黒船来航から三年後の安政三年(1856年)。薩摩藩士の娘敬子(菅野美穂)は、藩主の命で将軍・家定(北村一輝)のために大奥に差し出された。相思相愛の若い藩士・東郷克顕(原田龍二)との仲を引き裂かれた敬子は、江戸に向かう日、自害を図ろうとするが克顕が止める。克顕は、「時代は変わる。救い出す日が来るまで生き延びて」と言った。 敬子は名前も御台所・篤子と改め、大奥の人となった。そこは将軍の夫人、側室、世話する女中ら、将軍以外は女ばかり約千人もが暮らす江戸城内の別世界だ。万事を総取締の瀧山(浅野ゆう子)が仕切るが、起床ひとつ自由に出来ず、手洗いの中にまでお付きが入る。薩摩でのびのびと育った篤子には耐えられない日々だった。
将軍家定(北村一輝)の御台所となった篤子(菅野美穂)と、大奥総取締の瀧山(浅野ゆう子)が激しく対立するなかで、瀧山の篤子への復讐が始まった。 しかし、篤子が本当に苦痛なのは家定に抱かれることだった。寝所で篤子は、「寝間を辞退したい」と言う。驚く家定は、「情を通じた男がいるのか」と怒る。その会話が翌日には瀧山の耳に入る。瀧山は幕府の老中にこの話をし、「薩摩に篤子様と言い交わした方がおいででは」と言う。ことは重大な政治問題に発展しかねない。 あわてた薩摩藩主・島津斉彬(本田博太郎)は、安産祈願の子宝石を将軍に献上する。石を家定と篤子の前に運ぶのは、篤子とたがいに慕う東郷克顕(原田龍二)だった。克顕に、「早く世継ぎを」と言われた篤子は動揺する。 瀧山が篤子の食事に粉薬をまぜている。やがて篤子は寝所で苦しみ・・・
将軍家定(北村一輝)の御台所篤子(菅野美穂)は、家定との夜伽のさなかに激しいひきつけを起こし、医者が呼ばれる。まる(池脇千鶴)は、篤子を憎む大奥総取締の瀧山(浅野ゆう子)が、食事に毒を入れたためだと思った。御典医の診察は、「立ちくらみで心配ない」と適当だった。まるは、良庵の助手を見て驚いた。大奥に入るまで親しかった真之介(岡田義徳)だった。まるが心配で、つてを頼って良庵の助手になったのだ。 幸い篤子は回復した。篤子は家定に、「食事の管理はまるにさせたい」と言う。まるは御膳所の食器棚に白い粉の紙包みを見つけた。篤子が御膳所に乗り込み仲居頭の葛岡(鷲尾真知子)を問い詰める。そこに瀧山が来た。「毒でないならば食して」と篤子が迫ると、瀧山は白い粉を飲み干した。 篤子が毒殺されそうになったとの噂は江戸の薩摩藩邸に伝わり、東郷克顕(原田龍二)は篤子を案じた。
将軍御台所の篤子(菅野美穂)を思う薩摩藩士の東郷克顕(原田龍二)が大奥に火を放ち、混乱のすきに篤子を救出しようとする。尊王攘夷の志士を弾圧する幕府への抗議の焼き討ちでもあるという。 篤子は、政治に利用されるのは嫌だし、女ばかりの場所に火を放ったこともおかしいと思った。克顕は、「おはんを救うためじゃ」と言うが素直について行けない。幕府の警備の武士が駆けつけ、克顕は去った。 家定(北村一輝)が倒れた。胃の腫瘍が悪化して回復は見込めない。苦しい息の下で家定は、「私が死んだら、お前は大奥から出て自由に生き直せ」と言う。だが篤子は、無能な将軍と言われながらも、自分の運命を生き抜いた家定に感動していた。 火傷した女中たちの治療ために真之介(岡田義徳)が来た。真之介はまる(池脇千鶴)に、「大奥は物騒だ。俺が嫁に貰えば出られる」と言ったが、まるは受けない。篤子とまるの中で、何かが変わっていた。
将軍・家茂(葛山信吾)と天皇の皇女・和宮(安達祐実)の結婚話が進んだ。諸外国との条約調印問題などで対立が深刻化した朝廷と幕府を融和させる政略結婚だった。最初は渋った和宮も、毎年一回京に里帰りする、大奥でも身の回りは京風にするなど五ケ条の条件をつけて降嫁を受け入れた。 京から中仙道を通って江戸に到着した和宮は、家茂の生母の実成院(野際陽子)と対面する。実成院は、昼から女中を集めて宴会を開くような大奥の新しい権力者だ。気位が高く、和宮をいじめる算段をあれこれ考えている。大奥に残る決意をし、中臈に昇格したまる(池脇千鶴)が和宮の世話係りとなる。 そんな中でも、家茂と和宮は、仲むつまじく暮らした。実成院はそれが面白くない。
京都から嫁ぐにあたっての約束を実成院(野際陽子)に反故にされた和宮(安達祐実)は、将軍家茂(葛山信吾)に直接話をしようと大奥の廊下を進む。それを、手に簪を持ったおその(水川あさみ)が襲おうとし、まる(池脇千鶴)らが取り押さえる。おそのは許婚がいながら実成院によって家茂の夜伽の相手にさせられ、狂った哀れな女だった。 自由がない大奥の女たちの楽しみは、年に一度、増上寺参りの後の芝居見物だ。総取締代理の初島(木村多江)は、美貌の看板役者・生島庄五郎(山口馬木也)に心ときめかせ、やがて男子禁制の大奥に庄五郎を引き込む。京都から連れてきた女中が城内を探り、座敷牢に入れられたおそのを発見。和宮は事件の真相を知る。和宮は家茂が渡って来た夜に、おそののことを問いただす。おそのに許婚がいたことを知らなかった家茂は、里に帰せるよう実成院に話すと言うが、「夜伽は気がすすまぬ」と引き上げた。政略結婚でも心が通った家茂だが、それが離れて行くのを感じる和宮だった。
将軍の生母・実成院(野際陽子)が権力を振るう大奥に、総取締の瀧山(浅野ゆう子)が戻ってきた。瀧山は和宮(安達祐実)に、「お世継ぎが授かるお体かどうかは、天下の一大事」と言って、医師の診察を受け入れさせる。 瀧山の実力を見せつけられた実成院は面白くない。配下の女中たちに、瀧山の身辺を探り追い落としの口実を見つけるように命じた。初島(木村多江)は、城内で生島庄五郎(山口馬木也)との密会を重ねている。理性では止めなければと思うが、庄五郎に抱かれるとわれを忘れてしまう。やがてその情事が露見する日が来る。 和宮が医師の診察を受け、子供の生めない体との診断を受ける。「これで、ほんに籠の鳥になってしもうた」と嘆く和宮である。
