学と練習試合をするという。強豪相手に良い試合をしたいということで、青葉に助っ人をお願いしにきたとのこと。だが、青葉は星秀学園の部員であるという負い目から断ってしまい…。
みどりの頼みを聞いて里美女子高と桜花女子大の練習試合に助っ人として参加した青葉はセンターを守ることに。初回から連打を浴び、里美女子高は3点を奪われてしまう。打っては、エースの沢口に凡打を重ねる青葉たち。このままではコールド負けというピンチの中、青葉がマウンドに。青葉は打者を抑え、ピンチを凌ぎ…。
強豪、竜旺学院の練習試合を観にきた光たち。そこで三木と再会した東は、グラウンドでの再会を約束する。そして竜旺学院は圧倒的な強さを見せつけていたが、その中でも三島敬太郎のプレーに見入る光と東。人の名前を覚えない東が、シニアリーグで1度だけ会った三島の名前を覚えていた…。夏の地区予選始まった…。
星秀学園は初戦を圧勝した。そして練習中、フィールディングがうまくない光のプレーにケチをつける青葉。光をけなす青葉と、「光ならできる!」と励ます若葉。光は、若葉に励まされると大抵のことが実現できていたと思い返す。2回戦の相手は、データ野球の参能高校。参能は、星秀学園の弱点を突いて、1点を先制して…。
星秀学園対参能高校戦は5回を迎え、1対0で参能がリード。参能はバント攻めを続け、光のスタミナを削ろうとするが、光の豪速球はバントすら許さぬ威力で、参能の打者を次々とアウトにしてゆく。光の投球はマスコミに注目され始め、取材を受けるほどになっていた。そして、遂に竜旺学院との試合を迎える…。
竜旺学院との試合の前日。光たちは試合に備えて気持ちを高めていた。そして、ベンチに入れない青葉は、応援の準備をするのだった。後攻の竜旺学院は、マウンドにはエースの松島、ファーストは4番の志摩野。そのスターティングメンバーの中に三島の名前が無いことを知った光と東は、チャンスを見出していた…。
光が5回までで8奪三振の好投。竜旺学院の面々は光と東の実力に圧倒されていた。だが、三島と及川はその試合を楽しんでいた。試合は投手戦となり、1対0で星秀学園がリードのまま、7回の表の星秀学園の攻撃。光と東の実力に嫉妬した志摩野が守備で無謀なプレーをして負傷交代をする。代わって守備に付くのは三島で…。
光と三島の2度目の対決。光はコントロールを捨て、スピードに専念をする。三島は、前の打席でバックスクリーンにホームランを打ったものの、この打席では、光の球威に押されていた。そして、三島の打った打球がピッチャーライナーとなり、勝負は光に軍配が上がる。後続打者を打ち取り、試合は延長戦へと突入して…。
練習からの帰り道、光と東は、若葉そっくりの女性、滝川あかねと会う。工事が終わり次第、樹多村家の隣に越してくる予定だと言う。若葉が生きていて、まるで成長したかのような姿のあかね。光は、若葉との過ぎた日々を思い出す…。
若葉の命日が迫り、想いを馳せる、青葉や一葉、紅葉。夏祭り当日、光は若葉の墓前に近況を報告しにいく。立ち去ろうとした時、光の目の前にあかねが現れる。光とあかねは、成り行きで一緒に夏祭りをまわることに。はしゃぐあかねに、若葉の姿を重ねる光。その姿を見かけた青葉は、若葉と瓜二つのあかねの容姿に驚く…。
光や青葉の周りでは、あかねがどれだけ若葉に似ているかという話題で持ち切りとなる。滝川家の工事が終わり、樹多村家の隣に引っ越してくるあかね。近所ということもあり、あかねは樹多村家や月島家と接するようになる。光とあかねが近づくことを面白く感じていない青葉は、あかねに対して刺のある態度で接してしまい…。
秋季大会が始まり、初戦を難なく通過する星秀学園。暴漢から助けてもらったお礼をしようと、あかねは青葉にプレゼントを用意する。青葉のような妹が欲しかったと呟くあかねを複雑な心境で見つめる光。そしてあかねと光は、プレゼントを渡そうと自宅に青葉を訪ねる。そこであかねは、亡くなった若葉のことを知り…。
光は、年越しそばで人手の足りない「そば処滝川」の手伝いをすることに。出前で行った月島家で、そのことで光は青葉に罵倒される。青葉には、光とあかねの距離が縮まることが面白くない。そんな中、光、赤石、中西の三人は初詣に出かける。そこで、純平と一葉がスリに遭い、光たちが追いかけることに…。
あかねの書いた絵がコンクールでグランプリとなり、夏の甲子園のスクリーンに映し出されることに。光に、絵のモデルが青葉だと言われても素直に喜べない青葉。青葉は、甲子園と女子野球との間で思い悩んでいた。そしてバレンタイン。青葉と一緒になった光はチョコの話題となる。そこにあかねも加わり微妙な空気となる…。
女子野球代表セレクションを受けることに決めた青葉。会場までの車中には、里見女子高校の松山や小島、みどりの姿も。自分と同じ女子選手たちに囲まれ、青葉は車中を楽しんでいた。会場に着いた青葉は、以前対戦した桜花女子大の尾崎と沢口にも出会う。ホームランを打たれた記憶が蘇り、青葉は悔しさに唇をかみ締めて…。
