中風の舅を世話しながら、飛騨の匠だった夫を待ち続ける女が山道で泣いているのを、紋次郎は目撃する。貸元の源蔵は女を女衒に渡すつもりでいる。そんな折、夫が湯治場にいるという噂が。周囲の者は会いに行くように勧めるが、女はためらう。女は知っていたのだ。自分を売ろうとしている女衒が変わり果てた夫の姿だと…。