開国で西洋の文化が入り、江戸城内でも写真撮影が行われる。和宮(安達祐実)もまる(池脇千鶴)も初めての記念撮影をした。一方で開国に反対する勢力も力を増し、朝廷と攘夷派は将軍家茂(葛山信吾)に京に上ることを要求した。 和宮が子供を生めない体だと知った実成院(野際陽子)は、何人かの側室を決めた。家茂は寝所には行くが、女に手を触れない。和宮への遠慮が理由だと考えた実成院は、家茂に側室を勧めるよう和宮に言った。和宮はそれに従い、「気遣いなく側室のところへ」と言うが、家茂は、「政治のことで手一杯だ」と取り合わない。和宮は、「上様の心の中は政治だけか」と聞く。家茂はそれには答えずに、「私は、仲の良い夫婦というのを見たことがない。男は女を不幸にするものだ。ならば手を触れぬ方が罪が少ない」と言う。初めて聞く家茂の心のうちだった。家茂は和宮の写真を持って京に行った。心労が続く瀧山(浅野ゆう子)は如是寺の僧柳丈(北村一輝)に会いに行く。
大奥に夏が来た。盆になれば宿下がりで実家に帰る女中が増える。そんなある夜、居残った女中たちが座敷に集まっての催しがあり、まる(池脇千鶴)も呼ばれた。暗い座敷で女中たちが一人一つずつ、大奥にまつわる怖い話をし、終ったらろうそくの火を一本吹き消して、暗い廊下を歩いて開かずの間に置いて来る。葛岡(鷲尾真知子)は、「すべてのろうそくが消えた時、何かが起こる」と言った。怪談話が続き、女中たちの悲鳴とともにろうそくが一本、また一本と消えてゆく。 最後の一本を前に、「開かずの間の亡霊」を語り始めたのは涼波(佐藤友紀)というお針子だった。かなりの時が流れたが、涼波は戻って来ない。まると葛岡たちが探しに行くと、涼波が開かずの間で胸を刺されて死んでいた。女中たちは、「もののけの仕業」と言ったが、まるは、刺したのは人間だと思った。涼波は大奥を下がり嫁入りすることが決まっていた。
倒幕の動きが強まり、その急先鋒である長州藩を征伐するために、将軍・家茂(葛山信吾)が出陣することになる。実成院(野際陽子)は家茂の病弱を理由に猛反対し、将軍の役目だと言う瀧山(浅野ゆう子)と更に対立する。家茂は、自分の命は幕府に捧げると出陣を決意していた。和宮(安達祐実)にはそれが切ない。 和宮が、実成院に代わって家茂の側室選びをするという奇妙な行動をする。「上さんの死を覚悟したら、上さんに良く似た子供がいればと思うようになりましたのや。自分が産めないのなら、誰かの力を借りてでも」と言う和宮に家茂は、「そなただけが、私の妻だ。この世でも、後の世でも」と優しく言った。 出征するまで、家茂と和宮は毎夜を一緒に過ごした。徳川の長い歴史の中でも、これほど仲睦まじい将軍夫婦はいなかった。 僧の柳丈(北村一輝)が大奥に瀧山を訪ねてきた。先代の将軍・家定と瓜二つの若い僧が瀧山を訪ねて来たことを、葛岡(鷲尾真知子)は見逃さず、実成院に報告した。
徳川幕府軍は鳥羽伏見の戦いに敗れ、官軍となった薩長の軍が江戸に入った。大奥の女たちが恐怖に震えるなか、天璋院篤子(菅野美穂)は、まる(池脇千鶴)を連れて薩摩軍の司令部に行き、西郷隆盛側近の桐野利秋(木下ほうか)に会った。篤子は島津の紋所が入った懐剣を出し、「薩摩の人は信頼出来る」と言い、女たちの安全を確約させた。陣営には、今も篤子を想う東郷克顕(原田龍二)がいた。 まるは、真之介(岡田義徳)が重症を負って鳥羽伏見の医者の家にいることを知り、篤子の許しを得て江戸を去る。大奥に終わりの日が来た。瀧山(浅野ゆう子)は自害しようとするが、篤子は、「女の牢獄はなくなった。赤子に戻って生きよ」と止める。 官軍が入城し克顕は篤子に、「薩摩に戻り、故郷の山河を見て過ごされよ」と言うが、篤子は、「これからは、自分の力で生きようと思う」と言った。新しい時代が来ていた。
将軍家光の世、大奥では春日局、ふく(松下由樹)が権勢を振るっていた。女中お玉(星野真里)は、先輩・朝比奈(梶芽衣子)に、ふくの話を聞いた。 30年以上前、ふくは武家に嫁いでいたが、ある事件により離縁され、三人の子を捨て家を出た。その時、将軍家の乳母を求める高札を見つけ、門をたたく。二代将軍秀忠(渡辺いっけい)の正室お江与(高島礼子)は竹千代(須賀健太)を生み、ふくが育てることになる。それがふくとお江与の確執の始まりだった。
竹千代(須賀健太)が歩き始めたと喜ぶおふく(松下由樹)に、お江与(高島礼子)は「わらわは身ごもっておる」と衝撃的な事実を告げた。お江与は男児・国松を産み、世継ぎ問題が顕在化した。数年経ち、お江与のおふくに対する嫌がらせはエスカレート。お江与を母と慕う竹千代に対しても、国松と比べてはいじめ、秀忠(渡辺いっけい)にも露骨におふくの暇出しを求めた。優柔不断な秀忠に業を煮やし、情報を集めたお江与は、おふくの秘密をつかみ、満座の席でそれを公表するが・・・。
おふく(松下由樹)は駿府城に向かい、家康(藤田まこと)に江戸城で世継ぎ騒ぎが起きていると伝えた。後日、家康は江戸城へ来訪。世継ぎは竹千代(須賀健太)であることを態度で示した。だが、お江与(高島礼子)は納得せず、家康死後、秀忠(渡辺いっけい)に世継ぎは国松(長島弘宜)と迫る。一方、おふくはおしず(雛形あきこ)を秀忠のもとへと送り込んで・・・。
竹千代(須賀健太)は三代将軍家光(西島秀俊)となり、正室に鷹司家から孝子(木村多江)をめとった。おふく(松下由樹)は大奥総取締を拝命、得意の絶頂を迎えた。ただ、家光に子供ができず、男狂いとの噂が心配の種である。 ある夜、お忍びで城下の祭りに出かけた家光が何者かに襲われる。正勝(榊英雄)が追い詰めた男は、なんと忠長(浜田学)の命を受けた弟・正利(杉崎政宏)であった。そんな折、家光と忠長は秀忠(渡辺いっけい)とともにお上に拝謁するため京へ出かける。そこにまさかの一報が入る。
京に上った家光(西島秀俊)は、美しい尼僧・慶光院(瀬戸朝香)に一目ぼれした。それを聞きつけた春日局(松下由樹)は、跡目相続御礼に江戸を訪れた慶光院を拉致、「上様の側室に」と城内の座敷牢に幽閉した。慶光院に仕えていた尼僧見習いのお玉(星野真里)も慶光院を追って大奥の女中になる。慶光院は自ら命を絶とうとするが、外から聞こえてきた笛の音に慰められ生きる決意をするが・・・。
