荒城ユキヤ。DJ・Y’s《ワイズ》として音楽に没頭する中学3年生。 わけあって幼い頃から他人と手を繋ぐことを禁じられ、 人付き合いも苦手なまま今に至る。 ある日、趣味のDJを生配信すべく向かったのは、こことは別の『あちら側の世界』。 しかしそこは、ユキヤにとって立ち入ることを禁じられた場所だった。
土佐堀ハルカ。ユキヤの幼馴染。その日、ハルカの妙案は大成功を収めた。 『ジグラート』からの動画配信――― ユキヤ扮するY’s《ワイズ》の演奏は多くの人の目に留まり話題となった。 だが、ほどなくして謎の少年少女からの襲撃に見舞われる。 彼らの狙いは、ユキヤの異能力だった。
荒城レイジロウ。ユキヤの父。 かつての自分と同じ失敗はさせたくない…… その想いから、息子に言い聞かせてきた言葉。 「手を繋ぐな。繋いだ相手が不幸になる。お前もだ」 しかしユキヤは手を繋いだ。異能力は周知され、存在を狙われている。 燻ぶりを胸に、レイジロウは昔馴染みの集うカフェへと赴く。
“『ジグラート』にいるかもしれない人を、探してほしい” それは、ユキヤの力でしかできない事だった。 今まで疎ましく思っていた自分の能力が、 はじめて役に立つかもしれないと可能性を感じるユキヤ。 だがそれは同時に、ユキヤや周りの人たちを 危険に巻き込んでしまうことを意味していた。
ユキヤの能力を狙う、パイルとコネクトが共闘し奇襲をかけてきた。 敵の猛攻に逃げ場なく、追い込まれるユキヤ。 戦いに負ければ二度と『ジグラート』へ行くことはできなくなってしまう。 絶対絶命のピンチ。 その時、ユキヤの手を握る者が現れる。 それはまるで、噛み合う歯車のようであり……。
遂にユキヤの中学校にまで乗り込んできたコネクト。 ハルカを巻き込み、戦闘は激化していく。 コネクトが繰り出した執念の一撃を、奇跡的に討ち返したユキヤ。 ひとりでは乗り超えられなかったかもしれないこの戦いを経て、 ユキヤの中で何かが変わりつつあった。
望まない力。あの世界。願いをかけた戦い……己の居場所。 そのすべてから逃げてきたこれまでの自分と向き合い始めるユキヤ。 間もなく開催される中学の音楽祭で、DJステージの出演を申し込む。 それはユキヤにとって、本当の自分で臨む、決意のあらわれであった。
文幸=ニールセンは見定めようとしていた。 Y’s《ワイズ》の仮面を脱いだ、素顔の荒城ユキヤの音楽を。 ユキヤは決意していた。ハルカへの「嘘」ではない、本音を伝えることを。 ハルカも決意していた。ユキヤへの「嘘」ではない、本音を伝えることを。 やがて喧騒は止み、ステージの幕が上がる。
あの音楽祭以降、ハルカとの連絡が付かない。 伝えたい想いを内に秘めたまま待ち続けるユキヤのもとに、1本の電話が入る。 大企業・奥池グループ。その取締役である奥池ミドリ直々の呼び出しであった。 ミドリの提案は、ユキヤの異能力を活かしたエネルギー資源の開発計画。 その計画への協力要請だった。
気づいていた。でも見ないふりをしていた。 怖かったんだ。傷つくことが。 今は違う。前を向く覚悟はできた―。 自分の本当の気持ちをハルカに伝えるため、奥池へ向かう決意をしたユキヤ。 自責の念から単独での行動を決めるが、そこに待ち受けていたのは父親・レイジロウだった。
イレギュラーな存在は世界の均衡を崩す。 文幸=ニールセンはその均衡を守る監視者だった。 ユキヤが何を願って戦うのか、彼は知る必要があった。 内容次第では、ユキヤを排除しなければならない。 全力で、潰す―。 脳裏をかすめた“10年前”のあの瞬間を払い捨て、彼はユキヤたちの前に立ちはだかった。
動き出したミドリ達を説得するため、奥池に乗り込んだユキヤとハルカ。 自分たちの力なら彼の願いを叶えられる― 全ての解決を願っての行動だった。 だが、説得もむなしくミドリ達の猛攻に撤退を余儀なくされてしまう。 僕が神に願う“コト”なんて、もうない。 ―そう、これは復讐 だ―
僕だけじゃ勝てない・・・でも・・・! 大勢のハンドシェイカーを使って攻撃をしかけてくる奥池の対抗手段としてユキヤが提案したのは、かつて戦った仲間たちとの総力戦だった。 一つに重なった心が大きな力となり・・・ ユキヤの願いをかけた最後の戦いが、今、始まる―!!