なんの変哲もない女子高生・四谷みこの日常。通学し、授業を受け、帰宅し、弟と怖いテレビ番組を観たり。 そんなみこに、ひたひたと忍び寄る影。それはなんの前触れもなく、 突如みこの視界に入り込んだ。最初は気のせいかと思った。 幻覚だと思った。疲れているだけと思おうとした…… しかし『それ』は確かに見えている――
ヤバいやつらはどこにでもいる…… 街、学校、友人の背後。やつらは至るところに存在している――そしてほとんどの人は『見えない子』。 親友のハナもそのひとり。 みこに見えるものが、ハナには見えない。 見えない故の能天気が、見えるみこを思わぬ事態へ巻き込むことに…… みこはそれでも『見えない』フリを貫き通せるのか。
ヤバいやつらは人にも憑く。 ハナを始め、誰かにまとわりついていたり。 やつらがどうして存在するのか、 何をしたいのか……『見える子』に目をつけ話しかけてくるやつすらもいる。 気づかれ、話しかけられ、 ズンズン寄ってくる…… さすがに危険を感じたみこは、 数珠を買いに行くことに。
下町のゴッドマザーの数珠効かず……ヤバいやつらにも色々いる。 大きいやつ、小さいやつ。強そうなやつ、弱そうなやつ。 比較的、怖くなさそうなやつを見つけたみこ。 不用意にも『それ』について行ってしまい…… そんな日々の『見える』生活に疲れ始めているみこの様子に、 弟の恭介が何かを察知したようで――
ゴッドマザーに弟子入り志願し、弟子を自称する、みこの同級生・二暮堂ユリア。 彼女は、みこと同様にヤバいやつらが『見える子』だった。 『見える』ことに孤独を抱えるみこと、『見える』ことに誇りを持つユリア。 ふたりの『見える子』が邂逅したとき、運命は動き始める……のかもしれない。
ヤバいやつらは普通『見えない』。 その方が幸せなようにも思えるが、『見えない』が故に危機に陥ることもある。 不穏な空気、まことしやかに語られる噂。 そんな状況があってなお、その場所に足を踏み入れるのは、彼女が『見えない子』だから…… 心霊スポットと名高い廃ビルにハナが足を踏み入れてしまったのも、つまりはそういうこと……
ヤバいやつらは写真にだって映り込む。 ただし、それを見える子と見えない子がいたりもする。 『少し見える子』である二暮堂ユリアは、体育倉庫での屈辱を晴らすため、再びみこたちに近づく。 ちょうどハナがインスタントカメラにハマっていることもあり、ユリアは、みことハナのふたりを有名な心霊スポットでの撮影に誘い出すことに成功するのだが……
ヤバいやつらの行動は摩訶不思議。 なにをしているのか、なにが目的なのか、皆目見当がつかない。 だからこそ恐ろしい……まして見えている子には。 ヤバいやつらを徹底的にスルーすることで、難を逃れてきたみこ。 しかし、弟の恭介と買い物に出かけた際、どうにもこうにも無視しきれそうもないヤバイやつに遭遇してしまい……
ヤバイやつは特定の『人間』の側にもいる。 それが偶然なのか、目をつけられたのかは分からない…… ただ、ヤバいやつらを引き連れるように彼らは常に一緒にいる。 産休の担任に代わって、新たに赴任してきた教師・遠野善。 彼はかつてみこたちに仔猫の里親として名乗り出た人物だった。 そして、そのときと変わらず、善の周囲にはヤバそうな猫の化け物の姿が……
現実世界にだってヤバそうな『人間』はいる…… 猫の化け物を引き連れた新担任の遠野善。 善の周りで日々増えていく猫の姿をした異形…… 相まって街の野良猫は次第に減り、善の手に付着した赤黒い血――。 更には猫の化け物だけでなく、善の側には見るからにヤバいやつまで現れて……。 本当にヤバいのは異形の存在の方か、それとも……
現実世界でヤバそうな『人間』を尾行する。 それは、とてもとても危険な行為。相手は同じ世界で生きる『人間』。 時には現実に危害を加えられることも…。 それでもみこは、善の後をつけることを決意する。 善を取り巻くヤバいやつらが、ハナを弱らせているであろうことは明白。 向こう見ずな勇気を振り絞り、みこは単身、ヤバそうな『人間』と対峙することに――
みこの勇気に端を発した行動により、善への誤解は氷解、更に善に取り憑いた異形の存在たちも消え去った。 怖がるだけでなく向き合うことで現状が変わる――みこの心にも少し変化が訪れた模様で……。 見えないだけでヤバいやつらはどこにでもいる――ほら、貴方の隣にも。 しかし、正しく向き合い対処すれば、どうにかなる……かもしれない。