お万(瀬戸朝香)の御寝所に初めて家光(西島秀俊)が訪れる。しかし、お万の清らかな視線にたじろぎ、家光は何もなく去っていく。お万は自分を追って女中となったお玉(星野真里)と再会し、お玉を部屋付きとする。お万は、家光が催した音曲の宴で、あの笛の主・半井隼人(金子昇)に出会い、そして惹かれる。しかし、半井は姉をさらった家光に恨みを持つキリシタンであった。中の丸に追いやられた孝子(木村多江)を訪ねたお万は、そこで半井を見つけ声を掛ける・・・。
お万(瀬戸朝香)の登場で心乱れる春日局(松下由樹)は、新たな側室を探し始めた。貧しいが気立てのよい町娘・おらん(京野ことみ)を見つけ、兄の仕官や家系再興を材料に、おらんを側室・お楽として取り立てる。 質素堅実を旨とする春日局は優美で華やかなお万と対立した。春日局は新側室を武器に、お万を牽制する。家光(西島秀俊)はお万に安らぎを、と隼人(金子昇)を呼ぶ。姉・おゆき(遠山景織子)が自害したばかりの隼人。隼人の吹く笛の音が悲しく響く。聞き入る家光。複雑な思いのお万。
春日局(松下由樹)の狙い通り、家光(西島秀俊)は、お楽(京野ことみ)とお夏(野波麻帆)と褥(しとね)を共にし、お楽が懐妊した。その一方、公家勢力の伸張を避けるため、春日局は、お万(瀬戸朝香)には、内密に避妊薬を飲ませていた。家光にも遠ざけられ気の沈むお万は、孝子(木村多江)の計らいで隼人(金子昇)と再会した。それを知った春日局は、家光に注進、家光の心をさらにお万から遠ざけようとする。ところが家光にまさかの事態が起こる。
家光(西島秀俊)が痘瘡にかかり、春日局(松下由樹)が看病に明け暮れている間に、お万(瀬戸朝香)は隼人(金子昇)に逃げるよう勧めた。聞き入れぬ隼人はお万に別れを告げる。春日局の祈りが通じて回復した家光はキリシタン狩りに着手する。それを止めようとしたお万は家光の怒りを買ったうえ、お楽(京野ことみ)を恋人と会わせたため、春日局の逆鱗にも触れた。春日局は隼人を亡き者にすべく寺に出向く。
お万(瀬戸朝香)は、家光(西島秀俊)から、隼人(金子昇)を斬ったと聞かされ、生きる望みを失う。だが、お玉(星野真里)の進言で心を開いた家光は、実は隼人を守ろうとしたことを話す。お万は家光の誠実さに心打たれる。そんな中、お楽(京野ことみ)が男児を生む。春日局(松下由樹)が母子を引き離そうとすると、家光が、子はお楽が育てるよう命じる。衝撃を受けた春日局が、さらに捨て置けない事件が起こり、お万との全面対決へ向かうことになる。
お万(瀬戸朝香)の妊娠が発覚し、春日局(松下由樹)はあらゆる手を使って出産を阻止しようとした。だが、家光(西島秀俊)までお万の出産を認め、孤立した春日局は、ある夜、お万の膳に自ら堕胎薬を入れる。村雨(小松みゆき)が緊張した様子でお万に食事を運んできた・・・。
時は第5代将軍・綱吉(谷原章介)の時代。大奥の権力は綱吉生母・桂昌院(江波杏子)に集まっていた。側室・お伝の方(小池栄子)は桂昌院のお気に入りで、お世継ぎとなるべき徳松と鶴姫の二児の母である。一方、京は鷹司家から輿入れた正室・信子(藤原紀香)にはまだ子がない。公家出身の信子は出自の低い桂昌院、お伝の方とは敵対関係にあった。 将軍・綱吉は大の学問好き。それは実父である第3代将軍家光の意向に従った桂昌院により、幼いころから武芸よりも学問を重んじる教育を受けたためである。また、儒学を学んだ綱吉は論語の言うところの“孝”を実践していた。故に母・桂昌院には何より尽くしており、むしろその言いなりだったと言っても過言ではない。 綱吉には重用する古くからの側近が二人あった。側用人・牧野成貞(平泉成)と柳沢吉保(北村一輝)である。お伝の方の息子一人では、お世継ぎに不安を感じていた桂昌院は柳沢と一計を案じ、綱吉が幼い頃憧れていた成貞の妻・阿久里(萬田久子)と再会させるため、成貞の屋敷への御成りを画策する。綱吉は平然と阿久里を我が物にし、その上、婿の成住(田辺誠一)と既に結婚していた一人娘の安子(内山理名)を側室として大奥に差し出せと言い出したのだ。幸せを絵に描いたような牧野家は、突然奈落の底に突き落とされるのだが・・・。
安子(内山理名)は母の仇を討つ覚悟で綱吉(谷原章介)の閨に入った。だが、宿直の中臈・音羽(余貴美子)に牽制され、なすすべもなく綱吉に抱かれた。綱吉の寵愛を受ける安子を快く思わぬお伝の方(小池栄子)は陰湿ないじめを始め、不満の多い正室・信子(藤原紀香)は信子で、心に秘めた思惑から安子を仲間に引き入れようと画策する。そんな中、周囲の目を盗み、安子は元夫の成住(田辺誠一)と外出先で心中を企てる。だが、成住は捕らえられ、最期に「そなたは、生き抜け。私は負けた。だが、そなたは勝て」と安子に言い含めるのだった。その時、安子にまさかの変化が・・・。
愛する夫・成住(田辺誠一)と心中を図るも失敗に終わった安子(内山理名)だが、綱吉(谷原章介)の子を身ごもったことが判明し、大奥は揺れた。綱吉の寵愛が安子に移り、お世継ぎ候補の母としての地位があやしくなってきたお伝の方(小池栄子)は、なんとか我が子を跡継ぎにすべく桂昌院(江波杏子)や綱吉のお墨付きをもらおうと必死になるが、思い通りにはならず、苛立ちを募らせていく。お伝の方の焦りを察して、柳沢吉保(北村一輝)はお伝の方に入れ知恵をする。お伝の方は、世継ぎを産ませまいと安子が階段から落ちるよう細工をするのだ。間一髪、父・成貞(平泉成)が身を挺して安子を助け、自害した母・阿久里の遺書を安子に見せる。安子は恨んでいた父の真意を知り、今は亡き母と夫のためにも大奥で強く生きることを決意するのだった。 一方、信子(藤原紀香)は、お伝の方と桂昌院に対抗すべく、安子の懐妊をこれ幸いと仲間に取り込み権力拡大を狙っていた。そのため、京から聡明な常盤井の局(高岡早紀)を大奥に招こうと持ちかける。安子は、父母や夫の無念を思い、信子の策に乗ることにした。