練習中、東の打った打球が足にあたり、入院してしまう青葉。青葉は、女子野球セレクションを途中辞退することになってしまう。東はそのことに責任を感じてしまい、練習に全く気が入らない。そんな中、純平は一葉を浜辺に連れ出し二人きりとなる。思いつめた表情の純平は話しを切り出し、一葉にあることを伝えるのだが…。
甲子園春の大会で活躍する竜旺学院。及川、三島がチームの中心となり、竜旺学院史上最強チームと言い放つ寺田監督。そして赤石の取り計らいで、光とあかねは二人で歌舞伎を見に行くことに。あかねとのデートを終えた光は、赤石の家に向かう。赤石にデートの顛末を話した後、光は赤石にあかねからのプレゼントを渡す…。
春になり、星秀学園の野球部に新入生が入ってくる。光たちは3年生となり、最後の夏を目指して一層練習に気合が入る。光は、青葉から変化球を教わり、短時間で吸収していく。純平と一葉のこともあり、喫茶「クローバー」はアルバイトを募集する。そこになんと、早速あかねが応募してきて、即日採用されることに…。
青葉に女子日本代表の監督から、日本代表合宿に参加して欲しいと連絡が入る。女子日本代表へのチャンスが巡ってきて、思い悩む青葉。一方、一葉は純平に結婚の条件として、星秀学園が甲子園に行くことを挙げる。熱血指導を始めた純平を腰を痛めてしまった前野監督は、打撃コーチとして迎え入れることに…。
純平、青葉の指導で、着実に実力をつけていく星秀学園野球部。光と若葉の誕生日。光はいつもと同じように、若葉の墓参りに出かける。墓前で若葉の父、清次と出会い、あることを話す。あかねは光のため、半日がかりで誕生日ケーキを作る。喜んで食べる光。だが、食べ終えて満腹のところに、青葉もケーキを持ってきて…。
星秀学園野球部は、合宿入りを前にして、1日練習を休みとなった。光たち3年生にとっては最後の大会ということもあり、強い想いを持っていた。そして光と赤石は、二人でピッチング練習をしながら、若葉へ想いを馳せる。そんな中、青葉のもとに、女子野球日本代表セレクションで一緒だった尾崎が訪ねてきて…。
いよいよ夏の大会の開会式を迎える。東純平と青葉は、星秀学園野球部で1軍の監督をしていた大門と偶然出会う。今は黒駒実業の監督をしており、順当に行けば2回戦で星秀学園と対戦することになっていた。以前と変わらない横柄な態度で純平たちに接してくる大門。そして、星秀学園は1回戦をコールドで勝利して…。
三木が所属する無名校の都立瀬名が、大門率いる黒駒実業を接戦の末に破り、星秀学園と2回戦で対戦することに決まる。試合当日。星秀学園のピッチャー、光は順調な立ち上がりで、初回を無失点に抑える。三木も粘り強いピッチングで星秀学園を無失点に押さえる。そして、両校とも無失点のまま、試合は終盤に突入する…。
星秀学園野球部は、夏の大会地区予選を順調に勝ち進み、3回戦を突破する。光は、コントロールを犠牲にしてでも球威を上げることに拘っていた。試合を重ねるごとに球速が上がっていく、光の投球。そんな中、あかねはベスト8をかけた試合にも姿を現さなかった。そして赤石からあかねが入院していたことを知らされて…。
あかねは、光が見舞いにきていないことを気にする青葉に、決勝戦が終わったらデートをする約束をしたと明かす。そして準決勝の相手は、西倉高校。初回、千田がソロホームランを打ち、星秀が試合の流れをつかむかと思いきや、後続を難なく絶たれる。その裏の西倉の攻撃で、すぐに同点に追いつかれてしまい…。
あかねを見舞いにいった光は、あかねが決勝戦の当日に手術であることを聞き出す。決勝戦の後に約束していたデートを延期する、あかね。そして、光に、青葉には本当のことを伝えてほしい、と言う。光は、青葉を若葉の墓参りに誘う。若葉の墓前で、光はあかねの手術のことを青葉に伝える。
地区大会決勝戦当日。試合に先駆け、あかねの手術が始まる。青葉はあかねの手術を見届けるために病院へと向かう。先攻は星秀学園。竜旺学院の及川の巧みなピッチングに星秀は三者凡退に倒れる。その裏、マウンドには光。暴投すれすれだったが、球速は156キロ。どよめくスタンドを他所に150キロ越えを連発して…。
星秀学園と竜旺学院の試合は1点差のまま最終回に進み、竜旺学院が同点に追いつき、延長戦へと突入した。延長に入っても、光と及川の好投は続き、1点を争う展開が続く。12回表。敬遠の東を1塁に置いて、バスターを仕掛けた赤石だが、ゲッツーという最悪の結果を迎える。星秀に嫌な空気が流れる中、打席に光が立つ…。
延長12回表。光の活躍で、星秀学園が1点を勝ち越す。しかし、光には疲れが見え始めていた。ツーアウトをとるものの、同点のランナーを1塁に置いて、打席に迎えるのは三島。最後の力を振り絞り、158キロの速球を連発する光。三島も負けじとホームランと紙一重の打球を打ち返す。光は渾身の1球で勝負に出るが…。