技術職から営業部に異動して1年。専門知識はあるが口下手な加納彰人(醍醐虎汰朗)は、職場に馴染めず孤独な日々を送っていた。同期で営業部のエース・大狼誠司(中川大輔)とは、あるトラブルをきっかけに関係がこじれてしまい、憧れと劣等感の狭間で揺れている。ある夜、取引先とのトラブルで心身ともに限界を迎えた彰人は、ふらりと立ち寄った神社で「理想の自分が映る鏡」を見つける。 「大狼とも対等に笑いあえるような、そんな自分になりたい」――そう願った瞬間、霧が立ち込め、意識を失った彰人。目覚めると、そこには優しく微笑み、まるで恋人のように接してくる“大狼”の姿があった!? これは夢か、それとも——? “もしも”の世界で始まる、不器用な大人のファンタジーラブストーリー。
神社の鏡を覗いた翌朝、彰人(醍醐虎汰朗)の職場は一変していた。冷たかった同僚たちは笑顔で接し、憧れの同期・大狼(中川大輔)も優しく声をかけてくる。孤独だった日々が嘘のように、彰人は頼られ、感謝される存在になっていた!けれど、起きたはずのトラブルは“なかったこと”になっていて、記録も資料も消えている。周囲が当然のように共有する“知らない過去”に違和感を感じた彰人は、再び湖鏡神社へ向かう。そして、鏡にまつわる伝承を聞き、ここが“理想の自分”が生きる並行世界なのでは…と気づき始める。そんな中、二人の距離は急速に縮まって―。「任せたぞ、相棒」そう微笑む大狼の姿に、彰人は“この世界”での未来を思い描き始める―。
出張先での商談に挑む彰人(醍醐虎汰朗)と大狼(中川大輔)。打ち合わせを終え、大狼のスマートな仕事ぶりに圧倒される。仕事も人付き合いも完璧な彼の姿に、彰人はまたしても自分との“差”を痛感する。だが、2人で会話を重ねる中で大狼の新人時代の苦悩、そして元の世界でふたりの関係がこじれるきっかけとなった、あるトラブルの記憶―。「お前は偉いよ」その大狼の言葉に、元の世界で孤独だった日々が重なり、泣きそうになる彰人。この世界は、ただ優しい人たちに囲まれた理想じゃない。素直に周囲を頼れた“自分”が作った世界なのかもしれない。そして夜、出張先の旅館の部屋でふたりきりの時間―大狼が見せたある行動に、彰人の胸はざらついて…。
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