正室・信子(藤原紀香)が京から呼び寄せた右衛門佐(高岡早紀)の大奥入りで激震が走った。右衛門佐は、学問の指南役として、源氏物語の講義を行うなど、大奥の女中たちに人気を得ていく。そつのない右衛門佐に警戒を強める桂昌院(江波杏子)は、柳沢(北村一輝)の入れ知恵で策をめぐらす。綱吉(谷原章介)は桂昌院の思惑どおり、右衛門佐を側室に迎えたいと願うが、一枚上手の右衛門佐に巧みにかわされ、右衛門佐は望んでいた大奥総取締の地位を手に入れる。お伝の方(小池栄子)は自分の生い立ちに関するコンプレックスから、猛勉強して右衛門佐に対抗心を燃やすが、付け焼刃の知識でかえって恥をかかされてしまう。お世継ぎ問題で取り憑かれたようになったお伝の方は、安子(内山理名)が信子や右衛門佐と組んで、我が子徳松を追い落とし、これから生まれる安子の子をお世継ぎにしようとたくらんでいるのではと勘ぐって、安子を水風呂に突き落とすのだった。
身重の安子(内山理名)を水風呂に突き落とし、湯殿に閂をかけて去ったお伝の方(小池栄子)。薄れゆく意識の中、安子は母の形見のかんざしで閂を開け、湯殿を脱出、力尽きて倒れているところを音羽(余貴美子)に助けられ、なんとか無事に新たなお世継ぎとなるべき男子・長丸を出産する。お伝の方の長男・徳松に続く、この新たなお世継ぎ誕生が大奥に波紋を呼ぶのだった。 綱吉(谷原章介)の安子と長丸への愛情は深まる一方で、他の女性や政治への関心は消え失せ、桂昌院(江波杏子)からは腑甲斐なさをそしられる。母に言われ、綱吉はしぶしぶお伝の方を訪ねるが、徳松をお世継ぎにしたいという執着ぶりに、綱吉はほとほと嫌気がさすのだった。 安子は仇の子とはいえ、母となった幸せを感じていた。そんな安子の幸せに理解を示す右衛門佐(高岡早紀)。母としての気持ちが分かるようになり、お伝の方の哀れさに気づく安子は、人の恨みを買ってまで我が子をお世継ぎにしたいとは思わない。 一方、信子(藤原紀香)は、焦りが裏目に出たお伝の方をいい気味と高笑いするが、自分の知らぬうちに心を通わせている安子と右衛門佐に嫉妬の炎を燃やす。 お伝の方は、またしても柳沢(北村一輝)の入れ知恵で、安子が信子の部屋に呼ばれたすきに、青梅を使って長丸を亡き者にしようとたくらむのだが・・・。
大奥という闇の中に、安子(内山理名)が見出した、たった一つの希望の光。それは我が子・長丸であった。看病の甲斐も虚しく、長丸を亡くした安子と綱吉(谷原章介)は茫然自失。長丸が亡くなったのは、お伝の方(小池栄子)のしわざに違いないと確信した安子は、綱吉と桂昌院(江波杏子)にお伝の方を詮議にかけるよう訴える。しかし、いまや唯一綱吉の血を引く徳松の母・お伝の方を罪人にするわけにもいかないとの思いから、桂昌院はついに綱吉から徳松に世継ぎのお墨付きを授けさせるのだった。その上、信子(藤原紀香)が京から呼んだ右衛門佐(高岡早紀)と対抗させ、さらにお世継ぎ候補をとの思惑で、桂昌院は京から新たな側室・大典侍(中山忍)を呼び寄せた。大典侍は別殿を要求し普請が始まる。女性としても自信満々の大典侍は、綱吉に対して積極的で、お伝の方を挑発するほどであった。長丸を失った喪失感から、お伝の方に対する安子の恨みと怒りは爆発寸前・・・背後で安子の不幸とお伝の方とのバトルを楽しんでいる人物がいるとも知らずに・・・。 そして、後日大奥に波紋を呼ぶ子どもが産まれた。柳沢(北村一輝)の側室・染子(貫地谷しほり)にも男児が誕生したのだ。そんなある日、長丸の思い出に浸り安子が庭で佇んでいると、新御殿の普請場で鞠を捜している徳松を見かける。殺意を抱き、憑かれたように徳松に近づく安子。その瞬間、徳松の上に材木が崩れ落ちてきて・・・。
子どもを失い半狂乱になったお伝の方(小池栄子)と安子(内山理名)は、互いの恨みと怒りがついに爆発し、大乱闘を繰り広げる。だが、安子はそのバトルの最中、廊下の人だかりの中で、一人薄笑いを浮かべる人物の姿を見逃さなかった。その時、お伝の方に罪はないことに安子は直感的に気づくのだった。一方、右衛門佐(高岡早紀)も一連の事件に黒幕がいる気配を感じていた。 ご託宣どおりにしてきたにもかかわらず、世継ぎがいなくなってしまったことを桂昌院(江波杏子)に責められる高僧・隆光(火野正平)は、最近、綱吉(谷原章介)が拾った犬を可愛がっていることを知った。そして、将軍家の子孫繁栄のためには、無益な殺生を禁じ、中でも犬を大切にすることが重要だと戌年生まれの綱吉と桂昌院に説く。こうして悪名高い“生類憐みの令”が誕生することに・・・。 世の乱れを憂慮する右衛門佐は密かに水戸藩主・徳川光圀(大杉漣)を訪ねる。 何もかも虚しくなり投げやりな綱吉に、安子は「長丸はこの世の醜い争いの生贄にされたのだ」と責めると、興奮した綱吉は倒れてしまう。その陰で、綱吉の後継者選びが光圀中心に話し合われていた。二人の候補に絞り込まれたかと見えたその時、柳沢(北村一輝)が沈黙を破った。「実は上様には今一人御子がおられるのです」。騒然とする一同。大いなる陰謀が動き出したのだった・・・。
世の乱れも大奥で女性が苦しむのも全ては綱吉(谷原章介)のせいと右衛門佐(高岡早紀)と信子(藤原紀香)にたきつけられ、病床に臥せる綱吉に毒を盛ろうとした安子(内山理名)。安子が逡巡したその瞬間、後継将軍選びの席で、綱吉にはもう一人若君がいると柳沢(北村一輝)が衝撃の発言をしたことが伝えられた。その若君・吉里とともに染子(貫地谷しほり)は綱吉の側室として大奥入りを果たし、綱吉の病状も快方に向かう。 “生類憐みの令”に民衆が苦しむ中、世直しを願う水戸光圀(大杉漣)は、病床にありながら、江戸城に犬の毛皮を送りつけ騒ぎを巻き起こす。もともと柳沢の側室であった染子の子・吉里は、綱吉の子ではなく、実は柳沢の子ではないかと疑う右衛門佐は証拠をつかみ柳沢を問いただす。事前に信子からその情報を得ていた柳沢は、うまく言い逃れ、右衛門佐はむしろ返り討ちにあってしまう。ますます権勢をほこる柳沢。柳沢は桂昌院(江波杏子)に女性として最高の従一位の位を献上するが、その宴の席で、ふとしたことから柳沢と吉里君が親子であることに桂昌院は気付き、ショックのあまり発作で倒れる。大奥に渦巻く大いなる陰謀と本当の敵が姿を現しつつあることを安子は悟るのだった・・・。
