1997年12月29日、年末の湾岸署は多忙を極めていた。すみれや真下、晴れて湾岸警察署に配属された雪乃たちはそんな多忙さを嘆きながらも自らの職務を遂行していた。警察庁の警備局警備第一課長となっていた室井は、3月の不祥事の責任を取り杉並北警察署へ異動していた青島が湾岸警察署へ復帰していないことを知る。室井の計らいもあり晴れて湾岸警察署へ復帰することになった青島だったが、袴田をはじめ各課長らは青島を引き取ることを拒み合う。また、3月に定年退職した和久も半ば強引に指導員にさせられ湾岸署に復帰。青島は交通課へ配属となり渋々ながら業務を始めるが、自分の仕事そっちのけで傷害事件に首を突っ込むという勝手な行動をして署内でたらい回しにされる羽目になってしまう。そんな中、湾岸警察署管内で殺人事件が発生。湾岸警察署に特別捜査本部が立てられ、指揮官として室井の後任の警視庁捜査第一課から新城管理官が派遣されて来る。 その後も傷害事件を一人で追っていた青島は、生活安全課にて事情聴取した鏡恭一をその犯人として逮捕する。刑事課に引き渡され真下が取り調べを行うが途中真下が席を外した隙に鏡の姿が見えなくなる。そして次の瞬間、課長席にいた袴田に別件の証拠品の猟銃を突き付け「動くな!」と恫喝する鏡。なんと鏡は袴田らを人質に刑事課に立て篭もってしまった……。
1998年10月、会社内連続婦女暴行事件の内偵捜査を終え、青島は約1ヶ月ぶりに湾岸警察署に戻る。その矢先、管内で放火殺人未遂事件が発生し、青島も捜査に駆り出されることに。湾岸警察署に特別捜査本部が設置され第1回捜査会議が始まるが、その最中に被疑者が逮捕されて青島は意気消沈。さらに青島は本部を指揮する新城管理官から目の敵にされた上、苦手な裏付捜査をさせられる羽目に。その後、被疑者の供述から、被害者の恋人である相良純子という女性が犯行を依頼していたことが判明。程なく純子は成田空港で逮捕され、身柄を引き取りに行く捜査一課の南刑事に、青島、すみれ、真下の3人が同行することになる。ところが護送中立ち寄った店で強盗事件が発生し、そのどさくさに紛れて純子が逃走してしまう。 さらに、すみれに逃走幇助の疑いがかかり、警察庁首席監察官となっていた室井がその調査を命じられる。湾岸署を訪れすみれを聴取するが、なぜかすみれは釈然としない。純子がすみれに接触を図ることが考慮され、室井は青島と和久にすみれを監視させるが、なかなか純子は姿を見せず依然として行方がつかめない。すみれに監視を気づかれたことで和久が降りてしまい、青島は一人で監視を続けるものの捜査妨害を疑われ、今度は真下と雪乃が青島を監視する事態に。そんな中、純子がすみれに連絡してくる…。
台場会社役員連続殺人事件の翌年(2004年との設定)のクリスマスイブの午後。大混雑している東京の地下鉄で、地下鉄運営会社・東京トランスポーテーションレールウェイ(TTR)の最新鋭試験車両クモE4-600(通称『クモ』)が、何者かに乗っ取られて地下鉄網を暴走し始めた。 警視庁は緊急対策会議を招集、第1級テロの可能性ありと見た捜査第一課の室井慎次管理官(警視正)は、緊急対応メンバーの招集を指示、その司令塔として日本初の犯罪交渉人(ネゴシエーター)、真下正義交渉課準備室課長(警視)率いる刑事部交渉課準備室CICチームを、TTR総合司令室へ急行するよう命じた。
『交渉人 真下正義』での事件から数ヶ月後の2005年2月に、警視庁新宿北警察署管内で発生した殺人事件の捜査過程で事情聴取を受けていた新宿北署員の神村誠一郎巡査は捜査員達を振り切って逃走し、車にはねられ即死してしまう。これにより、事件は神村巡査による金品奪取目的の犯行という形で捜査が打ち切られ、神村巡査は被疑者死亡のまま書類送検されようとしていた。被疑者が警察官であったため、警察上層部は早く決着をつけたかったのだ。 捜査本部長として指揮を執っていた室井慎次警視正は、死亡したとはいえ被疑者の証言が得られないままでの捜査打ち切りに納得のいかないまま、押収物の整理をしていた。その際室井は、被疑者と被害者が共通の「ある物」を持っていることに気付く。そこで捜査続行を決定し、再度捜査会議を始めようと刑事たちを招集する。するとそこへ東京地検から窪園行雄検事が現れ、室井を「特別公務員暴行陵虐罪」の共謀共同正犯の容疑で逮捕してしまった。理由は、弁護士の灰島秀樹の陰謀によって、神村巡査の母親が告訴していたためだった。 さらに、この逮捕劇の裏には池神警察庁次長と安住警視庁副総監の間での次期警察庁長官の座を巡る醜い派閥争いが隠されていた。事件の真相を探ろうとする室井の前に身内の権力闘争が立ちふさがり、彼の勇気は消え去ろうとしていた。