平蔵(中村吉右衛門)の部下、山口平吉(板東八十助)がその男に出会ったのは、父母の墓参りの帰り、目黒不動門前の飴屋「桐屋」に立ち寄ったときである。桐屋の黒飴は平蔵夫人・久栄(多岐川裕美)の大好物、手土産に求めるためだった。山口に声をかけたのは、須坂の峰蔵(赤塚真人)。知らない顔だったが、山口が話を合わせていると、自分のことを七年前に湯屋谷の富右衛門のところで一緒に盗みをした網掛の松五郎(坂東八十助/二役)と間違えているようだった。どうやら山口は松五郎と瓜ふたつのようだ。松五郎は役者あがりでいつも侍の風体をしており、浪人や大名家の家臣になりすまして盗みを働くところから『さむらい松五郎』の異名がついていた。峰蔵は、ろくろ首の藤七(深江章喜)の手下だが、残忍なやり口に嫌気がさし、松五郎の下で働きたいと言い出した。平蔵にそのことを伝えた山口は、松五郎として芝居をし、ろくろ首一味を探るよう命じられる。
Name | Type | Role | |
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Kikuma Shimoizaka | Writer | ||
Keiichiro Yoshida | Director |