柳沢邸で催された宴席の最中、吉里が柳沢(北村一輝)と同様に左利きであることから、柳沢の子であると悟った桂昌院(江波杏子)がショックのあまり倒れた。騒然となる中、柳沢は安子(内山理名)を別室に招き入れた。そこにはなんと、死罪となったはずの安子の夫・成住(田辺誠一)が幽閉されていた。柳沢の野望が安子に阻まれぬよう、成住は人質にされていたのだった。思いもかけない再会に涙する安子。 信子(藤原紀香)は信子で病気ですっかり弱った桂昌院に対して、“お末上がりのお玉”と侮蔑しながらこれまでの恨みつらみを述べ、吉里は柳沢の子で、染子(貫地谷しほり)はまだ柳沢と密会していると桂昌院を苦しめる。一方、染子は、世継ぎの母を演じる重圧に耐え切れず、安子に対して「吉里は上様の御子ではございませぬ。」と打ち明けるが、そのやりとりを隣室で聞いていた音羽(余貴美子)と右衛門佐(高岡早紀)が踏み込み、桂昌院の前でそう証言するよう申し渡す。しかし、いざ桂昌院の前に出た染子は葛藤の末、「吉里は、上様の御子」と断言、後見人として柳沢を退かせるのだけはどうか考え直してほしいと必死に訴えたのだった。染子は身の潔白を証明する遺書を用意し柳沢に殺して欲しいと懇願。ほどなくして桂昌院は綱吉(谷原章介)を庇ってくれと安子に後を託し、春日局の幻影を見ながら亡くなった。安子は意を決して綱吉に吉里が実子ではないと打ち明けるのだが・・・。
柳沢(北村一輝)が自らの野望を遂げられるよう、吉里は綱吉(谷原章介)の子であると証明するため遺書を残し、柳沢の手にかけられて亡くなった染子(貫地谷しほり)の死は自害とされた。だが、右衛門佐(高岡早紀)と信子(藤原紀香)は、柳沢を跋扈させ染子を死に追いやったのは、上様の優柔不断なご性格のせいとして、綱吉殺害のため、安子(内山理名)に再び毒薬を渡そうとする。安子は綱吉に考え直していただくよう説得すべきだと拒否するが、その役目を任せてほしいと大典侍(中山忍)が名乗り出る。その上、大典侍から、綱吉の子を身ごもったことをほのめかす爆弾発言まで飛び出し、一同驚愕。大典侍が世継ぎを産めば、吉里が世継ぎでなくなり、柳沢の権力も弱まり万事治まるというのだ。 嫉妬に狂った信子の心の均衡はさらに崩れ、大典侍とお腹の子を亡き者にしようと狂気の行為に及ぶが、かえって火傷を負い、持病も悪化。病床の信子は、見舞った綱吉に毒を含ませ、自分も自殺を図り、哀しい女の性ゆえの壮絶な最期を遂げるが、綱吉は一命をとりとめる。一方、柳沢は、音羽(余貴美子)に刀を渡された成住(田辺誠一)を返り討ちにする。それを知った安子は綱吉の前で柳沢に斬りつけるが・・・。
これは江戸幕府第11代将軍・徳川家斉(成宮寛貴)の壮年期の物語である。 ある晩、降りしきる一面の雪のなか、一人の武士・中野清茂(板尾創路)が智泉院の住職・日啓(田中要次)を訪ね、赤ん坊と大金を託して育てるように頼んだ。 14年後、お美代(沢尻エリカ)は誰もが認める美しい少女に成長していた。お美代は日啓と密会していた清茂のもとを訪れると、自分が10代将軍・家治と側室・お美乃の間にできた子であることを聞く。さらに、家斉を将軍にしようと画策する一派によって、家治とお美乃が死に追いやられたという事実を知らされる。涙を流しながら話を聞いたお美代は両親の無念を晴らすため、大奥に入ることを願い出る。 家斉の側近であった清茂の口添えで大奥入りしたお美代は、大奥総取締・大崎局(浅野ゆう子)の計らいもありすぐに家斉の目に留まる。その後、生まれ持った美貌と清茂に仕込まれた手練手管を使い家斉の寵愛を受けるようになるお美代。 ほどなくしてお美代は姫君を産むものの、若君でなかったことにより「次は男を産まねば」と思いつめるようになる。 大奥での地位を着々と固めていたお美代はある日、智泉院の庭にいた女中・お志摩(渡辺麻友)と言葉を交わす。大奥で巻き起こる争いごとをどこか冷めた目で見ているお志摩に強く興味を引かれたお美代はその後度々密会を重ねるようになり、ついに禁断の恋愛関係に進んでしまい・・・。
これは江戸幕府第11代将軍・徳川家斉(成宮寛貴)の青年期の物語である。 御正室・寔子(光浦靖子)との仲が芳しくなく、かつ大奥総取締・大崎局(浅野ゆう子)があきれるほど移り気な性格で毎晩違う女中に手をつける家斉。しかし、いまだ子に恵まれない家斉の周囲では、家斉の心を掴みお世継ぎを産んでくれる子女を見つけようと躍起になっていた。側近の中野清茂(板尾創路)は、部下の酒井忠康(温水洋一)の娘が美しいと評判であることに目を付け、姉・梅(沢尻エリカ)と妹・歌(蓮佛美沙子)を浜御殿での宴で家斉にお目通しするよう命じる。 姉の梅はひときわ目を引く美貌と純粋で優しい気性の持ち主、妹の歌は弓の名手であり男勝りで激しい気性の持ち主である。忠康が供応役を仰せつかった宴で、梅と歌が順番に家斉の前に現れる。美しく華やかな踊りを披露する梅と、男のような扮装でアクロバティックな舞を披露する歌。宴が終わり、大奥入りを命じられたのは梅であった。 不安なまま大奥入りした梅は、家斉から優しくされ女としての幸せを感じていき、ほどなくして家斉の子を身ごもる。懐妊した梅を見舞った歌は、豪華絢爛(けんらん)な大奥で別人のような貫禄と自信に満ちあふれた笑顔を見せる梅の姿に驚く。敗北感と強い嫉妬心が湧いてきた歌は、すかさず家斉に近づき、家斉への思慕で毎晩涙していると打ち明ける。その思いがかない、歌も家斉から大奥入りを命じられ・・・。
公家の姫である五十宮倫子(小芝風花)は、徳川家治(亀梨和也)との婚儀を控え、付き人のお品(西野七瀬)と支度に追われていた。倫子は幼い頃に一度だけ会ったことのある家治が「蛇のように冷たい目をしていた」とお品に話し、婚儀に気乗りしない。準備が整うと、大奥総取締役・松島の局(栗山千明)に導かれ、倫子たちは婚儀の間へ。居並ぶ重鎮の幕臣や奥女中たちが一斉に自分に平伏する様に驚く倫子。そこへ家治が威風を帯び、現れる。だが、家治の目がやはり冷酷に見える倫子は目を合わすことができない。 その頃、家治の父で第9代将軍・徳川家重(高橋克典)は家治の婚儀に顔を出すこともなく、女中を侍らせて酒を飲んでいた。挙げ句の果てには寝だした家重を見て、側用人・田沼意次(安田顕)は「悪人には、いずれ天罰が下る」と口にする。 一方、家治と倫子の婚儀には田安宗武(陣内孝則)と松平定信(宮舘涼太)が顔を出す。定信は倫子に、これから暮らす大奥は、その地位を妬み追い落とそうとする者もいると忠告し…。また、京の頃より倫子に仕えるお品がいるにも関わらず、松島は倫子の付き人にお知保(森川葵)をつけると言いだし――。
五十宮倫子(小芝風花)は久我信通(鈴木仁)に大奥から逃げる手助けを頼むが、返書で信道が倫子の姉と結婚したことを知り、お品(西野七瀬)の腕の中で泣き崩れた。そんな倫子とお品に、松島の局(栗山千明)やお知保(森川葵)たちは“大奥のしきたり”と、さまざまな嫌がらせを続ける。 徳川家治(亀梨和也)は田沼意次(安田顕)を老中首座に任命。裏で田沼とつながる松島は、倫子が世継ぎを身籠る前に、家治に自分たちの息のかかった側室をあてがうべく田沼と密談していた。 そんな折、高岳(田中道子)たちが“御台様に上様の御渡りがない”とうわさ話に興じていると、それが倫子たちの耳に入る。倫子は「そのようなことでしか人の価値を測れないなど、哀れな方たち」と高岳たちに告げるが、大奥は将軍家の子孫繁栄のための場所なので、勤めを果たせず妻と言えるのかと反論されてしまう。 ある日、お品はお知保から松島に届けて欲しいと言われ箱を預かる。だが、松島が中を確認すると、箱に入っていた焼き物が割れていたのだ。お品は自分の過ちではないと伝えるが、聞き入れてもらえない。焼き物を金に替え、女中たちに新しい懐紙入れを支給するつもりだったと言う松島は、経費を賄うため、お品に暇を取らせるしかないと言い出す。それが狙いだと察した倫子は経費分を賄えばいいのだろうと、懐紙入れを自分たちが作ると返すが…。
五十宮倫子(小芝風花)の身だしなみを整えるお品(西野七瀬)が昨晩の御渡りについて問いかけると、倫子は「何もなかった」と口にし、徳川家治(亀梨和也)のことがよく分からないと話し出す。 早速、家治に抱かれなかったことで高岳(田中道子)ら女中の間で“添い寝姫”とあざ笑われる倫子。お品は怒ろうとするが、倫子に制される。倫子はお品にこの先自分の身に何があっても言い返してはだめだと命じており、倫子はお品が酷い目に遭って欲しくなかったのだ。 一方、倫子のもう一人の付き人、お知保(森川葵)は宿下がりで里帰りしていた。そんな折、倫子が家治と仏間で手を合わせていると、松島が口を開く。なんと、松島は倫子の目の前で家治に側室を設けるよう迫ったのだ。だが、家治は「側室は必要ない」と返す。将軍家の血筋を絶やすことになると食い下がる松島に、家治は何も答えず去る。 倫子から次第を聞いたお品は、女中たちのうわさとして家治の父・徳川家重(高橋克典)と母・お幸の方(紺野まひる)に関する悲しい過去を話す。倫子は家治のつらい身の上に思いを馳せ…。 家治が世継ぎを望まぬという話は松平定信(宮舘涼太)も知ることとなり、父の田安宗武(陣内孝則)に告げる。また、家治が田沼意次(安田顕)の言いなりになっていると定信から報告を受けた宗武は、いいことを思いついたと不敵な笑みを漏らし――。
五十宮倫子(小芝風花)は、お知保(森川葵)が徳川家治(亀梨和也)の側室になったことを知り、動揺する。家治が田沼意次(安田顕)に強要されて側室を持つに至ったことを知らない倫子は心中穏やかではない上、早速御渡りがあると聞かされ、ショックを隠しきれない。 そんな折、増上寺代参が行われることになる。松島の局(栗山千明)は「忙しい上様、御台様に代わって、奥女中たちが代参を務める」と切り出すが、倫子は御台所の大事な公務であるとし、自分も共に参ると発する。松島は御台様が出向くなど前例がないことだと反論するが、家治は倫子に「頼んだ」と言い、代参を認める。 倫子がお品(西野七瀬)を伴って無事に参拝を終えると、猿吉(本多力)が倫子の好物である白みそ煎餅を持って現れる。それは、お品が葉山貞之助(小関裕太)に頼み、特別に作ってもらったものであった。そして、倫子が茶屋で休んでいると、松平定信(宮舘涼太)に声を掛けられる。そこで、定信から“賢丸”という幼名を聞いた倫子は、定信がかつての幼なじみであったことを思い出す。そして、二人は幼い頃に戻ったかのように、江戸の町を散策して楽しんでいたが…。
五十宮倫子(小芝風花)は徳川家治(亀梨和也)が側室のお知保(森川葵)へ御渡りしたことに、つらい思いを募らせる。幸せそうなお知保に倫子はうつむくことしかできない。そんな中、家治はオランダ商館長を江戸城に招く折、もてなしに琴を披露したいと告げる。多くの者が名乗り出る中、「御台はどうだ」と促す家治にも倫子はうつむいたまま。すると、松島の局(栗山千明)の推挙もあり、お知保が名乗りをあげたことで、琴の演奏はお知保に任されることに。琴なら倫子も得意だと悔しがるお品(西野七瀬)だが、今の倫子は「上様がお知保を選んだ」と力なく返すだけで…。 お品は倫子が優しすぎると猿吉(本多力)に愚痴をこぼす。そこに、葉山貞之助(小関裕太)が通りがかり、お品にもっとゆっくり話がしたいと蔵の鍵を渡し、そこで待っていると告げる。 倫子を家治から遠ざけようとする松島。そして、暗い過去を持つ家治を脅して政治の実権を握ろうとする田沼意次(安田顕)のたくらみは続き、田沼は武家伝奏に久我信通(鈴木仁)を就任させたのだ。信通の姿に動揺する倫子。家治も信通が倫子の手紙の相手だと気付く。田沼が倫子と信通は知り合いだろうと言うと、家治は、知り合いならこの後二人で話すが良いと口にする。倫子と話す機会を得た信通は、倫子に彼女の母親が病に伏せっていることを話す。そして、一緒に京に帰らないかと倫子に告げ…。
五十宮倫子(小芝風花)は、打ち掛けの裾を踏まれて倒れてしまったお知保(森川葵)に慌てて駆け寄る。倫子は女中たちを糾すが、逆に徳川家治(亀梨和也)の子を宿せぬことを揶揄(やゆ)されてしまう。身籠ってからは家治のお知保への御渡りはない、所詮(しょせん)は腹を貸し出しただけとかばうお品(西野七瀬)を倫子はたしなめる。騒ぎの中、やってきた家治は次第を聞き、松島の局(栗山千明)にしかるべき処分をするよう命じる。 倫子は家治の御渡りはあるものの、一向に妊娠の気配がなく焦っていた。「そんなにお子が欲しいのですか」と問いかけるお品に、倫子は家治と家族を作り、愛する人の子を自分の手で育てたいと返す。そんな倫子のために、お品はいつもの蔵で倫子の食事について葉山貞之助(小関裕太)に相談。だが、相談を終え、それぞれに蔵を出るお品と貞之助の姿を朝霧(華耀きらり)に目撃されてしまう。 ほどなくしてお知保は家治の子どもを出産。祝いを述べる倫子に、家治は子に会っていないと言う。そんな中でも、倫子はなぜ自分には子どもができないのかと悩んでいた。 その頃、療養中の田安宗武(陣内孝則)のそばには、心配そうに控える松平定信(宮舘涼太)がいた。そんな定信を近くに呼び寄せ、宗武は耳元で何かを告げ――。
五十宮倫子(小芝風花)に長らく子ができなかったのは、お梅(小南満佑子)がすり替えていたお香が原因ではないかとお品(西野七瀬)が告げる。そのお香には、子をできにくくする薬草が使われていたという。命じた者を探ろうにも、肝心のお梅が姿を消してしまう。なんと、お梅を動かしていたのは松平定信(宮舘涼太)だったのだ。 倫子が倒れた件について、徳川家治(亀梨和也)は「誰の仕業か調べはついたのか」と田沼意次(安田顕)に問いかける。田沼は松島の局(栗山千明)ではないかと注進するも、家治は応じない。それは、お知保(森川葵)を側室に進めたのは松島と田沼だったからで、家治は自らこの件を調べると言い放つ。 家治の子である竹千代の教育係となり大奥、さらには幕政を専横せんとする松島から裏切られた田沼は、高岳(田中道子)一派に接近。田沼の新たな企みは、倫子やお品を巻き込み、予期せぬ方向に進もうとしていた。 そんなある日、倫子は料理の味が変わったのではないかと口にする。すると、お品は倫子の料理を全てこしらえていた葉山貞之助(小関裕太)が長らくお休みを取られているようだと返す。お品は、真面目な貞之助が倫子に与えられた役目を投げ出すわけがないと心配し…。
急に産気づいた五十宮倫子(小芝風花)を心配し、徳川家治(亀梨和也)が駆けつける。子を産むにはまだ早い時期で、家治は倫子に手を伸ばすも、その手を倫子に退けられてしまう。そして倫子は子を出産するが、悲しいものとなってしまった。お知保(森川葵)に薬を渡して倫子に飲ませようとした松島の局(栗山千明)だったが、お知保から薬を飲ませなかったと聞き、お知保の本心がどこにあるのか疑う。 その頃、松平定信(宮舘涼太)は隠密を相手に将棋を指し、「最初にあらゆるものを奪ったのは、あの男だ」と漏らす。その思いが定信を突き動かし、家治の血を根絶やしにして、自らが幕府の中枢に就くことへと向いていた。 そんな折、なんとお品が懐妊する。お品の子を将軍世継ぎにせんとする田沼意次(安田顕)と高岳(田中道子)の意気は上がる。一方、竹千代を愛でるお知保は、傷心の倫子を気にしていた。家治も倫子に会いに行くが、倫子は今は一人にしておいてほしいと、深い悲しみに暮れていた。 そんな倫子に、定信から贈り物が届く。その贈り物には文が隠されており、倫子を元気づけんとする内容だったが、定信は新たな企てを仕掛けようとしていて――。
増上寺代参の日、五十宮倫子(小芝風花)は徳川家治(亀梨和也)にあいさつをして出かけるが、どこかよそよそしい。そんな倫子が門を出て行く様子を猿吉(本多力)が物陰から見送っていた。 約束通り、松平定信(宮舘涼太)と浜御殿で会った倫子は、文や贈り物で気うつな自分を励ましてくれた礼を述べる。すると、定信は世継ぎがお知保(森川葵)の子・家基に決まったことで大奥も安泰だと口にする。 その頃、田沼意次(安田顕)は高岳(田中道子)から、お品(西野七瀬)の子・貞次郎が世継ぎに指名されなかったことを責められていた。どうするのかと問われた田沼は「家基に消えていただくしかない」と答え…。 定信のおかげで倫子は楽しいひとときを過ごしていた。帰り際、定信は倫子に自分ならつらい思いをさせないと告げ、思わず抱きしめる。そして、倫子たちが大奥に戻ってくると、女中たちが何やら騒いでいて――。
「わしは、将軍家の子ではない」――。 五十宮倫子(小芝風花)は、徳川家治(亀梨和也)から自身の秘密を打ち明けられた。倫子は家治から田沼意次(安田顕)にこの秘密を握られ、言いなりになるほかなかったと聞かされる。困惑する倫子だったが、そんな中、家治は体調を崩してしまう。 田沼はお品(西野七瀬)の子、貞次郎を世継ぎに指名することを迫るが、家治は将軍家の血を引かない自分の子でよいものかと苦悩する。さらに、田沼は松島の局(栗山千明)を大奥総取締から追い落とし、自分の意のままになる高岳(田中道子)を据えようとする。 家治の見舞いに行った松島は、倫子との会話を聞いてしまったことを話す。動揺する家治は、その話は聞かなかったことにしてくれと松島に頼み込み…。 一方、倫子のもとに松平定信(宮舘涼太)から贈り物が届く。中にはいつものように文が隠されていた。だが、その文には、驚くべき内容が記されていて――。
江戸城開城を目前にして、天璋院・篤子(菅野美穂)に背中を押されるように大奥から戻って来たまる(池脇千鶴)。明治時代になって、幼馴染みの真之介(岡田義徳)と晴れて夫婦になった。今日は、医院を開業するため二人仲良く引越しの最中。どうやら、まるは身重らしい。やがて、荷物の中から大奥時代の見事な着物や記念写真、そしてまるの日記が出てくる。いつしかまるの脳裏には走馬灯のように、篤子との思い出や大奥での出来事が鮮明に甦るのだった・・・。 そんな思い出にふけっているまるのもとへ、思いがけない女性が訪ねて来る。地味な和服姿でまるに微笑んでいるのは、流刑にされた初島(木村多江)だった。御赦免で島から戻ってきたという。再会を喜ぶまるに、初島は大奥で一緒だった葛岡(鷲尾真知子)、浦尾(久保田磨希)そして吉野(山口香緒里)が、横浜で牛鍋屋を開くらしいと話した。さらに驚いたことに、初島はあの瀧山(浅野ゆう子)にも偶然会ったという。家定(北村一輝)の墓前で見かけた元大奥総取締の瀧山は、思いもかけない島帰りの初島との再会に、やっと心から通じあうことができた。 やがて初島とまるは、和宮(安達祐実)や実成院(野際陽子)、そして十四代将軍・家茂(葛山信吾)の思い出に時を忘れるが、いつしか二人は、その後の篤子についてしみじみ話しをするのだった。 幕府が政府に変わり、江戸が明治に変わったからといって、遠くにそびえたつお城や、空や、川の流れは、なにひとつ変わってない。その時、一陣の風のように、洋装の女性が颯爽(さっそう)と人力車で通り過ぎた。篤子だった。
絢爛豪華な婚礼に隠された陰謀! 江戸城・大広間。十三代将軍・徳川家定(北村一輝)と篤子(菅野美穂)との婚礼の儀が執り行なわれようとしている一見豪華にして絢爛な宴の裏には、幕府と薩摩藩とのきな臭い政略が入り交っていた。篤子には将来を誓いあった薩摩藩士・東郷克顕(原田龍二)という許婚がありながら、藩主・島津斉彬(本田博太郎)の命によりこの婚礼を泣く泣く受入れたという経緯があり、家定も婚礼などはお家存続を願う周囲の決めた茶番だとしか考えてはいなかった。 そんな茶番を傍らで複雑な思いで見つめていたのが大奥総取締・瀧山(浅野ゆう子)。瀧山はかつて家定と心を通わし深い関係にあったが、徳川家の将来のためにと身を引き、現在では大奥を仕切ることで陰ながら家定を支えていた。そのためか瀧山の中には、篤子に対する嫉妬と憎悪が芽生えはじめていた。 そんな矢先、篤子が寝室に刃物を持ち込むという事件が起こった。早速、初島(木村多江)を中心とする奥女中たちが、篤子の花嫁道具一式すべてを改め始めた。それは篤子を薩摩藩からの間者と疑う瀧山の指示であり、明らかに嫌がらせであった。 この一件から、篤子の中にも瀧山に対する不信感が芽生える。そんな中、篤子と家定にようやく心を許せる相手が現れた。篤子には故郷薩摩から遣わされた雪江(星野真里)という女中が、家定にはお毒味役の松之介(金子貴俊)が、それぞれ二人の側につくことになった。 ある日、家定と篤子の元に紀州徳川家の嫡男・慶福(神木隆之介)が、婚礼の祝賀のために母・おみさ(野際陽子)に伴われて大奥にやって来た
慶安四年。春日局(松下由樹)がこの世を去り八年。大奥は春日局の遺志により総取締となったお万(瀬戸朝香)がすべてを取り仕切っていた。だが、病に倒れた家光(西島秀俊)は明日をも知れぬ身。大奥には、三人の男子による次期将軍を巡るきな臭い噂も流れ始め、お万を悩ませていた。そんなある日のこと、ふと家光の病床を孝子(木村多江)が、続いてお万とお楽(京野ことみ)が訪れていた。そして、それぞれ懺悔と称し昔の自らが犯した過ちを打ち明け始めたのだ。それは家光も初めて聞かされる事の数々であり、皆の心の中に改めて春日局の存在と意思を思い起こさせるものだった。
綱吉(谷原章介)の死後、側室であった安子(内山理名)は落飾し、音羽(余貴美子)と共に尼僧としてつましく暮らしていた。そんな安子に一通の文が届けられた。それは、宿敵・柳沢吉保(北村一輝)からのものだった。死を目前にした柳沢が懺悔したいという。 徳川綱吉が5代将軍となる以前。彼は館林宰相と呼ばれる一大名であった。正室に迎えた信子(藤原紀香)は京の公家出身で京風を良しとするあまり、江戸での武家風の生活になじむ気配がない。その様子を見た綱吉の母・桂昌院(江波杏子)は側室の必要性を感じ始める。そこに現れたのがお伝(小池栄子)だった。 一方、柳沢は綱吉の信頼も厚く、禄は低いものの将来を嘱望され、綱吉とは時には兄弟のように接していた。その頃、柳沢には将来を約束した女性がいた。館林藩の下級武士の娘で名を里久(内山理名=二役)といった。 悲劇は突然訪れた。あろうことか綱吉が里久を見初めてしまったのだ。綱吉と柳沢の関係に変化が生じる。そんな折、綱吉が後継将軍候補筆頭に躍り出る。桂昌院は綱吉の身辺整理を画策し始めた。少しずつ狂い始めた運命の歯車は、柳沢、里久、そして信子、お伝を巻き込んで、とてつもない悲劇を生み出してゆくのであった。
江戸城。大奥を舞台に繰り広げられる女たちの愛憎劇を描いたフジテレビのスーパー時代劇ドラマ「大奥」が、主演仲間由紀恵を迎えて待望の映画化、人気シリーズの集大成として豪華絢爛なえど愛憎絵巻が誕生した。物語は七大将軍・家継の時代、大奥史上最大のスキャンダルとして多くの犠牲者を出したといわれる「絵島・生島事件」を軸に展開する。百鬼繚乱の大奥の中で、大奥総取締の絵島(仲間由紀恵)と歌舞伎役者、生島(西島秀俊)との禁断の悲恋が極上のラブストーリーとして描かれる。
時は宝永七年。6代将軍家宣の時代。御台所・熙子(後の天英院:高島礼子)、側室・お須免の方(後の蓮浄院:松下由樹)、お古牟の方(後の法心院:木村多江)は家宣との間に子をなしたもののいずれも早世し、お世継ぎ候補はお喜世の方(後の月光院:井川遥)が産んだ子・鍋松(後の家継)のみであった。 そんな大奥に武家の娘・ゆき(深田恭子)が奉公にあがる。ゆきは思いを寄せる男・吉之助がありながら、貧しい家計を助けるために奥入りを決めたのだった。 ゆきは、「おまん」という通り名を総取締・滝川(浅野ゆう子)から与えられ、大奥奉公が始まった。 心を許せる友人・おしの(貫地谷しほり)や、頼りになる「ごさい」(奥女中たちの用足しをする下男)の伸吉(吉沢悠)と出会い、厳しいながらも楽しい日々であった。 ある日、毒見役の女中が倒れたことにより、浦尾が念願の毒見役を仰せつかった。その最中、浦尾が突如苦悶の表情を浮かべた。「毒か!?」。御膳を止めようと御台所のもとへ向かったおしのは、廊下の曲がり角で向こうからやってきた人と激しくぶつかってしまった。なんと、それは大奥へやってきた上様であった。おしのは図らずも上様の目に留まることとなった。 側室に取り立てられたおしのであったが、その表情は浮かない。心配するおまんにおしのは伸吉への思いを打ち明けるのだった。おしのの心中を慮(おもんぱか)ったおまんは密かに二人の手紙の受け渡しを手伝う。 一方で、滝川は老中から将軍暗殺計画が進められていることを聞かされる。そんなことを知る由もないおまんはおしのの手紙を伸吉に、伸吉